そして漫画家へ   作:rearufu

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仕事忙しくて先週は投稿できませんでしたm(__)m


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「初めまして、大神 時也です」

 

 

明けましておめでとうございます。

年も明けて本日は集英社の新年会にお呼ばれされています。

新人は辛いですね。挨拶回りとか気を使って疲れるし。

吉田さんは平丸さんを追いかけて何処かに行ってしまった。

平丸さんは吉田さんが担当するマンガ家でちょっとした逃亡癖がある。

最初に会った時は眉間に皺を寄せた気難しそうな人だなと思ったが、話してみると中々に愉快な人だったのを覚えている。人の懐に入るのが上手いというか、人の家に上がりこむのが上手い。

酔うと良く奥さんとの馴れ初めを聞かされた。なんでも奥さんは元マンガ家らしく、大恋愛の末に結婚したとか。

あれ、この時期ってもう結婚してるんだっけ?馴れ初めは良く聞かされたけど、何時頃結婚したとかはそういえば聞いた事ないな。

最近は良く仕事場に遊びに来るのだが、先程その事を知った吉田さんが逃げる平丸さんを追いかけ何処かに消えてしまい只今一人で挨拶回りを続行中。

 

 

 

「は、はじめまして、高木です。よろしくお願いします」

「作画を担当している真城です。なんでシュージンの方が緊張してるんだよ」

「いや、なんか大神さん堂々としてるから。何かコツとかってあるんですか?」

「コツってほどじゃないですけど、休み休みやってるからですかね?先生方に挨拶するの気力要りますから」

「でも休むって言っても立食パーティーだし食べてても結構声かけられるからあんまり休めない気が」

「イスに座ってると声かけられないですよ。まぁ暗黙のルールみたいだし絶対って訳じゃないみたいですけど」

「サイコー知ってた?」

「知らなかった。でも去年挨拶回り終わった後にイスに座ってた時はそういえば声かけられなかった気がする」

「初参加の大神さんが知ってるのに、参加2回目の俺たちが知らないとか超恥ずかしい…」

 

僕も知ったのは参加3回目ぐらいだったけどね。

 

「亜城木先生こんばんわー、シュピーン!」

 

何処からともなく新妻先生がサタデーナイトフィーバーの決めポーズをしながら現れた。

 

「新妻さん、こんばんわ」

「新妻さん今回もスウェットなんですね」

「楽な恰好でいいって雄二郎さんが言ってました。ところでそちらの人だれですか?」

「僕たちもさっき知り合ったばかりなんですけど、『time traveler』の大神先生です」

「初めまして、大神 時也です。よろしくお願いします」

「本当に若いですね。あ、新妻です」

 

新妻エイジ。

後にジャンプの看板作家となる若き天才。

前に会った時はもうちょっと落ち着いてたけど、若さ故なのかはじけてるな(笑)

というか本当にってどういう意味ですか。

 

「大神先生絵が上手だったのでもっと年配の人が描いてると思ってました、反省です」

「新妻さん、それってどういう意味ですか。失礼ですけど絵の上手さなら新妻さんの方が上ですよね。なのにそう思ったって事は何か理由があるんですよね」

 

おっふ。確かに新妻先生や真城先生ほど絵は上手くないけど、改めて言われるとけっこうくるものがある。

 

「大神先生の作る話とても引き込まれます」

「話の内容で負けてるってことじゃないよな…」

「シュージンの作る話は面白いよ。新妻さんが言いたいのはそういうことじゃないと思う。たぶん話の流れとかじゃないかな」

「はい。大神先生の作る話とても上手です。それに場面に合った絵も絶妙だと思います。力を抜くべき所は抜く感じとても勉強になります」

「確かに新妻さん常に全力って感じするしな」

「うん。前に福田さんにも似たような事言われてた」

 

話の構成には自信があります。なにせ絵が中々上達しないものですから、それ以外の所で補おうと試行錯誤してましたから。

力の抜き加減は覚えるまでに随分と怒られました。時間短縮になるからと安易に絵を崩した時なんか吉田さんにアームロック食らいました。力を抜く=デフォルメとかじゃないんですよね。場面に合った柔らかさと言いますか、日本語って難しいね。

 

 

 

 

なんか新妻エイジに認められた凄い奴みたいな目で亜城木先生に見られてます!過大評価だと言いたいけれど言わない。すぐに先生たちと争えるような売れっ子漫画家を目指して頑張るからみんな応援してくれよな!

 

 

 


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