魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている   作:ゼルガー

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魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている⑤

 

「・・・・・・なあ、馬鹿後輩」

 

「何ですか、先輩?」

 

「なんで、俺達ここにいるんだろうな?」

 

「諦めましょう。目をつけられた私たちが悪いんです」

 

「・・・・・・はぁ」

 

「いやー、二人がオカルト研究部に入ってくれてうれしいよー!」

 

「ていうか、アンタ生徒会長でしょうが。城廻先輩」

 

 

そう、俺達はこの総武高校の生徒会長が部長を務めている部活に強制入部させられたのだ。

 

事の始まりは今朝の事だった

 

 

 

 

「先輩、学校までホーキングしましょう!」

 

「嫌だ。人に見つかる。ていうか、自転車で十分だろ」

 

「ずべこべ言わずにレッツゴー!」

 

「ちょっおまっ!?アーーーーーッ」

 

 

とまあ、こんな感じで馬鹿後輩が運転する箒で総武高校まで飛ぶ羽目になった。まあ、人に見つかると面倒なので必死こいて認識疎外の魔法を展開し続けた。

 

帰ったら説教だ。

 

が、ここで問題が発生した。馬鹿後輩が降りたのは屋上。非常に面倒だが、下駄箱で靴を履き替えないといけない手間があるがそこはどうでもいい。

 

そう。問題なのは、人に見つかるってことだ。

 

 

「え!?そ、空から生徒が!しかも箒に乗って!?」

 

「うげっ!?見つかった!!しかも生徒会長に!?」

 

「だから言っただろうが馬鹿後輩」

 

「せっ先輩!認識疎外の魔法はどうしたんですか!?」

 

「展開中。まあ、まれに効果が無い人間もいるらしいな」

 

「ひょ、ひょっとして魔法少女!?」

 

「あ、アレ?なんか様子が・・・・・・」

 

「よかったじゃねーか。憧れてたんだろ?魔法少女に」

 

「い、いやー、アレはちょっとしたノリと言うか・・・・・・先輩に見てもらいたかっただけどいうか」

 

「じゃ、じゃあ!昨日のサッカーの試合中に葉山君の服がキャストオフしたのも魔法なのかな!かな!」

 

「「いえ、違います。まったく知りません」」

 

「あ、違うんだ」

 

 

あ、間違いなく馬鹿後輩の仕業だ。でも俺は知らぬ存ぜぬを貫き通す。馬鹿後輩も同じ考えだったようだ。

 

つか、葉山の服が脱げたのか。・・・・・・リア充でカーストトップのイケメンとは言え、哀れすぎる。俺だったら自殺するな

 

 

「先輩、記憶操作の魔法は使えないんですか?某教師には使ったんでしょ?」

 

「もう使っている。残念ながら、生徒会長には魔法が効かないらしい」

 

「うえっ、マジですか」

 

 

別名マジックキャンセラー。師匠から聞いた話だが、一切の魔法が通用しない人間が一億人に一人の割合で存在するらしい。

 

と言っても、完全に無効にするわけではないので対処法はあるそうだ。

 

さて、どうする?正攻法で行ってみるか?

 

 

「生徒会長、俺たちが魔法使いっていうの黙ってくれませんか?」

 

「うん、いいよー!」

 

「「え、いいの!?」」

 

 

うっそ、マジで!?なんなのこの人?普通、弱みに付け込んで脅してくるよな?な?

 

い、いや。これがこの人の作戦なのかもしれない。

 

 

「だって私、錬金術師だからねー。一般人への秘匿は大事だもんね」

 

「「・・・・・・は?ハァッ!?」」

 

 

 

衝撃の事実。何と、生徒会長は錬金術師だったのだ

 

 

「じゃっ、じゃあ記憶操作の魔法が効かなかったのは・・・・・・」

 

「マジックキャンセラーのアクセサリーを装備してるからね。ほら、このペンダントがそうだよ」

 

 

うげっ、なんだよこの対魔力の高いペンダント。俺でも作れねーよ。

 

 

「実は、城廻家って昔から続いてる錬金術師の家系なんだー。で、私はその次期当主なの」

 

「マジですか」

 

「身近にそんな人がいたなんて・・・・・・」

 

 

成り上がりの俺達とは違うか。代々、血筋を守ってきた家系ってところだろ。

 

 

「それはそうと、二人にお願いがあるの!オカルト研究部に入って!」

 

「「は?」」

 

 

 

 

 

 

 

で、気が付けばあれよあれよと入部していた。どうしてこうなった

 

 

 

「活動内容は、世界中のオカルトを調べる事・・・・・ですか。私達自身がオカルトなのに」

 

「いやー、私一人じゃ部として認められないって言われててね。それに、隠れ蓑が欲しかったんだ」

 

「錬金術師に魔法使いの弟子にその後輩。まあ、人目には付きたくはないっすね」

 

 

それに、まだこの人を信用したわけじゃねーけどな。

 

他の有象無象とは違い、まともには見えるが。

 

 

「めぐり先輩。錬金術なら魔法薬も作れるんですよね?」

 

「作れるよー。レシピさえ知ってれば」

 

「弟子にしてください!」

 

 

オイこら馬鹿後輩。お前の師匠は一応俺だろうが。

 

 

「だって、先輩厳しいんですよ?めぐり先輩ならきっと優しく教えて「じゃあ、ビシバシと教えないとね!大丈夫、人間の脳って丈夫だから!」判断を間違えた!?助けて先輩!?」

 

 

少しは懲りろ。

 

 

「そういえば比企谷君、さっき君たちの入部申請するときに平塚先生が探してたよ?」

 

 

あ、やべ。すっかり忘れてた。

 

どうすっかな・・・・・。あの教師、俺を厄介な部活に入れさせようとしてんだよな。

 

でもまあ、もう入部してるしな

 

 

『二年F組比企谷八幡。今すぐ職員室に来い』

 

 

・・・・・・今のはあの教師の声か。来いって命令かよ。常識が無いのか?

 

 

「先輩。もしかしなくても・・・・・・」

 

「十中八九、奉仕部とかいうふざけた部に入れさえようとしている」

 

「けど、オカルト研究部に入ったなら「あの教師の事だ。兼部しろとか言いかねない」ですよねー」

 

 

さて、どうする?もう一度、記憶を消すか?

 

 

「ふっふっふー。比企谷君、ここは部長である私に任せてよ!最近の平塚先生ってちょっと横暴すぎるって言われてるからちょうどいいかも」

 

 

あ、やっぱり言われてんのか。

 

 

「陽さんの妹さん一人しかいない部は正直、生徒会としては認められないしね。ちょうど、彼女も引き込みたかったんだー。・・・・・・あの子は平塚先生の玩具じゃないんだよ」

 

 

あ、アレ?なんか怒ってる?

 

 

「二人とも、ちょっと待っててね?すぐに終わらせるカラ・・・・・」

 

「ひっ!?」

 

 

城廻先輩は恐怖に震える俺達を置いて部室から出て行った。

 

 

「・・・・・・俺、城廻先輩だけは絶対に怒らせない」

 

「・・・・・・私もです」

 

 

 

つづく


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