魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている   作:ゼルガー

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魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている

俺は比企谷八幡。小学生だ。

 

何時からかは忘れたけど、気が付いたら虐められていた。

 

親や先生に助けを求めても相手にされず、俺が悪いと言われた。

 

誰も助けてくれない。誰も俺を必要としない。

 

日に日に、俺はこんな日常が嫌になってきた。

 

そんなある日、俺は一人の老人に出会った。

 

老人は俺の目を見て、何かを悟った顔をして俺にこう言った

 

 

―――お主、魔法使いになってみたくはないかの?

 

正直、胡散臭かった。けど、これが俺と師匠の出会いでもあった。

 

俺を信じてくれない、愛してくれない家族の家に居たくなかった俺は、師匠が住んでいた古びた洋館に住み込んだ。

 

どうせ親は妹さえいればいい。俺が居なくても気にしない。そう思った。

 

師匠はなんでも知っていた。俺にいろんな知識を教えてくれた。

 

世間一般の学力だけでなく、師匠の魔法をいろいろと伝授してくれた。

 

けど、師匠は次第に寝たきりが多くなった。歳の所為と言っていたけど、俺に出会ってからそれはひどくなっている。

 

そして、最後の日。師匠は俺の姿が見えないのに俺がそこにいると確信して寝た状態で俺に語り掛けた。

 

 

 

 

「いいか八幡。魔法使いってのはなボッチで寂しがりやなんじゃ」

 

「はぁ・・・・・・まあ、俺はボッチなので間違ってないですけど」

 

「ワシが何を言いたいかだが・・・・・・魔法使いは魔法使いを探してしまうのじゃ」

 

「それって、師匠が俺を魔法使いにしたように・・・・・・ですか?」

 

「そうじゃ。自分にはそのつもりが無くても、自然と同類を見つけようとする。そして、気が付けば弟子にしようとするのじゃ」

 

「魔法使いって面倒ですね」

 

「ワシもそう思う。だから覚えておくといい。魔法使いは孤独じゃ。誰にも理解されず、誰からも相手にされない。異端であるが故に数は増えない」

 

「じゃあ、俺も?」

 

「わからん。ワシを含む魔法使いたちはどいつもこいつもロクデナシで孤独であった。だからこそ、期待しているのかもしれんな」

 

「期待?」

 

「何、ちょっとした老婆心じゃ。弟子には幸せになってほしい。ワシらが長年求め続けてきた【本物】を見つけてくれる。そう思うのじゃ」

 

「本物?本物ってなんだよ?」

 

「さあのぉ・・・・・・結局、死ぬまでに見つけることはできなん・・・・・・だ・・・・・・・」

 

「お、おい師匠?・・・・・・師匠!!」

 

 

 

 

 

師匠は死んだ。老衰だった。

 

魔法使いでも歳には勝てないのだと理解させられた。

 

だけど、不思議と涙は出なかった。悲しいはずなのに。

 

 

 

 

 

そして、師匠が亡くなってから数年後、俺は今も師匠の洋館に住んでいる。もう、家族とは縁を切っている。

 

妹は未練というか泣いていたが、親に愛されているアイツの事などしらん。

 

そういえば、変わったことが一つだけあった。それは・・・・・・

 

 

 

「せんぱーい!この魔法薬の調合ってどうするんでしたっけ?この秘薬と魔獣の血液を2:1?」

 

「ちょっ!?お前、それ絶対に調合するなよ!?それは秘薬じゃなくて火薬だ馬鹿後輩!!!」

 

「ば、馬鹿とは何ですか馬鹿とは!こーんな可愛い後輩に向かって!・・・・・あ」

 

「あ」

 

 

 

チュドーーーーーン!!

 

 

「「けほっ・・・・・・」」

 

「て、てへ☆」

 

「こっ――――――この馬鹿後輩ーーーー!」

 

「ごっごめんなさーーーい!」

 

 

 

拝啓、あの世にいる師匠へ

 

俺に弟子・・・・・・いや、一つ年下の魔法使いの後輩ができました。

 

ああそうだ。俺はこいつを弟子とは認めん!魔法使いの才能は認めよう。だが、同類じゃない。

 

はぁ、一年前に複数の男に強姦されそうになったのを助けたのが運の尽きか。

 

ホント、気が付いたら弟子入りしてたし・・・・・・あれ?これ、師匠が言っていたヤツと同じ?い、いやいや。俺はミトメタクナイ。

 

しかも住み込みで。こいつの両親が挨拶に来たときはマジでビビった。なんだよ、俺なら任せられるって?勘違いしちゃうだろうが。しなけど。

 

いろんな意味で良い性格しているあざとい馬鹿後輩こと一色いろは。頭は良い癖に魔法薬の調合となると何故かミスる。謎だ。

 

 

「それはそうと、先輩。私も先輩と同じ高校に入学したんですよ!褒めてください!」

 

「いや、知ってるし。つか、誰が勉強を教えたと思っている。あと、学校では俺に話しかけんなよ?俺はボッチだからな」

 

「はぁ?」

 

 

何その目。なんかゾクってくるからヤメテ。

 

 

「そういえば先輩。あの作文、本気で出す気ですか?」

 

「ん、まあな。テキトーに思い付きで書いたから内容は滅茶苦茶だな。一年間の思い出とかボッチには無理だろ」

 

「えー?可愛い後輩との思いではないんですかー?」

 

「はいはい、あざといあざとい。担当はあの平塚先生だぞ?お前の事とか書けるかよ」

 

「あー、あの独身で有名な。外見詐欺の先生ですよね」

 

 

入学したての生徒に言われる平塚先生・・・・・・・まあ、同情はしない。

 

俺は他人が嫌いだからな。

 

 

「んじゃ、寝る前に片付けるぞ」

 

「了解でーす!」

 

 

・・・・・・なんか嫌な予感がするな。やっぱり、課題を書き直そうか?

いや、やっぱ面倒だわ

 

 

 

 

 

 

 

 

比企谷八幡

 

魔法使いの弟子。一人前になる前に師匠の魔法使いが死んだので、まだ半人前だと思っている。

実際は、既に一人前と認めてもらっているが、その言葉を言われる前に亡くなってしまった。

原作よりも超人間不信。例え、元家族であっても疑う。

目は腐りを通り越して濁っている。Fateの衛宮切嗣と言峰綺麗と同じ目をしている。

唯一、身内と認めた人間にだけは信用と信頼を置いている。

得意な魔法は、無詠唱で魔法を発動できること。(実際は脳内で高速で詠唱している)

 

 

 

 

一色いろは

 

魔法使いの弟子の弟子。八幡は自分を一人前と思っていないので、後輩扱い。だが、本人はまんざらでもないので、先輩と呼んでいる。

中学時代に、自分の周りにいた男子たちに強姦されそうになった所を八幡に偶然救われた。八幡曰く、俺の目の前でなけえばどうでもいいが、自分の目の前でやられると目覚めが悪いとのこと。

それ以降、八幡に懐く。強姦のトラウマで男子恐怖症となり、クラスでもひとりぼっちになった。八幡は認めようとしないが、同類である。両親と八幡以外の人間は嫌い。

魔法使いとしての才能は高いが、魔法薬に関しては何故かドジスキルが働く。

八幡依存症の重症患者。ヤンデレではないが、八幡の為なら容赦なく手を汚せる。

得意な魔法は、儀式魔法

 

 

 


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