Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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ブルー・ティアーズの限界とリヴァイヴとの繋がり。

亡国メンバーの処遇。

教師二人の戦いの前兆。

以上


言葉って時として相手を傷つけるよね

学園祭終了後、いつも通りに訓練しているメンバーは今回の反省点を振り返っていた。そんな中、シャルロットがセシリアに声をかけた。

 

「ねえ、セシリア。不思議なんだけどセシリアの機体とボクの機体が反応し合ってる気がするんだ」

 

「シャルさんも感じていましたか。ええ、確かに反応し合っている時がありますわ。ですが」

 

「どうしたの?」

 

シャルロットが疑問をぶつけると全員に聞こえるように、それでいて気まずそうにセシリアは言葉を発した。

 

「ブルー・ティアーズが鈍くなったように感じるのです。今までそんな事はなかったのですけれど」

 

「もしかしたら、機体がセシリアについて行けなくなってきているのではないのか?」

 

ラウラの言葉にセシリアは驚くが、全員がありうる事だと肯定している。

 

「機体が悪い訳じゃないのよ。セシリアの成長に追いつけなくなって来てるという事になるわ、嬉しい誤算だけど」

 

「ああ、このままではいずれ、ブルー・ティアーズ本体が壊れてしまう可能性がある」

 

鈴はセシリアが成長した事で機体がついていけなくなった事を、政征は機体の損壊の危険性を口にした。

 

「一体、どうすれば・・・」

 

「フー=ルー先生か篠ノ之博士に相談してみましょう。意見をくれるはずです」

 

「シャナさんの言う通り、相談してみたほうがいいな」

 

意見交換と対策している中、校内放送が鳴り響く。

 

「各国代表候補生の皆さん。並びに赤野政征君、青葉雄輔君。シャナ=ミア・フューラさん至急、会議室まで来て下さい」

 

校内放送が終わり、自分達が呼ばれたことに疑問を持つが全員、機体を待機状態にし急いで会議室へと向かった。

 

 

 

 

 

「失礼します」

 

全員が会議室に入るとそこには見知らぬ女性が三人、織斑先生に山田先生、フー=ルー先生の三人と、生徒会長である更識楯無、学園長である轡木十蔵が揃っていた。

 

学園の重要人物が勢ぞろいするという事はかなり重要な事を話すのだろうと全員が思った。

 

「全員揃いましたね。それでは重要会議を始めます。それと此処にいる三名は元・亡国機業の方々です、最も今は9割を壊滅させられたそうですが」

 

亡国機業と聞いて警戒を強めるがそれを十蔵が手で制した。会議を始める前の無用な争いは避けたいのだろう。

 

「先ずはこの映像を観てください」

 

会議室が暗くなり、映像が映し出される。そこには破滅の軍勢の尖兵であるミーレスが扱うアンゲルス、ベルグランデ、スカルプルムといった機体が建物、人間すべてを破壊し蹂躙している模様が映し出されていた。

 

修繕不可能なほどに破壊された建物。人間に関しては最も酷いもので首から先が無い物や下半身と上半身が別れてしまっているもの、悲鳴を上げて殺されていく場面が鮮明に残っていた。

 

映像を観ていたシャナはショックを起こし、セシリアやシャルロット、鈴などは嘔吐しないまでも口元を押さえている。

 

「ん?映像を一時停止をして拡大できないか?」

 

千冬の言葉に映像を一時停止し、拡大する。何かを見つけたように指示をする。

 

「もう少し、右だ。やはり・・・!!」

 

そこに映っていたのは見覚えのある三人。カロ=ラン、一夏、箒の姿であった。破壊活動の中に居るとは思っていなかったらしく千冬は唇を噛み締めた。

 

映像が終わり、会議室が明るくなる。それぞれ険しい顔をしており言葉を待った。

 

「先ほどの映像は亡国機業の方から提供されたものです。スコールさん」

 

「ええ。映像を観てもらって分かる通り、私達はこの軍勢・・・破滅の軍勢に組織をほとんどを壊滅させられた」

 

「破滅の軍勢・・・」

 

「(政征君が言っていたのはこの事ね、これが破滅の前触れ。急いで調査しないと)」

 

「ここからは私が説明する。私が戦ったが勝てなかった。それだけ、私が弱いという事でもあるが、相手が強すぎるのだ」

 

「悔しいけどな、私達じゃ指揮官どころか尖兵にすら勝てねえんだよ!」

 

盾無は調査を急ぐ事を考え、Mが説明しオータムが声を荒げるが、重蔵に再び制される。

 

「私が意見を話そう。今、仮面を着けているが、この仮面は話が終わった後に取るので了承してもらいたい。私達は男性操縦者の二人と同盟を結びたいんだ」

 

「俺達と同盟?」

 

「どういう事ですか?それは」

 

政征と雄輔は一歩前に出て、亡国機業の三人に視線を合わせる。リーダーであるスコールが目を合わせ口を開いた。

 

「詳しく言えば破滅の軍勢との戦いに私達も参加させて欲しいのと、アシュアリー・クロイツェル社に私達を紹介して欲しいって事」

 

亡国機業の三人は本気だ。そうでなければ此処まで男性操縦者の二人に会いに来るメリットはない。しかし、彼らを受け入れて良いものなのかは自分達だけで決められるようなものではない。

 

「そのお話、私にも聞かせてくれますこと?」

 

スコールの提案にフー=ルーが仲介役として参加した。一介の高校生に決められる案件ではないため、それに気づき名乗りを上げたのだ。

 

「学園長、映像通信を。この時間帯ならば会長もいらっしゃるはずですわ」

 

「ふむ、分かりました。織斑先生、山田先生と一緒に準備を」

 

「分かりました」

 

「は、はい!」

 

大型スクリーンを用意し映像通信を繋げ、そこには会長であるセルダと社長の男性が映った。

 

「お久しぶりですね、セルダ」

 

「十蔵かね?そうだな、久しいな」

 

「セルダ君、再会の挨拶はそこまでにしておいてくれ。どうやら重要な事のようだからな」

 

「失礼しました」

 

社長の隣に立ち、セルダは姿勢を正した。社長の男性は十蔵に視線を合わせ話し合いの雰囲気となる。

 

「では、本題に入ります。此処にいる元・亡国機業の三名をそちらで預かって欲しいのです」

 

「いきなり直球だな。だが、会社である以上、こちらとしても無償で要件を飲む訳にはいかないのだ」

 

権力を持つ上流者同士の話し合いに学生達は緊張を隠せない。フー=ルー以外の二人の教師にも言えることであった。

 

ただ話し合っているだけに見えるが、その実、二人は画面越しに言葉というカードを切りながら見えない戦いを繰り広げているのだから。

 

「つまり、何かしらの利益がない限り三人を迎え入れることは出来ないと?」

 

「そういう事になる。先程も言ったが私達は慈善団体ではない、一つの会社なのだ。どうしても利益は必要になる」

 

「ふむ・・・」

 

十蔵はスコールに一瞬だけ目配せし、スコールは目を閉じる事で肯定の意思を示した、無論、オータムとMも同じである。

 

それを合図と見た十蔵はスペードのキングに値するカードを切った。そのカードで天秤が傾く

 

「それならば、こちらの三名が持つ専用機をそちらに預けるというのはいかがでしょうか?」

 

「む・・・」

 

「こちらの条件は預ける三機の専用機の改修の際に操縦者を立ち会わせてもらいたいのです。監視をつけて貰っても構いません」

 

この言葉に社長は長考した。この時世において専用機を預けるなど利益放棄にも等しいからだ。更には立会の際に監視をつけても良いと言っている。

 

「お言葉だが、その専用機の操縦者の皆さんは納得しているのかね?」

 

様子見を兼ねて社長は牽制をかけ、揺さぶる。キングを切られたからには弱いカードといえど出すしかない。

 

「では、ご本人に聞いてみましょうか」

 

十蔵はスコールを呼ぶと社長と対面できる位置に待機させ、マイクを渡した。

 

「亡国機業代表、スコール・ミューゼルです。以後、お見知りおきを」

 

「ご丁寧な挨拶、心よりお受けする。先程の言葉通り、君達は学園長の提案に納得しているのかね?」

 

「もちろん、納得していますわ。亡国機業と名乗っていても最早、弱体化が著しいのです。我々とてこれ以上の被害は抑えたいですので」

 

「そうですか。では、専用機をこちらでお預かりして良いと?」

 

スコールは男ならば見惚れるほど妖艶な笑みを見せると答えを口にした。

 

「無論です。改修の際にだけ立ち合わせて頂ければそれで構いません。それ以上の事は望みませんわ」

 

スコールはマイクを置くと座っていた席に戻り、再び十蔵がマイクを持ち社長と対面する。

 

「ご納得いただけましたかな?こちらの要件は先程も申した通り、亡国機業の三名を預かって欲しいという事と改修時に立ち合わせて欲しいという事だけです」

 

「・・・・」

 

「幾ら国家レベルで守られている学園とは言えど、学び舎に過ぎません。世界的大企業に不利益な条件など出すことはできませんので」

 

「それに、この条件ならば、第三世代レベルの量産機を作り出すことも可能になるのではありませんかな?」

 

此方に切り札たるジョーカーはない。利益というキングを使い、相手が下手に回ってくるという型破りな切り札を持っていた。

 

更には第三世代での量産機を開発できる可能性を示唆されてしまった。これには素直に舌を巻くしかない。第三世代での量産機が開発できれば爆発的に利益は上がるだろう。

 

同時に設計と基礎理論を提唱した開発者である篠ノ之束も会社にいる。兵器としてではなく、誰もが宇宙へ気兼ね無く行くためのスーツとしての移行計画も提出されているのだ。

 

仮にISが無くなったとしても、宇宙計画や主力である農業など生活分野においても利益を出している。工学分野において彼女はISに代わる物を開発してしまうだろう。

 

社長はしばらく考え、この条件を飲む事にした。テストパイロットや実戦を経験している人材は希少である為だ。

 

「分かりました。亡国機業の三名をこちらでお預かりしましょう。入社試験は受けてもらいますが」

 

「ありがとうございます」

 

「では、入社試験の詳細は学園へ後日送ります。失礼」

 

 

 

 

映像通信が切れ、再び十蔵は全員が見える位置に座り直し、亡国機業のメンバーに向き直った。

 

「聞いての通りです。それまでは我が学園で安全を確保しますので、それとMさんと言いましたか?そろそろ仮面を外して欲しいのですが」

 

「分かりました」

 

Mが仮面を外す。その素顔を見た瞬間、一番驚いたのは千冬だった。なぜならその素顔は幼さを残してはいるが、そのまま千冬自身の顔だったからだ。

 

「織斑・・・先生の顔?」

 

「確かに私達と同じくらいの年齢みたいだが、教官に瓜二つだ」

 

シャナは驚きを隠せていないが、千冬と同じ位に驚いていたのはラウラだ。あまりにも似ている、瓜二つという表現が合っているかもしれない。

 

「そうだろうな。私はそこにいる織斑千冬のクローンで、テロメアなどの問題も解決している唯一の成功体だ。肉体年齢も加齢速度もお前たちと変わらない」

 

「ク、クローンだと!?」

 

「織斑先生、落ち着いて下さい。それでは貴女の本名は?」

 

フー=ルーの質問にMは淡々と答えた。

 

「織斑マドカ、だ」

 

M改め織斑マドカは自分の本名を名乗った。僅かな希望が千冬の中で芽生え、近づこうとしたが、フー=ルーがそれを制した。

 

「今はまだ家族と呼ぶには難しいでしょう。ゆっくりと時間をかけて歩み寄るべきではなくて?」

 

「フー=ルー教諭・・・確かにその通りだな」

 

同僚であり友人でもあるこの女性には、つくづく助けられている。自分自身、友人と呼べる人間は束くらいしかいない。

 

しかし、このフー=ルー・ムー・ルーという女性は不器用な自分に付き添い、破滅に自分が飲まれそうになった時には、どこで学んだのかカウンセリングによって持ち直させてくれた。

 

更には自分の行動が間違っているなら指摘し、自分に出来る事を再認識させてくれる貴重な存在でもある。

 

「フー=ルー教諭、後で内密な話があるのだが・・いいか?」

 

「ええ、この会議が終わった後でよろしければ」

 

「では、織斑マドカさんはIS学園の転入生として入学してもらいます。いいですね?」

 

「はい」

 

 

 

 

二人の会話とマドカの件が終了し、スコールとオータムに関して話し合うことになった。IS学園で預かるにしても、ただ身柄を置く訳には行かず、何かしらの業務に付かせなければならない。

 

「では、お二人の経験を活かし、実戦訓練の非常講師として雇い入れます」

 

「え?」

 

「良いのか?仮にも私達はテロリストだったんだぜ?」

 

「重々、承知の上です。私からのお願いですが、貴女達の実戦経験を生徒達に伝えて欲しいのです。自分の身を守れるように」

 

十蔵は学園に欠けている物を理解していた。それは己の身を己で守る為の術である。ISを学ぶ上で機体に関する知識や戦術などは重要視されている。

 

だが、現状ではスポーツという隠れ蓑によって、兵器という認識を逸らされてしまっている事を憂いていた。

 

フー=ルーが一時的に改善したが、それでもISを過信する生徒や教員が多い。

 

テロリストだったとはいえ、戦場というスポーツの概念がない世界で戦って来た彼女達の教えが必要なのだと十蔵は二人に訴えた。

 

「分かりました、お力になりましょう。正直、若い命を戦場に送り出すみたいで嫌ですが」

 

「私も人に教えられるかどうか、わからねえしな」

 

「心構えを教えるだけでも人は変わるものですよ。これから教員としてお願いしますね?スコール先生、オータム先生」

 

「ええ、寛大な処遇に感謝します」

 

「その、先生ってのは・・・やめてくれ、くすぐったくってしょうがねえよ」

 

照れ隠しなのか、オータムは顔を逸らしてしまった。その様子に雰囲気が少しだけ柔らかくなるが、すぐさまスコールが立ち上がり政征達に頭を下げた。

 

「改めてお願いするわ。それと破滅の軍勢と戦う時には私達も参加させて欲しい」

 

それを見たオータムも立ち上がって頭を下げた。

 

「頼む!この通りだ!」

 

「二人共、顔を上げて下さい」

 

政征の言葉に二人は顔上げると、その隣にシャナが寄り添い、雄輔も隣に立ち代表候補生達も横一列に並んでいた。

 

「俺達は代表候補生ではありますが、学生であり実戦経験は皆無に近い。こちらからお願いするのが筋でしょう」

 

そういって政征は騎士の礼節をする。シャナは皇女として見守っており、雄輔やセシリアを始めとする代表候補生達も習って礼節をした。

 

二人の騎士と各国の代表候補生達に騎士の礼節を見せられ、オータムとスコールは驚きを隠せない。

 

自分達よりも遥かに年下である者達が礼を尽くし、逆に鍛えて欲しいと頼まれてしまったのだから。

 

「現代にも、まだ騎士は居たのね」

 

「こんなことされちゃ、断れねえよ」

 

二人は手を差し出し、握手を代表として政征と雄輔に求めた。それは敵対する意思にない事を示すためのものだ。

 

礼節をやめ、立ち上がると二人はその手を握り返した。

 

「よろしくお願いしますね?スコール先生」

 

「実戦訓練、お手柔らかにお願いしたい。オータム先生」

 

「ふふ、ええ。現代の騎士さん」

 

「先生ってのは止めろっての!」

 

「それでは、重要会議を終わります」

 

会議は無事に終了し、政征と雄輔はセシリアとシャナを伴って簪の下へと向かい、鈴、シャル、ラウラは訓練と機体状況を把握するためアリーナへと向かった。

 

亡国機業メンバーの三人は自分のISを学園長の十蔵に渡し、真耶と共に職員室へと向かっていった。

 

 

 

「それで、内密なお話とはなんでしょうか?織斑先生」

 

「ああ、ISで私と戦って欲しい」

 

フー=ルーは少しだけ驚いた表情を見せた後、機体に関しての現実的な意見を述べた。

 

「それは構いませんが、機体はどうするのです?学園にある量産機では貴女の動きに耐えられませんわ」

 

「承知している。だが、どうしても戦いたくなってな・・・勘を取り戻す意味でも」

 

フー=ルーはファウネアから発せられているサイトロンによって勘を取り戻したい理由に気づいた。

 

「もしや、弟さんを止めたいと思っているのではなくて?」

 

「っ!?」

 

自分の思考を見抜かれ、千冬は驚愕する。サイトロンに全くの縁のない者からすれば、予知能力でも使ったのかと思うだろう。

 

「辛い事をあえて口にしますが、彼はもう、こちら側に戻ってきませんわ。いえ、戻らないでしょうね」

 

「何故だ!?私が一夏を止めなければならないのに!!」

 

「気持ちは分かりますわ。ですが、彼はもう破滅の軍勢の一員、何かしらの処置や因子を埋め込まれていると考えるべきなのです」

 

「何が気持ちは分かる、だ!人を愛した経験が無い奴が知ったような事を言うな!!」

 

千冬の言葉が突き刺さり、フー=ルー自身の逆鱗に触れたのか、もしくは譲れない感情を揺さぶられたのか、冷静な表情を作りながら彼女の内側では怒りがこみ上げてきていた。

 

フー=ルーは怒れば怒るほど冷静になるタイプであり、千冬は彼女の感情のスイッチを押してしまったのだろう。

 

「・・・良いでしょう。友人ではなく、一人の騎士として貴女の挑戦を受けます。勝負は二週間後、それまでに機体を用意させますわ」

 

フー=ルーが去る前に千冬の足元へ投げつけられたのは白色の手袋だ。その意味を悟った千冬は手袋を拾い上げていた。

 

それを見届けたフー=ルーは背を向けて去っていった。もう後には退けない、二人の女傑が決闘を承諾してしまったのだから。

 

フー=ルーはアシュアリー・クロイツェル社にいる束に連絡を取り、今から二週間で機体を用意しろという無茶ぶりを珍しく要求した。

 

連絡を受けた束は理由を問いただすとフー=ルーはしばらく無言になり、聞き出せた後に承諾した。

 

 

 

 

「まさか、ちーちゃんとフーちゃんが決闘だなんて・・・連絡が来た時フーちゃん、本気で怒ってた」

 

束は千冬の愛機であった暮桜に代わる機体の設計に取り掛かりながらも、フー=ルーに対する考えを止めない。

 

「コアはIS学園から提供されてたのを使うとして。ちーちゃんの新しい機体はこれしか無いかな。VR-02・・・カルちゃんがコッソリ渡してくれたデータからISにする設計図は出来たけど、武装面と追従性が問題だね」

 

キーボードを叩きながらも問題部分を修正しては書き直していく。二時間後には全てが終わり、開発技術課へ組み立ての順番を表示したデータと共に設計図を送った。

 

「武装はオルゴンの結晶化を参考に実体剣に出来るようにしたし、機動性に重点を置いた剣撃戦闘タイプ。中距離も対応出来るようにしたしOKだね!さっすが私だよ!」

 

約束の二週間で間に合わせる事が出来るのは束以外には無理な話だ。しかし、今の彼女は自分の友人が決闘しようとしている事に心を痛めている。

 

「変わっていく事を受け入れなきゃ進歩はない、いつまでもアリスではいられないんだよね。セルダさんから言われた事が今になって効いてきてるなぁ」

 

置いて行かれているアリスとしての自分を現実で生きている自分が、抱きしめるイメージを持ちながら、束は思考を巡らせ目を閉じた。




はい、ここで千冬とフー=ルーの決闘という名のケンカです。

親しくなったからこそ争ってしまう。

一方は家族を助けたいという考え、一方は現実的な問題を直視してのこと。

友人同士や親友であっても必ずぶつかる時が必ずあります。

それが今回です。


※追伸

決闘を書いた後はデートか、皆で遊びに行くのを書こうと思います。

簪の機体に白雪の女神の加護が宿ります。

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