伝説のトレーナーと才色兼備のジムリーダーが行く全国周遊譚   作:OTZ

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第六十一話 超越者

 シズイを下した二人は修行のために空を飛ぶを使わず、歩いて戻る。

 エリカはナットレイを鍛え上げてシャガ戦でも使い物になるレベルに上げ(レベル90台)、レッドはパーティの底上げを狙う。

 そうこうしていると月は変わって6月となる。

―6月25日 午後1時 ソウリュウシティ―

 

 約一か月弱の修行を経てレッドとエリカはソウリュウの土を踏んだ。

 

「いよいよ巻き返しの時がやってまいりましたわね」

 

 エリカは明るい口調で言う。その瞳には自信で溢れている。

 

「おう。ここで負けちゃ伝説の金看板がかち割れらぁ! 連敗はしないぞ!」

 

 レッドの血気盛んなさまに、エリカはニコリと微笑みながら

 

「なんと勇ましい事でしょう……。それでこそ貴方ですわ!」

 

 彼に向き直って手を組んで感心している。なんとも可愛らしい姿と声にレッドは元気を貰う。

 そして二人はジムにへと向かうのだった。

 

―ソウリュウジム―

 

 いつも通り頂上まで上がるとシャガが待ちかまえていたとばかりに腕を組みながら迎える。

 

「……、よくまた参られた」

「俺たちはもうシズイさんを破りました。あとはシャガさん、貴方だけです」

 

 レッドはシャガにバッジケースを見せつけながら言う。

 

「……、期間を鑑みればそんなものだろう。しかし、最後だからと気を緩めてはいかん! 画竜点睛を欠かさぬよう奮闘して私を見事破ってみよ」

 

 こうして最後のバッジを巡っての勝負が始まった。

 

 シャガはフライゴンとクリムガンを、レッドはカメックスをエリカはナットレイを繰り出す。

 

「カメックス、フライゴンに冷凍ビーム」

 

 カメックスは砲塔より水色の光線を発射する。

 その氷山の如く冷たい光線はフライゴンに命中し、一撃で倒れる。

 

「クリムガン、カメックスにヘビにらみだ」

 

 カメックスはクリムガンの鋭くも魔力がある眼光をまともに受け、麻痺する。

 

「ナットレイ、クリムガンに寄生木(やどりぎ)の種です!」

 

 ナットレイは数個ほど種をクリムガンに投げつけ、やがて植えつかせる。

 

 

 とまあこのような戦いを繰り広げ、互角の戦況のまま推移していく。

 エリカのナットレイがよく持ちこたえたのも一つあるが、何よりシャガが奥の手を使ってこないのが大きい。

 漸くクリムガンを下し、シャガのポケモンが残り三匹となると彼は途端に俯く。

 因みにレッドエリカも残り三匹である。フィールドにはナットレイとフシギバナ、敵側にはチルタリスがいる。

 真っ白い頭を地に向けている姿は中々に威厳がある。

 

「……、やるな。およそ二月、ただ遊んでいた訳ではないようだ」

 

 そんな言葉にレッドはすぐさま

 

「当然ですよ!」

 

 と強く返す。対してシャガは

 

「うむ。ここまでやれるのならば我が奥義。見せてやっても悔いは無し……」

「奥義?」

 

 エリカは疑問を持った目線を向ける。

 

「気になるのであればこいつを倒すがよい! 行け、ボーマンダ!」

 

 ボーマンダは勇みよく出て周囲を威嚇する。

 特性なので、両方とも攻撃が一段階下がる。

 

「フシギバナ! ボーマンダにどくどく!」

「愚かな……、ボーマンダ! 大文字だ」

 

 ボーマンダが大文字の用意すると、エリカは自らの危険を察したのか

 

「戻りなさい、ナットレイ。おいでなさい! ルンパッパ!」

 

 とすぐさま交代をする。ルンパッパはまさに躍り出てきた。

 ボーマンダの大文字はギリギリ外れ、フシギバナのどくどくが命中する。

 

「ふむ……。察しが良いな。チルタリス、コットンガード。ボーマンダ、奥義の準備だ、追い風をせい」

 

 チルタリスは羽毛を凝結させて一気に防御力を高め、ボーマンダは翼を強くはためかせて味方の素早さを上げる。

 

「ルンパッパ! 雨乞いですわ」

 

 ルンパッパはフィールドに雨を降らせる。

 

「こうなったらゴリ押ししかねえ……、フシギバナ、ボーマンダにヘドロ爆弾!」

 

 フシギバナのヘドロ爆弾は運よく急所に当たり、半分ほど減少させる。

 

「ボーマンダ、フシギバナに流星群。チルタリス、同じくルンパッパに流星群だ」

 

 どこからともなく、彼方より多数の岩石が降り注ぐ。

 無論両匹共に洗礼を受けたが双方とも半分ほど減った程度で耐えきる。

 

「ルンパッパ! 今です、吹雪を!」

 

 エリカは二匹が大技を出して疲れだした隙を狙って吹雪を喰らわす。

 勿論、二匹にとっては一たまりもなかったのであっという間に一掃される。

 さて、シャガは残り二匹と少し不利な状況に陥る。が、その表情に焦りは微塵も見当たらない。

 

「フフ……、思った通りだ。君たちならきっとここまで来ると思うたよ」

「それって……、まさか」

 

 レッドはしっかりとした目線をシャガに送る。

 

「うむ。今ぞ見せて進ぜよう。行け、オノノクス! サザンドラ!」

 

 二匹は同時に出ると大きな咆哮を上げる。心なしか前よりも大きい。

 

「刮目してみよ……、これはアイリスにも見せたことのない、ドラゴン使いの最終奥義、双龍の契りだ!」

 

 シャガの指示が下ると、二匹は更に大きな雄たけびを上げる。そして前と同じ波導を出すが、その後に結界のようなものが形成され、それと同時に二匹の背後に龍の紋様が浮かび上がる。

 

「双龍の契り……?」

 

 エリカはそう疑問を呈する。

 

「誓いは……、追い詰められたときには結束を更に固めて、契りにへと変貌する。後は見れば分かる」

 

 シャガはそれだけ言って黙る。

 

「ええい、よく分からんが、フシギバナ! サザンドラにどくどくだ!」

「蹴散らしてくれる。サザンドラ、フシギバナに大文字だ」

 

 サザンドラは大文字をフシギバナに放つ。

 不一致だし、しかも雨天。レベル差も若干ながらもあるし一撃ではやられないだろう……しかしレッドの予測は無残にも崩れ去る。

 そう、フシギバナは一撃でやられてしまったのだ。そして死に際に放ったどくどくもサザンドラに届く大分前で消滅した。

 

「!?」

「良く知りもせずに闇夜に鉄砲とばかりに突っ込むとは……愚策なり。契りは誓いの効果の上に更なる能力上昇と一ターンのみだが守りの結界が出来、特防も二段階あがる」

 

 それを聞くとエリカは

 

「もしかしてアイリスさんが私たちに言っていた事……」

「全く、我が弟子ながら多弁なものよ……。だがおかげで」

 

 シャガはうつむきながら言っていたが、そこまで言うと二人の方に向き直り

 

「手間が省けた。オノノクス! 逆鱗だ」

 

 オノノクスはジュエルを飲み込んで凄まじい力で狂乱したかの如くルンパッパに突撃し、その猛威を奮う。ルンパッパは一たまりも無く倒れる。

 

「……、予想以上の強さですわね。おいでなさい! ナットレイ」

「こうなったら相性で封じ込めるしかない……! 行け、ラプラス! お前に全てを託す!」

 

 レッドは最後の一匹に全てを委ねた。

 

「サザンドラ、ナットレイに大文字。オノノクス、続けろ」

 

 オノノクスがサザンドラに先んじてナットレイに攻撃する。ナットレイは不一致技にも関わらず体力が減っていたこともあり一撃で倒れる。サザンドラは仕方ないとばかりにラプラスに大文字を喰らわすがラプラスは平然とした表情である。

 

「いいぞラプラス! そのまま吹雪を喰らわせろ!」

 

 ラプラスは吹雪を出すが、運悪くも外れてしまう。

 

「最後のポケモンですが……、これでもやられたら悔いはございません! おいでなさい、ユキノオー!」

 

 あられが降り始める。

 そして、敵方の追い風がやみ、素早さの数値が元に戻る。

 

「フ……、例え追い風が止もうと敵方がこれならば恐れるに足らず。サザンドラ! ユキノオーに大文字! オノノクス続け……」

 

 シャガがオノノクスを見ると、オノノクスはふらふらと千鳥足になっている。

 どうやら逆鱗の代償である混乱が回ってきてしまったらしい。

 

「……、止むを得まい。続けろ」

 

 シャガは指示を撤回せずに続けることを決めたようである。

 そしてサザンドラが大文字を発射するが、ユキノオーは間一髪で避ける。

 オノノクスは混乱の影響で自分で自分を殴ってしまう。痛そうだ。

 

「貴方!」

 

 漸くめぐってきた天運にエリカは思わずレッドに呼びかける。

 

「ああ、ここを突かなきゃ勝機は無い! ラプラス!」

「ユキノオー!」

「吹雪!」

 

 二人はほぼ同時に吹雪を指示した。

 ユキノオーの雪降らしによって必中となった吹雪から二匹の龍が逃れる術はなく、豪雪は容赦なく二匹に襲い掛かる。

 ましてや二匹同時、一致技である。二匹の巨体はあっという間に雪に埋まり……、その雪山から二匹は這い出る事はないだろうとレッドは思う。

 

「……、やりおうたな」

 

 シャガが敗北を認めようとしたその時、雪山は音を立てて崩落する。

 なんと、雪に(うず)まったと思われた二匹が出てきたのだ。

 しかし、オノノクスが直立し、サザンドラが首をしっかりと上げた途端……、二匹は力尽きたのか音を立てて倒れる。

 

「……。やった」

 

 レッドは目の前で起こった事に心の底から勝利を確信し、喜びが湧き上がる。

 手は自然と拳を作ったが、情が高ぶり過ぎて震えてしまっている。

 

「やりましたわよ貴方! 勝った、勝ったんですよ私たち!」

 

 エリカは舞い上がってしまっているのか、レッドに近づいて燥いでいるかのように勝利を報告する。

 

「……、見事。それ以外に私の言うべきことはないの。全く私も老いたか……、老体に鞭を打とうと若造に敗北を喫するとはな……」

 

 シャガは倒れた二匹を見つめながらそう言う。その表情はどこか笑っている風にも取れた。

 そして、シャガはポケモンを戻してやがて気を入れ直したかのように二人に近づいて正面を向ける。

 

「いやはや、後生畏るべしとはよく言ったもの……、夫婦の栄光に冠しこれを授ける」

 

 シャガはドラゴン使いの威厳をも感じる黒いバッジを二人に手渡す。

 そう、アイリスの言っていたレジェンドバッジである。

 

「有難うございます!」

 

 エリカは深々とお辞儀をする。何回、何十回も見てきたバッジを貰うときのお辞儀もこれが最後になるのかとレッドはしみじみと思う。

 

「そうか、もうこれで最後のバッジなんだ……」

「左様だな。どれ、私に今まで勝ち取ってきたバッジ、見せてみよ」

 

 二人はそれぞれ5地方のバッジケースを取り出す。するとシャガは

 

「それだと今のようなな場合に大変であろう。これを使うと良い」

 

 そう言ってシャガは広めの板一枚分くらいの広めなアタッシュケースを二人に手渡す。光沢のある銀色の模様の中心にはモンスターボールが描かれている。

 

「これは……」

「見ての通り、五地方全てのバッジを収容できるバッジケースだ。リーグ……というよりアデクという前チャンピオンが二人に渡すようにと退任前に置いて行ったのだ。わざわざ特注で作ったらしい。大事に使いなさい」

「へえ……、アデクさんがねえ……」

 

 レッドはそう感想を漏らしながらニビジムのグレーバッジから丁寧にはめこんでいく。

 色々な事を思い起こしつつ、埋めていきおよそ五分ほどで全てを埋めた。

 どうでもいいが、エリカは最初にレインボーバッジをはめこんでいた。

 レッドが改めて感慨深げに40個のバッジを眺めていると

 

「それが、君たちが今までに築き上げた業績だ。ここまでの事を成し遂げたトレーナーは未だかつて一人もいない……。しかしこれに気を緩めることなくリーグに行き、君たちの実力が如何なるものかイッシュの天下に大きく誇示すると良い」

「はい!」

 

 二人は元気よく、ほぼ同時に答える。

 

「うむ。良い返事だ。ところでレッドはチャンピオン戦の後、その……ぴーだぶりゅーてぃーなる所でゴールドという少年と戦うのだろう?」

 

 シャガはカタカナ語に馴れていないのかたどたどしい口調である。

 

「はい、そうですけど……」

 

 レッドはそう答える。

 

「アイリスと共に観戦させて貰うぞ。君の晴れ舞台だ。見に行かぬわけにはならないからな」

「ええ、是非とも来てくださいよ。ゴールドには俺絶対負けませんから!」

 

 レッドは強い口調で言い切った。

 

「勇ましい事だ。では、その前のポケモンリーグ、気張っていきなさい。アイリスに負ければ私の立場が無いぞ。だから、へこたれるな」

 

 その後も少し話をしてシャガと別れる。

 

 

―ジムの外―

 

「はぁ……、もうバッジ全部揃っちゃったのか……。なんだか旅ももうすぐ終わりだと思うと寂しいな」

 

 レッドは切なげな表情で言う。

 

「あら、私はそんなこと御座いませんわ」

「どうして?」

「だって、その後は私と貴方の同棲が始まる訳ですよ! 心が躍りますわ!」

 

 エリカは恍惚とした表情で言う。エリカと旅して何度思ったか知らないが、有頂天になっているエリカほど可愛いものは無いとレッドは思う。

 

「どうかな。またふらっとどこか行くかもよ?」

 

 レッドはいたずら半分に言う。

 

「だったらまたこうしてお供させて頂きますわ~」

 

 と言いながらエリカはレッドの腕に擦りつく。

 

「ハハハ、そうかそうか」

 

 レッドはつくづく自分が幸せな立場にいる事を実感するのだ……。

 こうして、二人はポケモンセンターに宿泊し、セイガイハシティに戻り、そこからリーグにへと向かう。

 道中、アクロマと出会い、アクロママシーンなるものを貰いライブキャスターの番号を交換する。

 そうこうしているうちに二人はポケモンリーグにたどりつく。

 

―7月8日 午後1時 ポケモンリーグ―

  

 二人はリーグにたどり着くと、今までとは違う洞窟のような雰囲気の内装に驚く。建物が無い事が何よりの意外な事だった。

 さて、兵士に励まされて先に進むと目の前には大きな像がある。

 

「自由に挑戦できるとは伺いましたが……、どういう風に行けば宜しいのでしょう」

「うーむ……、あれ、像の下になんかプレートがあるぞ」

 

 二人はプレートを読む。

 どうやら目の前にある四つの穴が四天王への入り口になっているようだ。

 

「どういう順番で参りますか?」

「うーん……、反時計まわりに行くか」

 

 という訳で二人はまず一番右の入り口から入っていく事にした。

 

―レンブの部屋―

 

 上がっていくと、そこにはリング風のフィールドがあった。

 少し進んでいくと、なんと上から筋骨隆々の男が降ってくるように参上する。

 

「お前らが噂の夫婦か……。なるほど、全国を周ってきたとだけあって発している強さは尋常では無い! 挑戦者よ、私の名前はレンブ。わが師であるアデクの第一の高弟である」

 

 自分で言うかとレッドは思ったが、敢えて突っ込まないことにした。

 

「格闘を極めるべく日々修練に励んでいる。そしてお前たちもトレーナーを極めんと日々歩んでいるもの……。全国の強者を倒してきたその実力、是非とも見せてもらいたい……!」

 

 こうして四天王一人目の戦いが始まった。

 

 レンブはナゲキとダゲキを、レッドはカメックス、エリカはルンパッパを繰り出す。

 

「カメックス、ナゲキにハイドロポンプ!」

「ルンパッパ、雨乞いで援護しなさい」

 

 フィールドは雨模様になり、カメックスのハイドロポンプはナゲキに直撃する。

 一致技と天候が災いして一撃で倒れる。

 

「お前たちの強さ! 伝わったぞ。だが、こっちも反撃だ! ダゲキ、カメックスにインファイト」

 

 カメックスはダゲキの突撃をまともにくらってボコボコにされかけたが、持ち前の防御で何とかこらえきる。

 

「行け、ルカリオ」

「ルンパッパ、ルカリオに寄生木の種です」

 

 ルンパッパはルカリオに種を植え付ける。

 

「カメックス、ダゲキにカウンターだ! 倍返ししてやれ」

 

 カメックスはダゲキにカウンターを見舞する。一撃では倒れなかったが相当のダメージを喰らわせることに成功した。

 

「ダゲキ、カメックスにかたき討ちだ!」

 

 ダゲキは拳や足を駆使してカメックスに最大限のダメージを与える。

 急所に当たった上に不一致とはいえ威力140は相当に堪えたようで、カメックスは倒れる。ダゲキは文字通り、かたき討ちに成功したので少しスッキリした表情だ。

 

……

 

 こうして、エリカは1体、レッドは2体を失って勝利する。残ったポケモンの体力は黄色である。

 

「流石。噂に違わぬ強さだな。だが、まだまだ四天王は残っている。その者らとも一戦を交え、更なる高みを目指すと良い」

 

 二人はレンブの元を去った。

 

 次は右上の入り口に入る。

 

―カトレアの部屋―

 

 階段が無いと思いきや、フッと出てきて、二人はそれに従って上がる。

 上に着くと一輪の大きな花があり、やがて花開いて寝間着姿の女性が現れた。

 

「花開き、現れたのはあたくし……」

「あれ……、貴女もしかして……、カトレアさんですか?」

 

 エリカはその女性を見てすぐさま反応を見せる。

 

「エリカ、知り合いか?」

「幼少の頃、両親の繋がりで晩餐会か何かでお会いした記憶が……」

 

 エリカの反応を見てカトレアは

 

「そうね、2001年4月21日にエリカさんのお母様とあたくしのお父様が資金提供の名目で会合致した時に会った記憶がある」

「日付まで覚えてんのか……」

 

 レッドはその記憶力に驚嘆する。

 

「カトレアさんは、ナツメさんほどの力はありませんが高い実力を持つ超能力者として名を連ねておりますわ。あまりにも強大な力過ぎてバトルを禁じられたとか……、しかし今こうして一人でおられるという事は……」

「漸く、自分自身で力を御せるようになったから……。四天王としてポケモンバトルに接する事が許されるようになったの」

 

 カトレアは静かな口調で言う。エリカとは違うタイプの西洋型のお嬢様のようだ。

 

「それは中々手ごたえがありそうだ」

「さて、このカトレアが求めるのは極上の強さ……。相当に強いトレーナーだという事は聞いているから、あたくしの期待を裏切らないようせいぜい頑張る事ね……!」

 

 カトレアはムシャ―ナとフーディンを、レッドはリザードン、エリカはナットレイを繰り出す。

 

「リザードン、ムシャ―ナに大文字」

「問題! 戦時の日本においてただ一つの政と」

 

 とまで言ったところでムシャ―ナが

 

「大政翼賛会」

 

 と答える。流石はエスパーポケモンである。

 

「何で知ってんだよおおおおお!!」

 

 リザードンは悔しさに塗れた大文字を放つ。

 ムシャーナに直撃はしたが一撃では倒れなかった。

 

「ナットレイ、フーディンにパワーウィップです!」

 

 フーディンは刃の如き蔓の直撃を受ける。

 脆さが災いして一撃で倒れた。

 

……

 

 こうしてレッドは一体、エリカは二体失って勝利する。残ったポケモンの体力は赤である。

 

「エレガントでファンタスティック……そしてエクセレントなポケモンとトレーナーね。貴方達。そんな輝ける人々と戦う事で、あたくし自身も研磨されてさらに強くなれる気がします。さあ、先に進みなさいな。あと二人……輝きをくすませずに行きなさい」

 

 こうして、四天王の前半戦が終了し、二人は左上の入り口に入るのだった……。

 

 

―第六十一話 超越者 終―

 

 

 

 

 

 




あと六、七話……頑張ろう。
次回は四天王後半戦+チャンピオン戦、PWT決戦直前まで扱います。


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