はい、どうもこんばんは。街で服を買ってもらったザイードです。
現在の時刻は夜の十二時。いやー、楽しい時間はあっという間だった。
服を買ってもらい、昼食を食べ、買い物しながら帰る。
うん、言葉だけだと恋人同士の一日みたいだな。
・・・まぁ、買い物はドーヤの銃を直すのと俺の武器を見繕っていたので恋人同士の買い物と言うより、仕事仲間との資材調達みたいな感じだったが。
既に、ドーヤは寝ている。
で、なぜこんな夜更けに起きているかと言うと・・・・
「なんで、俺と同じ部屋何ですかねぇ・・・・」
何故か、同じ部屋に寝ることになったからデス。
いや、内心凄く嬉しいよ。
ドーヤが信用してくれてるみたいでね?
でも、こっちは見た目カッコいい(あくまで個人の感想です)暗殺者だけど精神年齢十七の高校生ですよ?
緊張して眠れるわけないだろう!!
「と言うわけで、夜の帝都に向いたいと思います」
俺の知っているアカメが斬るの世界では帝都は腐っている。
だが、それは漫画の世界。
実際は、腐っていないかもしれない。
俺は確認の為、夜の街に飛び込んでいった。一縷の希望をかけて・・・。
今夜は雲が月の光を遮り、夜の闇を一層深くしている。
今回は屋根から屋根ではなく普通に歩くことにした。
今の状態は勿論、仕事モード。
腰布と髑髏の仮面を付け街の中を歩いて行く。
己の足音もなく、気配もない。完全に気配遮断を習得できたようだ。
やはり、ハサンの身体は最高だぜ!!
なんて、考えていると路地に嫌な気配を感じた。
確認の為、路地に入る。
そこには・・・
幼い少女とその子より少し年上の姉の様な女の子に刃物を突き付け下卑た笑いをしている五人ほどの男がいた。
「嬢ちゃん?いいか、ここでは俺たち帝都に住んでいる人間が偉いんだよ。わかる?お前みたいな異民族の餓鬼は俺達に奉仕しなくちゃならねぇわけ」
「ひっ」
ナイフを突きつけられ怯える年上の少女に歪んだ笑顔でリーダー格の男が語りかける。
「といっても俺達は其処まで鬼じゃないから安心しな。お前が丁寧に俺達を満足させてくれたならそっちの餓鬼は見逃してやるよ」
後ろに庇った幼い少女を彼女は一瞥し、少女は諦めた様に服を脱ごうとする。
ぷっちーん。
・・・・・はーい、理解した。漫画の世界とほぼ同じだな。
なら、遠慮はしないぞ?
「そうそう、聞き分けのいい子だ・・・ゲガッ!!?」
ハサンの身体能力を駆使し、壁を音もなく蹴り進め、男の上まで移動。
それから回転を入れながら男に踵落としを決める。
べゴッッ!!!
肩に当たった踵落とし。嫌な音と感触が足に伝わる。
「いあぎゃ・・・・!!?」
思わず持っていたナイフを落とし、あまりの痛みに肩を押さえる屑。汚い声で叫ぶ前に喉に掌底を打ち込みそのまま壁にたたきつける。
流れるように、棒立ちの二人目にハイキックをお見舞い。
これまた嫌な音が裏路地に鳴り響く。
「あ・・・ああ!!?」
残る三人は尻もちをついて言葉にもならない声をだしながらこちらを見る。その目は先ほどの弱者を狩り喜ぶ目ではない。
「・・・・・・・」
幾ら怯えたところで、結果は変わらない。
そのまま、蟻をつぶすように一人ずつ胸板を踏みつける。
「た、たすけて・・・!!」 ベコッ!!
・・・他愛無し。
最後の一人を踏み潰す。嫌な音は聞こえたけど、ま、死んではいないだろう。
それに、これにこりたら変なことしないだろう。
それにしても・・・
はぁ。やっぱり、腐っていたか。
俺はこの世界に来て最大級のため息をついた。
この世界で分かった事。
漫画と同じ様に、この国は腐っていること。てことはこれよりひどいことも起こっていると・・・。
・・・漫画通りだとしたら俺の精神もつかなぁ。
色々と救いがない世界だし。どうしたもんか・・・。
「あの・・・」
後ろから声をかけられる。
やべ、すっかり忘れてた!ど、どうしたら・・・。
「あ、ありがとうございました」
少女の声は若干震えている。
そのおかげで平常心を取り戻した。
「いえ。お怪我がなくてなりよりです。しかし、こんな夜更けに幼子二人が外に出るのは感心しませんな。さ、お家に帰りなさい」
家に帰る様に諭す。
うむ、ハサン先生モードはいいな。こんなにもスラスラ言葉が出る。
「・・・・い」
「ん?」
「お家、無いの」
今まで、姉の後ろに隠れていた妹らしき少女の答え。
・・・なるほど。なら・・・
「あてはあるのか?」
「・・・いいえ」
「じゃあ、ついてくるか?」
「え?」
よし、決めた。
助けたのなら最後まで面倒見るべきだ。最悪、独り立ちできるまでは。
偽善者だって?
やらない善より、やる偽善ってな。
正論ばかりで自分を固めるより自分が正しいと感じた事をやった方が後で後悔しないもんだ。
「どうする?」
少女達に問いかける。
来るも来ないも二人の自由だ。
「・・・いいの?」
「ええ、貴方達が良いのなら」
幼い姉妹は、少し考えスッと手を伸ばしてきた。
その手を優しく握る。
「よろしくお願いします」「します」
「ええ、任されました」
こうして、暗殺者は幼い少女の手を引き自身の宿に帰っていった・・・・。
次の日
「ねぇ、ザイード。言い訳あるかしら?」
「ありません」
はい、おはようございます。ザイードですよ。ただいまの時刻は朝の六時。
いやー、今日も快晴で太陽が眩しいZE!!
昨夜の姉妹は俺のベッドでぐっすり寝ていますよ?
ん?じゃあ、お前は起きていま何しているかって?それは・・・・
正座で石を抱いてます(泣)
ただいま、三枚目。やばい、痛くないけど足が痺れてきた。
「ねぇ、私の見間違いかしら?二人ほど子供がいるのだけど?」(ニッコリ)
「あ、あはは、見間違いじゃないですね。それはそうと何で俺は石を抱いてるんですか?」
「ん~?知りたい、ザイード?」
「は、はい。教えてください」 この時、既に足が痺れている状態。
「それはねぇ・・・」
そういうとドーヤは石の上に座ってきた。勢いを付けて。
「!!?」 声にならない悲鳴
「あんたが私の居候なのに勝手に人増やしたからよ!!」
「だ、だって、あのまま外にいたらまた危ない目にあうかもしれないし!」
「問答無用!!」
「ああああああっ!!?」
結局、姉妹が起きるまで拷問ごっこは続いたのだった。
「『私、ザイードは、これからドーヤ様の許可なく、人を増やしません』はい、復唱!」
「わ、わたくし、ざ、ザーイドは・・ドーヤ様の許可なく、人を増やしません」
よろしい!!さあ、下で朝ごはんでも食べましょう。わーい(*´▽`*)
そういって、いつの間にか起きていた姉妹に優しく語り掛けるドーヤ。そのまま嬉しそうな姉妹を朝食に連れていった。
俺は行かなくていいのかって?
生憎、足が痺れて立てないんだよ。ま、俺の足が痺れる位であの二人を保護できたんだ。
安い安い。
「ザイード!」
「は、はい?」
朝食に行ったはずのドーヤが戻ってきた。な、何事?も、もしやまた拷問ごっこ!?
ひィ!!と内心、某おにぎり頭と同じ声を出しながらビクビクしていると。
「・・・まぁ、今回は褒めてあげる」
「え?」
何でかわからないが褒められた。
「褒めてあげるって言ってるの!!ただし、次からはちゃんと相談するように!」
それじゃ、といってまた下に降りていく。
「・・・どうゆうことだってばよ?」
頭に疑問符を付けたザイードを残して。
感想、誤字脱字、アドバイスなどのお待ちしています。
さて、なんのフラグでしょう?