Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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文化祭の出し物を決める。

聖騎士団試験の結果が出る。

以上


第三章 学園と亡国
楽しい事ってあっという間に過ぎるよね


夏休み最終日、政征と雄輔は緊張した面持ちでセルダの前にいた。

 

夏休みの前半、二人はフューリア聖騎士団の入団試験を受けていたのだ。

 

「二人の試験の結果だが・・・・」

 

「「は、はい」」

 

二人は同時に返事を返した。緊張のあまり声が重ねってしまっていた。

 

「おめでとう、二人は見事に合格だ。少し危うかったがな」

 

「!や、やった!」

 

「合格出来たのか!」

 

「「いよっしゃあああ!」」

 

二人は嬉しさを表すかのようにハイタッチをして喜びを分かちあった。セルダはそんな二人を微笑ましく見ていたが敢えて厳しめの声を出した。

 

「喜ぶのは良いが、そこまでにしておけ二人共!」

 

「は、はい!」

 

「す、すみませんでした!」

 

セルダの喝に二人は改めて浮かれていた気持ちを引き締めた。

 

「さて、正式に聖騎士団入りになった訳だが・・・これまで以上に精進せねばならないぞ?」

 

「はい、もちろんです」

 

「無論、無茶はしませんが」

 

「それでよい。二人はまだまだ若いのだから、これからだ」

 

セルダから正式に入団した証としての腕輪のアクセサリーと証拠である証文を貰い、部屋を後にして会社から出た。

 

「合格したのは嬉しいけど」

 

「夏休みの宿題がギリギリだったな・・・」

 

そう、メンバー全員が夏休みの宿題をギリギリで最終日前に全て終わらせることができたのだ。

 

成績が優秀なはずのセシリアは古文に苦戦し、鈴は英語、シャルロットは社会(日本史)、ラウラは国語という日本の学校での苦手科目が出てきた結果であった。

 

「さて、俺は正式に発表しないと」

 

「何を、って・・・ああ、そうか」

 

「ああ、アレさ」

 

雄輔は政征が何を発表するのかを察した。自分も恋人に近い相手がおり、親友の恋人が誰なのかを知っているから。

 

「ようやく誓いを果たせるよ」

 

「ほどほどにな?周りに見せつけるなよ?自覚が無いみたいだから言っておく」

 

「え?あ、ああ・・・」

 

親友の言葉に政征は反省気味な様子だ。無理もない、堂々と全方位チャンネルの告白をし、訓練の総仕上げから帰って来てからは二人は離れる事が無かったのだから。

 

二人は話題を変えながら、駅へと向かい学園へと戻った。

 

 

 

 

夏休みが終了し、数週間が経ち学園行事の一つである学園祭の出展を決める為のホームルームが行われていた。

 

だが、提案されたのは。

 

「男性操縦者とポッキーゲーム」

 

「男性操縦者によるシュチュエーションルーム」

 

等といったものばかりであった。これに対し二人は断固として拒否の態度を取った。

 

「ええー、二人共ノリが悪いよー」

 

「そうそう」

 

クラスメートと女生徒達が不満を漏らす中、政征と雄輔は冷静に答えた。

 

「あのね、こんなの一部の人しか得をしないじゃないか」

 

「それに俺達の負担が大きすぎる」

 

「それならメイド喫茶はどうだ?」

 

一石を投じたのはラウラだった。メイド喫茶というのはメイドを売りにしているお店の事だ。

 

「メイド喫茶ならば女性も楽しめる、男性は執事で登場すれば問題ないと思うがな(政征兄様と雄輔師匠執事姿、それとシャナ=ミア姉様のメイド姿・・・写真に収めねば!)」

 

「うーん、それだと面白みに欠けるからコスプレ喫茶にしたらどうかな?それなら色んな衣装が着られるし」

 

「それ、採用!」

 

「コスプレ喫茶とは盲点だったわ!」

 

「い、衣装なら私、レイヤーだから沢山あるし!」

 

「男性用はみんなで揃えちゃえば問題ナッシング!」

 

流れが一気に変わり、コスプレ喫茶で決定してしまった。二人は大きくため息をついたが、ゾクリと政征は背中に何かを感じていた。

 

正体はラウラとシャナだった。ラウラは姉と兄の望む姿を、シャナは恋人の執事姿を想像していた。

 

「(シャナ=ミア姉様のメイド姿・・・ああ、麗しい!政征兄様と雄輔師匠の執事姿、とても良い!)」

 

「(政征の執事姿に着物姿・・・ああ、私も見たいものがあり過ぎます)」

 

「シャナの目がこ、怖い・・・」

 

「ラウラもかなり入り込んでいるようだな・・・」

 

出展が決まり、その準備などを話し合うためにより一層、クラスはホームルームに力を入れた。

 

 

 

出展が決まった後の三日後、政征と雄輔は本音に呼ばれ、学園にある整備室の一室に来て欲しいと言われ向かっていた。

 

「一体、俺達に何をさせようって言うんだい?本音さん」

 

「のほほんさんの事だから難しい事ではないと思うけどね」

 

「いーから着いてくるのだ~」

 

目的の部屋にたどり着くと扉を開き、中に入る。そこには一機のISが展開状態で鎮座されており、所々にコードが繋がれている所をみると完成していないのが伺える。

 

「かんちゃん、来たよ~」

 

そこにはモニターと睨めっこしながらキーボードのキーを叩き続ける女の子がいた。

 

眼鏡をかけているようだが目の保護のための物なのだろう。視力は悪いようには見えない。

 

「本音?それにこの人達は男性操縦者の?」

 

「赤野政征、よろしくね?」

 

「青葉雄輔だ、よろしく」

 

「更識簪・・・」

 

更識簪と名乗った少女は二人に対し、警戒している。

 

「更識さんは」

 

「簪・・・」

 

「え?」

 

「簪って呼んで、苗字で呼ばれるの好きじゃない」

 

「じゃあ、簪さん。これでいいかい?」

 

政征の言葉に簪は頷き、作業を再開する。

 

「簪さん、この機体は簪さんの専用機か?」

 

「そう、打鉄弐式。白式の開発で凍結してしまったから、私だけで作っているの」

 

「これだけの機体を!?」

 

「たった一人で!?」

 

二人は驚きを隠せなかったが、そこへ本音が二人を呼んだ経緯を説明し始めた。

 

「実はね~、二人にはかんちゃんの専用機の開発を手伝ってあげて欲しいのだ~」

 

「本音!?何を勝手な!?私は一人で作るの!お姉ちゃんだってそうしたんだから!」

 

簪の言葉を聞いた二人は簪の方へ顔を向けると口を開いた。

 

「いや、協力させてくれ。これだけの機体を一人でだなんて無茶だ」

 

「三人寄れば文殊の知恵ともいうからな。だが、今は四人いる。全員でやれば完成も早くなるはずだ」

 

「で、でも・・・お姉ちゃんは」

 

男性操縦者の二人はサイトロンで簪が姉に対しコンプレックスを持っている事を見た。

 

それを踏まえた上で言葉を吟味する。

 

「他の人に力を借りるのは恥ずべきことじゃないと思うよ?簪さん」

 

「君のお姉さんが一人で組み上げたのなら、こちらは協力して組み上げればいい。同じ道だけが越える方法ではないさ」

 

「っ・・・・」

 

二人の言葉に簪は言い返すことが出来なかった。追い詰められているのではなく、こんな自分に手を貸してくれる事が信じられない為であった。

 

「それに、もしよければ機体のデータを提供するよ?」

 

「え・・・?その機体って、もしかしてラフトクランズ!?」

 

「ああ、もっとも武装と基本のデータだけしか提供できないが」

 

「それでもいい、意地張ってごめんなさい。私のISを完成させるのを手伝ってください!」

 

簪は先ほどまでの大人しい印象とは真逆に必死に頭を下げて手伝って欲しいと懇願して来た。

 

「よし、決まり!早速だけど機体データを見せて」

 

「はい」

 

「なるほど、実弾兵器とマルチロックによる一斉射撃か」

 

「これならこのデータと接続をすれば使えるね」

 

二人が協力し、簪も輪に入って自分の意見を言いながら機体を組み上げていく。

 

本音は笑顔で機体の配線の配置などを繋ぐアドバイスを送っている。

 

 

 

 

 

数時間後、機体の組み上げを切りの良い所で切り上げ、政征と雄輔は部屋へと戻ってきた。

 

「はぁ、疲れた。そういえばシャナは鈴達の所に居るって」

 

自室の扉を開いた瞬間、政征は呆気にとられた。

 

「お帰りなさい、ご飯にする?お風呂にする?それとも私?」

 

「は?」

 

水着を着た姿でその上からエプロンをしている女性が自分の部屋に居たからだ。

 

「申し訳無いですが、どなたですか?それに俺はシャナ以外の女性に靡くつもりはないのですけど?」

 

「ええ~?淡白な反応、お姉さん悲しいぞ?」

 

これが政征と後々、協力関係になる更識姉妹との邂逅であった。




ようやく、更識姉妹を出せました。

ちなみに政征と雄輔とって二人は協力関係であり友人という認識です。

姉妹が二人に恋したら、確実に病むか、ビターエンドまっしぐらなのでw

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