Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
雄輔、勇気を出してお誘い
戦闘無し
ミルクチョコレートより甘すぎる
スパロボJ参戦作品の要素あり
以上
追伸
この話は是非ともスパロボBGMの『君とのひととき』を聞きながら読んでくださいませ!
作者も聞きながら書いていました!
二週間後に迫った臨海学校、その為に必要な物を買いに行かなければならない。
しかし、これはチャンスだ。シャナとは訓練や勉強ばっかりで遊びになんて行かなかったからなぁ。
「シャナ」
「はい?」
丁度、休み時間になったためシャナに話かけた。
「今度の土曜、デートしないか?」
「え?デート、ですか?」
突然の誘いに驚いたようだが、シャナは少し落ち着かない様子だ。
「臨海学校の水着を買わないといけないし、シャナと二人っきりになりたいしさ」
「ありがとうございます、一緒に行きましょう!」
シャナはとびきりの笑顔で応えてくれた。うん、可愛くて抱きしめたくなるけど我慢だ。
「政征はシャナさんとデートか・・・」
雄輔は二人を微笑ましく見ていたが自分も行動しなければと考え、次の授業に備えた。
「(俺も、誘ってみるか)」
◇
その日の放課後、雄輔はフー=ルーを探していた。
無論、他の生徒には見つからないようにだ。
ちょうど良く、廊下を歩いてきたフー=ルーを見かけ声をかけた。
「フー=ルー先生」
「あら?雄輔さん、何かご用かしら?」
顔にこそ出していないが雄輔はかなり緊張していた。だが、時間もあまりないと感じ行動した。
「自分と一緒に土曜日に臨海学校の買い物に行きませんか?」
突然の誘いにフールーは驚いた。
この男から誓いを受け取って以降、胸が高鳴るのを感じていた。
今は学園内、放課後という時間帯に助けられたが咄嗟に答えてしまった。
「構いませんわ。では、土曜日に」
「ええ、ありがとうございます」
フー=ルーが去り、姿が見えなくなった所で大きく息を吐いた。
「一歩、前進・・か」
窓の外を見て、雄輔は小さくガッツポーズしていた。
◇
職員室に戻ったフー=ルーも大きく息を吐いていた。
胸の鼓動が早く、顔も熱い。
「全く・・剣ではなく、言葉で私の心を揺さぶるなんて。罪な人ですわね」
「皇女も見つけたようですし、私も隣の伴侶を見定めましょう」
雄輔の顔が頭から離れず、その日の業務は山田先生に注意されっぱなしだったそうな。
◇
そして土曜日、俺はモノレールの駅前で待ち合わせている。時間は少し早いが好きな人を待ってるというのもイイものだ。
「お待たせしました」
「ああ、シャナ。大丈夫だよ、行こうか?」
「はい!」
二人きりのせいか、シャナは俺の腕を掴んで歩き出した。
私服姿も新鮮で可愛いし、文句はない。今までは紫色の皇女のドレスしか見たことなかったからだな。
モノレールに乗ると俺はシャナをドア付近に立たせ、シャナの後ろに立った。
「学園以外で一緒にいるのは初めてですね。政征」
「ああ、そういえばそうだね。ずっと学園に居たからなぁ」
「ふふ、こうして一緒に歩くだけでも楽しいです」
目的の駅がアナウンスされ、はぐれない様にシャナと手を繋ぐ。
恋人つなぎじゃなく普通の繋ぎ方だ。手を繋いだだけでもシャナは笑顔のままだ。
ショッピングモールに入ると涼しい風と賑やかな人の声が響いている。
「流石に女性物が多いなぁ。男のはあっちかあ」
「あの政征・・・一緒に選んでくれませんか?」
「え!?俺が?」
「はい・・・ダメですか?」
う・・・シャナにこう言われると俺はかなり弱い。
「わかった、一緒に行こう」
そう言った瞬間、シャナは笑顔になる。ああ、もう!可愛すぎるだろう!!
「うーん、シャナは全体的に青のイメージが強いからなぁ」
それにシャナは着やせ型だ。すごく大きいって訳でもなく、全く無いという訳でもない平均よりは大きいって感じ。
目の前の人!全く無いなんて言うなよ?シャナが泣くから、何処とは言わないけど。
「やっぱりこれかな?」
俺は白の色合いが強く薄めの菫色が付いたパレオ付きの水着を選んだ。シャナは色白だから色があったほうがいいと思ったからだ。
「あ、政征」
シャナの手には自分で選んだ感じの水着があった。どれも似たような物ばかりだな。
「おや?政征君ですの?」
「え?」
振り返るとそこにはフー=ルーさんと雄輔が一緒にいた。
目的は一緒で臨海学校用の水着を買いに来たのだろう。
「フー=ルー?それに雄輔さんも」
「よう、シャナさん。政征と一緒に買い物か」
「ええ、フー=ルー。一緒に見繕ってくれませんか?」
「構いませんわ、行きましょうか」
そういって、シャナはフー=ルーさんの手を引いて売り場の奥へと行ってしまった。
「俺達も買いに行くか」
「そうだな」
俺はある意味助かっていた。
シャナの水着選びは正直、男の俺には物凄くダメージがあったからだ。
「これがいいな」
男性用の水着売り場で、俺は明るい配色に青色の太陽のような模様のある水着を選んだ。
「俺はこれにするか」
雄輔は落ち着きのある配色に三日月のような模様のある水着を選んでいた。
「ところで雄輔。フー=ルーさんとデートか?」
「なあ!?////」
「なんだ、図星かよ?わかりやすいなあ」
「な・・・なんでわかった?///」
「顔に出てるぞ?真っ赤だし」
「ぐ・・・///」
かつて自分がからかったのを仕返しされるとは思わなかったようだ。経験値では俺の方が少しだけ上だしね。
会計を済ませ、俺達は近くのベンチで二人を待っていた。
女性の買い物は基本的に長いので気長にいる事が重要だ。
会計してる途中で見知らぬ女性が、俺達に自分の買う物を買わせようとしてたが追い払った。
「お待たせしました」
「申し訳ありません、待たせてしまって」
フー=ルーさんは珍しく結っている髪を下ろしてるから別人だよ。
シャナは逆に結ってるから新鮮だ。
「じゃあ、行きましょうか?雄輔さん」
「え、もうお別れですか?」
「シャナ、違うよ。別の所へ行くだけだ、そうだよな?」
「あ、ああ・・・!」
「なら・・一緒に」
「(シャナ、ここは二人っきりにさせてあげよう?)」
「(え?あ・・・そういうことですか)」
俺が小声で言った言葉の意味を理解してくれたようだ。
「じゃあな」
「それでは」
雄輔とフー=ルーさんの二人は一緒に他の店へと向っていった。
「じゃあ、俺達も何か見てまわろうか?」
「はい!」
そういえば、関係を公にしないまでもシャナにプレゼントの一つも送ってなかったなぁ。
チャンスだし、シャナに買ってあげよう。ちょうどアクセサリーのお店あるし!
◇
「いらっしゃいませ、ゆっくりご覧になってください」
店員さんの挨拶を聞いた後、俺はシャナの手を引いて店に入る。
来る途中で、何処かの学校の制服を着てハリセンを持った女の子が軍人っぽい喋り方をする男の子の同級生にツッコミを入れてたり。
その男の子が居ない間「ふも!ふも!ふもっふ!」とか言ってる着ぐるみが格闘技を見せていたのは見ない事にしていた。
シャナは「ふも!ふもっふー!」って言ってたのを可愛いって言ってたけど。
あれ、なんて言ってたんだろう?
「赤と水色・・・へえ。シャナ、来てくれ!」
「なんですか?」
「ほら、このアクセサリー。赤と水色でくっつけられるんだよ」
「わぁ、素敵ですね」
「少し待ってて」
「はい、他の物も見ていますから」
シャナが見ている間に先ほどのアクセサリーを購入した。店員さんに頼んで丈夫なチェーンタイプのペンダントにしてもらった。
「あの女性にプレゼントですか?」
「ええ、まあ」
「なら、お代は頂きましたから此処で渡して差し上げたらどうです?」
「じゃあ・・さっそく」
シャナの近くへ行き、後ろから呼びかける。
「シャナ」
「あ、政征。なんでしょう?」
「そのままで居てくれる?」
「?はい」
そのまま、シャナの首に先程買ったペンダントの赤い方を首にかける。
「あ・・・これは?」
ペンダントに気づいた後、シャナは驚いた様子で振り返った。
「俺からのプレゼントだよ」
「え、あ・・・対になる水色のを」
「うん、分かりやすいと思ってさ!」
「ありがとうございます、政征。大切にしますね!」
すっごく上機嫌だ、これなら早めにちゃんと渡しておけばよかったな。
アクセサリーのお店を出ると次はデザート・タイガーというカフェに入った。
雰囲気が良く、窓際の良い席に座る事が出来た。
日差しは無いけど明るめの所で気持ちがいい。
「なにか飲もうか?」
「はい」
メニューを見ながら飲む物を決める。
その中で占いコーヒーというものがあった。
モカ・コーヒーを頼み、一緒に飲んで「美味しい」と同時に言えたカップルにペアカップをプレゼントと書いてある。
「政征、これ・・・」
「やってみる?」
「ええ!」
「すみませーん!」
「ハーイ」
店員さんを呼ぶと女性の人が来た。
前髪両端のひとふさを金色のメッシュで染めていて綺麗な人だ。
あくまでも客観的に見ての話だけどね。
「モカ・コーヒーを二つ」
「はい、畏まりました」
その店員さんは察しが良い人のようで、笑顔を見せるとオーダーをしに行った。
しばらくするとその店員さんがコーヒーを持ってきてくれた。
「お待たせしました、ごゆっくり」
店員さんが去った後に俺とシャナは同時にコーヒー口を付けた。
「!!」
「あ・・!」
「「美味しい!」」
意識したつもりは無かったがほぼ同時に言っていた。
「おお、相性最高のカップルをまた目撃してしまったな!」
奥から浅黒い肌をした陽気そうな男の人が出てきた。
雰囲気は陽気だが何かをくぐり抜けてきてるようなそんな感じがしていた。
「え・・えっと」
「ああ、済まなかったね。これがペアカップだ、大事に使ってくれよ!」
「アンディ、説明になってないわよ?」
いつの間にか先ほどの女性の店員さんが来ており、男の人を窘めていた。
ゆっくりと飲み終えた後、会計を済ませると先程の男の人に呼び止められた。
「待ってくれないか?占いコーヒーが成功したカップルは写真を撮らせてもらっているんだが、構わないかね?」
「どうする?シャナ」
「構いませんよ。その写真、頂けるのでしょうか?」
「もちろんだとも!さ、並んでくれたまえ!!」
お店の看板前に立たされ二人で並んだが、女性の店員さんに肩を抱くよう言われてしまった。
仕方なく、シャナの肩を抱いて写真を撮ってもらう。
ポラロイドタイプだったみたいですぐに現像されてきた。
他のカップルを見せてもらったら、大人しそうな男の子とピンク色をした歌姫のような女の子のカップル。
生真面目そうな男の子と気の強そうな金髪の女の子のカップル。
極めつけは雄輔とフー=ルーさんだった事だ、本気で驚いたよ。
帰る前に写真立てを買って、お店で撮ってもらった写真を入れておこうと思う。
シャナと二人きりの写真って初めてだしさ。
帰り道のモノレールの中、席が空いていたので座るとシャナが俺の肩に身体を寄せて眠ってしまっていた。
慣れないデートで疲れが出たのだろう、目的の駅までそのまま寝かせてあげる事にした。
◇
「ふふ、こうして出かけるなど今までなかったことです」
「そうなのですか?」
「ええ、学園に来るまでは」
俺とフー=ルーさんは今、服などを売っているブティックのお店に来ている。
フー=ルーさんは私服をほとんど持っていないと言っていたので、モール内のお店で買う事にした。
「これと・・これだと色合いが合いませんわね」
ちなみに今、フー=ルーさんが着ているのはサイドスリッドが入っていて、左側だけが半袖になっているあの服だ。(公式資料の服)
目立って仕方ないから選んでもらってる訳だが、かなり悩んでるみたいだ。
「フー=ルー、新しい色を着てみたらどうだ?青系が多いからな」
「え?わ、分かりましたわ」
雄輔に「さん」付けで呼ばれなかった事と年齢に見合わない大人の対応にフー=ルーは一瞬だけしどろもどろになった。
彼は平均男性よりもかなりの高身長だ、フー=ルーと並んでいてもお似合いにしか見えないだろう。
本来の年齢は高校生と同じだが、自分と同じ年と言われても不思議ではない。
「(ま、全く油断も隙もありませんわね!こうして不意に心を揺さぶってくるのですから)」
学園で教鞭を取っていても、騎士の精神を持っていてもそこは一人の女性、やはり心を揺さぶられるのは慣れていないようだ。
アドバイスをした雄輔本人はというと。
「(や、やってしまった!よりにもよって呼び捨てなんて失礼すぎるだろう!!)」
自己険悪に陥っていました、はい。
そうしてる間に店員さんの一人が服をコーディネートしてくれたようでフー=ルーも満足気だった。
「正直、女性の服はわからないぞ・・・本当に」
途中でお揃いのアクセサリーも買ったが、説明してくれた店員さんによると[強固な愛]だそうだ。
知らずに買った俺自身、すっごく恥ずかしい。
その後はカフェへ入ったり、休憩を挟みながら物を見て回ったりした。
夕食の時刻になった為にモール内でお店を探していると中華料理店らしきものを見つけた。店名は『日々平穏』と書いてある。
「あら、興味深いですわ」
「食べてみますか?中華料理」
「ええ」
お店に入り、注文を済ませるとフー=ルーさんはどこか落ち着かない様子だ。
「どうしたんですか?」
「いえ、何でもありませんわ」
お茶を飲んで熱がる姿とか、けっこう可愛い一面も見ることができて嬉しいな。
「お待たせしました~!」
店員さんがカートに乗せられた料理が運んで来て、テーブルに置かれていく。
「ご注文は以上でお揃いでしょうか?」
「はい、大丈夫です」
「ごゆっくりどうぞ~!」
そう言って店員さんはカートを押しながら店のキッチンへと戻っていく。
「頂きましょうか」
「そうですわね」
二人で微笑み合い、フー=ルーさんは点心の入った蒸籠のフタを開けた。
「これは、美味しそうですわね・・・!」
小龍包を見て目を輝かせているフールーさん、これがギャップってヤツか?鼓動が早くなってきた。
「あむ・・熱ッ!」
どうやら慌てて食べたようで熱さに驚いたようだ。
落ち着いて冷茶を手渡すと、舌を冷ますようにフー=ルーさんは冷茶を飲んでいる。
「気をつけて下さい、中華料理は基本熱いですから」
「先に言って下さい!そういったことは!!」
少し怒ったフー=ルーさんだったが壁を感じなくなっていた。
◇
夕食を済ませ、学園に戻ると丁度いい感じの時間帯になっていた。
「今日は色々楽しかったですわ」
「俺も付き合っていただけて嬉しかったですよ、それじゃ」
「待ちなさい」
フー=ルーさんに呼び止められ、俺は振り返った。
すると俺の右頬に柔らかい感触が。
今のまさか、キス・・・・・!?
「今日のお礼ですわ、こちらは誓いを果たした後で//」
フー=ルーさんは自分の人差し指を自分の唇に当てながら俺に言うと、自分の部屋へと戻って行ってしまった。
「っ・・!まずは聖騎士団に入団しなきゃな!」
脈アリという事と新たな目標を胸に俺は寮へと戻っていった。
作者は「ゆきのさつき」さんが演じる強気なヒロイン大好きです。
所々にスパロボJ要素を散りばめてみました。お答えできる方々はぜひ!
ああ、もう!甘い!!麦茶が甘すぎるぞ!!砂糖は入っていないのに!!
フー=ルー先生、最後の最後で大人の余裕です。
シャナはお疲れ気味。
アンケートの方ですが臨海学校編が終わった後に書く予定なのでお楽しみに!
次回はセシリアがオーガニックなマシンと出会い、尖った心を癒される