Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
転校生二人登場
以上
「はい、これで手当は終わったわよ」
「感謝する、鈴」
「良いのよ、この位」
負傷した雄輔を手当するために鈴と共に保健室に来ていた。
一夏と政征は千冬に呼ばれ、先に会議室へ向かっていた。
鈴と雄輔も手当が終わり次第、会議室へ来るよう言われている。
「会議室へ行きましょう」
「ああ」
会議室に入ると、今回のアリーナ襲撃事件において関係した人物達が全員いた。
「さて、最初に名乗りましょう。私はIS学園学園長、轡木十蔵と申します」
この場にいる生徒全員が驚いていた。IS学園の学園長は女性とばかり思っていたからだ。
「では、会議を始めましょう。今回の襲撃事件において、です。織斑先生」
「はい」
千冬が前に出て資料を手に取り、説明を始めた。
「襲撃してきた機体はISであり、同時にパイロットの居ない無人機である事が確認されました。更に、この場には居ませんがフー=ルー教諭によると襲撃してきた三機はアシュアリー・クロイツェル社において訓練機とされている機体だという事です」
「ふむ、では。アシュアリー・クロイツェル社の企業代表候補生である赤野政征君と青葉雄輔君の意見を聞きたいと思います」
轡着学園長の言葉に二人は頷いた。
「分かりました」
「どこから話せば良いでしょうか?」
「そうですね、機体に関してという所からお願い致します」
「分かりました、お話します」
二人は一歩前に出ると電気が消え、スクリーンに写った画像を基に話を始めた。
「まず、この平均的な機体がリュンピー。バランスがよく距離を選ばない戦いが出来ます」
スライドを移動させ、次に肩が膨らんだ機体の説明を雄輔が担当する。
「次に肩が膨らんでいる機体をガンジャールといい。射撃武装はありますが牽制程度にしか使えません。最も接近戦に特化した機体です」
最後の一枚のスライドを表示し、最初に政征が説明する。
「そして最後にこの巨大な砲身を持つ機体がドナ・リュンピー。格闘武装が一切無く、遠距離射撃戦に特化した機体です」
期待説明が終わるとスライドが消え、電気が点灯する。
「これらの機体は全て、リュンピーを基に改修された物ですが訓練機として使われている為、外部に流出する事は限りなくありえないことです」
「ふむ・・・では、強奪の可能性は?」
説明の途中で千冬が意見し、二人は同時に千冬へ向き直る。
「それも可能性は低いでしょう、訓練機とはいえISです。アシュアリー・クロイツェル社では訓練後に管理ロックがかけられてしまう為、強奪は難しいです。もっと言えば黒のリュンピーは存在していません」
政征の説明に千冬も納得する。
企業代表候補生ともなれば会社内部での動きを知っているからだ。
「可能性としてあり得るとすれば一つだけです」
「なんでしょうか?」
雄輔の言葉に轡着を始めとする全員が一斉に雄輔を見る。
「外部ネットワークからのクラッキングです。機体データを盗み出せれば機体を製造する事は可能でしょう。最もアシュアリー・クロイツェル社のセキュリティを掻い潜る事の出来る知識と腕前。それに製造場所があればの話ですがね」
雄輔の言葉に誰もが納得せざるを得なかった。
アシュアリー・クロイツェル社製の機体を使っているとはいえ、企業代表が説明し世界的大企業にハッキングをかけたところで追跡されてしまうと考えている。
「では、襲撃に関してはアシュアリー・クロイツェル社に調査を依頼するという形でよろしいですね?」
轡着の言葉に全員が頷いた。
「あの、もう一つ聞きたいんですけど」
そういって手を挙げてきたのは鈴であった。
「はい、なんでしょうか?」
「そこに居る、篠ノ之箒の処分についてです」
「なっ!?」
自分が名指しで呼ばれると思わなかったのだろう、箒は驚愕していた。
「ふむ・・そうですね。説明をお願いできますか?凰鈴音さん」
「はい。篠ノ之箒は今回のアリーナ襲撃において避難命令を無視し、アリーナにある放送室に無断で入り込み無断放送をした上、被害を抑えようとした青葉雄輔氏を負傷させています」
「なるほど・・・篠ノ之箒さん。何か意見はありますか?」
「わ、私は一夏の為に激を飛ばしただけだ!それのどこが悪い!」
箒の言葉に鈴が言い返そうとするが、それに対して意見したのは意外にも雄輔だった。
「どこが悪いだと、全て悪いに決まっているだろう?男の為に激を飛ばす女か、確かにそれは勝てる要因だろう。空想の世界でならな」
「何!?」
「具体的な例を出そうか。武器を持たずに拡声器だけを持って、銃弾が飛び交う戦場に味方を応援しに行ったらどうなる?お前が襲撃時にやった行動はそれと同じ事だ」
雄輔が出した具体例は皆が一瞬で答えが理解できる程に分かりやすかった。
そんなことをすれば真っ先に狙われて命を落とす事が明確だ。
「それでも、私は何も間違っていない!」
感情に任せて箒は叫んだが誰も耳を傾けなかった。
「では、篠ノ之さんには一週間の謹慎と反省文50枚の罰則を与えます」
「なっ!」
「これにて会議を終えます。解散」
◇
会議が終わり、廊下へ出ると同時に箒は雄輔へと竹刀で襲いかかってきた。
「青葉雄輔ェェ!!!!」
「単純な唐竹割りだな」
雄輔の目には遅く見えており、この行動が箒にとって最も屈辱的な事となった。
「・・・っ!」
振り下ろされた竹刀を横へ避けると同時に箒の手首を掴み、軸として回転させ投げ落とすと持っていた竹刀を奪い取り箒へ向けた。
「ぐっ!?なっ・・今のは!?」
「無刀取りだ」
無刀取りとは合気道によく似た技の一つであり、武器を持っている相手から武器を奪い取り相手を制する技だ。
「無刀取り・・だと、何故貴様が」
「俺も必死になって鍛錬したからだ、だから今は出来る」
雄輔の目には箒に対し、哀れみしか映っていなかった。
これだけの剣の実力がありながら独善に走ってしまうのは何故なのかと。
「哀れすぎる」
そう言い残し、雄輔は持っていた竹刀を投げ捨てると去っていった。
◇
アリーナ襲撃事件から二週間が経ち、教室にはいつもの光景が広がっている。
違う事といえば織斑先生が教壇ではなく、教室の後ろの隅に居ることだ。
「それでは、ホームルームを始めますね」
教壇には副担任の山田先生と臨時の担任になったフー=ルー先生が立っていた。
臨時といっても教室内での話であり、正式に担任になった訳ではない。
織斑先生が教室の隅にいるのには理由があった、それは一夏の監視である。
シャナの護衛として政征と雄輔がいるが、それだけでは監視不足だろうと千冬自らが名乗りをあげたのだ。
他の生徒達は気が気でないが私も鬼ではないと、言っているが効果は薄い。
教壇からはフー=ルー先生が、後ろからは織斑先生と二重の監視をしている。
「では、今日の連絡をしますわ。本日このクラスに転校生が来ます。それも二名です」
転校生という単語に即座に反応し、クラスはざわつくがすぐに収まる。
「それでは、入ってきて下さい」
教室に二人の人物が入ってきた。
一人は金髪の髪に中性的な顔立ち、男装すれば女性だとはわかりにくいだろう。
女性特有の胸元の膨らみが女性であることを教えている。
もう一人は小柄だが眼帯で片目を隠しており、色素の薄い事を示す銀髪が神秘さを醸し出している。
「自己紹介をお願いしますわ」
「はい、シャルロット・デュノアといいます。フランスから来ました、不慣れな事も多いですがよろしくお願いしますね」
名前を教えた瞬間にまたざわめきだすが、後ろのオーラに当てられ静かになる。
「では、次の方お願いしますわ」
「・・・・」
「お名前を」
銀髪の少女はフー=ルーの視線に怯んだが持ちこたえた。
「ぁ・・ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「あ、あの?それだけですか?」
山田先生が声をかけるがラウラと名乗った少女はすぐに答えた。
「以上だ。・・・っ!貴様が!」
ラウラは一夏を見つけると同時に近づき、平手打ちをした。
「っ!いきなり何をしやがる!?」
「認めない・・・貴様のような者があの方の弟などと・・!」
そう言って今度は政征と雄輔の近くへと来た。
「お前達。強いな?」
「雑談は休み時間にしてくれるかな?」
「早く席に着くといい。織斑先生に怒られる」
「・・・そうだな」
ラウラはすぐに指定された席に座った。
この後に起こる事件がシャナの力の一部が目覚めるとは思わなかった。
これにてIS勢が全員集合。
シャルロットは本来、デュノア社の命令で男装して転校してくるのですが、この世界のデュノア社はアシュアリー・クロイツェル社に吸収されています。
その際にシャルロットの両親は政府との癒着や不正を暴かれ、刑務所で鉄格子をガタガタ揺らしてます。
シャルロットはある人達の養子となって、ある女性の義妹になっています。
ヒントを出すなら「愛憎の果てにヨリを戻した二人」とだけ言っておきます。
アンケートの方ですが結果に同数があったのでスパロボ特有の方法で解決しようと思います。
スパロボの世界にはタイプRとタイプLがある。
ここまで言えばスパロボ特有の方法は分かりますよね。