なんか表現力足りなくてすみませんm(__)mみたいな内容になってしまった
全てとは言わないが、大抵のマンガ家は漫画好きだと俺は思っている。
好きだからこそこの道を歩いてきた。
そして声を大にしては言えないが、やはりジャンプ以外の作品も大好きだ。他誌の少年誌も勿論買っている。
だからソレに気づいたのは偶然じゃなく必然だったのだろう。
「『デビルイレイザー』?あれ、こんなんだったっけ?」
ソレに気づいたのは少年スリーを読んでいた時のことだ。
当時好きだった作品が連載開始したのだと、初めはそれほど気にしていなかった。
だが読み進めていくうちに次第に違和感が大きくなっていった。内容は同じはずなのに、まったく別の作品を見ている気にさせられる。
暫くして思い出した事だが、『デビルイレイザー』は俺が高校を卒業して数年経ってから掲載された作品だ。
俺が居るせいでバタフライ効果的なものが発生して掲載が早まったのかとも思ったのだが、絵のタッチが違いすぎる。絵のタッチとは個性と言い換えてもいい。それがこうも違うとは同じ人間が描いたものとは到底思えない。これなら別人が描いたと言われたほうがよほど納得がいく。そう思い至り体に電流を流された気がした。
「盗作……?」
これを描いた奴はマンガ家じゃない。マンガ家であっていいはずがない!
確かに俺だって最初は好きな漫画があって、真似る事から始めたさ。プロになってからだって、似たような作風だったし何処かで聞いたようなセリフを使った事もある。だが、これはそんなもんじゃない。作風を真似ただとかネタをパクっただとかそんなもんじゃない。もっとおぞましいものを見せられた気分だ。
どうして
なんのために
だれが
だれが?
俺は少年スリーを開き、掲載されている作者の名前を確認する。
「時乃正義…?」
知らない。こんな奴を俺は知らない。
『デビルイレイザー』の作者は、作品に合わせたのかもっと悪そうな感じの名前だった。確か悪之なんとか。
いや、問題はソコじゃない。この名前が本名なのか、それともペンネームなのかだ。マンガ家の何割かはペンネームを使っているが、本名で売り出している人も多い。もし本名だとしたら、何か分かるかもしれない。
そう思い俺は何か調べられないかとパソコンの電源を入れる。
しかし結果は散々であった。分かった事と言えば、少年スリーの新人賞で大賞を取った時に書いてあった埼玉県在住の22歳という情報だけだった。
画面に浮かぶ作者の名前を睨みながら考える。誰だ。誰なら『デビルイレイザー』を盗む事が出来た?
しかしどう考えても俺が思い浮かぶ可能性は2つだけだ。
一つは俺が居る事によるバタフライ効果で本当に作品が盗まれた可能性。
そしてもう一つは俺と同じ未来の記憶がある人間だ。出来れば前者であって欲しい。盗まれて欲しいわけじゃない。俺と同じような存在がそんな事をしたと認めたくないだけだ。
あれから数日経つが時乃正義に関しての情報は何の進展も無いままだ。
今日は先日原稿を紛失した際にお世話になった美奈ちゃんが、友達を連れ仕事場に遊びに来ている。本来ならお世話になったこちらが足を運ぶのが筋なのだが、漫画家の仕事場を見てみたいとの事で歓迎することと相成りました。
仕事場は実家の庭に建てたプレハブ住宅。
最近のプレハブ住宅は凄いね。見た目も洒落てるし、組み立て式だからか1日で工事終わっちゃうし。朝は無かったのに学校から帰ったら建ってるんだもん、そら驚きますわ。
冷暖房完備。トイレ・お風呂・キッチンは同じ敷地内に上記3点の有る建物を2ヵ所建てる場合には色々小難しい申請が必要とかで断念した。まぁ予算的にも無理っぽいんだが。そこらへんは実家のを使わせてもらっている。
美奈ちゃんの友達はジャンプ初心者らしいが、漫画自体は嫌いじゃないようで普段は少女漫画を読んでいるらしい。アンケートで票入れてねーと下心全開でサインなどしつつ色々お話しをした。
制作裏話で最新話に出てるヒロインのモデルが美奈ちゃんだと話すと、友達にからかわれて顔を真っ赤にしていた。
「お兄さんまたねー」
「「「おじゃましました~」」」
「気をつけて帰ってねー」
時が経つのは早いもので、既に空は暗くなり始めている。
送ろうかと言ったのだが、恥ずかしいからと断られてしまった。
「お兄さん」
忘れ物でもしたのか遠ざかる一団から離れ、引き返してきた美奈ちゃんに呼び掛けられる。
「目が死んでるよ?」
天使の攻撃。
快心の一撃!
大神は999のダメージを受けた。
どうやら俺は時々心ここに在らず状態だったようで、美奈ちゃんはどうしたのかと皆を先に帰し心配して戻って来てくれたらしい。ちゃんと対応出来てると思ったんだけどな。
「ちゃんと歓迎してあげられなくてごめんね。ちょっと今悩み事があってどうしたらいいか分からなくて悩んでたんだ。たいした事じゃないから気にしないで」
何処の誰だか分からない、未来から来たかもしれない人間が盗作をしたかもしれない。などと説明出来る訳もなく、口から出たのはなんとも曖昧な言葉だった。
「本当に?」
本当にわからないの?そう言われた気がした。
恐らくは大丈夫?みたいな事を言いたかったんだと思う。
だがそう聞こえたのはきっと俺のせいだ。本当はわからないんじゃない。分かりたくないだけだ。時乃正義という存在は俺を否定しているように思えてしまう。そんな奴を見つけたとして俺はどうしたらいいと分からないふりをしていた。何時までも見て見ぬフリはしていられない。解決法なんて分からないけどやりたい事は見つかった気がする。
「うん」
今俺はちゃんと笑えてるだろうか。笑えてるといいな。きっと笑えてるさ。
「なんかちょっと悩み解決した気がする」
盗作ダメ絶対!盗作犯なんか見つけたらぶっ飛ばすような売れっ子漫画家を目指して頑張るからみんな応援してくれよな!