Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
これもスパロボのおかげ!
受付を済ませた俺とシャナは転入手続きの為に職員室を訪れていた。
「シャナ=ミナ・フューラさんと赤野政征くんですね。お話は受けていますよ」
「ありがとうございます」
「書類に間違いはありませんでしたか?」
俺は確認の為に手続きを担当している先生に訪ねた。
シャナの名前を全て出すと皇女である事が明るみになる為、一部を隠したそうだ。
俺個人としてはバレバレな気もするけど。
「大丈夫ですよ、それではお二人のクラスは一組となりますので」
そう言って先生は教室まで案内してくれた。
どうやら中では教員の一人の織斑先生に向けられている様子だ。
廊下からでも充分聞こえてきている。
「それではSHRを終わりとする!と言いたいがここで諸君に発表がある。本日、転入生が二人このクラスに来る」
その言葉と同時に教室中が騒然となった。
「静かにしろ、馬鹿者共!今は廊下で待機させている。入ってこい」
どうやら呼ばれたらしく、俺とシャナは教室へと入った。
シャナは相変わらず佇まいを崩さず、俺はそれに着いていった。
「二人共、自己紹介を」
「はい。シャナ=ミナ・フューラです、皆さんと共にこの学園で学ぶ事になりました。よろしくお願いします」
自己紹介するとシャナはゆっくりお辞儀した。
教室中での様子は。
「綺麗・・水色のロングヘアなんて初めて見た」
「雰囲気がなんだかお姫様っぽい」
「本当だよ」
など、シャナを見た印象を話していた。
「次だ、早めにな?」
「はい」
催促された俺は自己紹介を始めた。
「赤野政征です。同じくIS学園で学ぶ事になりました。よろしくお願いします」
「お、男か!?」
そういって聞いてくるのはこの学園の唯一の男性だった人物、織斑一夏だった。
「ああ、そうだよ。俺は男さ、何故かISを動かせてしまったんだ」
「よかったぁ、俺以外にも操縦者がいて」
一夏は自分以外の男子が来た事に安堵している様子だったが、なぜか俺は危険を感じて急いでシャナに耳栓をつけさせた。
「「「「キャアアアアアアアア!」」」
「うわあああああ!?」
シャナに耳栓をさせるのに夢中で、自分の耳を塞ぐのが遅れて俺はモロにその叫び声を受けてしまった。
「男子!二人目の男子よ!」
「髪が赤いね、染めてるのかな?」
「普通にしてるだけなのに雰囲気が凛々しく感じる!」
「今年は織斑君と赤野君のこの二人のカップリングで決まりね!」
最後の方!俺はノーマルだ!ソッチの気はないからね!?
「ちょうど二人の席が空いてるな、すぐに席に着け」
「は、はい」
俺は少しだけ目が回るのを堪えて、シャナの耳栓を取って席に誘導した。
「それともう一つ、三時間目あたりから教育実習生がこの学園に来る。無論女性だが失礼の無いようにな?これにてSHRを終わる!」
SHRが終わり、授業も終了して休み時間を過ごしていたら声をかけられた。
「よう、俺は」
「織斑一夏君だろ?テレビでかなりニュースになってたから知ってるよ」
「そっちで知られてるとちょっとだけ複雑だな」
何気ない会話をしているがやはり女生徒からの視線がすごい。
「なんだか動物園の檻の中にいる動物の気分だ」
「それ、すごくわかるぜ。ずーっと見られてるもんな」
そう、二人しかいない男性操縦者という事でかなりの注目を受けているのだ。
シャナは少し戸惑っていたがクラスメートと打ち解け始めて、会話を楽しんでいる。
「一夏」
そう呼ぶ声が聞こえた。
そこには同い年くらいの女の子が腕組みしながら、こちらを見ていた。
黒髪をリボンでポニーテールに結っており、その目に宿る力強さは凛々しさと危うさを併せ持っている様にも見える。
「一夏と話がしたいんだが、良いか?ええっと・・」
「政征、赤野政征だよ。呼びやすい呼び方で構わない。君は?」
「私は篠ノ之箒だ、よろしく頼む。改めて政征と呼ばせてもらうぞ?一夏を借りて構わないか?」
「構わないよ、ただ雑談してただけだから」
「すまないな」
そういって箒と名乗った少女は一夏を連れて廊下へ出ていった。
「政征」
「はい?」
俺をこのように呼ぶのは先ほどの箒という子ともう一人しかいない、シャナだ。
「この学園は女性が多いですね、先程も」
「勘違いしないでくれ、お互いに名前も知らないんじゃ不便だろう?」
「確かにその通りですが・・・」
シャナは納得していないようだ、なんで俺のことで。
「私は席に戻ります、誓いを忘れないでくださいね?」
誓いの所から先は俺だけに聞こえるよう囁かれた。
「も、もちろん!」
シャナは微笑すると自分の席へ戻った。
◇
その後、二時間目の授業も終了し、シャナを交えて一夏と話していた。
少しだけ仲良さげにシャナと一夏が話すのを見ていたが、気に食わなかった。
嫉妬していたのだろうか?シャナに対して俺はどうしても踏み出せない。
「少し宜しくて?」
「はい?」
「え?」
俺とシャナは同時に振り返った。
僅かにロールがかった金髪に青い瞳、どうやら貴族のようで立ち振る舞いはシャナに及ばないものの、しっかりしていた。
「聞いています?貴方ですわ。お返事は?」
「聴いてるけど、要件は何かな?」
「まぁ!何ですの!?そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」
話しかけられて光栄ならシャナの方がよっぽど光栄だよ。そう言い返そうとした、その時。
「一方的に話しかけて光栄と言う事はありません。それに名も知らない貴女様に対してどの様な態度がふさわしいのでしょうか?」
シャナが気品溢れる毅然とした態度で金髪の彼女に意見したのだ。
「なっ!?貴女、女性でありながら男の味方をするというんですの!?」
「敵味方ではありません、話す前に名を名乗るのが礼儀と言うものでしょう?」
シャナは毅然とした態度を崩さずに丁寧な言葉で意見しているが、かえってそれが怖い。
「くっ、わたくしはセシリア・オルコット。イギリス代表候補生にして入試主席のエリートですわ!」
「それでそのエリートさんが俺たちに何か用か?」
一夏が思っていた事を口にしたので俺は頷くだけにした。
「あなた方を見に来たのです。世界で二人だけの男性操縦者ということで興味が沸いたので」
「それで?」
「やはり男ということで変わりませんわね、ISも初心者ということで」
セシリアは小馬鹿にしたように話していたが、未熟なのは自覚してるし別に怒る必要も無かった。
「貴女、ええっと・・シャナ=ミアさんとおっしゃいましたか?」
「はい」
「男と一緒にいると弱くなりますわよ?」
「良いのです、男性も女性も強さは変わりません」
シャナ=ミアの言葉にセシリアは驚いたがチャイムが鳴った為に席に戻っていった。
教員は山田先生ではなく織斑先生が来ており、教鞭をとっていた。
「それでは、今の時間より教育実習生が来る。粗相のないように」
教室の扉が開くと入ってきた人物に俺は心底驚愕した。
「フー=ルー・ムールーと申します。本日より教育実習生としてこのIS学園に来ました。よろしくお願いします」
隣の席にいるシャナを見たがシャナも驚いているようだ。
「フー=ルー教諭は教員として採用も決まっている。教師経験が皆無なため、教育実習期間を経て一週間後にこの学園で正式な教師となる」
「(フー=ルーが教師って・・・意外に似合ってるからなんにも言えない)」
俺はあまりに似合いすぎてるスーツ姿のフー=ルーさんを見ながらそう思った。
「特別事例ということだそうだ、このような事は初めてだが教師として接するように」
「そこまで固くする必要はありませんわ、織斑先生。今のわたくしは教育実習で来ているのですから」
「それでも、だ」
「堅物ですのね」
フー=ルーさんの登場にクラスはガヤガヤと騒ぎになっている。
「千冬お姉様とは違った気品あるお姉様だわ」
「まるで女傑、女性が騎士になった姿のような」
「綺麗だけど凛々しさの中にある輝きが眩しい」
などなどフー=ルーさんにもファンがついた様子だ。
「(フー=ルーさんは本当の騎士だけどね)」
そう考えながら教卓に目をやるとフー=ルーさんと目があった。
「(禁士殿から話は聞いてますわ、皇女を頼みます)」
そう書かれた簡単な手紙をいつの間にか机に置かれていた。
俺は頷くとその手紙をすぐに懐にしまった。
でも、どうやって?いつの間に俺の机の上に手紙を・・・?
「さて、授業を始めたいところだが。その前に再来週行われるクラス対抗戦の代表者を決めないといけないな」
「クラス代表か・・・」
学級委員長みたいなものだろうか?俺としてはあまりやりたくはないな。
面倒くさいし、そこまできっちりやれるタイプじゃないしな。
「はい!織斑君を推薦します!」
「私もそれがいいと思います!」
「え?お、俺が?」
おおう、一夏がいきなり推薦されてる。ご愁傷様だな…。
「私は赤野君を推薦します!」
「わ、私もです」
「え?ちょっ!」
俺もかよぉ!?話題作りで利用するのやめて!
「お、俺はそんなのやらな」
「推薦された者に拒否権はないぞ?他にいないか?」
ああ、こりゃあ完全に嵌められたパターンだわ。
仕方ない、腹くくるか。
そう思っていた矢先、バンッ!と机を叩く音が響いた。
「待ってください、納得がいきませんわ!」
この声はセシリアとか言ったかな?彼女が異議を申し立てたようだ。
「そのような選出は認められません!大体、男がクラス代表など、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」
怒涛のごとく言葉を荒げて講義していたがそこへある人が言葉を発した。
「織斑先生。少し、発言してもよろしいですか?」
「?フー=ルー先生?どうぞ」
意外な相手の行動に織斑先生も少し驚いていたが発言を許可した。
「実力あるセシリアさんが納得いかないというのも確かにその通りでしょう」
「そうですわ!ですから」
フー=ルーさんの援護を受けたと考えたセシリアは発言を続けようとしたが。
「そこで、推薦された男性お二人とセシリアさんの三人がISにて決闘するというのはどうでしょうか?」
「何故そのような事を?わたくしが全て勝つに決まっていますわ!」
「ふふ、それはわかりませんわよ?戦う前から結果が決まっているのならば、なぜ勝敗が分かれてしまう結果が生まれるのです?戦って確かめるべきでは無くて?」
「う・・それは」
セシリアの言葉はフー=ルーの正論に止められた。
フー=ルーの目は騎士のそれになっており男性二人にも目を向けた。
「織斑君と赤野君は異存ありませんか?」
「俺はそっちがいいです、四の五の言うよりわかりやすいですから」
一夏は納得した様子で頷いていた。
「分かりました、自分もそれで構いません」
俺自身も返事を返すとフー=ルーさんは織斑先生の近くへ向かった。
「この提案はいかがでしょうか?」
「一番わかりやすく実力が分かるやり方だな、採用しよう。それでは勝負は一週間後だ」
フー=ルー姐さんって美人だけど戦闘狂でもあったんだっけ、忘れてた。
「(この世界では両方が足されてるみたいだけどね~!)」
この神様、だんだん何処ぞの緑色の戦闘アンドロイドみたくなってきてないか?というツッコミがしたくなった。
「(・・・貴方の剣の実力、見せてもらいますわよ)」
フー=ルーは内心、政征の実力を知りたかったようで僅かに笑みを浮かべていた。
◇
それからあっという間に日にちが経っていき、試合の当日となった。
試合前のピットでは一夏が箒に何やら言っている様子だ。
恐らくは一週間、何かを集中的に一つしか鍛えられなかったのだろう。
あ、箒が目を逸らした。
そんな二人の様子を見ていたらシャナが隣に立っていた。
二人の様子が面白くてシャナが近くに来ていたのを気づかないなんて、何をやってるんだ俺は。
「いよいよですね」
「ああ、鞘に納めておいた剣を抜く時が来たよ」
シャナは不安と期待を秘めた目で俺を見ていた。
皇女として己の剣を見ておきたいということなのかもしれない。
「無茶はしないで下さい、政征。貴方は私の剣であるのですから」
「無論、無茶はしない。俺は君を護る剣でもあるのだから」
「・・・はい。(それだけではないのですが)」
「シャナ?」
「なんでもありません」
シャナが俯いていたので声をかけたが、有耶無耶にされてしまった。
そんな会話をしていたら向かい側から足音が聞こえてきた。
一人は走ってきた山田先生。もう一人は織斑先生、そしてフー=ルー先生だ。
「来ましたっ!織斑君専用のISが!!」
息を切らしていた山田先生が息を整えて目的を伝える。
一夏の背中を押しながら格納庫らしき場所へ向かっていった。
「赤野、お前は機体がないみたいだが訓練機で構わんか?」
俺に声をかけてきた織斑先生は訓練機を貸出する事を伝えてきた。
それに対して答えようとしたがフー=ルー先生が先に答えた。
「ご心配には及びません、織斑先生。彼は私と同じ会社に所属しており、専用機もありますわ」
「何!?初耳だぞ?」
「申し訳ありません。会社側から個人には公にしない様、厳重に注意されていたのです。学園側には書類で提出されている筈ですわ」
「確認する」
織斑先生は連絡用の装置を使って学園に確認を取り始めた。
「確認した。まさか、あの大企業アシュアリー・クロイツェル社の所属だったとは」
「ええ、彼の機体は私が預かっています。手配しましたので、すぐ来るはずですわ」
そう言ってフー=ルー先生は俺の近くへ来た。
「マサ=ユキ・フォルティトゥードー、貴方に騎士の剣を渡します。騎士としての本懐、果たしてみせなさい」
フューリーとしての名を言われ、フー=ルー先生が騎士としての言葉を言っているのだと理解した俺はしっかりと頷いた。
「はい、身命を賭して騎士の誓いを果たしてみせます」
「楽しみにしているわ」
言葉を交わし終えたと同時にアシュアリー・クロイツェル社からコンテナが届いた。
「来ました。これが貴方の機体であり剣でもあるIS、ラフトクランズ・リベラ」
「これが、俺の剣…」
「一夏君とセシリアさんの試合の間に最適化を済ませましょう」
「分かりました」
◇
「あれが、ISだと?」
千冬は自分の弟の機体も気になっていたが、それ以上に政征の機体に興味がわいていた。
ラフトクランズ・リベラと呼ばれた機体はISの特徴を持ってはいるが、データを見る限り普通のISよりも強力なのは間違いない。
「一体・・何世代の機体なのだ?あのラフトクランズ・リベラと呼ばれる機体は」
最適化を行っているフー=ルーと政征を後ろで見ながら千冬は思考を巡らした。
そうしている間に自分の弟と教え子である二人の試合が始まっていた。
セシリアが押し気味に戦っていたが、弟のISである白式が
ところがエネルギー切れという情けない結果に終わってしまった。
おもわず苦言を弟にしてしまったが機体特性を理解出来ていなかった事も踏まえ、アドバイスを送っておいた。
「いよいよか」
セシリアと政征の試合が30分後に始まる。
「政征君、どうです?機体に違和感はありまして?」
「ありません、むしろ馴染みすぎているくらいです」
フー=ルーと共に政征は
「武装と機体状態を確認なさい」
「はい」
言われた通りに確認すると機体はまだ初期状態であった。
それ以上に武装を確認すると、ほとんどの武装にリミッターがかけられていた。
「?リミッターがかけられてるみたいですが・・・これは一体」
「それはまだまだ貴方自身が未熟なゆえ、かけられている枷ですわ」
「なるほど・・・」
それなら仕方ないと渋々自分を納得させた。
「(神様、これもあんたのしわざか!?)」
「(試練がある方が面白いでしょ?)」
「(なんで格好がアシェンになってるんだよ!?)」
「(コスプレだけどこの格好、動きやすいからでやんす)」
「(心を読まれた!?言語回路異常まで再現しなくていいから!)」
そんな心中会話をしていたが、すぐに現実に戻った。
「強くなりなさい。リミッターが全て解除された時、貴方は騎士として上位の者となる」
「はい、必ず」
そして30分が過ぎ、試合開始時刻となった。
「政征、ご武運を」
「行ってまいります、シャナ=ミア様」
そう言って会話を切り、政征はアリーナへ飛び出した。
「なんだか政征の奴、口調が変わってないか?」
「気のせいだろう」
一夏は違和感を感じていたが箒は気にもとめなかった。
◇
「あら、逃げずに来ましたのね?」
セシリアは嘲笑を浮かべながらISを纏って立っていた。
「騎士たるもの、敵前逃亡などあってはならぬことだ」
「(口調が変わっていますわね?)ふん、わたくしの前で騎士などと口にしていい言葉ではありませんわ。ですから最後のチャンスを与えましょう」
「チャンスだと?」
「わたくしが勝つのは自明の理、今ここで騎士と名乗ったことを撤回し謝れば許してあげないこともなくってよ?」
セシリアの騎士の忠義を侮辱する言葉に政征は怒りが沸いてきたが、心を沈めようと一瞬だけ目を閉じる。
「戦う相手を侮辱し、許して欲しいと相手に懇願させる。もはや言葉は不要だ、いざ!参る!!」
「そう、残念ですわ!」
試合開始と同時にセシリアはスターライトmk-Ⅱによるレーザー攻撃を仕掛けてきた。
「ぬう!?レーザーか!」
「ご名答、わたくしの距離であるこの間合いで遅れはとりませんわ!」
「駆けよ!ラフトクランズ・リベラ!」
オルゴンライフルを手にし、単発のエネルギー弾をセシリアへ向かって放った。
「くっ!なんて大きさのエネルギー弾!」
これには回避に専念するしかないとセシリアは判断した。
「そこだ!」
回避した方向にはオルゴンライフルをガンスピンさせているラフトクランズが、三発目のエネルギー弾を放って来た。
「きゃあああああ!」
直撃とまではいかないがある程度のダメージを受けてしまい、セシリアはエネルギーをチェックした。
「え、エネルギーを三割も削られた!?」
「チャージ完了、オルゴンキャノン展開!」
セシリアが状態を確認している最中、政征は追撃を開始していた。
「ヴォーダの深淵を垣間見よ!」
「当たる訳には!」
オルゴンキャノンから放たれた極大の砲撃をギリギリのところで回避する。
「時間が来たか」
フィッティングが完了しました、確認を承認して下さい。
確認ボタンをタッチするとラフトクランズの枷がある程度外れていくような感覚があった。
オルゴンクロー、リミッター解除完了しました。
オルゴンキャノン、リミッター解除完了しました。
全バスカー・モード開放。
オルゴン・クラウド部分限定発動からオルゴン・クラウドSへと更新、常時発動へ。
ラースエイレム限定解除・使用許可承認後に発動可能状態へ。
「これがラフトクランズの解放された力の一部か」
{BGM・Moon Knights[MDアレンジ]}
「ま、まさか・・・
「行くぞ!セシリア・オルコット!!」
「させませんわ!このセシリア・オルコットとブルーティアーズが奏でる円舞曲で踊りなさい!」
ビットによる多重射撃とライフルによるレーザー射撃、それがブルーティアーズの攻撃方法なのだろう。
「くっ!それならば!我が剣技を見せよう!」
ビットによる射撃を回避しきれず当たってしまうが、体勢を整えるとライフルにも使用した武装を剣のように構えた。
「オルゴン・マテリアライゼーション…!!」
武装の先端の左右が結晶で覆われ、刀身が形成される。
「行くぞ!」
その瞬間にラフトクランズはオルゴン・クラウドによる転送で一瞬にして接近戦の間合いに迫っていた。
「え?いつの間に!?」
「はぁあああ!!」
回転による剣撃を三回撃ち込み、吹き飛ばした。
「きゃあああああ!」
「行け!オルゴナイト・ミラージュ!」
突撃と同時に動きによる残像と共に形成した結晶体による分身がセシリアへ攻撃し、拘束した。
「なっ!う、動くことが!?」
「断ち切る!」
結晶ごと破壊する一閃を拘束したセシリアへ撃ち込んだ。
「あああああっ!」
攻撃の回数が多いせいかエネルギーはさほど削れてはいない様子だ。
「ただではやられません、わ!」
「!ミサイルか!」
気づいた時には既にミサイルを撃たれ、ラフトクランズに当たって爆発した。
「これで、わたくしの勝ちですわ」
勝ちを確信していたセシリアだったが爆煙の中からシールドを構えたラフトクランズが立っていた。
それでもエネルギーは削られたらしく、警戒を解いてはいない。
「そ、そんな!」
「この間合いならば!オルゴン・クロー展開!」
セシリアがショックを受けている隙を逃さず、シールドを展開し爪を形成すると突撃した。
「捉えたぞ!」
爪でセシリアを掴むと地に背中を叩きつけ、引きずった。
「あああああっ!」
引きずった後に掴んだまま回転し投げ飛ばすと、背後へ転移し爪で引き裂くように再び地へと落とした。
「あぐっ・・・!つ・・強い」
「バスカー・モード、起動!」
全力の力を出すという宣言と同時に
「オルゴナイト・ミラージュ!」
連続転移による射撃によって上へ上げられ、チャージされたエネルギーを下から撃ち込みセシリアとブルーティアーズが結晶の中に閉じ込められる。
「な、何ですの!?これは!閉じ込められ・・・!」
「この力はある方の技だ!」
ライフルを上へと投げると変形していき、一つの砲台のような形になった。
「さぁ、垣間見るといい!ヴォーダの闇を!!」
胸部の砲とドッキングし、最大の砲撃を結晶に閉じ込められたセシリアへ放った。
「きゃああああああ!」
直撃と同時にブルーティアーズのエネルギーがゼロとなり試合終了のアナウンスが流れた。
◇
「(私の技を使うとは・・・なかなかやりますわね)」
フー=ルーは自分のバスカー・モードを使った政征に対し笑みを浮かべていた。
「あ、あんなのやりすぎだろ!」
その横で一夏は政征の戦い方を責めていた。
「坊や、戦い方にも色々ありますのよ?それを責めたところで意味はないわ」
「だけど!女の子にあんな攻撃を仕掛けるなんて!」
「お黙りなさい。いくら学園の中の闘技場とはいえ戦場に変わりはありませんのよ?本当の戦場では効率のいい攻撃方法が求められるのです。それに対し男女なんて関係ありません」
「う・・・」
一夏はフー=ルーの威圧と言葉に押し黙ってしまった。
自分を坊や扱いしてくる事が気に食わなかったが、この人は戦場のなんたるかを知っているようだ。
そんな人がなぜ教師なんて?という疑問も浮かんだがすぐに霧散してしまった。
「自分の生徒を坊や呼ばわりとな?フー=ルー先生」
「あら、申し訳ありません。戦いにおいて男女の事を持ち出してくる青い発言につい口が滑りましたわ」
「確かにな」
フー=ルーの発言に千冬は少しだけ苛立ちを覚えたが、戦いにおいての心得を言われると冷静になった。
織斑千冬とフー=ルー・ムールー、戦う事の意味を理解している二人の女傑はどこか譲れないものがある様子で笑みを浮かべながらにらみ合っていた。
「俺は・・・負けない」
一夏は政征の戦い方にに対して、納得がいかない様子だったがそれを戦いで示そうと決心を固めた。
早く戦わせたくて書きすぎてしまいました。
無双というより一方的な蹂躙になってしまった・・。
一夏のバトルではバスカー・モードのソードを出そうかな。
フー=ルーが先生というのは前から考えていました。
黒スーツを着たフー=ルーってよくありませんか?