Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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砂糖製造回

戦闘の方がおまけ

以上


ホントのキスをお返しにされると恥ずかしいよね

「ごめんなさい!本当にごめんなさい!」

 

シャナは政征に抱きついたまま泣いて謝り続けている、そんなシャナを政征は受け止め続けていた。

 

「いいんだ、私はシャナがこうして戻って来てくれただけで嬉しい」

 

「政征・・・」

 

「シャナ・・・」

 

 

戦闘中だというのに記憶を取り戻し、再会した途端イチャつく二人である。

 

 

 

 

全域に届いた政征の告白を聞いた全員が戦闘を止めていた。会話も全て漏れてるためにIS委員会のメンバーは砂糖を吐いたり、ハンカチを噛んで悔しがったりしている。

 

「政征さん、本当に大胆ですわね」

 

「いいなぁ・・シャナ=ミアが羨ましい。私もこんな風に大胆な告白、受けてみたい」

 

「聞いてるこっちがすごい恥ずかしくなるよ!全く!」

 

「政征兄様・・シャナ=ミア姉様を助け出せたんですね」

 

それぞれの戦闘域で感想を述べている。どんなに戦闘に長けていても女学生、恋に憧れるのは当然だ。

 

そんな中、それを認められない人物が一人いた。

 

「認めねぇ・・・認めてたまるか!シャナ=ミアさんがアイツの恋人だなんて!認めるかよおおお!!」

 

一夏が叫んだ瞬間、白式が光の柱に包まれ白式はその姿を変えていく。

 

「何!?」

 

近くにいたラウラはこの現象を知っている、これは二次移行だ。本来、二次移行というのはISとの対話が必要になる。だが一夏には破滅の因子が無意識に埋め込まれているためにISの意志を無視してでの二次移行を成立させてしまった。

 

「赤野・・俺が倒してやる!」

 

「しまった!」

 

二次移行を完了させた一夏は凄まじいスピードで政征とシャナがいる場所へ向かってしまった。

 

近くにいたラウラにとって敵を逃し、行かせてしまった事はこれほど屈辱的なことはないだろう。

 

 

 

別の場所では雄輔が箒と戦いながら政征の告白も聞いていた。

 

「オープンチャンネルで改めて告白か、俺じゃ恥ずかしすぎて出来ないな」

 

「たたたた戦いの最中に!」

 

学園から離脱していようとも箒も十代の女の子だ、あんな告白を聞けば恥ずかしくもなるだろう。

 

「くく・・意外と初心だな?篠ノ之箒、そんなんじゃ想い人に告白できないぞ?」

 

「うううううるさい!」

 

箒は顔を真っ赤にし、雄輔はその様子を見て笑っていてお互い戦いに集中できていない。

 

その二人の隣を横切るISがあった、それは二次移行を果たした白式改め雪羅の姿だ。

 

「織斑!?」

 

「一夏!?待ってくれ!」

 

正気に戻った箒は一夏を追う為にスラスターを全開にし、向かった。

 

 

 

「・・シャナ、下がってくれ」

 

「え?」

 

「赤野ォォォ!!!」

 

政征がシャナを下がらせると同時に一夏がふたりの前に姿を現した。その目には明確な怒りと嫉妬が宿っている。

 

「赤野、俺は認めねえ!絶対に認めねえぞ!!」

 

「そうか、それなら」

 

政征はシールドクローとソードライフルを投げ捨てた。更にはオルゴンガーディアンまでも外してしまう。

 

「どういうつもりだ!?武器を捨てるなんてよ!」

 

「この時だけは騎士の赤野政征を捨てて、いつもの赤野政征になる」

 

「政征!?」

 

「シャナ・・見守っていてくれ」

 

「は、はい」

 

シャナは二人から離れると見る事が出来る場所で待機した。

 

「一夏、男ならコイツでやり合おうぜ・・・!」

 

政征は握った自分の拳を見せて、一夏を促す。それを見た一夏は歯ぎしりをしている。

 

「なんだと?」

 

「武器でやりあうより、余程単純だろ?それとも殴り合いは出来ないのか?世界最強の剣を使わなきゃ戦えないのかよ?」

 

「ふざけんじゃねえー!!」

 

一夏は突撃し、その勢いを利用した右ストレートの拳で政征を殴った。

 

「ぐうっ!?」

 

「なんで、なんでお前がシャナ=ミアさんの!!」

 

「自分の気持ちをちゃんと本人に伝えていない奴が騒ぐんじゃねえ!!」

 

「ぐあっ!」

 

政征の繰り出したアッパーカットを受け、一夏は後ずさる。

 

「どんな結果になろうと、ちゃんと気持ちを伝えればよかったんだよ!」

 

「うるせえ!」

 

お互いに防御の事は考えず、殴り合う。SEが無くなろうと二人には関係ない。

 

「お前が俺の邪魔をするから!」

 

「邪魔だと!?強引に手篭めにしようとする奴が言えたことかよ!」

 

「ぐうっ!」

 

「があっ!」

 

お互いの拳が顔の中心に突き刺さり、血が出始める。それでも二人の殴り合いは止まらない。

 

「はぁ・・はぁ・・」

 

「ぜい・・ぜい・・」

 

一時間以上も殴り合いを続け、お互いに体力は限界だった。それでも気力だけで奮い立たせているに過ぎない。

 

「いい加減、倒れろよ!このクソ騎士が!」

 

「そっちこそ倒れろ、姉の威を借る大馬鹿野郎が!」

 

「うらああああ!」

 

「おらああああ!」

 

二人が繰り出したパンチは同時に互いの顔面を捉え、ふらついた。その様子を見守っていたシャナと全速力で追いついた箒が同時に声をかける。

 

「政征!」

 

「一夏!」

 

二人の少女はそれぞれに想っている相手をその手で支えた。二人は鼻血や唇を切っており、ボロボロだ。

 

「政征、しっかりしてください!政征!」

 

「一夏、目を覚ませ!一夏!」

 

二人の声を気付け替わりに政征と一夏は目を覚まし、互いを睨み合う。

 

「俺は必ず!」

 

「その先は言わせる訳ないだろうが!」

 

身体は動かないが口を動かすことは出来た為、互いに罵り合う。

 

「一夏、引くぞ!」

 

「くっ!」

 

箒は一夏を抱えて全速力で離脱して行った。IS委員会のメンバー達も引き上げていき、戦闘が終わった。

 

その後、アシュアリー・クロイツェル社へシャナを含めた全員で戻り始めた。戻る間、正面ゲートでは五人の格闘家と四人の特殊隊が話していた。

 

日本人の格闘家に対して全員が視線を向けている。

 

「おい、何故俺に視線を向けている?」

 

「だって、な?みんな」

 

「オイラ達は似たような現場見たことあるし!」

 

「ええ、そうですね」

 

「・・・ふっ」

 

「あ、あれは!」

 

日本人の格闘家を他の四人が、からかっているようで慌てていた。

 

特殊隊の四人も何故かニヤニヤ顔で見ている。

 

出撃していた六人がシャナを連れて戻ってきた。政征は顔がボロボロの状態だがそれ以外は問題がない。

 

「ただいま戻りましたわ!」

 

「最後の最後でとんでもないもの見せられちゃったけどね」

 

「本当だよ、みんな無事で良かったけど」

 

「シャナ=ミア姉様が戻ってきてくれたのが私は嬉しい」

 

代表候補生全員が笑顔で振り返ると同時に政征とシャナを見ていた。二人は離れていた時間を取り戻すかのように見つめ合っている。

 

「シャナ」

 

「政征・・」

 

政征は対になるペンダントを取り出し、シャナのペンダントと繋げ合わせた。

 

「あ・・!んっ!?」

 

それに気を取られている間に政征は全員が見てる前でシャナにキスをした。

 

「ま・・ま、政征さん!?」

 

「わぁーお!やるぅ!」

 

「え、あ、ちょっと!みんな見てるのに!?」

 

「流石は政征兄様だな!」

 

 

代表候補生達がそれぞれ驚いていたが、特訓メンバーも驚いていた。

 

「あ、アイツ!」

 

「ヒュー!やるじゃねーか!」

 

「あははっ、アニキ以上にすっげえや!」

 

「本当ですね」

 

「ああ、全くだ」

 

特殊隊の四人も政征の大胆な行動に驚きながら感心していた。

 

「相当、惚れ込んでいるみたいだな。あの子に」

 

「やるねえ、ホントに。俺だって出来ないよ」

 

「何だかアタシはデジャヴるんだけど?」

 

赤髪の女性はこの後に起こる事を予想できている様子で微笑んでいる。キスされたのを全員に見られたシャナは恥ずかしさと政征に対して怒っていた。

 

「はぁ・・//政征、いきなりなにするんですかぁーー!!//」

 

パァン!とシャナは政征の頬を平手打ちした。それほど強いものではなかったらしくその痛みを受け入れた。

 

「うっ!」

 

シャナからの平手打ちを受け入れた後、政征は簡単なピースサインをすると口を開いた。

 

「やったぜ」

 

「それは俺のセリフだ!」

 

特殊隊のリーダーが政征に対して怒鳴ったが、政征は全員にウインクして笑っていた。

 




今回は短いです。

シャナが珍しく怒りましたが仕方ないですよね。

甘くて甘くて・・虫歯になりそうです。

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