Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
鈴の倒すべき相手が登場
以上
さて、皆さん。
シャッフル同盟と凰 鈴音の対戦も残り一つとなりました。
相手はここまで全勝を遂げているネオジャパンのゴッドガンダムのドモン・カッシュ。
果たしてそのような戦いが繰り広げられるのか?彼女は決勝に進むことができるのか?
それでは!!ガンダムファイト!レディーーー!ゴーーー!!
ボルトガンダムに破壊されたジャオロンガンダムの左腕の修理と共にネオホンコンの技術者が鈴を呼び出していた。
「え?あと三戦が限界!?」
「ええ・・・シャッフルの皆様とのファイトでのダメージが大きくて」
「そう、わかったわ」
鈴は形は違えど同じ事を仕出かしてしまったと自分で反省した。自分の感情に任せて機体を酷使するのは悪癖だ。
「直そうにも直らないのよね・・・爪龍には本当に負担をかけてばっかりで申し訳ないわ」
自覚はあるようだがどうしても直せず、相棒にばかり負担を強いて何をしているのかと。ガンダムとなった爪龍自身も言葉にせずとも仕方ないと言っているようにも見えていた。
修理が完了し、鈴は料理修行をした後にゴッドガンダムの試合を自室で観ていた。どれを観ても全戦全勝、それだけ手強い相手だという事しか分からない状態だ。
「何も分からないのと同じって事ね。いいわ、それでも必ず!」
握り拳を作ると同時に、鈴の手にはシャッフル同盟の中で最強の証であるキング・オブ・ハートの紋章が浮かび上がっていた。他の紋章も浮かび上がるがキング・オブ・ハートだけは輝きが強い。
「・・・今度は機体不備なんて出ないで欲しいわね」
鈴はボルトガンダムの一戦を思い出していたがすぐに振り払うと、すぐに切り替えて試合当日の日までコンディションを整えるためのトレーニングを開始した。
◇
試合当日、シャッフル同盟の最後の一人との戦いとだけあって観客はかなりの数だ。全勝宣言をしたゴッドガンダム、シャッフル同盟のうち四人に勝利し実力を示したジャオロンガンダム。この二機がぶつかり合うとなっては見逃す訳にはいかないと観客はさらに集まってくる。
「凰 鈴音、手加減はしないぞ?俺が必ず勝つ」
「その言葉、そっくり返しますよ。ドモンさん」
「ならば!」
「ええ!」
「出ろぉぉぉ!ガンッダァァァァム!」
「来て!ジャオロォォォォン!」
二人が指を鳴らすとゴッドガンダムは上空から、ジャオロンガンダムは地下から現れ、それぞれの機体に乗り込む。ゴッドガンダムはすぐに起動し、ジャオロンガンダムのモビルトレースシステムも起動する。
服はすぐに粒子化し、ファイティングスーツを張り付かせるリングが降りてくる。
「んんっ!くうううう!うああああ!」
腕に張り付いたファイティングスーツを引きちぎると同時に全身へも張り付き、最後に残った足の部分すら引きちぎり、機体の起動を確認の為に軽い演武を見せる。
「来い!鈴!」
「全力でいきます!ドモンさん!ガンダムファイト!」
「レディー!」
「ゴーー!」
[推奨BGM『最強の証~キング・オブ・ハート』原曲]
互いに突撃し手を掴み合う取っ組み合いを仕掛け、拮抗する。しかし、その組み合いもすぐに解くと拳の応酬を始めた。
正拳、肘打ち、裏拳、手刀、あらゆる打撃が二人の間で繰り出される。受けては繰り出し、繰り出しては受けられるという応酬が長時間続く。
「なかなかやるな、ここまで着いてくるとは!」
「鍛えられてから一日たりとも鍛錬は怠っていないんですよ、貴方達を越えるために!」
「ふ、超えるためか。なぜ俺達を越えようとする?その先は無いのか!?」
「っ!それは・・・」
「それをも拳に乗せてかかってこい!己の拳は己の魂を表現するものだ!」
「!たあああああああ!!」
鈴の拳は速さを増し、ドモンに襲いかかる。受けに回るが突破されてしまい、ドモンにダメージが伝達する。
「ぐおっ!?がはっ!(これは恋慕か?一度目の恋を振り切り、内に秘めた新たな恋慕。一体誰を想っている?)」
魂の拳によってドモンは鈴の魂の叫びが聞こえた。鈴が内に秘めていたのは恋慕、誰かを想い、恋した者を守りたいという想いが鈴が魂の中で叫んでいた。
「まだよ!見取り技!無影脚ゥ!ハイハイハイハイハイィー!」
「ぐあああああ!」
「(そうよ、私だって・・・私だって!アイツの事が好きなんだからぁー!)」
恋する女というものは、実力が何倍にも何百倍にも跳ね上がるほどの力がある。しかしそれはドモン自身が頼りにしていた[怒り]と同じで極めて危ういものだ。
「うう・・!なるほどな、お前の力の源がわかったぜ。だが、それは危ういぞ!」
ドモンは立ち上がりながら今の鈴の状態が怒りに囚われていた自分と同じである事を指摘した。
「!?」
「恋慕を糧にするのは良い事だ。だがな!それで立ち止まっていては何も進まんぞ!」
「!(そうだった・・・何、自分の中に秘めておこうなんてバカなこと考えてたのよ、ハッキリ言えばいいだけじゃない)」
鈴は目を見開き、改めて自分の気持ちを素直になる事にした。秘めて満足するよりも向き合って想いを伝えることこそが自分らしいと考えた為だ。
「やっぱり、ドモンさんには導かれてばかりですね。でも。勝負は別ですよ!」
「ふ、当然だ!来い!」
再び拳の応酬が始まった。リーチの差を補うために蹴り技を織り交ぜ、ドモンに迫るがそれを完全に受け流され今度は反撃をくらってしまう。
「うああ!くうううう!」
「であああああ!」
防御にまわざるを得ない状態に鈴は反撃のチャンスを伺っていた。どれだけ追い込まれようとも、必ずチャンスはやって来る事をこれまでの戦いから学んだからだ。
「!たぁあああ!」
自分が最も得意とする左足を軸にした回し蹴りを鈴はドモンに放つ。それがドモンの顔面を捉えた。
「うおおお!」
ダウンしそうになるのを堪え、間合いを開く。お互いに体力の削り合いとなっている状態に嫌気がさしていたのだ。
「はぁ・・はぁ・・ドモンさん、もう削り合いはやめにしませんか?」
「はぁ・・は、そうだな。決着をつけるぞ!」
二人は同時に智拳印を結び、同じ境地に立つ。先を行く者と追いかける者、世界は違えど拳に載せる思いは変わらない。
[
「俺のこの手が真っ赤に燃えるゥ!」
「勝利を掴めと叫びを上げる!」
二人の必殺技はほぼ同じだ。違いはエネルギーの質と大きさだけ、それだけに真っ向勝負となる。ジャオロンガンダムはブロークン・アームを右腕に装着し構えを取る。
「爆熱!ゴォォォッド!フィンガァァァ!」
「爆光!オォォルゴン!フィンガァァァ!」
二体のガンダムが同時に互いの頭部を捉え、ダメージを与え続ける。それは見ているだけでもどちらが勝つのかという手に汗握る状態だ。
「リィィィィン!」
「ドモンさぁぁぁぁん!」
拮抗はついに破られ、二機は同時に倒れてしまい観客達はそれぞれの応援するファイターに声援を送り続けるが、無情にもテンカウントは数えられ続けられる。
「ぐ・・う・・!」
ゆっくりと立ち上がってきたのはゴッドガンダム、つまりドモン・カッシュがテンカウント前にファイトの意思がある事を示したのだ。
ジャオロンガンダムは立ち上がる気配がない、テンカウントは数え終わってしまいゴッドガンダムの勝利が実況者から告げられた。
「鈴!起きろ!」
「うう・・・やっぱり、負けちゃいました・・か」
「だが、良いファイトだったぞ」
「ええ・・・次があれば負けませんからね?」
「ふ、何度でも挑んで来い」
握り合った手からは確かに戦いあった者だけが感じることのできる繋がりが確かにあった。
◇
シャッフル同盟との戦いを終えた鈴はこれまでの戦績からラオタン島で行われる決勝バトルロワイヤルへの出場権を獲得した。
島へたどり着くと同時に鈴はドモンと少し離れた場所で行動していた。すぐに戦うのではなく周りのガンダムを倒しておかなければ決着がつけられないからだ。
コブラガンダムとゼウスガンダムの両者が倒され、鈴はすぐにゴッドガンダムのもとへと向かった。
「鈴か、ファイトしに来たのか?」
「ええ、でも。厄介な邪魔者が来たので共闘しませんか?」
「何!?」
「ウガアアアアアア!」
戦車のような音共にやってきたのは先程ドモンが倒したゼウスガンダムだった。まるで理性を失っているかのように攻撃を仕掛けてくる。
「きゃあ!?」
「うおおおっ!このパワー、DG細胞か!?」
「このぉ!邪魔しないで!」
「でやあああ!」
鈴は青竜刀を連結させ、機動力を奪う為に戦車のようなサポートメカを破壊した。ドモンはその隙を狙いゼウスガンダムの胸部を切り裂いた。
「ヌアアアアアア!!」
切り裂かれた胸部から機械の触手のようなものが飛び出し、ドモンはそれに捉えられてしまった。電撃が走り、ゴッドガンダムにダメージを与えている。
「うああああああああ!」
「ドモンさん!やられたなら眠ってなさいよぉ!」
鈴は青龍刀でドモンを捉えている触手を切り、ドモンを開放すると同時に隣へ並び立った。
[推奨BGM 我が心明鏡止水~されどこの掌は烈火の如く 原曲]
「鈴、俺達でアイツを片付けるぞ!いいな!?」
「はい!ドモンさん!」
二人は同時に構えを取り、鈴はブロークン・アームを右腕に装着した。
「「我らのこの手が真っ赤に燃える!!」」
「悪を倒せと!」
「轟き叫ぶっ!!」
鈴は素早くゼウスガンダムの背後に回り、挟み込む形になるように合わせた。同時に突撃してくる二人にゼウスガンダムは混乱している。
「オォォルゴン!!」
「ゴォォォッド!!」
「「フィンガァァァァッ!!」」
前後からの同時攻撃を受けたゼウスガンダムは持ち上げられ、二つのエネルギーを送り込まれる。
「ヒィィィト!」
「エンドォ!」
二つの破壊エネルギーを送り込まれたゼウスガンダムは爆発し、巣食っていたDG細胞ごと破壊された。それと同時に島で地震が起こり、地中から何かが出てくる。ガンダムのようだがその姿は巨大で異形そのもの、まさしく悪魔という言葉が体現したかのような姿をしている。
「あ、あれってなんですか!?ドモンさん」
「あれはデビルガンダム、必ず破壊しければならない悪魔だ!」
「デビルガンダム・・・」
鈴はその姿に戦慄していたがすぐに持ち直し、視線をデビルガンダムへと移す。
「ウハハハハ!待っておったぞ!ドモン!凰 鈴音!」
「その声は!」
「東方不敗!」
「そうだ、ワシはこの日を待っていたのだ。すべてが集結するこの日をな!」
マスターアジアは笑い声を上げながらデビルガンダムのすぐ近くにおり、馬に跨った姿で二人を見下ろしている。
「さぁ、ここへ来い!ワシと戦いたければここまで登ってくるがいい!」
ゴッドガンダムとジャオロンガンダムはマスターガンダムを見上げ、必ず向かってやるという意志をぶつけていた。
次回で鈴ルートは最終回です。
鈴が好きとはいえど話を伸ばしすぎてすみません。
この話の中では合体攻撃がありますので見つけてみてください。
鈴の恋慕は一体誰に向いているのでしょうか?
次回は鈴にとって心が成長する試練です。涙を流しながら倒すべき相手と対峙します。