Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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一夏、状態説明、一線を越える

政征、雄輔、セシリア、強化される

銀の福音がR-GUNリヴァーレ並のレベル

ペルフェクティオがクロスゲートから出現レベルの絶望

以上


※注意書き

今回のお話はものすごーーーーーーーーーく嫌悪感を持たれると思います!

ですので、それでも構わないという方のみ、この話へのクロスゲートを通ってください。

どうしても許せないと思いますが、その怒りはスパロボOGシリーズの最強技で倒してくださいませ。

コメント欄でコメントが消えるのは悲しいので是非とも!お願いします。


怒りが沸くと周りが見えなくなるよね

[推奨BGM 『Dark Moon』MDアレンジ]

 

 

皆が白熱している中、一夏だけはシャナ=ミアの事だけしか考えていなかった。

 

視線の先にはシャナが飲み物を飲んでいる。それを遠くから見ていることしか許されていない。

 

「なんでだよ・・なんで!俺は頑張ったのに!」

 

一夏は気づいていなかった。自分の理想、戦いへの向き合い方、ISという存在に対しての考え方。そして、シャナ=ミア自身の思いに。

 

自分は世界初の男性操縦者、ただそれだけで自分の意志とは関係ない。

 

偶然、動かしただけだという考えしか持っていなかった。

 

それでも、ISという力を得た自分は大切な人を守るという理想を持った。

 

嬉しかった。自分は姉と同じ場所に立ち強くなれたのだと、この力で皆を守る。

 

そこに現れたのが二人目の男性操縦者、赤野政征。

 

初めは気の良い奴だなと思った。

 

だが、自分が思い描いていた人物とは全く違っていた。

 

自らを騎士として戒め、男女関係なく倒すための戦いをする。

 

許せなかった。か弱い女性を容赦なく倒そうとする姿勢が。

 

自分は勝てるはずだ、世界最強の姉と同じ力を持った自分ならアイツを倒せると。

 

結果は惨敗。その時にどんな場所でも戦うからには戦場だと言われてしまった。

 

戦場の経験がなくても戦場として考えるべきだ、俺はこの考えが理解できなかった。

 

そして俺は千冬姉以外に守るべき存在を見つけた。

 

シャナ=ミア・フューラ・・・。

 

彼女を一目見たときは綺麗な子だなとしか思わなかった。

 

でも、彼女の笑顔を見た時、俺はこの子を守りたいと思った。

 

俺がこの子を守り続けると。

 

そう決意して近づこうとした時、アイツが近くにいた。

 

赤野の奴だ。彼女の宝石のように輝く笑顔は何故かアイツに向けられていた。

 

そして、もう一人の男性操縦者が現れた。

 

青葉雄輔。アイツを一目見た瞬間、俺は恐怖を感じた。

 

コイツには勝てない・・・直感的にそう思ってしまったのだ。

 

青葉と赤野、こいつらが揃うと何故か中世の騎士が並んでいるように見えた。

 

それからの俺の行動は全てコイツに潰されてきた。

 

シャナ=ミアさんを手に入れられるチャンスを潰され、活躍の場を取られ、千冬姉の剣を勝手に使った奴さえも倒せなかった。

 

なんでだ・・俺は間違っていないはずなのに。

 

俺は決意した。シャナ=ミアさんに俺の物だという証を付ける事を、その為に!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館での夕食の時間となり、皆それぞれが料理に舌鼓を打っていた。

 

「ん、美味いな。本わさも食えるとは」

 

「ここの料理は本当におもてなしがしっかりしてるな、飯持ってくる」

 

「ま、まだ食べるの?すごいね」

 

シャルロットの驚きも当然だ、政征はこれで4杯目のご飯を食べていた。

 

男だから仕方ないといえば仕方ないが食べ過ぎである。

 

雄輔も同じ量を食べていた、それを見ている女性陣は驚いている。

 

「政征、あの・・」

 

浴衣姿のシャナが政征に話しかけた。箸の使い方がちゃんと上手く出来ない様子だ。

 

「シャナ?あ・・なるほど」

 

「こうやって、摘むんだ」

 

シャナの手に自分の手を添えて扱い方を丁寧に教える。

 

「こうですか?」

 

「そうそう、上手だよ」

 

シャナは礼儀作法に関しては飲み込みが早い、こうして教えるとすぐに出来るようになる。

 

「ねえ、なんだかお醤油が甘いわ」

 

「奇遇ね、わさびも甘いわよ」

 

クラスメイト達はそんな事を言っていたが、政征には聞こえてなかった。

 

「(此処でイチャつくなよな・・・政征)」

 

雄輔は呆れながら食事を続けていたが、自分達に向けられる視線に気づいた。

 

「(織斑か・・・嫌な予感がするな)」

 

雄輔のこの予感が後々、最大の後悔になる事をこの時は知らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

臨海学校も二日目となり、専用機を持っていない生徒達は山田先生が監視の下で訓練をしていた。

 

専用機を持つ、政征、雄輔、一夏の男性操縦者とセシリア、鈴、シャルロット、ラウラが集合していた。

 

一夏はシャナの近くへ移動しようとしていたが、専用機持ちの4人に阻まれ出来なかった。

 

「織斑先生、フー=ルー先生。一つ質問が」

 

「なんだ?」

 

「なんでしょう?」

 

「なぜ、専用機を持っていない篠ノ之さんがいるのですか?」

 

政征の疑問は最もだ。専用機を持たない箒は本来山田先生の訓練を受けなければならない。

 

「我が社の研究部長からの条件なのです。篠ノ之箒を連れてくるようにと」

 

「ああ、その条件を飲むよう学園から通達があった」

 

「なるほど」

 

学園からの命令もあったのでは仕方ないと納得し、その研究長が来るのを待った。

 

30分後、大きな輸送機と共にその人は三人の助手を連れて現れた。

 

「ちーーーーーちゃーーーーん!会いたかったよーー!さぁ、ハグハグしよう!」

 

「相変わらずだな?束」

 

千冬は突っ込んできた相手をアイアンクローで押し止めている。

 

「ぬぐぐ・・相変わらず容赦のないアイアンクローだね!」

 

そう言っているが応えている様子はなく、アイアンクローからすぐに抜け出した。

 

「束、お前雰囲気が変わってないか?」

 

「ん?そりゃあそーだよ!だって今の私はアシュアリー・クロイツェル社の研究部長だもん!」

 

「何!?」

 

「「「「「「えええええええーーー!!」」」」」」」

 

「あらあら」

 

千冬を始めとするフー=ルー以外のメンバーが全員驚いて声を上げていた。

 

「ふふん。さて、と・・・久しぶりだね?箒ちゃん」

 

「姉さん、例の物は?」

 

「もちろん出来てるよ。ただし、フィッティングとパーソナライズをしたら私からの条件を飲んでもらうからね?」

 

「分かっています、すぐにお願いします」

 

「せっかちさんだなぁ、カティちゃん!お願いね!」

 

「はい!」

 

黒髪のショートカットをした一人の女の子が作業用のISに乗り、コンテナを運ぶ中身を開いた。

 

「これが束さんお手製のIS!『紅椿』!現行で最も先を行ってるISだよ!」

 

「これが・・・」

 

箒は喜びに震えていた。これで自分も同じ場所に立てる力を得たのだと。

 

「早速始めようか・・フィッティング開始!テニちゃんお願い!」

 

「まっかせて!!」

 

箒が紅椿と呼ばれるISに乗り込むと同時に、元気な声で紅い髪の少女がすごい速さで紅椿のフィッティングを完了させていく。

 

「次はパーソナライズだね!メルちゃんよろしくねー!」

 

「はい、お任せ下さい!」

 

一番大人しそうな金髪の少女も紅い髪の少女に負けないくらいの速さで完了させていく。

 

「さ、どうかな?箒ちゃん」

 

「はい、大丈夫です」

 

「じゃあ・・模擬戦してもらうよ。お願いね?城壁の騎士」

 

そう、束が声をかけた方向には雄輔が立っていた。

 

「何!?城壁の騎士が青葉雄輔だと!?」

 

「そうだよ?気づいていなかったの?それとね、自由の騎士も隣にいるよ」

 

「な・・!?バカな・・自由の騎士は政征だと!?」

 

束の言葉に箒は信じられない様子だ。

 

騎士と呼ばれているだけで、相手にはならないだろうと思っていた相手が自らに敗北を与えた二人だったからだ。

 

「なら、青葉雄輔!お前に戦ってもらう!」

 

「束!勝手な真似は!」

 

千冬は辞めさせようとしたがそれを止めたのは意外にもフー=ルーだった。

 

「フー=ルー教諭?」

 

「・・・あの子は一度、上には上がいるという事実を身をもって教えたほうが良いでしょう」

 

「む・・・それは」

 

その言葉に千冬もどこか納得していた。

 

箒は自分に優位な部分しか見ない傾向がある、自分より強い者を決して認めないのだ。

 

「分かりました、受けましょう」

 

雄輔は迷いなく、ラフトクランズ・モエニアを身に纏った。

 

「篠ノ之博士、武装の制限は?」

 

「無いよ、思いっきりやっていいからね。卑怯者と言われても無視して」

 

「了解しました」

 

雄輔はそのまま箒のいる浜辺へと飛んだ。

 

「青葉雄輔!!今度こそ私がお前を倒してやる!この紅椿で!」

 

「・・・・」

 

雄輔は無言のまま、ソードライフルをライフルモードに切り替え、エネルギー弾を一発撃った。

 

「な!貴様!不意打ちとは卑怯だぞ!!」

 

「やはりお前は剣を持つに値しない・・・今ならまだ間に合う、剣を捨てろ」

 

「なんだと!?ぐっ!」

 

ライフルからソードモードに切り替え、斬りかかってきたが箒は何とか武装である「空裂」を展開し受け止めた。

 

「なぜ、私が剣を捨てなければなれない!?」

 

「先ほどの一発を卑怯と言ったからだ。お前は自分の対戦相手が全員、正々堂々挑んでくると思っているのか?これは武道の試合じゃない、ISによる戦闘だ」

 

雄輔が言っているのは戦闘の違いにおける考えだ。

 

箒は自分に挑んでくる相手が自分と同じ条件で戦いに来ると考えている。

 

だが、それはルールが決められたスポーツである場合のみだ。

 

戦場にはルールが存在しない。つまり勝つか負けるかではなく、生きるか死ぬかの二択だけだ。

 

箒の考えで戦場に立てば、まず間違いなく死ぬ可能性が高いだろう。

 

同時に専用機という新たな剣を手にした事で浮かれすぎている。

 

それを見抜いたがゆえに、雄輔は剣を捨てろと箒に言ったのだ。

 

「く!負けるかあ!!」

 

「型通りの剣を闇雲に振るうだけでは、戦場で生き残れないんだよ!オルゴンクロー!」

 

雄輔は箒の刃を回避し続け、シールドクローを展開し突撃した。

 

「何!?がっ!?」

 

「捉えたぞ!」

 

地上で戦闘を行っていたが雄輔はシールドクローを展開し、紅椿ごと箒を捉えて上昇し浜辺に叩きつけ引き摺った。

 

「うああああああああ!!!?」

 

そのまま遠心力をかけて投げ飛ばし、オルゴンクラウドの転移で背後に廻り、そのまま叩きつけた。

 

「がはっ!?この・・!な・・!?」

 

「終わりだ」

 

箒は起き上がろうとしたが、目の前にオルゴンソードを突き付けた雄輔が立っていた。

 

「これがルール無用の戦いだ、これを受け入れられないなら剣を持つな」

 

「う、うるさい!お前に決められる覚えはない!!」

 

「忠告はしたぞ・・・」

 

雄輔はモエニアを解除し、他の専用機持ちが居る場所へと戻った。

 

 

「ありがとね、それじゃ私からの依頼を渡すよ」

 

束は模擬戦が終了したのを確認すると他のコンテナを開いた。

 

「えっと・・セシリア・オルコットって誰かな?」

 

「わ、わたくしですが・・・」

 

「そう、じゃあ説明するね?これはある機体のアーマーなんだけど武装の部分だけを追加する仕様にしたものなんだ」

 

「なるほど・・・」

 

「それからアーマー・ビットが4つ、左右の足から発射するオルゴンレーザーL・Rを装備してるよ」

 

「完全な射撃型になるんですの?」

 

「そうだね、ただしこれを装備するとビットの数は増えるし実弾兵器も無くなるよ」

 

「構いませんわ、ぜひ装備を!」

 

「OK!ついでにその機体もオルゴン仕様にしちゃうね!」

 

「え?」

 

宣言後、すぐに束は三人の助手と共にブルー・ティアーズをオルゴン仕様に改修してしまったのだ。

 

束は「こんなこともあろうかと材料は持ってきてたのさ!ぶい!」の一言で済ませてしまった。

 

「さて、これで最後だね。ラフトクランズ専用の装備を持ってきたよ!」

 

「え!」

 

「ラフトクランズの?」

 

ラフトクランズの操縦者である二人は驚いた。専用の装備を持ってきたのだと急に言われたからだ。

 

コンテナを開くとそこには、それぞれの機体色に塗装された八つの小型化したビット兵器らしきものがあった。

 

「これが、武装の少なさと防御力を補ってエネルギー効率を良くする事を追求した追加装備、オルゴン・ガーディアン!」

 

「オルゴン・ガーディアン・・・」

 

「クセがありそうな武装だ」

 

「これは防衛用の装備だからね、特に二人はお姫様を守る騎士なんだから」

 

「「!!!!」」

 

束の言葉に政征と雄輔は一瞬だけ顔を顰めた。どこまで知っているんだこの人は・・と。

 

「ほい、っと装着を終わらせたよー」

 

驚いてる間に装備させられてしまった、何やってんだこの人はー!

 

「!なんと、緊急事態ですわ!織斑先生!!」

 

「何!?」

 

織斑先生とフー=ルー先生は何かを話し合っているようで、しばらくして向き直った。

 

「全員注目!これよりIS学園教師は特殊任務行動に移る!」

 

「一般の生徒は山田先生の指示に従い、それぞれの部屋にて待機してください!」

 

どうやら重要な出来事のようで専用機をもつ全員が招集された。

 

 

 

 

 

 

[推奨BGM 勝利者への機構]

 

 

作戦会議室となった大広間では専用機所持者全員と教員二人、そしてアドバイザーとして篠ノ之束とその助手三人が集まっている。

 

「では、説明する。二時間ほど前、アメリカ・イスラエルにて合同開発されていたIS『銀の福音』が暴走し、逃走。追撃を逃れてこの空域に向かってるそうだ」

 

「現段階で自衛隊による迎撃は不可能、よって戦力のあるIS学園の専用機によって迎撃されたしとのことですわ」

 

千冬とフー=ルーの説明に全員が表情を引き締める。遊びではなく本当の実戦へ出撃することになるからだ。

 

「ここまでで何かあるか?」

 

セシリアが挙手し、要求を口にする。

 

「目標であるISのスペックデータを要求します」

 

「分かりました。ですがこれは最重要軍事機密情報ですので漏洩した場合、最低でも二年の監視と裁判が確定されますので注意しなさい」

 

「はい」

 

フー=ルーの忠告の後、ターゲットである機体のスペックデータがモニターに表示される。

 

「高機動特殊射撃型、わたくしのブルー・ティアーズと同じで広域殲滅タイプですわね」

 

「攻撃と機動力に特化した機体ね、私の爪龍でも速度ではギリギリ追いつけないわ」

 

「おまけに遠距離からの狙い撃ちも可能ときてる。射程外から狙われる危険性もあるよ」

 

「これだけでは格闘能力も未知数だ。偵察は行えないのだろうか?」

 

4人が話し合いをしている中、政征と雄輔も参加した。

 

「無理だな、この機体は機動力に特化してるって鈴が言ってただろう?更に軍用ときてる、学園で相手にしていた機体とは訳が違う」

 

「個人撃破は難しいだろう。この作戦は連携が成功の鍵になる。それに俺達の中で最大の攻撃力を有し、それをすぐに引き出せるとしたら」

 

 

意見を出し合っていた全員が一夏を見る。

 

「俺の零落白夜だけだって事だろう?やってやるさ!!」

 

一夏は拳を強く握りやる気に満ちていた、しかしそれは何処か危なげだ。

 

政征はこっそりとシャナへ近づいてデートの時、密かに買っておいた小型のICレコーダーを録音状態でシャナに髪を結ってるリボンの中へ忍ばせるよう言った。

 

「(これ・・隠し持っておいて。シャナを守ることになるから)」

 

「(?はい)」

 

シャナはそれに従ってリボンの中にそれを忍ばせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、編成が成され。出撃には一夏、箒、政征、雄輔、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラというメンバーになった。

 

箒の出撃には雄輔や政征、鈴が反対したが紅椿の速度を使わざる得ない状況である為に却下されてしまった。

 

シャナは作戦の危険性から待機を命じられフー=ルーと共にいる。

 

「(何でしょうか。この得体の知れない不安は?胸騒ぎが治まらない)」

 

「一夏、今回は大船に乗ったつもりでいろ。しっかり運んでやるからな」

 

「ああ、わかったよ・・」

 

二人の様子を他のメンバーは警戒しながら見ていた。

 

箒は浮かれきっており、一夏からは作戦会議時までのやる気が感じられない。

 

「(マズイな、これは)」

 

「(いくら何でも浮かれすぎだろう、おまけに集中していない)」

 

雄輔と政征は出来るだけのフォローをしようと考え、機体を展開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

合計八機の専用機は戦闘空域に向かっていた。接触まであと一分といったところだ。

 

「(何だ?さっきから胸騒ぎが治まらない、政征に何か起こるのか?)」

 

雄輔は出撃と同時に妙な胸騒ぎに支配されていたが気にしている余裕が無かった。

 

「!見えたぞ!!一夏!」

 

「!!」

 

[推奨BGM 『虚空からの使者』スパロボOGより]

 

 

それは一目で表すならば白銀の天使だった。

 

機械的な部分がありながらも穢れのない白に美しさすら感じる機体だ。

 

「敵機・・・確認・・・迎撃」

 

「今だ!一夏!」

 

「おう!!くらえええ!!」

 

紅椿から飛び出した一夏は絶対の自信を持って目標である銀の福音に斬りかかった。

 

「回避行動・・・敵機、8」

 

「何っ!?」

 

その一撃は難なく回避され、反撃を開始しようと福音が光を収束する。

 

「させん!オルゴン・マテリアライゼーション!」

 

逃がさないよう政征が接近戦を挑み、オルゴンソードで牽制する。

 

「セシリア、いきなりの合わせだが出来るか?」

 

「ええ、お任せ下さい!」

 

雄輔はセシリアの隣に並び、ティアーズとガーディアンを同時展開する。

 

「行きなさい!ティアーズ!!」

 

「狙い撃て!ガーディアン!」

 

八つのビットが福音を狙うがダメージ効果が薄く、むしろ回避している福音を挑発するように見えていた。

 

「ちっ!」

 

「ダメですわ!効果が!」

 

福音が距離を取ろうと動くが、オルゴンソードを持った政征がそれを許さない。

 

「逃がさんぞ!まだまだ社交は始まったばかりだ!」

 

「・・・・・」

 

一夏はその政征の後ろ姿を見て、今なら隙があると考えた。

 

「(アイツを・・・殺れる!)うおおおおお!!」

 

そのまま突撃し一夏は零落白夜を発動させ、政征ごと福音を斬った。

 

「ぐああっ!?い、一夏・・・!おま・・え」

 

「は・・はは・・安心しろよ・・これで福音を倒したんだ。お前の言う戦場のやり方だろ?シャナ=ミアさんもみんなも俺が守る・・・!」

 

「ぐ・・う・・・」

 

政征はそのまま海へと落下していき、水しぶきを上げた。

 

福音はダメージを負ったものの、ギリギリで戦闘不能には至っていない。

 

「織斑・・・お前・・・お前って奴はあああああ!!」

 

一夏へ突撃しようとした雄輔だったが、そこに立ち塞がったのは紅椿を纏う箒だった。

 

「一夏をやらせはせん!!」

 

「どけええええ!オルゴン・マテリアライゼーション!」

 

今の雄輔に冷静さの欠片もなかった。自分の親友を敵ごと落とされるというのを目撃して冷静でいろというのが無理な話だ。

 

 

オルゴンソードを展開し箒に向かっていくが守りを無意識に得意としているのか、雄輔は行動を阻まれ続けた。

 

 

 

 

政征が一夏から攻撃を受ける二分前、教師達も連携がうまくいっていない事を感じていた。

 

フー=ルーが偶然、シャナの視界を塞いだ時にそれは起こった。

 

「な・・何!?」

 

「なんと!?」

 

二人の教師が驚いている中、シャナは見てしまった。

 

最愛の恋人が、海へと落下していく一部始終を。

 

「い、いや・・・嫌ぁああああああああああああああああ!!」

 

その絶叫は部屋中に響き、部屋へとフー=ルーが運び待機させた。

 

「あの場面は」

 

「大丈夫、偶然にもフーちゃんが視界を塞いでたから見てない」

 

束の言葉に安堵し千冬は通信を繋げた。

 

「作戦失敗だ、帰還しろ!」

 

 

 

 

 

 

 

『作戦失敗だ!帰還しろ!!』

 

千冬の声に我に帰った雄輔以外の四人は歯を噛み締めていた。

 

「・・・」

 

なんとか撤退することができたが、全員が無言のままで帰投すると同時に雄輔は一夏を殴った。

 

「お前!なぜ政征を斬った!?答えろ!」

 

「っ、あの方法が最善だと思ったからだ!あれが戦場のやり方なんだろう!?それが間違ってるのかよ!」

 

「てめえ!(あの時の胸騒ぎは、くそっ!!)」

 

雄輔は再び一夏を殴ろうとしたがフー=ルーを始めとする。代表候補生達に押さえられ出来なかった。

 

「全員解散しろ、一夏は私が連れて行く」

 

「あの、私・・外を見ていたいので良いですか?」

 

「私もお願いします、教官」

 

鈴とラウラの言葉に千冬は仕方ないと言った顔で答えた。

 

「一時間だけだ、それ以上は許さん」

 

「ありがとうございます」

 

「では」

 

二人は外の景色が見える窓の場所へと歩いて行った。セシリアとシャルロットはシャナのもとへ行き、落ち着かせている。

 

 

 

 

 

「さて、織斑・・お前はなぜあのような真似をした?」

 

「・・・」

 

「答えろ!」

 

「正しいと思ったからだ。あのISを倒すために」

 

「お前に教えたはずだったがな、命の重さを軽く見るなと」

 

そう言うと千冬は拳で一夏を殴った、一発だけだがその重みは強かった。

 

「お前はこの部屋で待機だ。出ることは許さん」

 

それだけを告げて出ていこうとした矢先。

 

「千冬姉」

 

「何だ?それに織斑せん・・・ッッッが!!」

 

千冬の身体に突如、強力な電流が流れ続けた。

 

それを受けた千冬はその場で倒れる寸前、その手に握られている物が電流を発していたのが見えた。

 

「ごめんな、千冬姉」

 

一夏はそのまま部屋を飛び出していってしまった。

 

「ま・・て・・い・・・ち・・・」

 

千冬は動けずに追いかける事が出来なかった。

 

 

 

 

 

 

一夏は物陰に隠れながらシャナの居る部屋へと向かっていた。

 

「じゃあ・・僕達、飲み物買ってくるからね」

 

部屋から出てきたのはシャルロットとセシリアだった。

 

「あの部屋にいるのか」

 

 

二人が出て行ったタイミングを見計らい、そのまま部屋の扉をゆっくりと開ける。

 

その時に見られていたのを一夏は気づいていなかった。

 

「(あれって・・・)」

 

「急いでフー=ルー先生と雄輔を呼びに行かないと!!」

 

それを目撃した鈴は急いで二人を探し始めた。何かとても嫌な予感がすると感じたまま。

 

 

 

 

シャナは部屋の中で泣き続けていた。愛しい恋人が映像とはいえ海に落ちて行くのを見てしまったからだ。

 

「うう・・・う・・・ぐす」

 

ドアの開く音が聞こえ、シャナは出迎えようと立ち上がった。

 

「シャルロットさんですか?それともセシリアさん?・・・っ!?貴方は!!」

 

目の前に居たのは一夏だった。あのアリーナでの出来事から一切話していない。

 

あの出来事以降、シャナは一夏から距離を置いていた。

 

「シャナ=ミアさん、泣いてたのか?」

 

「貴方に心配される事はありません、出て行って下さい!!」

 

「俺だって心配で」

 

「出て行ってください!!」

 

あまりの拒絶の意志に一夏はシャナに近づいて行き、腕を掴んで布団の上へと押し倒した。

 

「いやっ!何をするんですか!?離してください!」

 

「シャナ=ミアさんを誰にも渡したくないんだよ!俺が俺が守るから!」

 

「貴方は私の剣にふさわしくありません!!」

 

あくまでも拒絶の意志を示すシャナに対して一夏は強硬手段に出た。

 

「だったら俺だけの証を刻んでやる!」

 

一夏はシャナの意志を無視しシャナが着ている浴衣を強引にはだけさせた。

 

「嫌!嫌やあああ!!誰か!誰かあああ!!」

 

その悲鳴は部屋の中ではなく通路にまで響いていた。




三人娘はこの話のどこかにいます。

はい、持ってきていたのはスタンガンでした。

スタンガンは本来、気絶なんてしませんが架空の強さとして気絶レベルにしています。

そんなの持って来てたり携帯してる時点でアウトですがね。


さて、とうとうやってしまいました・・・。

政征は海の中、シャナは一夏に犯される寸前。

まさにペルフェクティオクラスの絶望。

たった一人残された騎士と龍の爪はシャナを助けられるのか?

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