魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている   作:ゼルガー

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最初に言っておきます。

戸塚ファンのみなさん、ごめんなさい


pixivのアンケートの結果、異世界に行ってても葉山は全裸になります。
残念ながら、平塚先生には無害になりました。


魔法使いの俺に弟子がいるのは間違っている⑱

 

 

冥王の塔

 

何時の時代、何の目的で建てられたのは一切不明。

 

塔の中はダンジョンとなっており、各フロア迷路となっている。しかも、中の迷路はランダムとなっており、毎回構造が違っている。

 

塔の最上階が何階なのかは不明。上に上がるたびに迷路の難易度が上がり、モンスターの強さも上がる。故に途中でリタイアする冒険者が後を絶たない。

 

それでも、挑戦する冒険者の数は多い。なぜなら、最上階には秘宝があると言い伝えられているからだ。

 

 

―――私の宝が欲しいの?なら、探せ!この世の全てをそこに置いてきた!by冥王

 

 

 

 

明らかにどこぞの漫画のパクりっぽいセリフが古文書に書かれていたらしい。

 

つか、なんだよ冥王って。聞いただけですっげー関わりたくないんだけど?

 

 

「んで、その冥王の塔に挑戦したいから俺の力を借りたいと」

 

「ああ。生憎、アシェンとカグヤは別件でな。俺一人で挑むには少し厳しい。だから、お前の魔法を借りたい」

 

「成程なー。いざとなれば、魔法で脱出すればいいしな。んで、何時行くんだ?時間のズレもあるだろ?」

 

「ああ。今のところ、こちらの一日が向こうの一週間と言ったところだ。まだ不安定ではあるが問題はないだろう」

 

 

まあ、向こうで一週間過ごしても、こっちでは一日だしな。

 

 

「んじゃあ、今度の日曜日か?」

 

「そうだな。ゲートは俺のを使うか?俺の戦艦に直行できるぞ?」

 

「そうさせてもらう。俺のだと、街の外だしな。さてと・・・・・・馬鹿後輩はともかく、お前らも行く気なのかよ」

 

 

そう、馬鹿後輩はいつも一緒に行ってるから別にいいが、他の面々が行く気満々の顔をしていた。何でだよ

 

 

「え?私はいつも行ってるから大丈夫だよ~。それに、何故かわからないけど冥王って言葉に惹かれるんだー」

 

 

止めてください部長。俺達が死んでしまいます。

 

 

「私はダンジョンには興味ないけど、半妖として人間以外の種族に興味あるわ」

 

「私も行ってみたいかも!あ、その時はサブレも連れていくね!」

 

「可愛い妹を置いていくなんて、小町的にポイント低いよお兄ちゃん!」

 

 

まあ、半妖と犬神使いには興味あるよな。てか、なんだよそのポイントは。見た目は可愛くても、中身がアレな時点で連れていきたくねーよ!監視の為に仕方なく連れていくけどよ・・・・・・

 

こうして、俺達は一週間後の日曜日にエンドレスフロンティアに行くことになった。

 

 

 

 

【翌日の昼休み】

 

 

 

 

「ああ、平和だ・・・・・・お、この唐揚げ美味いな」

 

「平和ですねー・・・・・・えっへん、自信作です!」

 

 

俺と馬鹿後輩はいつものベストプレイスで昼飯を食っていた。特別棟の一階保健室横。臨海部に位置する総武高校はお昼を境に風向きが変わる。

 

朝方は海から吹き付ける潮風が飼えるように陸側から吹く。その風を感じながら食事するのが俺の唯一の愉しみである。

 

ちなみに昼食は、馬鹿後輩が作った特製の弁当だ。コイツの実家が有名料理店だからか知らんが、俺以上に料理が上手だ。

 

しかし、昨日も散々だった。自宅に帰った後の馬鹿後輩と愚妹の醜い争いがな。まあ、争う分は別にいい。だが、俺を巻き込むな。

 

はぁ、胃薬が欲しい。

 

 

「あれ?ヒッキーといろはちゃん?こんなところで食べてたの?」

 

「んあ?由比ヶ浜か」

 

「あ、やっはろーです結衣先輩!」

 

「うん、やっはろー!」

 

 

なんだその頭が悪そうな挨拶は。何?流行ってんの?

 

 

「俺達はいつもここで食ってんだよ。お前こそどうした?何時もなら教室でいつものグループとつるんでるんじゃねーのか?」

 

 

最近、哀愁が漂ってきた葉山のグループとな。

 

 

「あーうん。なんかちょっと居辛くてね。だから、ゆきのんと一緒にご飯食べてたの。でね、ちょっとゲームをして負けたからバツゲームでジュースを買いに来たんだ」

 

「バツゲーム?ああ、アイツ負けず嫌いって感じだもんな」

 

「そうですねー。雪乃先輩って勝負に熱くなるって感じに見えますしね」

 

「うんうん。でね、勝った時に無言で小さくガッツポーズをして、それを私に見られて顔を真っ赤にするところなんか本当に可愛かったんだ!」

 

 

ほう、それはそれは。アイツにしては意外な面だな。

 

 

「今までグループでやってたバツゲームと違って、心から始めて楽しいって思えたんだぁ。だから思うの。私が本当に欲しかったのってこういうのじゃないかなって」

 

 

本当の意味で楽しめる友達ってことか。俺にとっての鳴善か。アイツは俺にとって、心から信頼できた友達だったな。

 

 

「なあ、由比ヶ浜。それでいいんじゃねーの?今までが楽しくなかったなら、これから楽しめばいい。雪ノ下が本当の意味で友達って言えるなら、胸を張って言えよ?」

 

「えー?なんか先輩らしくないセリフですねー。誰のパクりですか?」

 

「パクりじゃねーよ。口は禍の元って教えたよなぁ?」

 

「ヴェアアアアアアアア?!アイアンクローはヤメテェエエエエエエエエエエエエエ!?」

 

 

ムカついたので、馬鹿後輩の顔をアイアンクローしてやった。少しは反省しろ

 

 

「あ、あはは。仲がいいね」

 

「まあな。付き合いは長いしな。認めたくはないが、俺の弟子だし」

 

「認めたくないんだ!?」

 

「俺がまだ未熟だからな」

 

 

でなきゃ、とっくに認めてるっつーの

 

さてと、飯を食うかっと

 

 

「あれ?由比ヶ浜さんと比企谷くん?」

 

 

そう思っていたら、俺達に声を掛けてきた存在がいた

 

 

「あ、さいちゃんだ!やっはろー!」

 

「うん、やっはろ!」

 

「・・・・・・おい由比ヶ浜、知り合いか?」

 

「何言ってるのヒッキー、クラスメイトだよ!戸塚彩加だよ!何で覚えてないの!!」

 

「え?・・・・・・・いやいやいや!」

 

 

ちょっとまて!アイツがクラスに居たら流石の俺も覚えてるぞ!?

 

 

「アイタタ・・・・・・うわぁ、先輩のクラスにあんな濃い人いたんですね」

 

「いや、俺は今初めて知った。この、女顔の癖に筋肉モリモリの巨体は」

 

 

そう、顔は美少女だ。だが、体は筋肉がミッチリと鍛えられたマッスルで、体格も巨体。顔と身体のバランスが全然取れてない違和感MAXのヤツなんて俺は知らん!!!

 

 

「あ、そういえばさいちゃんマッスルモードになってるね。だからヒッキーも気が付かなかったんじゃないかな?」

 

「あーそっか。じゃあ、戻るね。よっと」

 

 

次の瞬間、不思議なことが起こった。ソイツの肉体が一瞬で収縮して、普通の弱弱しい肉体になっていた。身長も馬鹿後輩と同じくらいに・・・・・・正真正銘の女子にしか見えなくなった。

 

俺と馬鹿後輩は顎が外れんばかり、唖然としてしまった。

 

 

「じゃあ僕は教室に戻るねー。また後でね、由比ヶ浜さん、比企谷くん!マッスルマッスル~♪」

 

「うん、またねさいちゃん!」

 

 

戸塚と呼ばれた奴はそのままクラスに戻っていった。あの肉体を見た後で、女子とは思いたくないから多分男子だろう。男子であってくれ頼むから。

 

 

「先輩・・・・・さっきの人、人間ですよね?」

 

「わからん。だがコレだけは言える。人間と言われても絶対に信じられん」

 

「ですよねー」

 

 

気が付けば由比ヶ浜はいなくなっていた。たぶん、雪ノ下のところに戻ったのだろう。

 

魔法使いの癖に現実を受け止めきれない俺達は、弁当を無言で食べ終え、それぞれのクラスに戻った。

 

途中、葉山の悲鳴が聞こえた気がしたが、そんなことはどうでも良い気がした。


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