Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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改めてプロポーズする


以上

この話の支柱はメッセージにて頂いています。ルオンさん、本当にありがとうございます!


番外編 自由の騎士、生涯の誓い

連休近くの最終授業を受け終わった後に政征のもとへ珍しく雄輔が来ていた。

 

「なぁ、政征。頼みがあるんだが良いか?」

 

「ん?雄輔から俺に頼みごとなんて珍しいな?なんだい?」

 

「ああ、実はフー=ルーさんにプレゼントをしたくてな」

 

「それなら普通にすればイイじゃないかよ?」

 

「それじゃ、ダメなんだ」

 

政征の言葉も最もだが、年上の恋人を持つ雄輔自身はそれなりの物を渡したいのだろう。

 

「うーん、それならお互いに貯めてある貯金を使って指輪でも買うかい?」

 

「それはいい考えだな!お前もシャナ=ミアさんに送ったらどうだ?」

 

「確かにな、それもアリか!」

 

放課後になり、政征と雄輔の二人は街に出ていた。素顔を隠す為のサングラスや帽子は忘れずに身につけている。

 

曲がりなりにも男性操縦者である二人は女尊男卑の人間からも狙われている為に、変装せざるを得ないのだ。

 

しばらく歩いていると、とある宝石店が目に入った。宝石が一つ三万円で付ける事が出来るキャンペーンをやっている。

 

企業代表候補生として二人は所属しているが、戦闘データの提出や改良点などを所属先であるアシュアリー・クロイツェル社に提出する義務もある。

 

それだけでは不便だろうと、セルダが契約社員としても雇ってくれていたのだ。

 

ただし、二人は社会人ではない為に給与はさほど高くはない。だが、あまり買い物をしない二人は宝石を三つ着けられるくらいの金額を余裕で貯金していた。

 

「ここにするか」

 

「そうだな」

 

二人は店に入り、キャンペーンの事を店員に伝えた。店員は着けられる宝石のリストを二人に見せた後に、素体となる指輪を持ってくるためにスタッフルームへと入っていった。

 

「うーん、シャナに似合うのは・・・この三つかな?」

 

政征はカイヤナイト、アメシスト、セレスタイトの三つをチョイスした。

 

カイヤナイトには[清浄]

 

パパラチア(色違いのサファイヤ)には[博愛]

 

スギライトには[浄化]

 

という意味を持っている。

 

 

「フー=ルーさんにはこれか」

 

対する雄輔はクンツァイト、ガーネット、アクアマリンをチョイスした。

 

クンツァイトには[寛大・優しさ]

 

ガーネットには[秘めた情熱]

 

アクアマリンには[聡明・勇敢・沈着]

 

という意味を持っている。

 

二人は意図的に選んだわけではなく、色合いや身につけている姿を想像しながら決めただけだ。

 

「お会計が合計18万円になります」

 

普通の高校生ならなら目が飛び出すくらいの金額ではあるが、貯金していた二人はお互いに9万円ずつ出し合い、会計を済ませた。

 

 

定番の青い箱に指輪を保管し、学園へと戻った二人はすぐに渡そうとしたが明日の夜にアシュアリー・クロイツェル社でのパーティーがある事を思い出した。

 

「明日はパーティーがあるから夜の外出許可を取ってたんだ!」

 

「正装は用意しているが大丈夫なのかな?」

 

翌日の夜になる数時間前、それぞれの部屋で鏡を見ながら二人はスーツに身を包んでいた。更には美容院に行って髪型を整え、夜になりパーティー会場である高級ホテルの会場へ向かった。

 

 

 

 

会場に入るとそこには正装やドレスに身を包んだ高級官僚の方々や、権力を持つ富豪や会社の有名重役などあらゆる権力者の人間が会場に溢れている。

 

「俺達、場違いすぎるな・・・」

 

「ああ、初めてだからな」

 

政征と雄輔は初めての高級パーティーの雰囲気に飲まれかけていたが持ち前の適応力ですぐに持ち直した。

 

パーティーが始まり、それぞれが会話などをしている中、政征はシャナを見つけ出したが一人の富豪の息子らしき人物に言い寄られている。

 

「もう、しつこいですよ」

 

「良いじゃないか、一目見て君を気に入ったんだ!是非、僕のフィアンセになって欲しい!」

 

「何度も申し上げていますように私には心に決めた方が居りますのでお断りします」

 

「そんな奴とは縁を切ってさ!お願いだよ!」

 

それを目撃した政征は人の間の隙間をぬってシャナと富豪の息子のもとへ近づいた。

 

「なんだお前は?今は大事な話をしているんだからあっちへ行け!」

 

「そうもいきません、ご本人の意思を無視してでの婚約など愚かなことです」

 

「なんだと!?僕に意見するというのなら!」

 

富豪の息子は近くにあったブドウジュースの入った大きめのビンを手にすると、政征の頭上から中身が無くなるまでブドウジュースをかけ続けた。

 

「ははは!オシャレになったじゃないか!」

 

「・・・・」

 

「あの男・・・!」

 

「!・・・(雄輔、来るな)」

 

富豪の息子は正装が汚れた政征を指差し、大声で笑っている。それを見た雄輔は殴りかかろうと向かってきていたが、それを政征が止めていた。

 

「シャナ=ミア様」

 

「はい?」

 

政征は懐のポケットから青い箱を取り出し、シャナに向き直ると蓋を開いた。それは雄輔と共に買った指輪である。

 

「自由の騎士ではなく、貴女様の伴侶としてこの指輪を贈りたい」

 

「!はい、その指輪を受け取りたくあります」

 

シャナからの返事を聞いた政征はその白く細い指に嵌めた。しかも、婚約を意味する左手の薬指に。

 

それを見た富豪の息子は政征を殴りつけた。普通なら倒れる所だが鍛えられた政征は倒れず、その場で立ったままだ。

 

「貴様!貴様ぁ!よくも僕の婚約者に指輪など!!」

 

「いい加減にせんか!馬鹿息子が!!」

 

「え?パ、パパ!?」

 

「シャナ=ミアさんはこの方を選んでいるのだ!人の気持ちだけはお前の思い通りにならんぞ!」

 

「嫌だ嫌だ!シャナ=ミアさんは僕の!」

 

「僕の、何ですか?」

 

政征は静かに富豪の息子に迫っていた。しかし、それを父親らしき人物が頭を下げて止めた。

 

「申し訳ない!ここは私に免じて許して欲しい!」

 

「パパ!なんでこんな奴に頭を下げてるんだ!?」

 

「馬鹿者!この方は二人目のISの男性操縦者であり、フューリア騎士団の一員である赤野政征さんだ!」

 

「え?ええええ!?」

 

「いや、そんなに畏まらなくても大丈夫ですので」

 

「申し訳ない、そのスーツも弁償しよう」

 

「いえ」

 

政征は年上の、しかも自分の父親と変わらない年齢の人に頭を下げられた事に心苦しさを抱いていた。

 

子供の責任は親にあるのだという考えなのだろうが、本人の謝罪は本人がしなけらばならないのが本来の責任の取り方である。

 

「申し訳ありませんが、貴方の婚約者にはなれません。私はこの方を心から慕っておりますので」

 

そういってシャナは政征に寄り添った。その姿は二人の愛が深い事を意味している。

 

「う、うわあああああああ!」

 

富豪の息子は振られた事を受け入れた瞬間にパーティー会場から走って出て行ってしまった。

 

父親もそれを追うようにパーティー会場を後にした。

 

 

 

 

「政征、大丈夫ですか!?」

 

「ああ、平気さ」

 

シャナはハンカチで政征が浴びせられたブドウジュースを拭える範囲で拭っていた。

 

「すごいな、政征。一発も殴らなかったなんて」

 

雄輔も政征が富豪の息子に対して殴らなかった事に驚きを隠せなかった様子だ。

 

「殴る価値もないし、ここで騒ぎを起こしちゃ迷惑になるからね」

 

「そうか」

 

「政征・・・」

 

シャナは政征から貰った指輪を政征に見せた後に政征の唇に軽くキスした。

 

「なっ!?」

 

「待っていますからね?婚約の式が出来る日を」

 

「ふ、こりゃあ結婚はすぐだな」

 

「からかうなよ!」

 

恋人と親友との会話に政征は笑みを見せていた。数分後にホテルの一室を借り、シャワーを浴びてブドウジュースまみれになった正装スーツを着替えた。

 

 

 

 

「ああ、あの方・・・クールで素敵ですわ。必ず私のモノにしますわ!」

 

パーティー会場では一人の資産家令嬢が雄輔を自分の物にしようと画策していた。




今回はここまで、今回は政征編でした。

雄輔の方はアダルティーにするために次回です。

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