おっぱいドラゴンに柱間ァ……!大好きクレイジーサイコホモがinしました(休載中)   作:ふくちか

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もう休みも終わりが近いんだ………だから、ありったけを…………


第二十二話「会談(参加してるとは言ってない)」

夜。

全員が寝静まっているであろうこの時間帯に、学園の方から多数のオーラを感知した。

 

 

時間的にも、恐らく会談が始まったな。

 

『相棒、本当に参加しなくて良かったのか?』

 

何を言う、奴等が何かを話し合うのに人間の俺が必要になると思うか。

それに明日も普通に学校があるんだ。年寄りはあまり夜更かしはしないんだ。

 

『なら何故起きている?』

 

……何故だろうな。

俺でも理由が分からん。

 

『それなら、妹達に何かあった時の為、と言えば良いんじゃないのか?』

 

…………一本取られたな。

そうだな、そう言った理由にしておくか。

 

 

俺は酒を飲みながら(何、未成年?精神年齢は二十を超えてる、気にするな)、駒王学園の動向を探っていた。

 

 

 

すると、学園の方で大きなオーラの揺れを感知した。

 

 

 

 

「…………………このままゆっくり眠れればよかったんだが」

 

どうも俺の周りでは騒動が絶えないらしい。

こればかりは前世から変わらないな。

 

 

いや――――俺は騒動を起こす側だったな。

 

 

 

俺は鎧甲冑を着込み、

 

 

 

「飛雷神の術」

 

 

 

駒王学園へと飛んだ。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

時はイッセーが飛雷神で転移する前まで遡る――――

 

 

 

 

 

アザゼルside

 

俺、アザゼルは三大勢力と和平を結ぶ為にこの場へとやってきていた。

 

今現在この場にいるのは冥界のサーゼクス、天界のミカエル――――そして、サーゼクスの妹であるリアス・グレモリーとその眷属達が集まっている。

 

 

……………赤龍帝である兵藤一誠にも声をかけるようリアス・グレモリーにも頼んだんだが、いざ始まってみると、奴は姿を見せなかった。

 

 

曰く「学業に差し障るから無理」だそうだ。

 

 

………ま、まぁ良いさ。

ああ言ったタイプの男は大体人の頼みは聞かん傾向にあるからな。

 

 

 

で、率直に結論を述べると――――和平は成立した。

まぁ、何とかこれで肩張ってた均衡状態は無くなるだろう。

 

 

……それに、一介の眷属悪魔に頭を下げるミカエル、なんて珍しい絵も見れたしな。

 

 

「そういえばアザゼル」

「ん?」

「一誠君を呼んでいたそうだね」

 

サーゼクスがその話題に触れてくる。

すると全員の視線が、俺の方に集中する。

 

あのヴァーリまでもが、だ。

やれやれ、あの男はこんなに人気者なんだねぇ。

 

「あぁ。この際だから一つ聞きたかったんだ。奴にな」

「イッセーの、何を?」

「何者か、だよ。この会談の前に、アイツの事は調べ上げたんだが特にその経歴に異常はない。そう――――奴が戦いを始めたのはリアス・グレモリー達と関わってからのしかない」

 

サーゼクスの報告によれば、秘密裏にはぐれ悪魔と戦っていたそうだが。

だがそれを差し引いても………

 

「奴の戦闘能力は異常すぎる。この間奴が消したコカビエルがいい例えだ。奴は仮にも先の戦争を生き残っていた猛者だぞ?なのにそのコカビエルが……話を聞く限りじゃ手も足も出ずに倒された。しかも教会の戦士にしか使えんデュランダルを使って、だ」

「……多分、イッセーは全く本気を出していなかったと思うわ」

「須佐能乎すら使っていませんでしたしね……」

 

ホラ、この有様だ。

奴はもう、ただの人間としてカテゴライズするには危険分子すぎるんだ。

 

「………それもそうだがアザゼル。君は報告では神器所有者を集めていたそうだね」

「あぁ、それはだな――――」

 

 

 

 

その時だった。

一瞬、時が止まるような錯覚を覚えたのは。

 

 

 

これは…………停止世界の邪眼、か?

 

 

動ける奴はミカエルにサーゼクス、ヴァーリにグレモリー眷属の一部だけ………か。

そして外を見れば、警備に当たっていた者達がローブを着た怪しい連中に攻撃を受けていた。

 

 

――――ちっ、このまま穏やかに終われると思ったのによ。

 

 

 

「さて、今の状況だが見ての通り俺達はテロを受けている。時間を停止させられ外にいる警備の奴らも全滅だ。そして、時間を停止する能力を持つ奴は少ない。そう考えると……」

「っ! まさか、ギャスパーがテロに利用されているというの!?」

 

そういうこったな。

さて、問題はハーフヴァンパイアのいる旧校舎までどうやって行くか、だが………

 

「兎に角、今はテロリストの活動拠点となっている旧校舎からギャスパー君を取り返すのが目的だ」

「お兄様、私が行きますわ。ギャスパーは私の下僕です。私が責任を持って奪い返します」

「言うと思っていたよ。だが旧校舎までどう行く?魔術師が沢山いる以上、通常の転移も阻まれる」

「部室に、未使用の『戦車』を保管していますわ」

「…成る程、キャスリングか」

 

……ほう、感情を抑え込めるとはな。

こりゃ将来有望の高い悪魔だな、サーゼクス。

 

「だが君一人で行くのは危険だ」

「ならば僕が同行します」

「頼んだよ、木場祐斗君」

 

そっちは決まったな。

んじゃ……

 

「ヴァーリ、お前は外で派手に暴れろ。敵の目を引くんだ」

「……了解」

 

ヴァーリは窓を開けると、手早く鎧をまとい、外の連中に攻撃を仕掛けた。

 

 

それと同じタイミングで、部屋に魔法陣が展開された。

 

「これは―――レヴィアタンの魔法陣」

 

サーゼクスにしては珍しい、苦虫を噛み潰したような顔。

だがそこにいる魔王少女の物とは違う。つまり――――

 

「書物で見たことがある。あれは旧魔王のものだ」

 

と、デュランダル使いがそう呟いた。

それと同じタイミングで魔法陣から出てきたのは、ドレスを着た妖艶な女。

 

 

「ごきげんよう、現魔王サーゼクス殿、セラフォルー殿」

 

旧レヴィアタン――――カテレア。

 

 

「先代の魔王レヴィアタンの血を引く者、カテレア・レヴィアタン。これはどういうつもりだ?」

「もちろん―――あなた方を滅ぼすため」

 

その瞬間、カテレアから巨大な魔力弾が放たれた。

が、それをサーゼクスは難なく防いだ。

 

「カテレア、なぜこのようなことを?」

「先程も言ったはずです。あなた方を滅ぼすため、と。我々はこの会談の反対の考えに至りました。神と魔王がいないのならばこの世界を変革すべきだと………今回の攻撃は我々が受け持っております。そして我らはこの世界を滅ぼし、再構築するのです!理念、法、『システム』も含めてね」

 

 

…………ブッ

 

 

「クックック、アッハッハッハッハ!!!」

 

思わず俺は堪え切れずに爆笑する!

するとカテレアは面白く無さそうにこっちに振り返った。

 

「オイオイ、今時世界の変革って…………TVの中の悪役だけだと思ってたぜ?そう言うの、直ぐに死ぬ奴程ほざくんだよなぁ」

「アザゼル……貴方は何処まで人を愚弄する!!」

 

激昂したカテレアは魔力をたぎらせる。

 

「……サーゼクス、ミカエル。手ぇ出すなよ」

「…………カテレア、降るつもりはないのだな?」

「ええ、サーゼクス。貴方は良い魔王でした……が、最高の魔王ではない。だから、私達は新しい魔王を目指します」

「そうか、残念だ」

 

話は纏まったみたいだな。

俺は校舎の壁を吹き飛ばし、外へと飛び出す。

 

「へいカテレア。俺といっちょハルマゲドンとでも洒落こもうか?」

「望む所よ!堕ちた天使の総督!!」

 

カテレアも俺と同じ目線へと浮かび上がる。

とその時、さっきと同じ感覚が俺の中を突き抜けた。

 

 

 

まさか――――時の停止が消えたのか?

 

 

 

 

「……ちっ!まさか、この力が破られるとは…!」

 

ビンゴみたいだな。

 

 

 

 

 

 

 

「―――――――もう少し静かに交戦できんのか、貴様等は」

 

 

 

そしてそれに被さるように掛けられた声は、酷くこの場に似つかわしくない、静かなものだった。

まさか……………そう思い、俺は校舎の門を振り返る。

 

 

 

「人の妹が起きてしまったら、どうしてくれるんだ?」

 

 

 

予想通りというか――――そこにいたのは、古い鎧甲冑を着た、特徴的な髪形を持つ、赤目の人間(?)、兵藤一誠だった。

 

 

 

「おいおいどうやってきたんだ?」

 

一応結界は張っていたはずなんだがな…。

 

「そんなもの俺には無意味だ。それよりどういう状況だ?三十字以内で答えろボラギノール」

「アザゼルだ!!もはや原型留めてねぇよ!!」

 

痔の薬じゃねーかそれ!!

 

「イッセー先輩!!」

 

と、旧校舎からあのハーフヴァンパイア達がやって来ていた。

……まぁ、聖魔剣使いに背負われながら、だが。

 

「僕、やりましたぁ!!」

 

見ればハーフヴァンパイアの手には小瓶が。

……この現象が解決したって事は、恐らくは此奴の血か。

 

「ふん、上出来だ。ギャスパー」

 

……あれ?俺ボラギノールなのに向こうは名前呼び?

………………もう、考えるのは止めた。

 

 

「何者ですか、彼は?見た所、ただの人間のようですが……」

 

おいおい、此奴見る目無いのか?

つっても、普段から化け物オーラ醸し出している訳じゃねーからな、この男は。

 

「何者だ、ズベ公」

 

ハハッ、カテレアをズベ公呼ばわりかよ。

 

「…ッ!!正当なレヴィアタンであるこの私を………やってしまいなさい!」

 

カテレアの言葉を皮切りに、無数の魔法使い達が兵藤一誠に対して攻撃を仕掛ける。

 

「アザゼル!今すぐ防御用の結界を張って!!」

 

は?どういう意味だよリアス・グレモリー。

だがその声は決してふざけてる物ではないので、一応は張っておく。

 

無数の攻撃に対し、兵藤一誠が取り出したのは――――

 

 

「団扇?」

 

 

三つの勾玉の文様が刻まれた、巨大な団扇だった。

まぁ、団扇っつーより、牛魔王が持っている芭蕉扇に近いが。

 

 

一体そんなんで何を――――と思っていると、奴はそれで攻撃を防ぐみたく前方へと突き出した!

俺は爆発する!そう思って僅かに目を細めたが…………

 

 

 

 

 

 

『……………!?』

 

 

何故か、先程まで存在していた攻撃現象は全て消え失せていた。

一瞬の静寂の後、奴は口を開いた。

 

 

 

「――――うちは返し」

 

 

刹那――――団扇から発生した物凄い暴風が辺り一面を襲った!!

その衝撃は凄まじい物で、その場にいた無数の魔法使いは一瞬にして吹き飛ばされる!

 

かく言うこっちも………結界を張っているが凄まじい衝撃だ………ッ!!

 

 

やがて風が止むと、兵藤一誠に攻撃を仕掛けた連中は殆どがボロボロの状態でその場に倒れていた。

あの風、物理的被害も催すのか。

 

見ろよ、この学校の校舎が一瞬にして瓦礫に早変わりしたぐらいだぜ?

 

「う、うぅ…………」

「何だよ、この男…………!」

「まだ踊れそうだな。三下軍団」

 

今度は複雑に手を動かし始めた。

と思ったらそれは一瞬で終わり、最後に両腕を強く握った。

 

 

 

 

「木遁・樹界降誕」

 

軽く地面が揺れた後、奴の周りの大地が隆起していく――――そして、大地を突き破って巨大な樹木が咲き始めた!

それらは意思を持っているかの様に倒れていた魔法使い達を次々と血祭りにあげていく!

 

「ぎゃあぁぁぁぁ!!」

「た、助けて――――ッ!!!」

 

………参ったな。

こんなにも躊躇なく同じ人間を殺せるかねぇ、一介の高校生だろ?

 

「テロリストだという此奴らを同じ人間だとは思わん。唾棄すべき存在なのは、お前も分かっているだろう?」

 

まぁそりゃそうだがな。

見れば樹木はヴァーリが戦っていた連中にも襲い掛かっていた。

 

「なんという…………!!」

 

驚くカテレア。

ま、そりゃそうだよな。

 

 

数分後、学校があったこの地は無数の木々で溢れかえっていた。

 

 

「貴様のような人間、見た事がない………!!」

「…言いたい事はそれだけか?三下」

「ッ!!」

 

激昂するかのようにして魔力を高めるカテレア。

だが奴は涼しい顔だ。

 

 

と、その時、無数の光弾が俺に襲い掛かってきた!

 

「…世話が焼ける」

 

兵藤一誠はそう呟くと、伸び切って沈静化している樹の蔦を伸ばしてそれらを振り払った。

 

「サンキュ。手間が省けたぜ」

「自分の尻ぐらいは拭って貰いたいものだな…………で、このクーデターはお前の仕業か。白龍皇」

 

 

――――やっぱりな。

っつーか、俺もやきが回ったもんだな。

 

「悪いなアザゼル。俺としては此方の方が面白そうなんだ」

「……ったく。なぁヴァーリ、一つだけ聞くぜ」

「ん?」

 

俺は翼を出現させ、ヴァーリと同じ目線まで飛ぶ。

 

「うちの副総督のシェムハザが、三大勢力の危険分子を集めた組織――――禍の団(カオス・ブリゲード)が動き始めてるのを察知してんだ」

「ほぅ、流石はアザゼル。情報網が速いな」

「そして……そのトップに立っているのが――――『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス!」

 

 

その言葉に、リアス・グレモリー達は勿論、サーゼクス達も驚愕を隠せないでいた。

 

唯一の例外は――――今地べたに座り込んで欠伸をしている、兵藤一誠ぐらいか。

 

 

 

ったく、どんな事ならアイツは驚くんだ?

まぁいい。

 

 

「……あぁ、そうだよ。だけど、俺も彼女も世界だの覇権だのには興味がなくてね。カテレア達は彼女の力を利用しようとくっついてきただけだ」

「ヴァーリ、貴方は本人を目の前にしてよく言ってくれますね…………」

 

カテレアは心底不満そうな口ぶりだ。

お前は言い返せんだろう。

 

「……で、そこにいる彼は何者なのですか?」

「兵藤一誠。今代の赤龍帝だ」

 

それを聞いてか、カテレアは驚いた顔をする。

 

「道理でこの場に………彼の力は危険すぎます。この場で殺した方が無難ではないかしら」

「止めておいた方がいい。君では勝負にもならずに瞬殺されるだろう……まぁ、かく言う俺もなんだが」

 

……あのヴァーリがそんな事を言うとはな。

だが、今重要なのはそれじゃない。

 

「今回の件は、我ら旧魔王派の一人、ヴァ―リ・ルシファーが情報提供と下準備をしてくれました。彼の本質を理解しておきながら放置しておくなど、あなたらしくありませんね、アザゼル。……自分の首を自分で絞めたようなものです」

「ま、そうなるな」

 

苦笑いする中、リアス・グレモリーが口を開いた。

 

「ルシファー……どういう事?」

 

おっと、そういやこの事実は俺達堕天使サイドしか知らねぇ事だったな。

 

「我が名はヴァーリ・ルシファー。死んだ先代の魔王ルシファーの孫である父と人間の母の間に生まれた混血児。所謂ハーフだ」

 

ヴァーリの背中から光の翼と共に悪魔の翼が幾重にも生えだした。

 

「嘘よ!そんな事が…………」

 

お前達の驚きはもっともだが………そのあり得ない存在が、此奴なんだな。

 

「いいや事実だ。そう――――コイツは過去現在、そして未来永劫に於ても、最強の白龍皇だろうさ」

「奇跡と言う言葉は、俺のためにあるのかもな」

 

全く規格外な存在だぜ、育てて於いて言うのもなんだがよ。

と、ここで兵藤一誠の確認をしてみれば―――――

 

 

 

 

「………………」

 

 

 

ね、寝ていやがる…………!!

 

 

さ、流石に戦場のど真ん中で眠る奴がいるかよ!?

 

 

「……ゲフン!さてと、それは兎も角だ。その急激なパワーアップ……オーフィスの『蛇』か?」

「そうです!無限の力を、世界変革の為に借りたのですよ。お陰で貴方と戦える。サーゼクスやミカエル、そしてセラフォルーも倒せるチャンスです」

 

……今更思うんだが、ドーピングしてまでの変革なんて、カッコ付くものかねぇ。

そう思いながら俺は自作の神器の短剣を取り出す。

 

「それは……」

「……俺ぁ神器マニアが過ぎてよ。自作で作ったりもするんだよなコレが。まぁ、殆んどはガラクタ同然の奴ばっかだけどよ。全く、神器を開発した神はスゲーよ。俺はそこだけは神を尊敬してんだぜ?」

「安心なさい。新世界で神器等と言った玩具は絶対に作らない。そんなものがなくとも世界は機能するのですから。――――何れは北欧のオーディンにも動いてもらわなくてはなりません」

「それを聞いて益々ヘドが出るぜ。ヴァルハラ!?アース神族!?横合いからオーディンに全部かっさらうつもりかよ。まぁ良いや……と言うよりもな、俺の楽しみを奪う奴等は――――消えてなくなれ」

 

 

――――禁手(バランス・ブレイク)

 

 

俺はそう吠えると、短剣から光が発せられる。

そして短剣の形が変化し、鎧となる。

 

 

そう、此奴が俺の中で最高傑作の人工神器――――

 

 

 

「『白い龍(バニシング・ドラゴン)』と他のドラゴン系神器を研究して作り出した、俺の傑作人工神器だ。『堕天龍の閃光槍(ダウンフォール・ドラゴン・スピア)』、それの擬似的な禁手状態――――『堕天(ダウンフォール・)龍の(ドラゴン・)(アナザー・アーマー)』だ」

 

つっても、機能をバーストさせて無理矢理この形態を発動、維持させているに過ぎないのが、通常の神器との違いだ。

ま、核さえ無事なら幾らでも作り直せる。

 

「ハハハ!流石だな、アザゼル!」

 

ほぅら、ヴァーリですら大興奮する出来だ。

 

「さぁーて待たせたなカテレア…………来いよ」

「舐めるなっ!!」

 

特大のオーラを纏って、カテレアは猛スピードで俺の懐へと飛び込むが――――遅いな。

 

 

 

 

ザンッ!!

 

 

 

 

「オイオイ、折角意気揚々と禁手したのによー……ま、良いや」

「ガッ…ハッ……!?」

 

ま、こんなもんだろ。

カテレアは吐瀉物を吐き出す。

 

「これ程とは……!ですが、ただでは死にません!!」

 

カテレアは血を吐きながらも何やら体に怪しげな紋章を浮かばせながら、俺の左手に触手を巻き付けた。

 

「ほお、相打ち狙いか?」

「こうなった以上、貴方に逃げ場はありません!私が死ねば貴方も――――」

 

 

 

 

バシュッ!!

 

 

 

 

 

けっ、生きる取引にしちゃ安すぎるな。

 

 

「ほれ、逃げ場は出来たぜ」

「自分の、腕を……ッ!?」

「左手ぐれぇお前にやるよ。だから、消えろ」

 

驚くカテレアの頭部に光の槍を突き刺す。

光が弱点の悪魔だ。カテレアの体は爆発する事無く粒子となって消えていった。

 

「まだまだ、改良の余地があるな。もう少し俺に付き合ってもらうぜ、龍王ファーブニル」

 

そう言って残った宝玉にキスをした後、俺はヴァーリに向き直る。

 

「さてヴァーリ、次はお前か?片腕は無くしちまったが、お前の相手は取れるぜ?」

「それは魅力的だけど、俺は早く兵藤一誠と戦ってみたいんだ」

 

はぁ、此奴は筋金入りのバトルマニアだな。

対する兵藤一誠だが――――

 

 

 

「ごたごたは終わったのか?」

 

いつの間にか起きていたらしい。

軽く腕を伸ばすと、欠伸交じりにそう言ってきた。

 

「さぁ兵藤一誠。この時を待ちわびていたよ」

 

ヴァーリは腕を広げて兵藤一誠を待つが、肝心の本人は――――特にヴァーリを見ることなく歩き始めた!

 

「お、おい!」

「何処に行く気だい?」

「決まってるだろう――――家に帰る」

 

 

 

 

 

 

……………………………………は?

 

 

「ど、どう言うつもりだ?!」

「…俺はさっさと眠りたいんだ。それに、旧ルシファーだか何だか知らんが、自らの力に驕っている糞餓鬼と幾ら遊ぼうが何のメリットもない」

 

あ、遊び……………。

此奴、ヴァーリすら格下に見てるのかよ。

しかも餓鬼扱いかよ!

 

 

絶句する俺達に構わず、奴はいよいよ校門を出ようとした。

と何を思ったか、ヴァーリはこんな事を言い出した。

 

 

「……そうだ。良い事を思いついた」

「……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「君の両親――――そして、君の妹である兵藤イズナを、俺が殺すと言ったらどうする?」

 

 

 

 

静寂の中放たれたその言葉に反応する様に、兵藤一誠はぴたりと足を止めた。

 

 

「そうすれば君も俺と戦う気になるだろう?それに――――君の家族も、老いて死ぬより天龍に殺された方がよっぽど劇的な人生になる………そうは思わないかい?」

 

 

 

………アイツ、何つー事を。

兵藤一誠が断れないと踏んで態とそう言ったな。

 

とは言え、兵藤一誠が断れば躊躇なく殺すだろうがな。

 

 

………さぁ、どう出る?

 

 

 

 

『…………!!』

 

後ろを振り返ってみると、リアス・グレモリーとその眷属達は揃って顔を青ざめさせていた。

………………どうしたんだ?

 

 

 

 

 

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!!!!!

 

 

 

 

 

その時だった―――――まるで、心臓を鷲掴みにされた、そんな錯覚に陥ったのは。

 

 

 

そして時を同じくしてこの場所が大きく揺らぎ始めた。

 

 

 

「………………………………おい」

 

 

漸く兵藤一誠が振り返ったが―――――奴は、笑っていた。

 

そして奴の体から湧き出る濃密な魔力が、大地を割り、夜の空を大きく裂いていく!!

 

 

 

 

 

 

 

おいおい………………これは、最上級悪魔とか、魔王クラスだとか、そんなちゃちなもんじゃ断じてねぇ!!

 

 

 

これは―――――神クラスのそれだ!!!!

 

 

「そんなに遊んでほしいか?――――良いだろう、たっぷりと遊んでやる」

 

薄ら笑いを浮かべると同時に、奴に纏わりついていたオーラが一段と大きくなる!!

自らが想像していた物以上だったのか、ヴァーリもその顔には焦りの表情を浮かべていた!

 

『アルビオンよ』

 

突如、奴の左手の甲が光り輝き、そこから声が響いた。

 

 

――――ここで登場とはな、赤龍帝・ドライグ。

 

『ドライグ!目覚めていたのか……いや、それよりも何なのだ!?その男のプレッシャーは!?』

『今の内にその宿主に別れを告げておけ。いや――――もうお前との因縁も今代で終わるやもしれんな』

『何……!?』

 

アルビオンの驚愕を他所に、ドライグは淡々と語り始めた。

 

『この男は魂だけとなった俺達ですら、その気になれば殺せる。そんな男だ…………そしてその宿主の小僧は、この男の最も触れてはいけない逆鱗に触れた――――いや、踏み躙ったと言うべきか』

 

 

ドライグの言葉が続く中、兵藤一誠を覆う魔力が巨人の形に形成されていく。

 

 

『そういえば言っていたな、アザゼルよ。この男は歴代でも最強の白龍皇だと。あぁ、それは認めよう』

 

 

初めは半透明の骸骨の巨人だったそれだが、筋繊維を纏うかのように、さらに濃密な魔力に覆われていく。

 

 

 

『だがな、この兵藤一誠は―――――最凶の赤龍帝だ』

 

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオオオオオ――――――――――!!!!!!!!

 

 

 

 

 

天に向かって吠えるそれは、二面四碗の阿修羅となっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前がどれだけ泣き叫ぼうが―――――俺は一切手を緩めんぞ」

 

 

 

 

そう呟いた兵藤一誠の顔は、常人なら見ただけで――――魔王すら殺せそうな、凄惨な冷笑を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




完成体だと思った!?残念、第二形態でした!!


や、完成体はちゃんと出します。ただし、一瞬だけですが………(って言うか何故だか堕天龍の鎧がルビ振れないんですよねぇ)

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