Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉   作:アマゾンズ

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ラウラ、大胆な行動に出るが阻止され妹になる。

鈴、生まれ変わった専用機と共に帰還。

模擬戦で初のラフトクランズ敗北!?


以上


龍って怖いけどカッコイイよね

VTシステム事件から3週間が経ち、通常の学校生活に戻っていた。

 

ホームルームが始まる前にラウラが教壇に立ち、頭を下げた。

 

「皆、あの時は済まなかった。改めて謝罪する!本当にすまない!!」

 

クラス全員に向けての謝罪。3週間前の彼女では考えられなかった事だ。

 

プライドのある人間がプライドを捨てて謝罪するというのは余程の覚悟が無ければ出来ない。

 

「大丈夫だよ」

 

「うん、だからこれからは仲良くやっていこうね」

 

クラスメイト達はラウラの謝罪を受け入れてくれた、これで孤立する事はないだろう。

 

ラウラは教壇から降りると真っ直ぐ、政征とシャナの近くへ歩いてきた。

 

政征の方に向き直ると制服のネクタイを引っ張り、ラウラに引き寄せられる。

 

何をしようとするのかサイトロンで気づいた政征は顔を上に向け、それを回避する。

 

コラそこ、サイトロンって便利だなとか言わない。

 

「な、なぜ避けるのだ!」

 

「いきなり引っ張られれば、反射神経が良い人は避けるよ!」

 

「ラウラさん!?いきなり何を!?」

 

「大方、想像つくけどな」

 

ラウラの行動にシャナは驚き、雄輔は呆れながら様子を見ていた。

 

「お、お前は私の嫁にする。決定事項だ。異論は認めん!」

 

ドカン!ドゴン!とズッコケる政征と雄輔の二人。

 

「あの、ラウラさん?嫁というのは男性が女性に向けてへの言葉でして、女性から男性に向けてへの言葉ではありませんよ?」

 

「む・・・そ、そうなのか?」

 

シャナの説明にラウラは混乱したように狼狽えた。

 

「ラウラ、一体誰にそのような事を教わったんだ?」

 

「私の副官に教わったのだ。気に入った者を嫁にすると聞いたのでな」

 

「言っておくけど、それは偏り過ぎの知識だよ?」

 

「ああ、それも悪い方向にな」

 

なんとか持ち直すと男性二人は席に座り直し、間違った知識を指摘した。

 

「むむ・・・なら、どうすれば」

 

「それにラウラ。まだ自分の気持ちが分かってないだろう?それを知ってからでも遅くないんじゃないのか?」

 

政征の説得にラウラはどこか納得したように頷いた。

 

「それならば、私は二人の妹になるぞ!良いだろう?シャナ=ミア姉様、政征兄様!」

 

「え・・・ええええええ!?」

 

「い、妹ですか?いきなりですね」

 

「はぁ・・・ラウラに知識を吹き込んだ奴に本気で説教したい」

 

政征とシャナは苦笑しており、雄輔は額に手を添えて呆れていた。

 

ホームルームが終わると同時に新しい妹が出来てしまった出来事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

午前中の授業が終わる時間帯、IS学園へ走ってくる人影があった。

 

「やっと帰って来れた。でも、向こうも充実してたから文句はないけどね」

 

走ってIS学園の門を潜ったのは鈴だ。

 

彼女は三週間の間、アシュアリー・クロイツェル社において格闘の訓練と修理・改修された愛機のテスト運用を終了し帰ってきた。

 

頬には白い絆創膏がしてあり、特訓が生半可なものでは無かったことを告げている。

 

 

「紫雲さん、なんであんな人達を呼べるのよ・・・。一回で10発のパンチを放つボクサーとか、鉄のドアを素手でぶち破るパワーファイターとか、少林寺の奥義を極めた人とか、フェンシングの世界チャンピオンとか。極めつけは素手でISの銃弾を止めてそのまま倒しちゃう日本人よ!おまけに全員金色に輝くとかおかしいわよ!!」

 

そんな人達の特訓に耐えられた自分もまたすごいと自分で自分を褒める鈴。

 

「ふふ、だからこそ私が勝つんだから!!」

 

今の鈴は見た感じ変化はないが強さが、滲み出るくらいに成長している。

 

「待ってなさいよ。政征、雄輔!アンタ達のラフトクランズに必ず勝ってやるんだから!!」

 

宣言にも似た事をすると自分の教室へと向っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の放課後、鈴が帰ってきた事、シャルロットとの模擬戦をしようと7人はアリーナへ向かった。

 

「今回は私とシャルロット嬢から行こう」

 

「うん、ずっと楽しみだったんだ。よろしくね?」

 

政征はリベラを展開し、シャルロットもリヴァイヴを展開する。

 

 

「私は雄輔師匠と戦ってみたかったのだが・・・」

 

ラウラはどこか不満げな様子だ。無理もない戦いたい相手を先に取られてしまったのだから。

 

「ごめんね、ラウラ。どうしても雄輔と戦いたかったのよ」

 

「この次に手合わせしよう、ラウラ」

 

「む・・わかった」

 

不満げな事を隠そうともせずラウラは渋々、承諾した。

 

「ところでシャナさんは今回、どうしますの?」

 

「今回は見学します。グランティードが整備中なので」

 

「そうでしたの、ではわたくしも今回はシャナさんと一緒に見学しますわ」

 

「なら、私も姉様と見学するぞ!」

 

ラウラはすっかりシャナに懐いてしまったようで、シャナも悪い気はしていないようだ。

 

 

 

 

 

 

[VSシャルロット戦 推奨BGM『Guardian Angel』MDアレンジ]

 

 

「カルヴィナさんの義妹か」

 

「雄輔だけじゃなく、政征も義姉さんの教え子だったんだね」

 

「あの人は厳しいが成長は確実にさせてくれる人だからな、感謝している」

 

「義姉さんの特訓の厳しさは目に浮かぶよ、アハハ・・・」

 

シャルロット自身もカルヴィナに鍛えられていたのだろう、愛想笑いをしながら顔を青くしていた。

 

「それじゃ、行くよ!」

 

「来い!!」

 

開始のブザーが鳴り、政征とシャルロットの模擬戦が始まった。

 

「まずはこれだよ!」

 

実弾のライフルによる牽制を政征に行う、これこそがシャルロットの呼び水となる第一歩だ。

 

「牽制なら、これで返す!」

 

一歩後退したように見せて回避すると、政征はソードライフルをライフルモードに切り替え、ガンスピンと共にエネルギー弾を放つ。

 

「うわ!?すごいね?強引とまではいかないけど、こちらの間合いをギリギリの所で取らせないなんて」

 

シャルロットは放たれたエネルギー弾を回避しながら装備を変更していた。

 

「『砂漠の逃げ水』は深追いせずに尚且つ、仕掛ける相手の意表を付けばいい」

 

「簡単に言ってるけど、それを実行出来てる政征がすごいよ」

 

「次は此方の番だ!」

 

政征はソードライフルをソードモードに切り替える。

 

シャルロットは接近戦を仕掛けて来ると読み、間合いを外そうと後退した。

 

しかし、それこそが政征の狙いだった。

 

「チャージ完了!オルゴンキャノン!広域モード!!」

 

「え!?」

 

意表をつかれた攻撃方法にシャルロットは一瞬だけ動きを止めてしまった。

 

「ヴォーダの深淵を垣間見よ!!」

 

三つの砲台から放たれた巨大なエネルギー波はシャルロットを捉えた。

 

「わああああ!?」

 

オルゴンキャノンが直撃し、リヴァイヴのエネルギーが削られてしまう。

 

「オルゴン・マテリアライゼーション!!」

 

ソードライフルの左右に結晶化したオルゴナイトが形成され、突撃する。

 

「うっ!?させないよ!オルゴンライフルB・N、同時展開!!」

 

突撃に気づいたシャルロットは実弾と非実弾の弾幕を展開する。

 

「ぬう!?そう簡単に近づけんか!」

 

政征は改めてシャルロットの戦闘技術に感心していた。

 

自分の間合いを知り尽くしているがゆえ、着かず離れずのヒット&アウェイを使いこなしている。

 

「ぐわ!?」

 

「絶対に距離は取らせないよ!このまま押し切る!!」

 

弾幕に当たってしまい、リベラのエネルギーが削られる。

 

「ぬう、だが負けるわけにはいかん!」

 

政征はソードライフルのモードをソードからライフルへと切り替える。

 

「フー=ルー先生のやり方をやってみるか」

 

「どういう事?うわっ!?」

 

政征が行ったのはフー=ルーが得意とするオルゴンライフルの狙撃だった。

 

「接近戦だけが、全てではないのでな?」

 

「っ・・!まさか狙撃があったなんて!盲点だったよ!」

 

シールドクローを構えた状態での狙撃に切り替え、シャルロットを追い込んでいったが時間切れによって試合終了となってしまった、

 

「お疲れ、弾幕展開、参考になったよ」

 

「お疲れ様。自信あったんだけどなぁ・・・」

 

お互いに決着が着けられなかったことに不満を持ちながらもピットへ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

[VS凰鈴音戦 推奨BGM 『Duet』OGアレンジ]

 

「ようやく手合わせできるわね」

 

「ああ、俺も鈴と戦いたかったからな」

 

鈴の機体は機体色こそ変わっていないが、機体の肩を始めとするあらゆる部分が変わっていた。

 

「じゃあ・・」

 

「行くぞ!」

 

試合開始のブザーが鳴ると同時に鈴は青龍刀・双天牙月で斬りかかってきた。

 

「なっ!?」

 

雄輔は咄嗟にクローシールドで防御したが、攻撃の重さが伝わる。

 

「今日こそ、その機体を倒してみせるわよ!」

 

「そうか、俺も負ける気はない!うおおお!!」

 

青龍刀を押し返すと同時にソードライフルをライフルモードに切り替え、ガンスピンと共にエネルギー弾を放つ。

 

「その射撃はずっと見てたわよ!今度は直接行くわよ!!」

 

射撃を回避し、鈴の機体の拳にオルゴナイトの結晶に覆われていくと同時に突撃する。

 

「ブラキウム・レイド!まずはジャブ!」

 

「何っ!?」

 

「この連打!!避けてみせなさい!」

 

鈴の機体の拳が弾丸のように撃ち込まれ、反撃の隙を与える事をしない。

 

「うおおおお!?」

 

「まだまだぁ!!ハイハイハイハイィー!!」

 

連打によって出来た防御の隙を狙い、鈴は蹴りの連打を放つ。

 

「ISで蹴り技だと!?ぐああああ!」

 

「吹き飛べ!!」

 

「ぐはっ!」

 

左廻し蹴りを受けた雄輔は吹き飛びエネルギーが削られるが、すぐに持ち直しソードを構えた。

 

「っ・・強い!燃えてきたな!」

 

雄輔の顔には笑みが浮かんでいた。

 

彼の中で政征以外に強い相手が見つかった事に対する喜びを隠せなかった。

 

「これで終わりじゃないわよ!モード・セット!」

 

鈴の機体がオルゴンの輝きに包まれ、上へと上昇した。

 

「来て!オルゴン・シャドウ!まずは二発!!」

 

「おわっ!?」

 

オルゴナイトによる分身と共に二つの拳状の結晶が雄輔へ放たれる。

 

「シャドウは1体だけじゃないのよ!全部持って行きなさい!」

 

そう宣言した鈴はオルゴナイトで作られた結晶の分身を16体作り出し、オルゴナイトの拳を一斉に放った。

 

「うぐああああああ!!」

 

「どうよ!」

 

砂煙が晴れた場所にはモエニアのソードライフルだけが残されていた。

 

「え?ど、どこに!?」

 

「捉えた!!」

 

「え!?嘘ッ!?」

 

目の前に雄輔のモエニアがシールドクローを展開し、鈴を機体ごと捉えていた。

 

「きゃああああああ!!」

 

そのまま落下し、叩きつけると引きずり回し続け遠心力をかけ投げ飛ばす。

 

「うああ!」

 

「これで!!」

 

そのままクローで引き裂くように再び叩きつけた。

 

それと同時に時間切れのブザーが鳴ってしまう。

 

「あ、危なかった・・・後、もう一撃受けていたら負けていた」

 

「ああ!雄輔、エネルギー値がギリギリだったの!?悔しい!」

 

悔しがる鈴をよそに、顔には出していなかったが雄輔は戦いの中で焦っていた。

 

オルゴンを扱う機体は操縦補助があるとはいえ、サイトロンのリンゲージ率が高くなければ動きが鈍ってしまう。

 

地球人でもサイトロンを浴び続ければ適合し、リンゲージ率が下がりにくくなる。

 

しかし、始めから鈴の動きは地球人ではなく、フューリーのパイロットが乗っているかのように動きが滑らかだった。

 

「(機体の可動テスト中に適合したのか、それともフューリーの血を持っているのか、どっちなんだ?)」

 

雄輔は過ぎった考えを振り払って鈴と共にピットへ戻っていった。

 

「すごい機体だな、素早く攻撃力もあるとは」

 

「これでもまだ、機体に慣れてないのよ。だからショルダーパーツもまだ使えないのよ」

 

「そうだったのか」

 

「今度こそ決着をつけてみせるわよ」

 

「望むところだ」

 

 

四人の戦いを見ている中でセシリアだけ嫉妬と悔しさが渦巻いていた。

 

「(わたくしは・・・どこまでついていけますの)」

 

改修された機体に適合し始めている鈴。

 

確実に成長を続けているシャナ。

 

機体性能に頼らず戦略を考え、実践の中で先を目指す政征と雄輔。

 

己の力を過信する事を止め、自分の持った力を磨き続けるラウラ。

 

自分だけは成長するための糧がないとセシリアは悔しさから拳を握り、唇を噛み締めていた。




ほんの少しのスパロボJ要素。

鈴を鍛えたのは5人の同盟者達です、はい。

それぞれの弟子に追い込まれて時間切れが無かったら、負けていた自由と城壁のラフトクランズ。

周りの変化に嫉妬し始めるセシリア。

ラウラが妹宣言、というより娘になりそうではある(この作品ではありません)


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