Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
以上
謎の女性が勝手に自分の部屋に入っていた為に政征は混乱していた。おまけに着ているのは水着とエプロンという男なら興奮してしまう姿でだ。
「それで、改めて聞きますが俺に何の用ですか?それとちゃんと服を着てください」
「ええ~、何も感想ないの?」
「さっきも言いましたが、俺はシャナ以外の女性に靡くつもりはないので」
「一途なのね、そこはお姉さんも好感が持てる所よ」
女性は制服を着直すとお茶を出されたテーブルの向かい側に座った。
「それで、貴女は誰ですか?」
「私は更識楯無、この学園の生徒会長よ」
「その生徒会長さんがどうして俺の部屋に?(簪さんと同じ苗字、もしかしたら?)」
「君に、正確には君達に興味があったからよ。特に君達の扱う機体、ラフトクランズにね」
いつの間にか彼女の手には扇子が握られており、それが開かれると「興味津々」と書かれていた。
「監視したいんですか?」
「そんなつもりはないわ、私からのお願いは君達二人に生徒会に入って欲しいって事よ。もう一人は此処にはいないけど」
「具体的には?」
「部活動に精を出してる生徒達の意見が殺到してきてるのよ。部活に所属させろって」
「なるほど、形だけになりますが大丈夫ですか?出来るだけお手伝いしますけど」
「それでも構わないわ、みんなも納得するでしょうし」
再び楯無は扇子を開く。文字が変わって「交渉成立」と書いてある。どういった仕掛けなのだろうか?
「話は変わるけど、学園から出て行った二人の事を聞きたいの」
「一夏と箒さんですね。あの二人は今、破滅の軍勢のもとにいます」
「破滅の軍勢?」
おどけた表情から一転し、暗部としての顔つきになった楯無は広げたままの扇子で口元を隠した。
「ええ、今は女性権利団体の過激派と手を組んでいます。それだけに俺達じゃ手も足も出ない」
「確かに。女性権利団体はIS委員会とも接点があるから、男性である貴方達では無理もないわね」
「それに、あの二人は学園には戻って来ないでしょう」
「どうしてそんな事が言えるの?」
政征はお茶を飲んで喉を潤すと楯無の目を見て真剣に話し始めた。
「一夏はシャナを自分のものにする事に固執していて、箒さんは力に飲まれている。おまけに破滅の因子が埋め込まれている可能性が高いですから」
「つまりはもう戻れないところまで来てしまっているという事?」
「その通りですよ。それに破滅の軍勢の目的は恐らく、破滅の王を呼び出す事です」
「破滅の王?」
聞きなれない言葉に盾無はますます顔つきが鋭くなっていた。政征が話している事は半信半疑ではあるが、実在する団体と手を組んでいると聞かされたが故に聞き逃す訳にはいかない。
「ええ、それを呼び出されたら世界どころか、地球そのものが破壊されます」
「!そんなものが存在する訳がないわ!!現れるという事は倒す事が出来るんでしょ!?」
「残念ながら破滅の王は消滅させる事は出来ません、奴は形を持たない存在なんです。ですから寄り代が必要になる」
「寄り代?もしかして!?」
「想像通りです。あの二人のどちらかを使う気でしょう」
「そんな事が・・・」
盾無は政征の口から話される事に驚愕するしかなかった。権利団体など組織ぐるみでの出来事なら暗部としての力を借りれば簡単だが、地球の消滅という現実にはありえない事を危惧している内容だからだ。
「楯無さん、お願いします。恐らく破滅の王を呼ぶためのゲートらしき場所がどこかにあるはずです。それを調べて欲しい」
「どこまで出来るか分からないけど調べてみるわ」
「ありがとうございます。それとですね」
「何かしら?」
「一度、彼女・・・簪さんと話し合ったほうがいいですよ?姉妹なんですから」
「!!!」
楯無は衝撃を受けた。彼の言っている簪という言葉に心当たりがあったからだ。
彼女は自分の妹の事だ。話し合った方が良いという言葉を発したという事は彼が妹と何らかの形で接触したという事だ。
「どういう事かしら?返答によっては・・・」
広げた扇子には[始末]と書かれている。殺気も出してきたという事はよほど心配なのだとわかる。
「なら、どうして彼女と向き合わないんですか?【お姉ちゃんが出来るなら私も出来る】など無茶をしてましたよ?」」
「そ、そんなことが?」
政征は厳しく言葉を叩きつけ続ける。優しさだけでは二人の修復は難しいと考えているからだ。
「恐らくですが、【私よりも下でいなさい】みたいな事を言ったんじゃありませんか?」
「う・・・そ、それは!簪ちゃんを危険に晒したくなかったから・・」
「危険に晒してくないというだけで彼女を追い込むような言葉を言ったんですか!?それは残酷ですよ」
「うう・・・」
政征の厳しい言葉に楯無は縮こまってしまい、俯いてしまった。
「楯無さん、兄弟や姉妹というのは喧嘩などをして初めて認め合えるんですよ。家系の事を考えず、ただの姉妹として接してみたらどうですか?」
「!そう、そうね・・・私達は姉妹だもの、そうしてみるわ!」
政征のただの姉妹として接したらどうだという言葉に楯無は笑顔になった。
「じゃあ、依頼は改めて受けるわ。結果が分かったら生徒会室で報告するわね?生徒会への手続きも済ませておくから」
「わかりました」
「じゃあね、一途な騎士さん」
楯無はウインクすると部屋から出ていった。政征はため息をつくと寝転がり、目を閉じた。
◇
「(助けて・・・私が黒く塗りつぶされる・・・助けて・・・)」
「誰だ?君は誰なんだ?」
「(私は■■・・・助けて・・・破滅に飲まれたくない・・・助けて・・・)」
「聞こえない!!君は?君は誰なんだ!?」
「助けて・・・対となるあの子も・・・助け・・・」
「ま、待ってくれ!」
政征と雄輔はそれぞれ別の場所で目を覚ました。別の場所ではあったが二人は同じ量の汗と呼吸を荒くしている。
「なんだったんだろう・・?今の」
「助けを求める声だったな、女の子みたいだったが」
「雄輔と」
「政征に」
「「相談してみるかな」」
二人は同じ考えを持ちながらシャワーを浴び、着替えを済ませてそれぞれが出会うために部屋を出て行った。
短くてごめんなさい。
そろそろ、佳境です。
後にアンケートをとりたいのでその結果でエンドを分岐させようと思います。
協力お願いします。