Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
雄輔がフー=ルーと少し近づく
黒い兎が黒い桜に取り込まれる
シャナの力の一部が覚醒
セシリアが自分の想いを自覚
以上
転校生二人の自己紹介と通常の授業は終わり、ISの実践授業に移っていた。
その過程でISを纏った山田先生と鈴、セシリアの模擬戦が行われたが結果は鈴・セシリアの敗北。
理由としてはお互いに連携が取れなかった事、グレネードを受けた時点で二人が敗北を認めた為だ。
「それでは専用機持ちの方をリーダーに、番号順でグループを作ってください」
フー=ルーの指示に従い、生徒達はそれぞれ専用機持ちのもとへ向かう。
「赤野君とだぁ、よろしくね?」
「青葉様・・・冷たい瞳で私をみてください」
「織斑君かぁ、よろしくね~?」
「シャルロットさん、よろしくお願いしますね」
「セシリアさんとかぁ・・・厳しそう」
生徒達は各々に専用機持ち達のところへ向かっていく。
シャナは赤野と青葉の中心にいるセシリアの組みに入っている。
監視があるため、一夏は最も距離がある場所で生徒達に教えている。
「そうそう、上手上手」
「ゆっくりと一歩踏み出すように、だ」
赤野と青葉はそれぞれ教え方が上手く、出来た時は褒め、出来ない所は改善策を教えて自分で出来るようになるよう指導する。
「・・・」
シャナは政征に視線を向け、むくれていた。
「シャナさん、あれは指導ですからこちらに集中してくださいませ」
「はい、申し訳ありません・・・」
この様子からセシリアは政征とシャナが好きあっているのを見抜いていた。
「(ふふ、わたくしも応援しますわ。シャナさん)」
セシリアは政征への想いが、憧れであった事を自覚し指導に当たった。
◇
「はい、次は誰だ?」
一夏は他の専用機持ちが教えている場所よりも少しだけ離れた位置で指導に当たっていた。
「次は私だよ」
指導に集中しているように見えるが、途中途中でシャナに視線を向けていた。
今現在、一夏はシャナと会話どころか近づく事さえも禁止されている。
近づこうとすれば容赦なく千冬に声をかけられ、千冬の居ないところで声をかけようとすれば雄輔に注意される。
「(臨海学校の時・・シャナ=ミアさんを俺のモノに!)」
臨海学校になるその日まで、一夏は忍んで耐える事を受け入れた。
◇
授業が終了し放課後になるとアリーナへと向かい鈴、セシリア、シャナ、政征、雄輔、新しいメンバーにシャルロットが加わっていた。
「さて、今日は誰から模擬戦する?」
「そうですわね、わたくしはシャナさんと」
「ならば、私はシャルロットと模擬戦闘をお願いしたい」
「僕が?別にかまわないけど。政征君ってIS纏うと口調変わるんだね?」
「それはコイツの戦意高揚みたいなものだからな」
それぞれが少し話し合うとアリーナの奥へと入った。
「それではセシリアさん、よろしくお願いします」
「ええ、シャナさん、よろしくお願いしますわ」
お互いに挨拶すると、戦闘を開始した。
審判は鈴が勤め、邪魔にならない場所でISを展開し見ている。
◇
「いきますわよ!」
セシリアは最も得意とするライフル射撃を放ち、グランティードを牽制する。
「中距離戦の機体ですか、手ごわいですね」
シャナもやられる訳にはいかないと回避行動をした後に反撃に適した武装を選ぶ。
「今です!オルゴン・スレイブ!!」
セシリアの構え方から急激な回避行動は苦手と判断したシャナはグランティードの胸部から菱形状のエネルギーを放つ。
「なっ!?きゃあ!!」
反撃された事に驚いたのか、セシリアは防御の構えをとってしまった。
「セシリア嬢、言っておくが今のシャナは強いぞ?」
「戦った俺からも言わせてもらおう、本当に強い」
シャナの護衛をしている政征と雄輔はキッパリと断言した。
「確かに甘く見ていましたわ、ならば全力で!!」
シャナの姿を見れば、誰もが自分なら勝てると思うだろう。
しかし、現にシャナは戦う事の出来る皇女として成長してきているのだ。
「いきなさい!ブルー・ティアーズ!そして、このセシリア・オルコットが奏でる円舞曲で踊りなさい!」
セシリアの機体である、ブルー・ティアーズの最大の特徴であるビットを展開してシャナを攻撃し始める。
「あうっ!?死角からの攻撃もできるのですか!?」
「ふふ、容赦はしませんわよ?」
「望むところです!テンペスト・ランサー!」
オルゴナイトの槍を出し、シャナはセシリアへ向っていった。
◇
二人の戦いを政征と雄輔は楽しそうに見ていた。
「すごいな、シャナは。これほどまで成長するとは」
「護るべき愛しい人が離れそうで怖いのか?」
「なっ!?///からかうな!///」
「はは、すまん。つい」
政征をからかいながら雄輔は笑っていたがこうして笑い合えるのも友情が深いせいでもあるだろう。
譲れないからぶつかり合う、どちらも正しいから。互いに研磨していき、乗り越え乗り越えられる関係というのがこの二人だ。
二人が談笑している中で、審判を勤めていた鈴が声を上げる。
「はい、そこまでよ!勝者はセシリア!」
「あ、危なかったですわ」
「悔しいです、あと少しで勝てると思いましたが」
テンペスト・ランサーによってセシリアを追い込んでいたが、
「いい訓練でしたわ、またお手合わせしてくださいね?」
「ええ、もちろんですよ」
二人は互いに支え合いながら待機場所へと戻った。
「さて、次は私達だな?シャルロット嬢」
「お手柔らかにね?政征」
二人が模擬戦闘を始めようとした瞬間、一機の黒い機体が乱入してきた。
その操縦者はラウラ・ボーデヴィッヒ。ドイツの軍人であり代表候補生でもある生徒だ。
「おい、男性操縦者のどちらでもいい。私と戦え」
「俺は断る」
「何故、私達と戦おうとする?」
「教官の弟など取るに足らん、それ以上の実力を持つお前達を倒せればそれでいい」
ラウラの言葉に政征と雄輔は一瞬、顔を顰めた。軍人であり、戦士である以前に戦う意味を間違えていないかと。
「お前と戦う理由はない、早々に去るがいい」
「そうか、ならば戦わざるをえないようにしてやる!」
ラウラの機体であるシュヴァルツェア・レーゲンのレールガンがシャナとセシリアへ向けられる。
だが、それと同時に二人の騎士の姿が消えた。
ラフトクランズのオルゴンクラウドの転移を使い、一瞬でラウラの前後を取った。
「何!?う・・・」
「砲身を降ろせ、撃たないなら何もしない」
「このまま撃つならば圧壊せざるを得ないぞ?ラウラ嬢」
雄輔から突き付けられたのはライフルモードに切り替えたソードライフル、政征は背後からクローシールドの先端を突き付けていた。
「そこの生徒、何をしている!!」
どうやらアリーナ担当の教師に見つかってしまったようだ。
「ふん、今回は引くとしよう」
シュヴァルツェア・レーゲンを解除し、ラウラはアリーナから出て行った。
「訓練どころでは無くなってしまったな、すまないシャルロット嬢」
「いいよ、またの機会に手合わせしてね?」
ラウラの乱入というイレギュラーが発生し、訓練どころでは無かった為に解散という形になりそれぞれが寮に戻った。
◇
雄輔は珍しく学園の校舎ではなく、中庭を歩いていた。
そんな中、大声が聞こえてくる。
「ん?」
気になってその方向へ向かうと千冬とラウラがおり、何かを訴えかけていた。
「何故です!?何故このような極東の地で!」
「何度も言わせるな、私には私の役目がある。それだけだ」
「どのような役目なのですか!?お願いです教官!我がドイツにてもう一度ご指導を!!」
木の陰から雄輔は二人の様子を見ていた。どうやらラウラの故郷であるドイツにスカウトしているようだ。
「(・・・崇拝まで行っているな)」
「そこまでにしておけよ、貴様は自分が選ばれた人間だと思っているのか?たかが15歳の小娘が」
「わ・・・私は」
「早く寮に戻れ、私にはまだ仕事が残っている」
ラウラは走って行き、千冬は雄輔の隠れているほうへ向き直った。
「そこの生徒、覗きが趣味か?」
「人聞きの悪い、偶然居合わせていただけです」
「ふん、まあいい。お前の目から見てラウラを、アイツをどう思う?」
「貴女と力を崇拝し過ぎて視野が狭くなっている。というところですね」
「そうか、私は精神面のケアが苦手なようだ」
千冬は反省するかのように視線を外した。
「誰でも万能ではない。俺の好きな言葉です。苦手ならどうすれば軽減できるか探ればいいんですよ」
「そうか、ではな」
千冬は雄輔のいる方向へと歩き出し、去っていった。
「そこにいるのでしょう?フー=ルー先生」
「おや、私の気配に気づくとはやりますわね」
「これでも鍛錬は怠っていませんから」
フー=ルーは姿を現すと雄輔の近くへときた。
「織斑君がどうしてあのようになったのか、掴めれば良いと思ったのですが」
「精神面のケアが苦手だと言ってましたね」
「そうでしたか・・・やはり」
「フー=ルー先生、いずれ貴女と並び戦える剣となります」
「ふふ、楽しみにしていますわ。その時には是非、私と剣を交えて下さい」
「はっ、我が誓いにかけて」
フー=ルーは騎士としての誓いを受け取ったが一瞬、胸が高鳴った事に違和感を覚えた。
それを振り払い、二人はそれぞれの場所へと戻っていく。
◇
次の日、クラス内では女生徒が騒がしい様子だ。
原因は優勝すれば男性操縦者の三人の誰かと付き合えるという、噂が流れたそうだ。
「デマもデマ、完全なデマじゃないか」
「全くだ、一夏はどう思っているか知らないが」
政征は呆れており、雄輔は興味がないといった様子だ。
肝心の一夏は「シャナ=ミアさんが告白しに来てくれるかな」などと身も蓋もない事を考えていた。
昼食後、女生徒達は一斉に男性操縦者の下に集まってきた。
どうやらトーナメントのルールが変わったらしく、タッグマッチ形式なったそうだ。
「ごめんよ、俺はシャナと組むから無理なんだ」
「俺はシャルロットと組むことになっている」
優勝候補筆頭の政征と雄輔の二人は互いに組む事を禁止されているため、それぞれのパートナーを発表した。
女生徒達は仕方ないなといった様子で諦め、パートナー探しを再開した。
一夏はパートナーを決めるのに難儀しているようで、二人はトーナメント当日に備えることができた。
◇
そんな中、箒は焦っていた。
自分の発した言葉が噂話として流れてしまったからだ。
「な、何故、このような事に!?いや、問題ないはずだ!」
気をつけるべきは青葉雄輔だけ、その他を倒して優勝すればいいと。
「必ず優勝してみせる・・・!」
その言葉に偽りは無いようだが、己の力量を過信しているようにも見えていた。
◇
その日の放課後、セシリアと鈴が鍛錬していた。
目的は優勝ではなく政征と雄輔に当たってしまった場合を想定しての訓練だ。
「はぁ、はぁ、ありがとセシリア。ダメね、龍砲一つじゃアイツ等に勝てないわ」
「政征さんや雄輔さん、フー=ルー先生のやり方を出来るだけ近づけてみましたが、難しいですわ」
「同じライフルでも、アイツ等の武器は一つで二種類あるのと同じだからね。それだけでも非常に厄介よ」
相談している最中、いきなりの砲撃が二人の目の前を通り過ぎていく。
同時に振り返るとそこにはシュヴァルツェア・レーゲンを展開したラウラがいた。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ・・・」
「いきなりの挨拶とは気品にかけますわね」
「ふん、中国の甲龍にイギリスのブルー・ティアーズかデータで見たほうが強そうだったな」
明らかな挑発を受けるが二人はそれを流すと向き直った。
「ならば試してみる?」
「わたくしも同じくですわ」
「いいだろう、来い!」
戦いが始まった中でかなりの騒ぎになっていった。
甲龍は元々、完全な状態ではない。鈴は青龍刀のみで戦っている。
セシリアも援護するがラウラのワイヤーブレードによって攻撃できない。
「くっ(ごめんね、甲龍)」
「終わりだ」
「「きゃあああ!!」」
ラウラの砲撃によって二人の機体は大破してしまう。火花が散っているがラウラはワイヤー・ブレードで攻撃し続けた。
そんな中、オルゴンと思える一筋のビームがシュヴァルツェア・レーゲンを直撃した。
「ぐうう!?誰だ!?」
「少し、おイタが過ぎるのではなくて?ラウラさん」
「な・・フー=ルー教諭?・・・馬鹿な!?あの距離から私に直撃させたのか!?」
緑色の機体、ラフトクランズ・ファウネアを纏ったフー=ルーがアリーナの入口からソードライフルを構えたまま、鈴達を背後にラウラの前へと降り立つ。
「ちょうどいい・・その機体の」
「そこまでだ!すまないな、フー=ルー教諭。狙撃などさせて」
狙撃の後に現れたのは千冬だ、フー=ルーにラウラへの狙撃を頼んだのは彼女だろう。
「構いませんわ、先程の事を見ていれば止めるのが先決でしたので」
降り立つと同時にフー=ルーは機体を解除し、千冬を隣に誘導した。
「模擬戦をやるのは構わんが、アリーナにはお前たち以外にも訓練している者が居ることを忘れるな!」
千冬の言葉にラウラは無言で肯定した。
「それでは、トーナメント開始日まで一切の私闘を禁じます!解散してください!」
フー=ルーの一声に生徒達は全員アリーナから出て行った。
「二人共、立てますか?」
「な、なんとか」
「申し訳、ありません」
鈴とセシリアは負傷しているようだが歩けないレベルではないらしく、フー=ルーと千冬が肩を貸し、保健室へと向かった。
◇
「そんな・・・」
「鈴さん・・気を落とさないで下さい」
二人の手当が終わった後に山田先生が保健室に来て、機体の状態を説明した。
ブルー・ティアーズはダメージレベルがCだったが甲龍はダメージレベルがB、つまり破棄寸前の状態にまでされていた。
「甲龍に関しては中国政府から抗議がきましたが、ある会社がそれを引き取り、修理・改修したいという事で中国政府も納得したようです」
山田先生の言葉に鈴は安堵したが、ある会社というのが気になった。
「ある会社ってどこですか?」
「鈴さんもよく知っているはずですよ?」
鈴はハッとして思い当たる会社が浮かんだ。だが、それでも負けた悔しさとパートナーを破棄寸前にまで追い込んでしまったことに涙を流した。
「ごめんね、ごめんね・・・・!!甲龍・・・!うああああん!」
今は手元にいない自分のパートナーに対して謝罪の言葉と涙を流し続けた。
「(今は放っておいたほうが良いですわね)」
カーテンを閉めて、セシリアは休む為にゆっくりと保健室のベッドの上で瞼を閉じた。
◇
日数が過ぎ、タッグマッチトーナメント当日となった。
男性操縦者三人が全員同じブロックだったが、トーナメント表を見ると最低でも3位決定戦にまで登らなければ当たることは無いようだ。
そして、最初に政征達の初戦の相手が発表される。
「マジかよ・・」
「まさかの相手ですね」
対戦表には、赤野政征・シャナ=ミア・フューラVS篠ノ之箒・ラウラ・ボーデヴィッヒと表示されていた。
◇
ラフトクランズ・リベラを纏った政征とグランティードを纏ったシャナが同時にアリーナへ飛び出す。
既にラウラと箒は待機していたようで構えを取っている。
「まさか初戦とはな、手間が省けた」
「力は所詮、力でしかないぞ?ラウラ嬢」
「ふん」
ラウラとの会話の後にシャナがプライベートチャンネルで話しかけてきた。
「(政征、気をつけてください。篠ノ之さんが貴方を狙っています)」
「(そうか、それなら任せても良いか?シャナ)」
「(はい、フー=ルーもこの試合がテストだと言ってましたので任せて下さい!)」
「(無理はするな、武運を)」
「(貴方も無茶をしないでくださいね政征、武運を)」
ちょうど会話が終わると箒が二人に声を荒らげて来た。
「一夏を惑わした奴め!私が成敗してくれる!!その後には卑怯者の始末だ!!」
「もはや、言葉は通じぬな」
「行きましょう」
試合開始のブザーと共に政征とシャナは同じタイミングで突撃する。
「ふん・・・何!?」
「なっ!?」
突撃した二人は相手を切り替え、ラウラを政征が、箒をシャナが相手をする形になった。
◇
「丁度いい・・覚悟しろ!一夏を惑わす奴め!!」
「私は惑わしてはいません、貴女の目にはそう映るのでしょうが」
箒は剣道のように突撃し、シャナへと向かってくる。しかし今のシャナには箒の行動が非常に遅く見えていた。
「フィンガー・クリーブ、オルゴナイトモード!」
グランティードの両手が結晶に覆われ、左腕で箒の刀を防御し右腕で反撃した。
「ぐはあああ!?何!?」
「自分を守るためには相手を傷つけなければならない。そして、相手を真の死に導いてしまうこともありましょう・・・・」
箒を吹き飛ばしたシャナはテンペスト・ランサーを構えると、決意を持った瞳で箒を見据える。
「来なさい!私はもう、戦いを怖がりません!」
その瞬間、シャナに変化が起こった。
グランティードにオルゴナイトのマントが現れ、バジレウスの竜首を模した砲塔が肩に装着された。
[グランティード、出力リミッター解除。バジレウス第一段階、リミッター解除]
という表示が出ている。
「グランティード、応えてくれたのですね」
これは二次移行ではなく、純粋に本来の出力に戻った状態だ。
今まではシャナの力量に合わせて出力を抑えられていた為、従来の40%しか出力が出ていなかった。
シャナの努力と決意によってグランティードは本来の力を出せるようになった。
「虚仮威しに過ぎん!行くぞ!!」
箒は立ち上がると再び斬りかかった。それをシャナはテンペスト・ランサーで受け止める。
「篠ノ之さん、貴女とは良き友人になりたかった・・・。バスカー・モード!起動!」
シャナの口から全力を出すという言葉が発せられた。今まで封印されてきた本来のテンペスト・ランサーが起動する。
「はあああ!」
今までのシャナではありえない程の高機動と正確な攻撃で箒を攻撃していく。
「まだです!」
ランサーが回転し、箒のISである打鉄のエネルギーを削っていく。
「こ、こんな!一夏を惑わした奴に!!」
[篠ノ之箒、エネルギー0]
「私の決意は揺るぎません」
パートナー脱落の放送と共にシャナは政征の援護へと向っていった。
◇
「シャナ・・ついにグランティードを乗りこなしたのか、負けていられぬな」
「ふん、貴様などにこのシュヴァルツェア・レーゲンは倒せん!」
「どうかな?駆けよ!ラフトクランズ・リベラ!」
ソードライフルをソードモードに切り替え、刀身を形成すると同時にラウラへと突撃する。
「行くぞ!」
「そのような愚直な行動はAICの・・・何!?」
ラウラが驚くのは当然だろう、得意の結界を使おうとした瞬間に懐に潜られていたのだ。
「たあ!うおお!!」
「ぐあっ!」
「出よ!オルゴナイト・ミラージュ!」
剣撃を撃ち込まれ、ラウラは怯むが政征はオルゴナイトの結晶によって作られた分身を出現させた。それに捕まったラウラ
「な、なんだ?うっ、動きが!」
「せええええい!!」
横薙ぎの一閃と共に結晶ごとラウラを斬ったが、エネルギー自体はあまり削れていない。
「ぐ・・貴様ぁ!!」
「む!?」
プラズマ手刀とワイヤー・ブレードによる攻撃を激昂したラウラは、政征に向けて撃ち込んでくる
「くうう!攻撃が見切りにくい」
回避が出来ない為、シールドクローとソードを使い受けに廻っていた。
戦いにおいて守りよりも、圧倒的に攻めの方が有利だ。
「もらった!」
「オルゴン・ブラスター!」
「うぐっ!?何だ?」
「政征!」
その窮地を救ったのはシャナだった。オルゴン・ブラスターをラウラに放ち、動きを止めたのだ。
箒との1体1の戦いを終わらせ、援護に駆けつけたのだ。
「シャナに助けられる時が来るとはな」
「それだけ私も強くなったという事でしょう」
「行くぞ!」
「はい!」
二人のコンビネーションはまるで社交ダンスのように抜群であった。
足りない距離を補い接近戦を政征が、遠距離をシャナが受け持つことでラウラを追い詰めていく。
「捉えたぞ!!」
ラウラがグランティードに視線を移した隙を狙い、シールドクローを展開し、オルゴンクローで捉えた。
「ぐ!がああああああ!?」
そのまま、アリーナの地に叩きつけられ引き摺られた後、遠心力をかけ投げ飛ばされる。
「シャナ!」
「はい!オルゴン・スレイブ!」
投げ飛ばされたラウラへシャナがオルゴン・スレイブでの追撃を確認した後にオルゴンクラウドで転移し、クローで地に叩きつけた。
「がはっ!?こ、こんな・・・」
シュヴァルツェア・レーゲンは中破し、ラウラ自身もボロボロの状態だ。
「(嫌だ・・・私は・・・負けたら終わってしまう・・・ふざけるな・・こんな事で)」
『願うか?汝、自らの変革を望み、より強い力を欲するか?』
「(よこせ!何者にも負けない唯一無二の絶対的な力を!!)」
Damage Level・・・D
Mind Condition・・・Uplift
Certification・・・All Clear
《Valkyrie Trace System》・・・・Boot
「うああああああああああ!!!!!!!」
より強い力を望んだラウラは形が崩れたシュヴァルツェア・レーゲンの中へと取り込まれていく。
その願いを叶えた姿が明確になってくる。
それはかつての世界最強の姿、現役時代の織斑千冬そのものだ。
「・・・そうまでして、己自身を犠牲にしてまで憧れた人物になりたいと願うのか!ラウラ・ボーデヴィッヒ!!!」
取り込まれたラウラに対し、政征は大声で叫んでいた。
長い・・・。
くどくなったかもしれません。
鈴は甲龍への謝罪、機体が大破!スパロボ的にこれはイベントだ!
シャナの覚醒、戦いにおける決意を身につけました。
セシリアは自分の思いに気づき、キチンと整理しました。