Moon Knights IS〈インフィニット・ストラトス〉 作:アマゾンズ
以上
※補足
上記はスパロボJやMDをプレイした方には分かると思いますが、セリフや風景描写によっては今回の話はかなりの嫌悪感を持たれると思いますので注意書きをしておきます。
それでも大丈夫という方だけお読み下さい。
今回から嫌悪感を持ちそうなシーンを書く場合は注意書きします。
授業が終わり、放課後のアリーナにおいて三人の人影があった。
三人全員がISを展開しており、話し合っていた。
「それがお前の機体か?雄輔」
「ああ、お前と同じラフトクランズだ。正式名称はラフトクランズ・モエニア」
「モエニア・・ラテン語で城壁か。堅牢そうな名前だな」
「あの、特訓を始めてもらえませんか?」
「わかった、俺だと加減しちゃうかもしれないから雄輔、頼む」
「ああ」
シャナの催促に促され、政征はピットから二人の戦いを見物する。
「シャナさん、手加減はしないからな?」
「私もです、いつまでも弱いままではないのです」
試合開始のブザーが鳴り、戦闘が始まる。
「オルゴン・ブラスター!行ってください!!」
シャナの機体は玉座機であるグランティードがISの形となったものだ。
サイトロンによる操縦補助によってある程度は操縦も可能だ。
フー=ルーとのマンツーマン指導によって戦闘もこなせるようになってきている。
先制攻撃で放たれたオルゴンエネルギーを雄輔は回避する。
「オルゴン・ブラスター?グランティードなのか・・・あの機体」
機体の正体を知って冷や汗をかいた。グランティードは遠距離、中距離、近距離をこなす事のできる万能型の機体だからだ。
相手が皇女だと思って甘く見ていた部分があった。しかし彼女は今、剣を持つ皇女に成長し始めている。
「全力で行かないと負けるか、これは、な!!」
雄輔は反撃に移り、ソードライフルをライフルモードにし、単発のエネルギー弾をガンスピンを交えて放った。
「!!政征とは違って拡散しているのですか!あっ!?」
グランティードの肩に当たり、エネルギーが削られる。
政征はそれを黙って見ているままだ。皇女であり、自分の恋人であっても一度戦場に立てば、男女など関係ないからだ。
「雄輔さんは正確な一撃、それを支える冷静さを持っているんですね。政征とは違った戦い方で参考になります」
「見事な観察眼だ。あの攻撃だけでそこまで見抜くなんて」
「私も接近戦で参ります!テンペスト・ランサー!」
オルゴナイトの結晶によって作られた槍を構え、スラスターを吹かせ、接近する。
「なっ!?ここでテンペスト・ランサー?ISになった事で接近戦の武器になったのか!それなら、オルゴン・マテリアライゼーション・・・・!」
ライフルモードだったソードライフルをソードモードに切り替え、刀身を形成する。
「はあああ!!」
「っ!?突きが速いっ!」
グランティードから放たれる槍の突きが雄輔を追い込んでいく。
これはシャナ自身の努力とサイトロンの補助によるシンクロ効果によるものだ。
「っ!うおおお!!」
強引に槍を捌き、オルゴンソードを振り下ろす。
それを慌てた様子も無くシャナは反撃した。
「フィンガー・クリーブ!オルゴナイトモード!!」
「何!?しまった!うああああ!」
この戦いで初めて地に着いたのは雄輔だった。シャナはテンペスト・ランサーを戦略に使い、フィンガー・クリーブによる一撃を打ち込んだのだ。
「まだ、終わりませんよね?」
砂煙から僅かに三つの輝きが見えてくる。
「チャージ完了!オルゴンキャノン!広域モード、ヴォーダの闇へ逝け」
「この砂煙の中でオルゴンキャノン!?きゃあああ!!」
放たれたオルゴンキャノンはグランティードの左腕部に当たってしまう。
それと同時に時間切れ伝えるブザーが鳴る。
「あら?時間切れですか?」
「みたいだな、これからだったのに」
「引き分けですか?」
それを聞いた雄輔は首を横に振った。
「地に着けられたからな、その時点でシャナさんの勝ちだよ。でも、これは本当の勝利じゃない、相手を倒して始めて勝利なんだ」
「はい」
「二人共、お疲れ様。はいドリンク」
「ありがとうございます」
「助かる、ふう」
三人がそれぞれ休憩しているとアリーナに誰かが入ってきた。
一夏、鈴、セシリア、箒の四人だ。
「あれ?シャナ=ミアさんや赤野達もいたのか」
「そっか、アンタ達が訓練してたのね」
「お疲れ様ですわ」
「ふん・・・」
やはり、一夏の視線はシャナに向いている。その視線、ストーカーみたいだぞ
「ああ、ちょうど休憩してるところさ」
「そう、じゃあ・・先に使わせてもらうわね。一夏!行くわよ!!」
「え、ああ・・わかった」
一夏は乗り気でない声を出しながら鈴達とアリーナで訓練を始めた。
一時間半もした時には全員が休息をとっていた。
「なぁ、シャナ=ミアさんと模擬戦してみたいんだけどいいか?」
「え?私とですか?」
「ああ、シャナ=ミアさんの機体がどんなのか気になってさ」
一夏はこちらの意見を聞く耳を持っていなそうだ。
「雄輔、オルゴン・クラウドの転移をいつでも出来るようにしといてくれ。万が一のために」
「?ああ・・わかった。迂闊にラースエイレムを使うわけにもいかないしな」
「頼んだ。俺はいつでも出られるようにしておく」
騎士の二人はこっそりと相談して一夏へ近づいた。
「俺達は構わない、色んな相手と戦う事は学べるしな」
「政征の言うとおりだな、俺は織斑の機体を見てみたい」
そうしてシャナと一夏の模擬戦の準備が始まった。
◇
「(シャナ=ミアさん、やっぱり綺麗だよな)」
「一夏ー!ちゃんと集中しなさい!負けるわよ!!」
「女の子に負けられるかってんだ」
変に意気込む一夏は自分の状態を把握していなかった。機体が万全でも操縦者が万全でないならコンディションは落ちるからだ。
「行きますよ、一夏さん」
「おう!こっちも行くぜ!!」
試合開始のブザーが鳴り、戦闘が始まる。
「これで行きます!オルゴン・スレイブ!」
菱の形をしたエネルギーが一夏へ向けて発射される。
「うお!?すごいな・・・機体も綺麗なだけじゃないって事か」
オルゴン・スレイブは射程こそ長いが、形の大きさゆえに照準を合わせづらい。
そのデメリットによって一夏に回避されてしまう。
「俺だって負けないからな、うおおおお!!」
「ブレードによる接近戦ですか!なら、テンペスト・ランサー!!」
オルゴナイトの結晶の槍を持ち、ブレードを受け止める。
「く・・ううう!」
「腕力で女の子には負けねえよ!」
ここで差が出てきたのが純粋な筋力だ、シャナにとって競り合いは最も苦手としている。
「ねえ・・・一夏の奴、何かおかしくない?」
「そうですわね、まるでシャナ=ミアさんが疲れてくるのを待っているみたいに」
「それは普通の事だろう」
鈴、セシリアは一夏の戦い方に対して違和感を抱いていた。
本来ならば一撃必殺を狙うのが白式の正しい戦い方であり、今の戦いは競り合いを続けている。
違和感を戦略として見ている箒には一夏の狙いなど分かるはずがなかった。
◇
「うう・・・」
「もらった!シャナ=ミアさん!!」
テンペスト・ランサーを雪片で弾き飛ばすと同時に、一夏はシャナの両腕を掴んだ。
「な、何を!?」
「やっぱり綺麗だな、間近で見ると本当に・・・」
「何を言っているのですか?今は訓練の最中ですよ!?」
シャナは声を荒らげて怒鳴るが、今の一夏の耳にそんな声は聞こえていない。
「シャナ=ミアさん・・・俺」
一夏の顔が迫ってくる、普通の女性ならば嬉しい状況のはずがシャナにとっては恐怖でしかなかった。
「嫌!嫌ぁ!!助けて!!」
首を振って拒絶の意志を示し、シャナの悲鳴がアリーナに響くと同時に待機していた二人の騎士が転移する。
「何を・・・やって・・!いる!!!」
駆けつけた政征と雄輔はシャナを守るように立ち塞がり、クローシールドで一夏を殴り飛ばした。
「ぐはあっ!?」
殴り飛ばされた一夏はアリーナの地に叩きつけられた。
「大丈夫か?シャナ」
「どうやら無事のようだな」
シャナは恐怖で震えており、政征達の後ろに隠れていた。
「うう・・なんだよ!?模擬戦中に!」
立ち上がって来た一夏を無視し、政征は雄輔に頼みごとをしていた。
「雄輔、シャナとグランティードを回収してアリーナの観客席へオルゴン・クラウドで転移してくれ」
「政征?」
「頼む・・・もう堪えるのが限界なのだ。だから、頼む」
政征の頼みに雄輔は頷いた。自分には分かる、こうして冷静な口調で話しているのもギリギリなのだということが。
「わかった。だが、怪我だけはするなよ?」
「政征」
雄輔はシャナとグランティードを回収し、オルゴン・クラウドによる転移を使って観客席まで距離を開けた。
「無視すんな!模擬戦中に乱入して恥ずかしくないのかよ!!」
「黙れ!!!!!!」
政征の目には明確な怒りが宿っていた。それでも冷静な口調なのはラフトクランズ・リベラのおかげなのだろう。
「お前は何をしていた、あれが模擬戦だと?女を手篭めにしようとするようにしか見えなかったぞ!!織斑一夏!!」
政征は理性が僅かながら残っていた。今すぐにでも攻撃したいがそれをしないのは騎士として話を先にするべきだと思っているからだろう。
「あれは普通の事だろ?武器を無くして掴まれるなんて有り得ることじゃないのか?」
[推奨BGM 『Moon Knights』MDアレンジ]
ブチッ・・・・。
その言葉を聞いた瞬間、政征の中にある理性の糸と堪忍袋の尾が完全に切れた。
「ふざけんじゃねぇぇ!!このカスがぁ!」
言葉と共にソードライフルをライフルモードに展開し、ガンスピンを交えて一夏へ放った。
「な、なんだよ!?うわっ!?」
回避するも最後の三発目に当たってしまい、そのまま転がるが唯一の武器である雪片を手にした。
「うがあぁあぁっ!!殺す殺す殺す殺す殺ぉす!!!」
戦いにおいて政征は戦場にいる覚悟を持ちながらも、騎士としての威厳は失っていなかった。
だが、今の政征は理性を失い威厳さえかなぐり捨てて一夏を倒そうとしていた。
「不意打ちなど卑怯だぞ!恥を知れ!!政征!!」
「うるっせえええええええんだあああああああああ!!」
箒が言葉を発したがその数倍の怒号に箒は怯んでしまった。
狂気と怒りが頂点に達している政征にとって、箒の言葉は火に油を注ぐ行為と同義だ。
「箒に声を荒らげやがってええええええええ!!!」
通常状態のブレードで政征に斬りかかるが政征は防御をしなかった。直撃したはずだが政征に応えた様子はない。
「ふん・・・効かねえ効かねえ効かねえぇぇぇ!!そんな程度じゃあなぁぁ!」
「なっ!?」
一夏は今の政征に恐怖を感じていた。遊びではなく本気で潰そうとしている、狂気の騎士に対して。
◇
箒以外のメンバーは政征の怒りと狂ってるかのような状態に震えていた。
「ア、アイツ、マジギレしちゃってない!?かなり不味いわよ!あのバカ!導火線に火をつける真似して!」
「こ、怖いですわ・・・。政征さんが情け容赦が無くなると此処まで」
鈴はなんとか恐怖に耐える事が出来ていたが政征と戦った経験のあるセシリアは恐怖から顔を青ざめさせていた。
「くっ、くそ!こうなったら!!」
一夏は切り札である零落白夜を使おうとしたがそれは叶わなかった。
「零落白夜は使わせねえええ!!砕く砕く砕く砕く!!砕いてやるってんだよォ!!」
目の前の相手がシールドクローのクローを展開し、白式を纏った一夏を捉えていたからだ。
捉えると同時にアリーナの地に叩きつけ、引き摺られ続ける。
「うあああああああ!!」
「まだだぁ!!」
遠心力を着けて投げ飛ばし、そのまま叩きつける。
「ぐはぁっ!?ううう・・・」
「圧壊しろぉよ!死ね死ね死ね死ねえ!!」
更には展開を解除したシールドクローを突き刺し、そのまま展開したのだ。
白式のシールドエネルギーが完全に枯渇し、一夏は気絶寸前だった。
「まぁだ、生きてやがるのかぁ!!」
政征が止めを刺そうとクロー振り上げた瞬間だった。
「止めろ!!」
「止めて下さい!!」
それを止めたのは雄輔とシャナの二人だ。
「もう止めろ、そのまま無傷のままで終わらせろ」
「私は大丈夫です!ですから剣を収めてください!政征!!」
二人の訴えに政征は冷静になり、シールドクローを下ろした。
「ちっ・・・白けちまった。でも、シャナが無事だったからいい」
「行くぞ?フー=ルー先生に報告しないとな」
「私も行きます」
ISを解除し三人はアリーナへの出口へ向かった。その途中で鈴、セシリア、箒の三人は政征の口から確かに聞こえた言葉が頭の中で響いていた。
「シャナを傷つけるならお前達でも許さない」と。
とうとう、政征がキレました。
目の前で自分の恋人が他の男に襲われてたらそりゃキレるよね。
ちなみにボコボコされた一夏はシャナに両手を封じてキスしようとしてました。
鈴とセシリアはそれに気づき、助けようとしていましたがアリーナのバリアに阻まれて無理でした。
政征はこの後、反省文を書いてます。白式は無事です。
そろそろアンケートを締め切ろうと思います。次のアンケートは誰を強化対象にするかです。