Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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一夏、謹慎処分

政征、別世界のシャナが愛した彼と会話し、二次移行の前兆

以上


知人が無事だと嬉しいよね

「あの時、気をつけていれば!くそっ!」

 

雄輔は深い後悔と共に誰もいない場所で壁を殴りつけた。

 

自分は気づいていた、出撃の事態となる前日に一夏が政征に対して殺気を向けていたことに。

 

「気づいていた、気づいていたのに!俺は!!」

 

何度も壁を殴り続け、その拳から血が出始めていた。

 

「もう止めなさい!」

 

「!フー=ルー先生・・・」

 

腕を掴んで止めたのはフー=ルーだった。

 

血が出ている雄輔の手に自分が持っているハンカチで止血した。

 

「不測の事態は起こるもの、後悔しても戻らないのです」

 

「だがあれは!」

 

「お黙りなさい!騎士たる者、次の一手を考えずにどうする!」

 

「っ!」

 

フー=ルーの叱咤に雄輔は冷静なった。

 

起こったことは戻らない、それならば次の一手を考えるのが先決だ。

 

「ありがとうございます、目が覚めました」

 

「ええ、では」

 

会話の途中でバタバタと鈴がこちらへ走ってきた。息は弾んでいるが疲れを顔に出していない。

 

「はっ・・はっ!雄輔!フー=ルー先生!ちょうど良かったわ!お願い、早く!一緒に来て!」

 

「一体どうした?」

 

「何があったのです?」

 

「いいから早く!何か嫌な予感がするのよ!!」

 

鈴は走ってきた通路を引き返し、再び走り出した。雄輔とフー=ルーは着いていくために走り出す。

 

到着と同時に三人は部屋から何かが聞こえた。

 

『嫌!嫌やあああ!!誰か!誰かあああ!!』

 

「今のはシャナ=ミアの声!?」

 

「この部屋からだ!」

 

「っ!?ダメですわ!鍵が掛かってます!!」

 

声が聞こえた部屋を雄輔が指差し、フー=ルーが開けようとしたが鍵が掛かっていて開けることが出来ない。

 

「っ!二人共退いて!フー=ルー先生!後で反省文でも謹慎でも、勝手に処分して!」

 

鈴はドアの前で構えを取り、一歩引くとそのままドアを蹴り飛ばした。

 

「マジかよ・・・」

 

「ボケっとしてないで中に入るわよ!!」

 

「火事場の馬鹿力というやつでしょうか?」

 

鈴の蹴りの威力に驚きながらも部屋に入り、雄輔は麩を思いっきり開けた。

 

「な!」

 

「!!!!鈴さん!雄輔さん!フー=ルー!!」

 

そこには、浴衣をはだけさせられたシャナが一夏に組み伏せられており、これから起こる事が容易に想像する事が三人には出来た。

 

「何を・・・」

 

「やってんのよ!この馬鹿一夏ァァァァ!!」

 

鈴は遠慮なしに一夏へ飛び蹴りを撃ち込み、一夏をシャナから引き剥がした。

 

「ぐはっ!?」

 

「シャナさん!」

 

それと同時に雄輔はシャナを起こし、フー=ルーに預けた。

 

「大丈夫ですか?何もされていませんわよね?」

 

「大丈夫です、この身は汚されていません」

 

シャナの言葉に雄輔とフー=ルーは安堵し、一夏を鋭い目で睨みつけた。

 

「織斑、お前・・男として、いや・・人間として一番やっちゃいけねえ事をやりやがったな・・・・!!!!」

 

雄輔は明確な怒りをその目に宿し、一夏を睨み続けている。

 

「っ、俺はアイツの代わりにシャナ=ミアさんを!」

 

「私の名を呼ばないで下さい!!」

 

シャナから発せられる強い言葉に一夏はたじろいだ。

 

「言ったはずです、貴方に私の剣を名乗る資格はありません!!」

 

「そ、そんな!俺は!!」

 

「私は貴方を拒絶します!はっきり言います、近づかないでください!!」

 

「っっ!!」

 

一夏はシャナから発せられた拒絶の言葉にショックを受け、放心状態になった。

 

「それに、貴方は言い逃れは出来ません」

 

シャナはリボンを解き、その中にあった物を三人に見せた。

 

「これは・・小型のICレコーダー?」

 

「それも録音状態になってるわね」

 

「こんな物を一体どこで手に入れたのです?」

 

三人の疑問にシャナは当然のように答えた。

 

「政征が渡してくれたのです、私を守ることになるだろうと」

 

それを聞いた一夏は怒りの表情を見せていた。

 

「なんで、アイツはいつも・・・いつも俺の邪魔をするんだよ!」

 

ICレコーダーを奪おうと襲いかかったが、目の前に鈴が立ち塞がり強烈な一撃を腹に撃ち込んだ。

 

「が!?あ・・・り、鈴!?」

 

「二人の恋路を邪魔する奴は!拳に砕かれ地獄へ落ちろぉ!!」

 

そのまま顎にも拳を打ち込み、一夏を気絶させた。

 

「拘束して織斑先生の部屋に運びましょう」

 

「分かりました」

 

 

この出来事により一夏は白式を没収され臨海学校終了までの間、織斑先生の監視の下、謹慎処分となった。

 

その間の指揮権はフー=ルーに託され、対福音二次作戦のミーティングを開始した。

 

 

 

 

 

 

[推奨BGM 『THIRD SADNESS』スパロボOG]

 

シャナが助けられる2時間前。

 

「(俺は・・どうしたんだ?確か・・一夏に斬られて)」

 

政征は何もない空間に立っていた、わかるのは自分の身体の感覚だけだ。

 

「(まだ死んでいないでやんす)」

 

「(神様?ああ・・そっかこの感じは初めてこの世界に来た時と似てる)」

 

『君が死んだら彼女が悲しむだろう?』

 

「誰だ?」

 

振り返るとそこには一人の青年が立っていた、紫雲セルダと似ているが彼を若くして幼くした感じだ。

 

『俺はトーヤ・シウン。紫雲統夜って言い換えればいいかな?もっともこの世界の俺は生まれてないみたいだけど』

 

「な・・・なんで?」

 

政征は驚きを隠せなかった。

 

かつて自分自身を投影していた人物がこうして現実に目の前で現れたからだ。

 

『君がこの世界のシャナ=ミアの剣なんだろう?彼女は今、泣いている』

 

「シャナが・・・?」

 

『俺と同じ想いに至ったんだろう。俺も彼女から好意を受けてたからな』

 

「それで俺と会話できるこの空間に来たってのか?」

 

『違う、君の枷を外してくれって頼まれたんだ。君の剣にね』

 

「俺の剣?」

 

統夜が指を差した方向に振り向くとそこには中性的な顔をした重鎧騎士が立っていた。

 

女性のようであり、男性のようでもある。

 

本当の中性というのはこんな感じなのだろう。

 

「我は何者にも縛られぬ自由を勝ち取る剣、ようやく貴方と言葉を交わせました」

 

「自由の剣・・・まさか!?お前、リベラなのか?」

 

「はい、我が主よ」

 

リベラは俺の目の前で騎士の礼節を行いながら膝をついた。

 

『君の機体の枷を外すにはグランティード・ドラコデウスの力が必要なんだ。でも、この世界のグランティードはまだ目覚めてない』

 

「シャナの専用機になったせいか?」

 

『その通り、だからこそ俺が枷を外すために来たんだ』

 

「統夜、なぜ?」

 

『この世界に俺の世界で真の死を迎えた奴が女性として生きている。そいつを倒して欲しい』

 

「そうか・・・わかった。俺はシャナの剣だ、シャナを傷つけようとする者は許さないし仲間を殺そうとするやつも許さない」

 

『本当に似た者同士だな、俺達ってさ』

 

「だな、ありがとう。統夜」

 

互いに笑い合うと統夜は人間が持てるサイズのインフィニティ・キャリバーを出現させた。

 

「これで、リベラを斬るんだ。それで枷が無くなる」

 

インフィニティ・キャリバーを受け取り、それを振り上げる。

 

「・・・いくぞ?リベラ」

 

「はい」

 

そのまま振り下ろし、刃が当たると同時にリベラから眩しい光が溢れ、鎧騎士ではなく髪が長髪となり鷲の意図をモチーフにした鎧を纏っていた。

 

『これで枷は解かれた。この世界を頼んだ、政征』

 

「任せておけ、統夜」

 

『気を付けてくれ、奴は[破滅の王]の欠片を宿している』

 

統夜の言葉に政征は驚愕した、破滅の王という単語が何故出てくるのかと。

 

「まさか!?それって」

 

言い終える前に政征は光に包まれて意識を失った。




今回は短めです。

スパロボでいう死んだと思っていた奴が誰かと出会っていて生きていたインターミッション的な話です。


シャナはなんとかギリギリで、貞操を奪われずに済みました。

一夏は今、全身を拘束され、白式をも取り上げられて織斑先生の部屋で謹慎です。

更にはシャナからの拒絶によってトドメが刺さりました。

会話の中で出てきた「破滅の王」とは?一体何フェクティオなのか?

鈴のセリフはアレです、馬に蹴られるアレですよ。

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