アサシンが参る!   作:雨の日の河童

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注意!!
今回は作者が捏造した部分が多数あります。


夢に参る!

ふむ、どうしたものか・・・。

 

おはようございます。異世界に来て早々、死亡フラグが建ったハサンです。

やはり、名前が思い出せないのでこれからはザイードと名乗る事にしました。

雇い主のドーヤは街に出かけに行きました。そのため、部屋には俺一人。

で、現在、何に悩んでいるのかと言うと・・・・

 

「服、手に入れ損なった・・・」

 

はい、未だに腰布一丁ままなのです。

夜ならまだしも(夜でもアウト)日が完全に登りきっている状態で街に行けるはずがない。

・・・いや、仮に『気配遮断』が発動しても行きませんが・・・。

因みに、今は仮面を外している。これからは、仮面をつけた時は仕事モードに、外している時は素の状態に切り替えるようにした。

さて、ヒマで仕方がないので今後の事を考えよう。特に、クロメの事を。

だが、それにしても情報が少なすぎる。考え着くことはクロメの戦力ぐらいか。

頭をひねってもいい考えが思いつかない。

そうだ!目をつぶって瞑想しよう。

もしかしたら、何かひらめくかもしれないし。

善は急げとすぐさま瞑想の状態へ。

むむっ!!これならいい考えが思いつきそうだ。

 

 

 

ドーヤside

綺麗な金色を風になびかせ帝都の市場へと向かう。

大通りには人が溢れるほどいるが人々の顔は暗く、足取りもまるで力がない。

ドーヤはそんな彼らを蔑んだ。

力がないと嘆き、誰一人として自身は変わる努力もしない彼らに心底、腹がったってしょうがないのだ。

ドーヤは異民族だ。そのため、子供の頃に理不尽な暴力に怒りを感じた。

なぜ、こんなことをするのか!と問えば決まってこう返される。

『異民族だから』と。ドーヤには妹と弟がいた。両親は安い賃金で働きながらドーヤ達姉弟を守ってくれた。

『お父さんたちがいない間、二人を頼んだよ』

両親との約束。可愛い妹と弟を姉であるドーヤは二人を守るのに必死だった。

だが、運命は残酷だった。

たまたま、山菜を取りに行った時にそれは起こった。

家族が異民族と言うだけで知らない二人の男に無残に殺されていた。

家族だったものを見て目の前はグラグラと揺れた。優しい両親はもういない。可愛い妹弟も二度と目を覚まさない。頭の中はぐちゃぐちゃでいろんな感情が混ざりあっていた。

そんなドーヤを見ながらにやにやと嗤いながらドーヤを指してこういった。

ああ、さっきの生きる価値のないゴミの残りがいるぞ。

その瞬間、今までにないぐらいの怒りが襲う。父が護身用としてくれた拳銃を刹那の速さで抜き去り標的を撃ち抜く。

重い衝撃と同時に紅く見る絶えない花が地面に咲いた。

あっけない。

そう、あまりにも簡単にそいつらは死んだ。

今まで、異民族だからと蔑んでいた彼等も自分と同じ紅い血を流し、そして、今、死んだ。

その時、彼女は歪んだ答えにたどり着く。

「力がないから奪われる。なら、力を付ければいい」

 

こうして、幼い少女は簡単で残酷な真実を知った。

それからは力を手に入れる為、死ぬほど努力を重ねてきた。

 

今回の暗殺もその一環。帝具使いを殺すこと。

そうすれば、また一歩安心して暮らせる。そう考えながら・・・。

 

ドーヤは自身が気に入ったパン屋でパンを四つ買った。

いつもなら二つで十分なのだ。

だが、今回は違う。

昨夜、シャワーを浴び終え、着替えている最中に窓から飛び込んできた変態。

確か、名前は・・・ザイード。

長い腰布に、不気味な仮面。

その姿から、死神が来たのかと思い固まってしまったのだが最初に出た言葉が・・・

 

『さ、サンタクロースだよ?』

 

その時、一瞬で分かった。

あ、こいつ馬鹿だ。

その後、裸を見られたこともあり拳銃を構えたのだが目にも止まらぬ速さで弾かれ気絶した。

で、目を覚ますと仮面をつけた男が床に座り謝ってきたのには驚いた。

どうせ、あの格好では外には出れないだろうからわざわざ買ってあげたのだ。

 

「戻ったわよ。って、なにしてんのよ、アンタ・・・」

 

自身が取った部屋に入り、ザイードに声をかける。

何か変な恰好で地面に座っているザイード。

 

「ザイード?」

 

だが、声をかけるも反応はなく不思議に思い首に手を当てる。

「ッ」

脈がない。

 

「ザイード!!」

 

いきなりの事で頭が混乱する。

ドーヤはザイードの顔を叩いた。

ザイードside

 

ザイード!!

パンッ!!

 

ふぁ!?何事だ!てか、顔が痛い。

 

びっくりして目を開けると酷く動揺した顔のドーヤが。

 

「ど、どうした?」

「生き・・てる?」

 

勝手に殺されていた件について。というか、何時の間に寝ていたんだ俺は・・・。

 

「寝ていただけだよ」

「でも・・、脈止まって・・・」

 

ん?脈が止まって?

 

「そうなのか?まぁ、安心して欲しい。依頼を終えるまで絶対に死なないから」

「・・・・・・」

 

おおぅ・・・。無言は怖いんだけど。

 

「・・・ふん、別に心配なんてしてない。それよりこれ」

 

ん?

ドーヤからパンを貰う。

 

「それ、アンタの分だから」

 

・・・優しいところあるんだなぁ。

 

「ありがとう」

 

礼を言ってパンを食べる。うん、旨いな!!

 

「それ食べ終わったら、街に行くからはやくしなさい」

「え?」

「あんたの格好、目立ちすぎるのよ。だから、まともな服を買いに行くわ」

感謝しなさい。とドヤ顔でこちらを見てくる。

 

いや、でもこの格好じゃ・・・。

 

「上から布でも羽織れば大丈夫よ」

 

お金も・・・

 

「私が払うから。そうね、前金と思いなさい」

「・・・ありがとう」

 

お礼を言うと、ふふん!とした顔で得意げだ。

 

なら、善は急げで。俺は素早くパンを食べるのだった。

 




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