ハリー・ポッターと帝王のホムンクルス 作:オリゴデンドロサイト
ダリア視点
『これで借りを作ったつもりか?』
それがダンブルドアの決定を受けた私が感じた最初の感情だった。
確かにあの
あれだけあのゴミに弱みを見せまいと誓っていたのに、それをたった一日で破ってしまった。私の軽率な行動でマルフォイ家に迷惑をかけてしまう。
そう思っていた矢先のダンブルドアの決定。本来であれば有難く思わなければならないのだろうが……私にはどうしても素直に感謝することなど出来ようはずがなかった。本来であればあいつが私を庇うことなどあり得ない。あの老害は私を一年生の頃から警戒し続けている。そんな私が退学相当の問題を起こしたのだ。嬉々として私を退学にするだろう。
それなのに私を庇う? あまつさえスリザリン贔屓のスネイプ先生に任せる?
あの老害は何かを企んでいるに違いない。
しかし奴の狙いが分からない以上、現状において私に出来ることが何もないことも確かだ。表面上は今まで通りの生活。私は今まで通り
『ダリア、良かった! あの爺に何もされなかった?』
『いえ、大丈夫でしたよ、ダフネ。結局スネイプ先生に研究室の掃除を言い渡されたくらいでした……』
『ふん、当たり前だ。ダリアは何も悪いことをしていないんだからな。それにあの爺が退学なんて言い出そうものなら、今度こそ父上があいつを追放してくれたはずだ』
『……ドラコ、事情はクラッブ達から聞いたよ。次からはもっとやり方を考えてね……』
ダフネや……グレンジャーさんが安心してくれるならば、この決定もそう悪い物ばかりではない。それに退学になればマルフォイ家の名に泥を塗る可能性もあったことを考えれば、私に文句を言う権利などあるはずがない。
でもだからと言って……
「そんな物しまってしまえ。教科書など何の役にも立たん」
私の鋭い視線の先で、マッド-アイ・ムーディが生徒達に向かって唸るような声で指示を飛ばす。お兄様が
ここ数日ムーディの授業を受けた
正直見かける度に奴を殺したいという衝動が湧き上がる。殺意だけでいえば、私個人に対してのみ監視を行うダンブルドアに向けるものより強いとさえ言える。出来れば今すぐ殺したい。今だって、
「ダリア、落ち着いて。ほら、ゆっくり息を吸って」
「ふぅ……。ダフネ……ありがとうございます」
少しでも油断すれば意識を持っていかれそうだった。ダフネが隣で私に声をかけてくれなければどうなっていたことか……。
幸い表情こそいつもの無表情から変わっていないようだが、私から漏れ出す冷たい空気だけは感じ取れたのだろう。周囲のスリザリン生達は勿論、合同で授業を受ける
そんな異様な空気の中でも
「全員教科書はしまったようだな。よし、それでは授業を始めるとしよう。このクラスが今まで何を学んできたかはあらかじめ調べてある。闇の怪物達と渡り合う方法。それを満遍なく学んだようだな。だがそれだけだ。はっきり言ってお前達は遅れている。そう非常に遅れている。敵がいつも怪物だとは限らん。お前達は闇の魔法使いとの戦いを知らない。だからこそワシの役目はお前達にそれを教え、お前達を最低限のレベルまでは引き上げることだ。そうでなければ、お前達はいざ
そして一瞬奴は普通の目とグルグル動き続ける魔法の目、その両方で私を見つめた後続ける。
「まずお前達に本物の闇の魔術を実際に見せることから始めよう。魔法省によれば、ワシが教えるべきは反対呪文のみであり、実際に違法とされる闇の魔術を知るのは六年生からとなっている。要するにお前達は幼過ぎて、呪文を見ることさえ耐えられぬと考えられているわけだ。実に下らん。ワシに言わせれば、戦うべき相手は早く知れば知る程良いのだ。見たこともないものからどうやって身を守る? 違法な魔法をかけようとする魔法使いは、これからこんな魔法をかけると丁寧に教えてくれはせん。お前達は常に備えなければならん。緊張し、警戒し、常に襲われるのではないかと身構えなければならん。それをつい最近実感した者が多いはずだ」
私も人のことを言えないが、もはやこいつにも私に対する敵意を隠す気はないのだろう。今度はゴミ教師だけではなく、周りの顔色の悪い生徒までもが私の方に視線を向ける。
可能であれば挑発的な笑顔の一つでも浮かべてやりたいが、私の表情筋は自分でも動かせないために碌な反応を返してやることが出来なかった。それを無反応と取ったのか、あるいは最初から私の反応など気にも留めない予定だったのか、ムーディは即座に次の話題に移る。
「さて……ではまず魔法界において最悪と言われる闇の魔術を紹介するとしよう。魔法法律により最も厳しく罰せられる呪文が何か、知っている者はいるか?」
何人かが中途半端に手を上げた。勢いよく手を上げているのはグレンジャーさんのみだが、他は意外なことにネビル・ロングボトムとロナルド・ウィーズリーが自信なさそうに手を上げている。
スリザリン生は誰一人として手を上げていない。スリザリン寮という特性上、私を筆頭に
この反応にようやく苛立った様子のムーディが僅かに表情を歪めたが、ここでそれを指摘している時間はないと判断したのかウィーズリーを指名した。
「お前のその赤毛は……ウィーズリーの息子だな。確かにお前の父親なら教えていても可笑しくはないな。さぁ、一つ目を言ってみろ」
「えっと……ちょっと自信がないんですが、多分『服従の呪文』とかなんとか?」
「あぁ、正解だ。お前はもっと自分に自信を持て」
ムーディは見事正解を答えたウィーズリーを褒めると、おもむろに引き出しからガラス瓶を取り出し、中から巨大な蜘蛛を引きずり出す。
……ムーディに対する怒りが決して消えたわけではないが、僅かに、そう極々僅かに今から奴が行うであろうことに興味が出た瞬間だった。
そして私の予想通り、
『インペリオ、服従せよ!』
奴は本当に禁じられた呪文を蜘蛛にかけたのだった。
私が厭わしく思いながらも、どうしても
ダフネ視点
それらの呪文のことは勿論知っていた。寧ろ何故グリフィンドールの数名しかその呪文のことを知らなかったのか、その方が気になるくらいだ。
しかしもうそれを私が馬鹿にする権利などない。何故なら私も……その呪文の名前は知っていても、その呪文の恐ろしさを真には理解していなかったのだから。
『インペリオ、服従せよ!』
呪文と同時に、蜘蛛が糸を垂らしながら
教室中で笑い声が上がる。皆蜘蛛とは思えない動きが面白くて仕方がないのだろう。
でも私は決して笑えず、その呪文に……そしてその光景にこそ背筋が凍るような思いを抱いた。蜘蛛が蜘蛛らしくない動きをする。それはすなわち、
「面白いと思うか? わしがお前達に同じことをしても、お前達はそうやって笑っていられるのか?」
呪文をかけられれば完全な支配下に置かれることを意味しているのだから。
ムーディの唸るような声音に笑い声が一瞬にして消える。未だに笑顔を浮かべているのは、隣に座る
必死にダリアの手を握る私に頓着することなく、カスは呪文の説明を始める。その魔法の目だけはずっとダリアの方に向けながら……
「完全な支配だ。ワシはこいつを思いのままに出来る。それこそ窓から飛び降りさせたり、誰かを襲わせることもな。何年も前になるが、多くの魔法使いがこの呪文に支配された。呪文をかけられたせいで他人を襲い、時には殺しまでさせられた。しかもこの呪文の厄介なところは、一目では呪文をかけられているかどうか分からないということだ。お蔭で何人も誤認逮捕され、逆に何人もこの呪文にかけられただけと言われ逃げられることとなったのだ。……実に口惜しいことだ」
こいつ……またダリアに対する挑発を。
ルシウスさんが『服従の呪文』をかけられたと主張してアズカバン送りを脱したのは割と有名な話だ。彼の主張を信じている人間は皆無だけど。
それを彼の娘であるダリアの前で揶揄する。それはもはや明確な挑発行為に他ならない。事実何人かはそれに気づき、一瞬ダリアとドラコの方に顔を向けかけて……すぐに顔を戻している。ウィーズリーに至っては首を攣りそうなのか首を手で抑えていた。でも怖いのか実際にダリアの今の表情まで見た人間はいない。
何故それが分かるかというと……もし今のダリアの表情を見れば、確実に恐怖で目が釘付けになっただろうから。
先程まであんなに怒り狂った無表情を浮かべていたというのに、今はムーディの挑発も聞こえないくらい、タップダンスを踊る蜘蛛をそれは
ダリアの言うところの殺人に対する憧れ。あまりにショッキングな光景にそれを刺激されているのだろう。
見え透いた挑発に、ダリアの奥底にある衝動を刺激しそうな内容。……授業はまだ始まったばかりだというのに、私はとても嫌な予感を感じていた。
そしてその予感は正しく、
「……次だ。他の禁じられた呪文を知っている者は? ……どうだ、ロングボトム。お前も先程手を手を上げていたな。お前なら次の呪文が何か分かるのではないか?」
「……は、はい、一つだけ。は、『磔の呪文』です」
「あぁ、そうだ。……その通りだ」
間違ってはいなかった。
ムーディはロングボトムの答えを受けると、今ではとんぼ返りをしている蜘蛛に次の呪文をかけたのだ。
『クルーシオ、苦しめ!』
効果は劇的だった。
呪文を受けた蜘蛛はまるで脚を胴体に引き寄せる様に折り曲げてひっくり返り、七転八倒しながら痙攣し始める。蜘蛛は声を出すことが出来ないけど、おそらく声を出せさえすればとてつもない叫び声をあげていたことだろう。誰がどう見ても蜘蛛がゾッとする程の苦しみを感じているのは明らかだった。
いよいよ教室内は異様な様相を呈し始めている。周りの生徒達の表情は益々青ざめたものに変わっており、ロングボトムに至っては何かをに耐える様に指の関節が白くなるまで拳を握りしめている。……そんな中、やはり相変わらずダリアだけはとても楽しそうな笑みを浮かべ続けていた。
もはやこれを授業と呼べるのだろうか?
もう我慢することは出来ない。この異様な空間を壊すために、私は大声を上げた。
「止めなさい! 貴方は何をしているか分かっているの!?」
全員がはじかれた様に私の方を振り返る。私の大声にロングボトムが僅かにありがた気な表情を浮かべているが、そんなことはどうでもいい。私はダリアを庇うように立ち上がりながら続けた。
「こんなものはもう授業ではないわ! 貴方はただショッキングな光景を生徒に見せつけているだけ! おまけにダリアを挑発して! 一体貴方は何をしたいの!?」
しかし私の言葉はムーディに通じることはない。
カスは私の方をジロリと睨むと、こちらに未だにヒクヒク痙攣する蜘蛛を手に抱えながら近づき言った。
「……確かお前はグリーングラスだったな? ワシが何をしたいか? 最初に言ったはずだ。お前達に本物の闇の魔術を見せると。ショッキングな光景? お前は魔法使い同士の戦いでお綺麗な呪文だけが使われると思ったのか? 下らん。これが本物の闇の魔術だ。これを知らねば、お前達は前に進むことも出来んのだ」
そして私とダリアの間にそっと蜘蛛を置き、奴は最後の質問を
「……最後の質問だ、ダリア・マルフォイ。先程は手を上げておらんかったが、お前は知っているはずだ。この中で、唯一
絶句して言葉も出ない。あまりに教師の規範から逸脱した言葉だと思ったのだ。いくら、マルフォイ家と敵対する『闇祓い』とはいえ、14歳の女の子に普通こんなことを言うのだろうか?
おまけにダリアの今の表情を、あたかも皆に見せつける様なことを……。
彼は以前から頭がおかしいことで有名であったが、同時に正義感が強い人物としても有名だった。
そんな人間が本当にこんな行動を取るのだろうか?
私は一瞬、こいつが
この疑念にもっと真剣に向き合っていたのなら、今年の結末はもっと別の物になっていたことだろう。
ハリー視点
最初は呪文で操られ、次に苦しみを与えられる。蜘蛛は次の呪文で一体どうなってしまうのだろか?
そんな悠長な疑問を抱けるような空気は、今の教室にはどこにもなかった。
皆一様に笑顔を浮かべるダリア・マルフォイと、そんな奴を睨みつけるムーディ先生を恐怖の視線で見守っている。
こんな恐ろしい呪文を見ても笑顔を浮かべているダリア・マルフォイに恐怖を覚えたこともあるが、僕らが即座に思い浮かべたのはつい先日の光景。笑顔で人を傷つけるダリア・マルフォイと血だらけのムーディ先生。あの悪夢がいつ再現されても可笑しくはない光景だった。
しかし、
「……『アバダケダブラ』です、先生。最後の呪文は『アバダケダブラ』……死の呪文です」
ハーマイオニーの突然の発言によって、張り詰めていた空気は僅かに霧散することとなる。
思わぬ人物の横やりにムーディ先生が顔を歪める。傷だらけのため詳細に彼の表情を読むことは出来ないが、おそらくハーマイオニーの発言に鼻白んでいるのだろう。まるで何かの目的を邪魔されたかのような……そんな雰囲気だ。ムーディ先生は魔法の目でダリア・マルフォイを見つめ続けながら、普通の目でハーマイオニーを見やる。
そしてハーマイオニーも何故かムーディ先生にどこか敵意の籠った目つきで睨み返していた。
だがこうして見つめあっていても埒が明かないと思ったのか、先生はおもむろに蜘蛛に杖を向け、
「……正解だ、グレンジャー。『アバダケダブラ!』」
遂にその呪文を唱えたのだった。
目も眩む様な緑の閃光が教室を照らす。そして光が晴れた時には……ダリア・マルフォイの前に置かれていた蜘蛛は
あちこちで声にならない悲鳴が上がった。皆顔を青ざめさせ、蜘蛛嫌いのロンでさえ暗い表情を浮かべている。
そんな中で変わらず笑顔を浮かべているのは、やはりダリア・マルフォイだけだった。
ムーディ先生は恐ろしい呪文を目の辺りにしても表情を変えない奴を警戒したように眺めながら、静かな口調で続けた。
「……実に
前半はともかく、これは明らかに僕のことを指している言葉だった。それは皆も分かるのか、先程までダリア・マルフォイを凝視していたのが、今では僕の方を振り返って見つめている。
しかし僕はそんな皆の反応に応える余裕などなかった。
ムーディ先生の言葉に一瞬で様々な感情や思考が脳裏をよぎる。
去年『吸魂鬼』に見せられた光景では、母の叫び声と共に今見た緑の閃光が見えていた。そうだ……この呪文で両親は殺されたのか。この蜘蛛と同じように傷一つなく。ただ緑の閃光を見た一瞬の間に……。ヴォルデモートはこの呪文を使って、僕の両親を殺したのだ。
そしてこの呪文を……
道理で一年生の頃、奴がトロールを殺した呪文に見覚えがあるはずだ。そして『秘密の部屋』でトムに使っていた呪文。いずれもあいつはこの見覚えのある緑色の閃光を放っていた。こいつはムーディ先生の言うようにこの呪文を使いこなせている。それこそ一年生の頃から。この忌まわしい、人を殺すためだけにあるような呪文を……。
悲しみ、喪失感、絶望、無力感、怒り、そして憎悪……。様々な感情が脳裏をよぎっては消えていく。思考が錯綜してまとまることがない。
そんな僕の思考を知ってか知らずか、ムーディ先生は再び話し始めた。
「さて、今日お前達はようやく、この三つの闇の呪文を知った。『服従の呪文』、『磔の呪文』……そして死の呪文『アバダケダブラ』。特にこの『アバダケダブラ』には先程も言った通り反対呪文がない。ならば何故お前達に見せたのか。それはお前達は知っておかねばならないからだ。最悪の事態がどういうものか、お前達は味わっておかねばならない。これらは『許されざる呪文』と呼ばれ、同類である人に対して使われることを禁じられている。使えばアズカバンで終身刑だ。だがお前達が将来立ち向かうものはそういう呪文なのだ。さぁ、羽ペンを出せ。これらの真の恐ろしさを更に理解するため、羊皮紙にこれらのことを書き写すのだ」
それからは静かな時間だった。皆が『許されざる呪文』についてノートに書きとることに集中している。
そしてようやく喧騒が教室に戻ったのは、
「ここまでのようだな。では次の授業までに更に羊皮紙二枚分、この『許されざる呪文』が何故アズカバンに送られるに値するかを書き記すこと。以上だ」
つまらなそうにムーディ先生が授業の終わりを宣言した時だった。
皆教室を出た瞬間、なるべくダリア・マルフォイを視界に収めないようにしながら話し始める。
「あの蜘蛛が痙攣している姿を見たか?」
「あぁ! それに最後の呪文! ムーディが殺した時、あっという間だった! すげーよ!」
皆がまるで最高の
だからと言って、
「……ダリア、大丈夫?」
「何がですか? あぁ、授業内容についてですか? 私は平気ですよ。確かに少しショッキングな内容でしたが……。あのような恐ろしい呪文を、まさか教師が使うなど……。ダフネこそ平気ですか?」
「……あ、ありがとう、ダリア。
僕の憎悪の視線の先で笑顔のダリア・マルフォイと、そんな彼女に当惑したように話すダフネ・グリーングラスが会話をしている。途中、
「……ねぇ、ダフネ。もしかしてダリアは今の自分の表情を……」
「……うん、分かっていないよ。
僕の親友であるハーマイオニーが何か話しかけても関係はない。
「ハーマイオニー! またそいつらなんかに話しかけて! ほら、はやくこっちに!」
僕は無理やりにでもハーマイオニーを危険な
やっぱりダンブルドアは正しかった。最初から疑ってなどいなかったけど、今回の件で更に証明することが出来た。
ダリア・マルフォイが現時点でも危険な魔法使いであるということが。あんな呪文を見て笑顔でいられるなんて、それはこいつが最初から危険な闇の魔法使いである証拠に他ならない。
今思えばムーディは証明しようとしていたのだ。こいつを明らかに挑発している時には先日のことを恨みに思っているのではと思ったけど、彼はそんなちっぽけなことであのような言動を取っていたわけではない。彼は皆に示したのだ。僕等の近くに潜んでいる闇の魔法使いが誰なのかを。退学になっていなくとも、真の敵が今も近くにいることを。
僕の心の中に様々な感情が浮かんでは消えていく。
ダリア・マルフォイの方に振り返るハーマイオニーを引っ張りながら、僕は無性に叫びたい衝動を何とか抑え込むのだった。
だからそんな自分のことだけで精一杯だった僕は、
「……ねぇ、ロングボトム。顔色が悪いわよ」
「……だ、大丈夫だよ。……そ、そう言えば、さっきはありが、」
「勘違いしないでよ。私は別に貴方のために声を上げたわけではないわ」
あのハーマイオニー以外のグリフィンドール生に辛辣な態度をとるダフネ・グリーングラスですら、少し心配そうに話しかける程顔を青ざめさせている友人に気が付くことはなかった。