Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
鈴の個人ルート
以上
さて、皆さん。
ネオホンコンの首相権限によって決勝リーグに現れた、新たな謎の女性ファイター。
彼女の駆るジャオロンガンダム、ファイターは凰 鈴音(ファン リンイン)。我々の知るネオチャイナの代表と似て非なる者のようです。
波乱の予感のする今大会、彼女はどんな戦いを見せてくれるのか。そして何故、彼女がこの世界に来たのか?大きな謎が深まるばかり。
それでは!
ガンダムファイト!レディーーー!ゴー!!(秋元羊介ボイス)
鈴は目を覚ますとホテルのような一室のベッドで横になっていた。私服もIS学園の制服も置いてあったため、起き上がると急いで着替えた。
「どこよ、一体ここは!?」
着替えが終わると同時に扉をノックされ、誰かが入ってくる。サングラスにスーツを着た男性と紫色の拳法着を着込んだ男性だ。
「凰 鈴音さんですね?」
「ええ」
「(この小娘、良い目をしておる。まだまだ荒削りだが素質は目覚めておるな)」
スーツを着た男性は笑みを見せているが鈴にとってその笑みは気持ち悪く、嫌悪感を醸し出していた。
「私はネオホンコン首相、ウォン・ユンファと申します。早速ですが首相権限で貴女にはガンダムファイトに参加して欲しいのですよ」
「ガンダムファイト?・・ああ、でも私に機体は無いし、所属国もチャイナだから無理よ」
「そこは問題ありませんよ。特別枠としていますし、貴女にはそれだけの実力がありますからね」
鈴も二人の名前、この世界の傾向などが頭の中に浮かんできた。サイトロンに最も順応しているからこそ適応も早かった。
「機体に関してはすぐに用意できますからね。待っていてください」
ウォンは出て行き、部屋には拳法家らしき男性が残った。二人の間には緊迫した空気が流れており、部屋に飾られていた植物の葉が落ちると同時に男性の方が格闘を仕掛けた。
「ぬおおおああ!!」
「っ!たあああ!」
男性の拳に合わせるように鈴も拳の弾幕を仕掛け、二人の拳がぶつかり合うと同時に動きが止まる。
「(ほう?流派・東方不敗に着いてくるか、此奴、腕には多少なりとも実力があるようだな)」
「(この人の拳の弾幕、まるで私を鍛えてくれた日本人の格闘家と似ているわね)」
二人は拳を離し、向き合うと男性の方から鈴へと言葉を発した。
「荒削りだが実力はあるようだな。名乗っておこう、ワシは東方不敗・マスターアジア」
「凰 鈴音です。私はまだまだ未熟ですからね、つい最近になって鍛えられた身ですので」
「そうか、決勝バトルロワイヤルで待っておるぞ。勝ち上がってくるがいい」
東方不敗も部屋を出ていき、部屋には鈴だけが残った。一人になると同時に鈴は床に手を着け、大量の汗を流している。
「はぁ・・はぁ・・なんなのよ、あの人。着いていくだけで精一杯だった・・それに」
鈴は自分の手を見る。その手は震えており収まる気配がない、それは高揚であると同時に恐怖でもあった。
「あの人は鍛えてくれた人以上に強い、今の私ならわかる」
本当の実力者というのは対峙した相手の実力を推量る事ができる。そのせいで鈴はマスターアジアとの実力差が分かってしまったのだ。
「爪龍・・・一緒に戦ってくれる?」
待機状態の爪龍を見つめながら鈴は考えていた。この世界から自分の世界へ帰る方法を探らなければならない。その為に今できることに集中しようと。
◇
翌日、簡単な素体の
対戦相手はバイキングガンダムと表示されており、自分の機体がISではなくMFとして紹介されている。
「まさかと思うけど・・・翳しただけで機体になるなんて無いわよね?」
鈴は素体のMFに近づき待機状態となっている爪龍を翳すと機体が変化し、元の世界で改修の際にデータを見せられたクストウェル・ブラキウムと似た姿へと変わり、頭部はこの世界の機体と同じ物、更には自分の愛機の素体となった甲龍と同じ機体色の色が付いた。
「これがガンダムって奴なの?」
自分が呼ばれてしまった世界に順応したという形で鈴は納得し、試合に備えることにした。
◇
六時間後、試合会場では観客たちが今か今かと試合を待ち望んでいた。船からの観戦が主な為、戦いの場となる場所では船が大量に留まっている。
「さぁ、強豪ネオノルウェーのバイキングガンダムが会場に到着しました!対戦相手は!」
実況の女性が新たに入った情報を観客に伝えるための紙を手渡された。
「ここで、急報です。ネオホンコンのウォン首相からメッセージがあります!」
首相であるウォンは放送用マイクに向かって話し、会場にいる全員に伝え始めた。
「皆様、ネオホンコンのウォン・ユンファです。今回、この決勝リーグにおいてスペシャルサプライズを用意しました。エキサイティングなファイトを期待できる相手として私が推薦したファイターです!それでは登場して頂きましょう!ジャオロンガンダムに!!」
ウォンの言葉と同時に鈴は生身でバトルステージに姿を現した。しかし観客達は大ブーイングだ。無理もないだろう、いくら宇宙国家の主導権を握っている首相の推薦とはいえ見ず知らずの少女が戦うとなれば期待は出来ない。
だが、鈴はそんな事は何も意に介していない。このブーイングは当然といえば当然の事、自分の世界で例えるなら世界大会であるモンド・グロッソに委員会推薦で突然参加が決まったようなものだからだ。
「来て!ジャオロンガンダーーーーム!!」
[推奨BGM『燃え上がれ闘志 忌まわしき宿命を越えて』原曲]
鈴は深呼吸すると同時に声を張り上げ、指を鳴らした。その音が合図となったのか海中からMFと融合した爪龍が現れ、鈴はそれに乗り込む。
衣服は粒子化し、拡張領域に入ると操縦方法であるモビルトレースシステムが作動する。
「え?な、何よこれ?うあああああ!?」
MFの操作を伝達する為のファイティングスーツが裸体の鈴に張り付いていく。初めて乗り込んだ為、その苦しさは強力な万力で身体を締められているような錯覚に陥るくらいの締めつけだ。
「んうう!ああああん!んぅああ!キ、キツすぎるわよ!これ!」
張り付きが完了した部分を引きちぎっていくと同時に全身に完全なファイティングスーツ姿となり、コンピューター音声が流れる。
『モビルトレースシステム、セットアップ。脳波、血圧、心拍数、呼吸、体温、代謝機能、オールグリーン』
「はああああ!はっ!はぁ!!てえええい!たあっ!」
鈴が演武を披露し、MFの姿となった爪龍が全く同じ動きをトレースしている。その演武は美しく観客や他のファイター達も引き込まれるほどだ。
「待たせちゃったわね、改めてファイトしましょうか?」
「ふん、良いだろう。小娘の相手というのは癪だがな!!」
「それじゃ改めて!ガンダムファイトォォォ!」
「レディィィィ!!」
「ゴォォォ!」
同時に突撃し、二体のMFの拳がぶつかり合う。お互いに一歩も譲らない戦いに観客達は歓声を上げだした。
鈴の戦いを見始め、先程までのブーイングが嘘のように応援が飛び回っている。
「ふん、小娘ごとき敵ではないわぁ!!」
「小娘だからって舐めないでよね!っう!?」
「この程度の実力で参加できたものだな!」
「がはっ、あうっ!(この機体、よく動ける代わりにダメージもパイロットにそのまま来るの!?これは応えるわね・・)」
機体に慣れていなかったせいか、バイキングガンダムの反撃を食らってしまい追撃をも受けてしまう。
バイキングガンダムのパイロットは鈴に対して完全に眼中にない状態だ。ガンダムの姿となった爪龍に慣れていない鈴に対し、船のオールのような武器で殴り続けた後に足で踏み始める。
爪龍にダメージが入り、装甲などが剥がれていくが鈴は攻撃を受け続けている。
しかし、あえて攻撃を受ける事こそが鈴が付け入る隙でもあった。実力が自分よりも下だと思い込んでいる相手の対処方法は身体が覚えている。
「もらったぁ!」
「させないわよ!!」
バイキングガンダムが振り下ろしたオールを鈴は白刃取りの要領で挟み込んで止めた。その技量に観戦していた観客やファイター達も驚愕する。
「な、何!?」
「たかが小娘でも、鍛えれば強くなれるのよ!私は例え格上でも食らいついてやるわ!」
「ぬううう!!」
得意の蹴り技でバイキングガンダムを蹴り飛ばすと同時に鈴は智拳印を結び、精神を集中させる。決して自分を熱くさせず、相手を制する事が戦いの本質だという事を己に戒めた。
瞬間、鈴は自分を鍛えてくれた五人の格闘家のように身体を黄金色に輝かせた。その影響は愛機である爪龍にも及び、文字通り人機一体となっている。同時に両肩にあるブロークン・アームが右手に装着されていき鈴はオルゴンを集中させていく。
[
[推奨BGM『我が心 明鏡止水 されどこの掌は烈火の如く』原曲]
「私のこの手が輝き唸る!勝利を掴めと叫びを上げる!」
「な、なんだこれは!」
「爆光!オォォォルゴン!フィンガァァァ!!」
オルゴンエネルギーをブロークン・アームに集中させたまま鈴はバイキングガンダムの胸部に爪を立て、そのまま持ち上げた。
「ぐああああああああ!?」
オルゴンフィンガーを受けたバイキングガンダムはコクピットに電流が流れている。同時にオルゴンエネルギーが送り込まれ、結晶化していきそれが凄まじいダメージとなっていた。
「ブラキウム・エンドォ!!」
フィニッシュを宣言すると同時にバイキングガンダムから発生した結晶が爆発を起こし、パイロットは投げ出された。しかし、派手な爆発とは裏腹に機体損傷も酷くなくパイロットに大きな怪我もない。
「な、なんだと!?こんな小娘に加減されたとでもいうのか!?」
「加減なんてしてないわ、私は全力で本気だったわよ」
鈴の言葉に一切の嘘偽りは無い。事実、爪龍の方がダメージが大きく装甲などがひしゃげている。
「おのれ、この借りは必ず返すぞ!」
「戦う機会がまたあればね」
「大番狂わせ!首相推薦枠のジャオロンガンダムが強豪バイキングガンダムに逆転勝利しました!」
実況の声に会場の観客たちが沸き上がる、ファイティングスーツのままコクピットから出てくると更に盛り上がった。特に男性達からの声援がすごい。
「おっと!?登場時はカメラで上手く確認できませんでしたがパイロットは女性のようです!それも十代半ばでしょうか?」
映像で見るためのカメラに鈴の顔が映し出され、モニターに映った鈴の顔を見てますます男性達は盛り上がっている。
「これじゃ、ファイターというよりアイドルじゃない。はぁ・・」
鈴は呆れたようにため息をつくが鈴が仕草をするだけで観客達は盛り上がり続けていた。十代半ばの女性ファイターともなれば仕方ないことだろう。
「帰って次の相手の対策考えなきゃ・・・」
鈴は爪龍と共に試合会場を後にし、ホテルへと戻っていった。それを見届ける一人のファイターがいた。
「あの娘、どうやら見込みがありそうだな」
ドイツの国旗のような色をした覆面の男は鈴に対し、何かを見出していた。しかし、この出会いが鈴にとって大きな成長と共にそれ以上の悲しみを受ける事になるをまだ知らなかった。
鈴の個人ルート開始です。
しかもいきなりの決勝リーグ、爪龍がISの要素を持ったモビルファイターになってしまいましたがデータ世界での限定です。
所属国家は一応、ネオチャイナとなっていますがこれは便宜上で鈴に所属国家はありません。
この世界で鈴は鍛えてくれたシャッフル全員とも戦うことになります。弟子が師を越えるような感じで。
さて、お聞きしますが鈴がモビルトレースシステムを起動した時に張り付いていく過程をエロい方向で妄想した方は正直に答えてください。
ファイティングスーツ姿の鈴を描くかもしれません