「シュージンちょっとコレ読んでみて」
「赤マルジャンプ?もう発売してたのか」
「表紙に気になるアオリがあったから。ほらココ」
「こ、高校生作家!?」
「うん。俺達とタメみたい」
『time traveler』
パラパラパラ
「読み切りか、面白いな。時間逆行モノみたいだけど話自体は現代が舞台なのな。つか話が妙にリアリティあるなコレ。引き込まれる」
「絵もうまいよ。いや、上手いって言うか洗練されてる?自分の世界を創りあげているからか書いたもの以上に見えるのかも」
「だな。でも俺は絵自体はサイコーの方が上だと思う」
カチカチカチカチ
シュージンはズボンのポケットから携帯を取り出しいじりだす。
「なにやってんの?」
「作中の競馬の日付が今日と同じ日付になってたからどこまで本物を参考にしてるのかなと思って…あった」
僕もシュージンの携帯をのぞき込む。
「宝塚記念か。馬も一頭だけ作中と同じ名前があるな。一文字違いだけど」
「出走はこれからみたいだな。つかスゲーなこいつ。絶対宝塚記念に合わせて読み切り書いてるよなコレ」
「漫画は博打だっておじさんがよく言ってたけど、この人も相当な博打打ちだと思う」
「外して当然。当たれば話題になるって考えるとローリスク、ハイリターンだし有りかもな。なあコレTRAPでも使えないかな?」
「…難しいな」
「設定や見せ方次第でいけるかなとも思ったんだけどダメかな」
「シュージンは真似する方を気にしてるみたいだけどそっちじゃなくて。いや、真似もダメなんだけど。俺が難しいと思ったのはリアルに話を合わせる方。シュージンがやれると思うならやってみてもいいと思うけど」
「仮に一ヶ月後に話を合わせるとして…出走登録してからレースまでの期間ってこんな短いのかよ。いや、重賞レースならあるいは…」
「シュージン博打の経験は?」
「ゲ、ゲーム内でなら」
「だよな。俺も育成ゲームで競走馬を育てるやつはやった事あるけど」
「難しいな。連載の締め切りを考えるとレースを予想する以前に出走する馬を予想しなくちゃダメだこれ」
「うん。リアルに合わせるならある程度の情報も集めなきゃだし、そこまでやっても当たるとは限らない。それなら俺はその時間をシュージンの話を練る事に使いたい」
「だな。しかしそう考えるとここの作品スゲーな」
「内容もそうだけど俺は発想が凄いと思った。こんな事未来でも知ってなきゃ中々思いつかないと思う」
「凄い新人が現れたな」
「ああ、俺達もうかうかしてられないな!」
どうも、元ジャンプ作家で現ジャンプ作家の卵の大神 時也と申します。
何を言ってるか分からない?察してください。
別にチャラくないですよ。変なあだ名付けないでくださいね。薬なんて知らないですから。
しかし高校時代に戻って漫画家を再び目指すまでは問題なかったのですが、いざ投稿しようとして問題が発生してしまいました。当時私は学園を舞台にしたヤンキーモノを連載していたのですが、現在ジャンプでは学園物が多数連載されており連載を勝ち取るのは中々に厳しい状況なようです。連載中の作品の中には当時私が漫画家を目指す切っ掛けとなった心の師匠も現役で連載しており、なんと言うか話がおもいっきり被っているのだ。まぁ私が師匠に憧れて漫画家を目指したのだから当然と言えば当然?だが。パクリ?いえ、ち、違うヨ…
話が逸れました。連載経験を生かし、今ならよりパワーアップした作品を創る事ができると自負する私ですが、師匠に勝てると思うほど己惚れてはいません。そこで心機一転、経験を生かした逆行モノを書いて持ち込みしてみたわけですが
「サーセン」
「いきなりどうした」
「いや、なんとなく。はいコレ」
「おお、サンキュー。まさか売り切れるとは思ってなかったから油断してたわ。どこ行っても売ってないとかナイワー」
「サーセン」
とんでもない結果に。
「でもそれあんまりにも問い合わせが多かったみたいで、なんか来週も同じの掲載されるらしいよ」
「まじか。再掲載ってハガレンの最終回以来じゃね?まぁニュースにもなってたしあり得そうだな。ってか、それ何処情報さ」
再掲載は担当編集から聞きました。なんて言えないな。
「風のうわさ…かな」
「でもその風すこ…サーセン」
「うむ」
「しかし作者ウハウハだろうなこれ」
「な、なんで?」
「だってもし馬券買ってたら12倍だぞ、12倍!」
「あ、ああ。そういう事ね。いや、高校生だと馬券買えねーよ。まぁ親父に買ってもらったけど、高校生の小遣いじゃたかが知れてるしな」
有り金はたいて買えたのは3000円分だ。いや、原稿用紙とかトーンとか結構金掛かるしさ…
「まるでお前が作者みたいな言い方だな。てか馬券買ったのか。おごって!」
「ほいaccelコーヒー」
「アザース」
まぁ予定とは違ったけど結果オーライ。
売れっ子漫画家を目指して頑張るから応援してくれよな!