Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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束に神が乗り移る。

ナノマシン万能、現代の就労問題がなんのその

バルマーの技術に名状しがたくなり悶絶

以上


裏側 私の夢は不滅だァ―――!

アシュアリー・クロイツェル社、研究室。そこでは研究部長である篠ノ之束が懸命にコンピューターのキーボードを叩き続けている。

 

「束様、少し休んだほうがいいのでは?」

 

「私のクリエイティブな時間を邪魔するなァァァ!もっと、もっと強くコードをイメージしないとォォォ!ブゥハハハ!」

 

クロエの忠告も聞かず、束は不眠不休でオルゴンと親和性のあるプログラムをラピエサージュ・アルキュミアに搭載する為、開発を続けている。

 

それと同時に亡国機業から提供されたパーツの解析も済んでいない為、併用して進めているのだ。

 

「束、あんまり根を詰めると大変な事になるわよ?」

 

夜食を差し入れたり、助手としてカルヴィナが手伝いに来ているが、束はそんな事を耳にも入れずお構い無しに深夜テンションのまま開発を止めない。

 

目の下に隈を作りつつも、ブラインドタッチから人差し指一本で束はキーボードを叩き続ける。正確さが変わらないのは速さを優先しているのだろう。

 

「ブフフフ!!もう少しだよ!もう少しでェェェ!!ヴッ!?」

 

しゃっくりのような声を出した後、束はまるで過労の限界を突破したかのような状態で動かなくなってしまった。

 

「ふえっ!?束様!どうして?」

 

「開発作業と解析作業に命をかけすぎたみたいね・・・この子、のめり込むと止めないから」

 

クロエが驚き、カルヴィナが呆れていると束が着けているカチューシャの形をしたウサ耳の機械が動き、飛び上がるように復活すると椅子に座りなおした。

 

「こんな事もあろうかと復活用ナノマシンを投与しといて正解だった!一度使えば疲労回復も兼ねて無くなるけど、また投与すれば問題なし!」

 

自分に回復用ナノマシンを投与しつつ、プログラム開発と解析を再開する束。それを見つつもコーヒーや栄養のある食べ物の提供を忘れないクロエとカルヴィナ。

 

 

 

 

数時間経った後、束は額にハチマキをした姿で背もたれに背中を預けながら大声で笑っている。その声を聞き椅子の上ででうたた寝をしかけていたカルヴィナは目を覚ましたが、クロエは向かい側のソファーで眠っている。

 

「アーーーッハハハハハハ!!ハハハハハハハハーーー!!」

 

「ん・・・?出来た・・・?開発出来たの!?解析も出来た!?」

 

「ダメだぁーーーーーーー!!」

 

「ダァァーー!!」

 

束は落ち込んだように机に突っ伏し、カルヴィナは思わず机の上にあった空のお盆を叩き落としてしまった。

 

「もう、これで不眠不休四日目の朝よ?いい加減に休憩しなさい!それじゃ開発も出来ないし、解析も進まないでしょう!?」

 

「黙ってェェーーーー!!はうっ!?」

 

机を思いっきり叩いた瞬間、束はまたビクンと身体を痙攣させ、その場で立ったまま動かなくなってしまう。その瞬間に再びウサ耳のカチューシャが動き、束がターンして復活する。

 

「残りナノマシン・・・80、私の才能はこんなもんじゃないだろおおおおお!!」

 

「うるさい!うるさいですよ、束様!睡眠中は静かにしてて下さい!」

 

叫んで騒がしくしていた束をクロエが飛び起きて注意する。その後、クロエは再び睡眠に入った。束は呆然としたままその場で固まっている。

 

「怒られちゃったわね、束」

 

カルヴィナから優しく声をかけ、束は静かに開発と解析作業に取り掛かり始めた。

 

 

 

 

 

 

作業を途中で中断し、しばらく休憩を取った後に束はまたもや作業に没頭している。

 

 

「よし、開発は出来た。解析ももう少しだぁー!」

 

とは言うものの提供されたパーツの解析はあまりに高度なテクノロジーで作られており、束でも解析に時間がかかっている。

 

「何が黒き地獄だ!何が黒き天使だ!何が黒き銃神だ!このシン・束にかかれば解析できない物なんか無いぃーー!」

 

開発時のテンションで勧めているらしく、ものすごく騒ぎながら解析している。そうでなければ自分を保っていられないのだろう。

 

「大層な名前を付けてても私にかかれば!私の手にかかればあー!はぐっ!?」

 

再び束は机に倒れこんで動かなくなってしまうが、復活用ナノマシンが作動しジャンプした後、床に着地する。

 

「残りナノマシン・・・55。徹夜がなんぼのもんじゃーーー!こんなもの見せられて寝てられるかぁー!!」

 

キーボードが壊れかけているんじゃないかと疑いたくなるくらいの勢いで叩き、身体の方を全く考慮していない。

 

化学者に適している集中力だが、このまま酷使し続ければ身体のほうが持たないだろう。

 

破滅の脅威から救える機体を作れるのは自分だけだという強迫観念に突き動かされ、解析を進めた。

 

無論、この後で復活用ナノマシンが残り三十五となり、カルヴィナにたいそう叱られた。

 

 

 

 

亡国機業に所属していた三人は、アシュアリー・クロイツェル社に機体の改修為に会社に居てくれと依頼され、改修に立ち合い形になったと連絡が入り、ハンガーへと向かう。

 

三人からすれば思ってもみない幸運だが、今までの機体とは姿が全く変わってしまっていた事に驚いていた。

 

「な、なんだよあれ!?私のアラクネがとんでもない形になってんぞ!?」

 

「ちょっと!私のゴールデン・ドーンまで!?」

 

「私のは新しく作り上げられたのか?」

 

それぞれが困惑しているようで怒号を上げている。しかし、自分達が承諾したのだから文句は言えない。

 

更には改修したのがISの生みの親である篠ノ之束だと聞いた瞬間、三人は黙り込んでしまった。

 

「やぁ、待たせたね」

 

改修者の束の登場だが、その足取りはフラフラですぐにでも倒れてしまいそうだ。その様子見た三人は呆れており、満場一致で休めと言いたげだ。

 

「提供されたパーツを解析しながらプログラムを組んでたら四徹しちゃったよー!」

 

「バカじゃないの?」

 

「バカじゃねえか?」

 

「バカだな」

 

「三人そろって意見が全く同じ!?」

 

束はショックを受けていたが、気持ちを切り替えて機体に関して説明を始めた。

 

「えっと、先ずはゴールデン・ドーンと呼ばれた機体はタオフェ・アストラナガンという名前に変えて機体も一から改修しちゃいました!」

 

「・・・・洗礼の黒き天使、皮肉ですね」

 

「アストラナガンって名前は解析したパーツの記録から命名したんだよー。あ、でも本家には遠く及ばないし、武装を似せて作ってあるだけだからね?特にインフィニティ・シリンダーって武装は危険過ぎるよ!なんだよ物体の時間逆行って!」

 

どれだけ危険なのか、この機体を作った人はどんな人物であり、自分が会いたいという旨を力説して暴走している束にスコールが注意する。

 

「あー、その・・・私の機体に関しても聞きたいんだけどよ?」

 

「ごめんごめん、えっとね・・・アラクネと呼ばれた機体はジュデッカ・リートという名前に変えて改修したよ!この機体の記録もおかしいよ!カルケリア・パルス・ティルゲムって何!?」

 

「ジュデッカ・・・神曲に登場する主人を裏切った奴が堕ちる第四の地獄が名前かよ。それに地獄の歌とはまたいいじゃねえか」

 

カルケリア・パルス・ティルゲムに関してまたもや暴走している束を無視し、生まれ変わった自分の相棒を見る。

 

名前の通り自分は破滅という地獄を見て、生きてきた中で裏切り、裏切られを繰り返してきた。正に地獄の歌を歌う歌手にふさわしいじゃないかと。

 

「それで?私の機体は?」

 

マドカの声に正気に戻った束はマドカに向き直ると、抱きつこうとしてくる。それをマドカは合気道のように束の突撃してくる運動エネルギーを利用して地面に叩きつけた。

 

「ほんとにちーちゃんそっくりだぁぁぁ!がふっ!?」

 

「説明をお願いします」

 

「合気・・・道の・・・小手・・・返し・・・?柔・・・かぁ」

 

受身を取りつつ、ハンドスプリングの要領で立ち上がるとマドカに機体に関して説明を始めた。

 

「コアは提供されてた物を使って、解析したパーツからディス・アストラナガンという名前が出てきたんだけど、それじゃ被るから・・・ガリルナガン・ナーゲルという名前にしたよ。これもディス・レヴっていうおかしい動力源があったけど、解析してるうちに私のSAN値(正気度)がぁ!」

 

「SAN値?何を言ってるんですか?」

 

いあ!いあ!くとぅるふ ふたぐん!などと叫んでいる束から離れるとマドカは自分の新しい機体であるガリルナガン・ナーゲルに近づいた。

 

「複製の爪か、私らしいじゃないか。それに武装も気に入った」

 

何かを叫んでた束が再び正気に戻ると機体の説明を開始した。

 

「元々ガリルナガン・ナーゲルはインフィニティ・シリンダーと似たような武装があるんだ。私に出来たのは再現出来そうな武装までで、特殊武装のプログラムまで解析してたら正気を失うものばかりだもん」

 

「仮にその特殊武装を使えたとして、使用して消滅したらどうなるんですか?私達も?」

 

「うん、最悪は死ぬ。良くて因果律に囚われて二度と自分の世界には帰ってこれなくなるよ。それだけの力を解析したパーツは持っていた」

 

それを聞いた瞬間に三人は表情を強ばらせる。特にスコールは顕著だ、自分が大切な人が乗る機体に帰ってこられない危険性が増していると口にされたのだから。

 

「それにね?私だって解析はしたけど、ブラックテクノロジーを簡単に搭載するほど間抜けじゃないよ?動力源はこの世界にあるものだから安心して」

 

動力源と言った瞬間に再び束は言動が暴走し始めた。今度はのたうち回るように転げまわっている。

 

「ディス・レヴにティプラー・シリンダー、ズフィルード・クリスタル、量子波動エンジンってなんだよー!私の理解が追いつかないー!」

 

また科学者としての発作なのかと三人は放っておくことにした。

 

「仇は取ってあげるわ、私達がね」

 

「待ってやがれ、破滅の軍勢ども!」

 

「虚空の彼方に消し去ってやる」

 

それぞれの機体を見つつ、三人は破滅の軍勢へ向かう電撃戦の日まで己を鍛え、機体調整の日々と学園での生活を続けた。




どうしてもやりたかった神ネタ。

頭の中で[GAME OVER]と聞こえたあなたはウイルスに感染しています。

速やかに治療をお勧めします。

束さんだとやりかねないと思うのは自分だけでしょうか?


※アフレコ中(例の二人)

「私が君を」

「お前が私を」

「「(We are)何度も何度も試して(HEY!)ダブルエーックス!!」」

「I am GOD!!」

「いや、喧しいぞ束」

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