魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている   作:ゼルガー

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魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている②

科学が進歩したこの現代社会に過去のオカルトはすでに迷信となっている

 

そんな現代にも、まだオカルトは残っている。理由?そんなの決まっている。

 

俺自身が、オカルトだからだ。

 

 

 

「んで、俺になんか用っすか?」

 

「比企谷・・・・・・お前、わかってて言ってるのか?この、課題についてだ馬鹿者」

 

「ああ、それっすか」

 

 

正直、適当に書きまくって指定された文字数さえ埋まればいいと思ってたしな。

 

つか、こんなことで何で呼び出されてんの?そこまで変な風に書いた記憶はないが?

 

「君はテロでも起こす気か?特に最後の『人間なんて滅びればいい』は何だ?舐めてるのか?」

 

 

いや、それは本心だな。馬鹿後輩以外の人間は俺にとっては有象無象でしかない。目の前にいる教師も例外ではないな。

 

 

「はぁ、君は本当にその目のように腐っているな。根性というか性根が腐っている」

 

 

いや、なんで他人である教師にんなこと言われなきゃなんねーんだよ。

 

目は腐ってねーよ。死んでるだけだ。

 

 

「んじゃ、とっとと書き直してきますよ。ていうか、ふざけて書いているのは俺だけじゃないと思うんすけど、なんで俺だけ呼び出しなんすか?」

 

「うむ・・・・・・君のが特にひどいからだ」

 

 

いや、嘘だろ。目が泳いでたし、言葉も一瞬詰まった。何かあるな。

 

面倒ごとは全て生徒に押し付けるこの教師のことだ。俺になにか面倒ごとを押し付けようとしてそうだ。

 

はぁ、こんなの相手に使いたくはねーけど、読心術を使うか。まあ、深いところじゃなくて表面の思想だけ読むとしよう。

 

 

 

『ふう、危ない危ない。前から目をつけていたコイツに彼女の面倒を見させる計画が消えるところだった。問題児を一纏めにすれば私に押し付けられる厄介ごとはこの二人に押し付けられる。そうすれば、暇ができて婚活もできる!』

 

 

お、おう・・・・・・この教師サイテーだろ。そして、そんな考えだから結婚できないと気が付けよ。

 

さて、面倒ごとは御免だし、馬鹿後輩以外の人間には関わりたくはない。と、言うことで・・・・・・

 

「あ、先生。こんな駄文を書いたお詫びにコーヒーでもどうぞ。ブラックですけど」

 

「お、いいのか?悪いな。んぐんぐ・・・・う・・・ん・・・・・・」

 

 

流石だな。効果は速攻か

 

あらかじめ用意しておいた缶コーヒーを手渡してやる。もちろん、ただの缶コーヒーじゃない。中身は魔法で入れ替えた魔法薬だ。味はコーヒーだけど。

 

これは、一種の催眠状態にすることができる。まあ、催眠といってもそこまで強力ではない。

 

簡単に言えば、今この時の記憶を消してしまうだけだな。気が付けば自宅のベッドだろう。そして、課題の事も心で計画していたこともきれいさっぱり忘れていることだろう。

 

ちなみにこの魔法薬は馬鹿後輩が実験の失敗で偶然見つけた調合で作ったものだ。爆発オチしかないアイツにしてはよくやった方だろう。

 

 

「じゃあ、俺は帰りますね」

 

「ああ・・・・・・気を付けてな・・・・・・」

 

 

さてと、馬鹿後輩には先に帰るように指示したし、スーパーの特売で買い物をして帰るか。

 

 

 

このときの俺は、この教師をまだ甘く見ていた。

 

正確には、この教師のクズっぷりをな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「せんぱーい、聞いてくださいよー!」

 

「んだよあざといな。暑苦しいから抱き着くな」

 

 

帰宅したと同時に玄関で抱き着かれた。うっとうしいな。

 

 

「んで、なんだ?また実験の失敗か?」

 

「違います!あ、いえ違わなくはないんですけど・・・・・・」

 

 

あ、嫌な予感。こいつ、今度は何をした?

 

「その・・・・・・儀式魔法に失敗しちゃいました☆」

 

 

は?・・・・・・いや、マジで?儀式魔法が大得意のこの馬鹿が?

 

「えっと、先輩の師匠が所有していた召喚の儀式を試してみたんです。この本です」

 

「師匠の?ああ、サーヴァント召喚か。過去の英霊を呼び出す奴だろ?だが、これは召喚に必要な膨大な魔力と触媒、サーヴァントを維持するため魔力がたくさん必要だぞ?ペーペーのお前には不可能のはずだが?」

 

「あの、召喚には成功しちゃったんです」

 

 

 

・・・・・・・なんですと?

 

「ちなみにこれが令呪です。サーヴァントに対する命令権です」

 

「い、いやいやいや。半人前以下のお前が何で召喚できちゃってんの!?俺でも無理だぞ!?」

 

「私の属性が儀式魔法に偏ったせいですかねー?」

 

 

属性。それは俺達魔法使いには重要なものだ。ゲームにあるようなエレメントの属性とは違う。アレも属性ではあるが、俺達魔法使いにはエレメントは関係ない。

 

俺達で言う属性とは、自分たちが使用できる魔法の種類の事だ。大まかに分けて5つある。潜在魔力?そんなもん才能と努力でいくらでも伸びる。

 

 

【攻撃】・・・・・・その名の通り、攻撃魔法だ。エレメント属性の魔法もこれに入る。

 

【補助】・・・・・・防御魔法や飛行魔法、転移魔法とバリエーションが豊富なのが補助。サポート系と言えば早い。

 

【回復】・・・・・・癒しの魔法。ただし、蘇生は禁術なので使えん。生贄を用意とかする気は無い。

 

【錬金】・・・・・・魔法に関するモノを作るスキル。魔法薬もこれに入る。馬鹿後輩はコレの属性が皆無に等しいから失敗するのだ。

 

【儀式】・・・・・・召喚や強力な魔法を発動するのに必要な装置を生み出すスキル。馬鹿後輩が優れている属性だな。

 

 

魔法使いはこの5つの属性でA~Eまでの五段階評価で分けられている。

 

馬鹿後輩の場合は、【攻撃】D 【補助】B 【回復】B 【錬金】E 【儀式】Aだな

 

ちなみに俺は、【攻撃】A 【補助】A 【回復】D 【錬金】A 【儀式】Dとなっている。

 

師匠曰く、これでも才能がある方らしい。普通の魔法使いでも一つでもBあればいい方だそうだ。

 

認めたくはないが、馬鹿後輩の儀式は俺以上だ。なのに、失敗だと?召喚しているのにか?

 

 

「で、そのサーヴァントはどうした?」

 

「えっと、その・・・・・・厨房で料理してます」

 

「・・・・・・・は?」

 

 

マジで?過去の英雄が?

俺は半信半疑で洋館の厨房を覗いてみた

 

そこにいたのは・・・・・・え?

 

 

 

 

つづく

 


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