セリューside
(なんだこいつは・・・)
目の前の悪党を観察する。
すらりとした無駄のない筋肉。武道などたしなんでいるのは間違いない。
服装は、黒い腰布だけで裸足。
そして、自身の素顔を隠すための不気味な仮面。
しかし、そのことすら忘れてしまうほどの『異常』がある。
目の前に居る筈なのに気配が全くしないのだ。
まるで、人間ではないようでただ、ただ不気味。
(何であれコイツは確実に『悪党』!!)
「コロ、加速!!」
「Gyaaaaaa!!」
コロは身体を回転させながら標的に突撃する。
ザイードside
「Gyaaaaa!!」
ぎゃあああぁぁぁ!!?
とんでもない速度で突っ込んでくる帝具を軽業師真っ青のアクロバティックで避け、距離を取る。
その瞬間、後ろでは地面が抉れる音と何かが壊れる音が響く。
と、とんでもねぇ奴に出くわしてしまった。もう、後ろを振り返りたくないね。
駄目?だよね・・・。
かるく後ろを確認。
冷汗が止まらない。もう、滝の様に流れている。
|ω・)ちら
「・・・・・」 無傷
でーすよねぇー(泣)
さて、ここで問題。
なんでわざわざアクロバティックな方法で避けたでしょうか?
正解は・・・・
逃げるんだよオオオォォォ!!
「な!?」
ふぅあははははは!!
勝てるわけねぇだろうが!!あんな耐久値お化け!!
さて、アサシンの持ち味は何か?
それは圧倒的な素早さと気配遮断能力による一撃離脱にある。
そのため、アサシンは他のパラメーターが犠牲になりがちなわけだがその中でも耐久値が低いことが多い。
李文書?ああ、あれは例外だから。
「待て!!」
うお!?帝具に乗って追いかけてきやがったぞ!
しかも銃、乱射してるし。
このままじゃ、街にもダメージがいくな。しゃあない、外まで誘導するか。
すぐさま、反転。そこからトップスピードで突っ込みコロと呼ばれた生物帝具を踏みつけ。
「な!?」
驚愕するセリューを尻目に再び逃走。
「くっ!?コロ、追いかけて!!」
よし、乗ってくれた。
さて、森まで出ますか。
・・・なんか忘れてるな。
まあ、いいか。
それにしてもどうやって殺るか。
仕事モードに感覚を切り替える。
・・・・まず、第一にセリューを殺すかどうか決めるとしよう。
彼女はいうならば洗脳状態に近い。自身のトラウマを克服するため『正義』を妄信している。
故に、それさえ解ければ一般的な人間になるやしれん。
・・・・が、現時点では治す手段を持っていない。そのうえ、下手に手を抜けば帝具に殺される。
厄介なことに他の『山の翁』と違い宝具も使えぬ。
「む?ここは・・・?」
帝都から離れたのは良かったのだが見覚えがある場所に着いた。
「罠を仕掛けた場所・・・」
つまり、足元には地雷(自称)や落とし穴、トラばさみ、爆薬の入ったものなどがあるわけだ。
「やっと、観念したか、悪党!!」
「・・・・・」
ふむ、上手く巻くことが出来そうだな。
「おい、そこの者何をしている!!」
・・・・おい?速くないか?
思わず仕事モードから通常モードに切り替わる。
「私は、帝都警備隊のセリュー・ユビキタスです。賊を殺す為手伝ってください!」
ああ、まずい。俺の直感がマッハで逃げろと騒いでる。
「・・・どうする?クロメ」
「もちろん、殺すよ。新しい人形の動作確認のために、ね」
後ろをゆっくりと振り向く。
そこには、ドーヤの暗殺対象であるクロメが居た。
ああ、全くこんな大切なこと忘れるとか・・・。
死ぬかも。
まだ、帝都の夜は終わらない。
誤字脱字、感想お待ちしております。