Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
[推奨BGM 『Fate』MDアレンジ(スーパーロボット大戦より)]
2体のラフトクランズが並び、生徒達は震えていた。
興奮して叫びたいのにそれが出来ない。それほどの緊張感がアリーナの中心から溢れている。
「行きますわよ!!」
「こちらこそ!!」
「「オルゴン・マテリアライゼーション!!」」
互いにソードライフルをソードモードへ切り替え、刃となる結晶が形成される。
「うおおおおお!!」
「参ります!!」
刃がぶつかり合い、火花が散る。互いに拮抗しており、せり合いを続ける。
互いに間合いを開けると武装を切り替える。
「そこだ!」
政征はオルゴンライフルを構え、ガンスピンを交えつつ単発のエネルギー弾をフー=ルーへと撃ち込む。
「なかなかの精度ですわね!ですが、遅い!!」
政征のクセを知っているかのように回避し、そのままスラスターを吹かし突撃していく。
「ファウネアの速さはこんなものではなくてよ?クロー、展開!」
「しまっ!!」
「捉えましたわ!」
気付いた時にはクローに掴まれていた。そのままアリーナの地に政征は叩きつけられ引き摺られる。
「があああああ!!」
遠心力をかけ、投げ飛ばすと同時に転移し背後から引き裂くように叩きつけた。
「ぐ・・・ううう!」
その攻撃手段を見ていたセシリアは震えていた。政征と戦った際、自分が受けた攻撃はあれほどのものだったのかと。ISの防御機能がなければ自分は死んでいたのかもしれないと思ったのだ。
「立ちなさい、この程度で終わってはつまらないでしょう?」
「やはり強いですね。フー=ルー様」
政征は立ち上がり、クローシールドとソードライフルを構える。
「お喋りは無用でしてよ」
わずかな会話も許さず、フー=ルーは得意とするオルゴンライフルを撃った。
「なっ!卑怯だぞ!!」
箒が声をあげるが戦っている二人には聞こえていない。放たれた射撃を回避し政征は自分の間合いへ持ち込む。
「捉えた!!」
「くっ!?」
ファウネアを捉えたリベラのクローはお返しと言わんばかりに地へと叩きつけ、引き摺った。
「あうううう!!」
先程と同じように遠心力をかけ、ファウネアを投げ飛ばし転移する。
「そこだ!!」
背後から持ち上げるように引き裂き、そのままクローでアリーナの地へと叩きつける。
「あぐっ!」
先程の攻撃は荒々しく、フー=ルーの操縦技術がなければ持ち直す事は不可能に近い。
「お、女の人にまたあんな攻撃を!」
一夏は女性が傷つけられるのが我慢ならない様子だが、教師である姉がおり、自分が飛び出していい戦いではないとアリーナから漂っている。
「オルゴンキャノン!チャージ完了!ヴォーダの深淵を垣間見よ!!」
「纏めて落ちなさい!ヴォーダの闇へ!!」
チャージが必要なリベラの放ったオルゴンキャノンに対し、ファウネアはすぐに対応しオルゴンキャノンを放って相殺させた。
「様子見はお互い辞めにしましょう。いつまでたってもキリがない」
「そうですわね、貴方のおかげでカンを取り戻すことが出来ましたわ」
二人は笑っており、この戦いが長く続く事を望んでいた。
しかし、残り時間は1分。このままでは引き分けになってしまう。
「時間がありませんな、ならば方法は一つ!」
「ええ、一騎打ちこそ戦場の華。楽しませてもらいますわ」
「「バスカー・モード、起動!!」」
全力を出すという宣言と共にファウネアとリベラのツインアイが輝き、更にリベラは機体色にファウネアと同じ緑色が混じり合った。
「「オルゴナイト・ミラージュ!」」
互いに高速転移しながらのオルゴンライフルによる連射を放ち続ける。
だが、ほんの一瞬が明暗を分けた。
リベラの射撃が僅かに遅かったのだ。
「ぐっ!しまっ!!」
「楽にして差し上げます!」
既に遅く、ファウネアは連射し続け背後に回りビーム状の一撃を放ってリベラをオルゴナイトの結晶の中へ閉じ込めた。
「これはあなたの柩・・・久遠の安息へ導きます!」
ソードライフルを上へ投げると変形していき、結晶を踏み台に向かって行く。
レーザー誘導によって変形したソードライフルが胸部の砲台へ接続される。
「ヴォーダの深淵で眠りなさい!」
その一撃は政征がセシリアに対し放ったもの以上に強力であり、リベラを飲み込みオルゴナイトの結晶の欠片が落ちていく中で爆発が起こった。
「私の・・負けです」
結晶から解放された政征はそのまま倒れた。
『あ、赤野政征!エネルギー0!!しょ、勝者!フー=ルー・ムールー!!』
フー=ルーが勝利したと同時に歓声が沸き上がる。
それは政征が敗北した事が要因だが主はフー=ルーの実力と戦う姿だろう。
「静まりなさい!!」
フー=ルーの厳しさを含めた声にアリーナの歓声が一気に静まった。
「この戦いは戦場の一場面にすぎません!さらに言えばこれは競技ではなく、これが戦場の戦いなのです!」
演説のように響き渡る言葉にアリーナにいる生徒達は黙って聞いていた。
「一人一人がISという名の兵器を扱っているという自覚を持ちなさい!その覚悟が無く、力に溺れるのであれば今すぐ
フー=ルーの厳しい言葉に反応した生徒も居たが、特に反応したのが専用機を持つ一夏、セシリア、何故か箒も顔を顰めていた。
「そこまでだ、フー=ルー教諭。生徒達が慌てている」
「あら?教師ならば真実を教える事も大切ではなくて?」
「・・・っ」
教えるというのであれば、真実も教えるべきという言葉に千冬は一瞬だけ眉を吊り上げた。
「では、私は機体を解除してきますので」
ファウネアを起動させたままのフー=ルーは飛び上がり、ピットへと向っていった。
◇
「力に溺れるのであれば今すぐ
「競技じゃなくて兵器・・・間違ってないのかも」
フー=ルーの言葉に生徒達自身も自覚し深く考え始めた者達。
「今更ISを捨てるなんて!」
「そんな事出来る訳がないわ!」
己の力を過信し、力の制御を怠るもの。
「ISは女の力の象徴なのに!」
「男が扱うこと自体が汚らわしいの!!」
女尊男卑から抜け出せない者達など多種多様だ。
◇
専用機持ち達もフー=ルーの言葉に対して考えていた。
「女尊男卑に染まっていたわたくしは力に溺れていましたのね・・」
「
「・・・」
三人はそれぞれ思う事があり、考えていたが自分達だけではなにも答えが返ってこなかった。
特に箒は剣を捨てろという言葉が耳に残って離れることはなかった。
政征はリベラを待機状態に戻し、観客席へと向かっていた。
「活になるか敵が増えるかどっちかになりそうだな。あの言葉」
「政征」
「シャナ?どうしたのさ」
「貴方が心配できたのです。いけませんか?」
「いや、嬉しいさ」
政征は少し頬を掻いて一緒に歩き始めた。
日に日にシャナを見るたびに顔が熱くなって、胸が苦しくなる。
でも、相手は皇女で自分は騎士。だからこの思いは仕舞っておかないといけない気がしている。
「ここならば、誰も来ませんね」
「シャナ?」
俺が思わず声をかけたと同時にシャナが俺に抱きついてきたのだ。
「ッッッッッ/////////////!!!!!!!!!!!!!」
背中を壁にぶつけてしまうがそれでもシャナは離れなかった。
華奢な体型のどこにこんな力強さがあるのだろうか?
「政征、貴方はどうして私から目を逸らすのですか?」
「え・・・そ、それは////」
「私は・・・怖かった。いくらフー=ルーとの戦いとはいえ貴方が居なくなる事が!!」
シャナが震えていた。本当に不安でどうしようもなくなっていたのだろう。
「剣である前に自分を大切になさって下さい」
「ああ、わかったよ」
返事をするとシャナは笑顔を見せてくれた。
うん、シャナは笑顔が一番可愛い。
「そうやって私の気持ちを揺さぶるのですね、貴方は」
「え、シャ・・・ナ////」
そこには潤んだ紫色の瞳で上目遣いしながら俺を見てくるシャナがいた。
「そのまま目を逸らさないで・・・」
「っ・・・///」
逸らそうとしても逸らすことが許されない。なんでだ?心臓がドキドキして来る、確かにシャナの事は大好きだけどいきなり過ぎる。
「私は・・・皇女としてでなく一人の女性として貴方を慕っているのです。マサ=ユキ//」
それは衝撃的過ぎた言葉だった。
シャナが俺の事を好きだと告白してきたのだから。
「シャナ・・・俺」
「言わないでください。剣としてでなく貴方自身の答えを聞かせてください//」
答えるまで決して離さない、そんな強い意志がシャナからは溢れていた。
戦いの後は告白ルートだよ、やったね!
此処で政征の弱ヘタレが発動です、はい
シャナ=ミアから告白されたいと思う作者でした。