オレだけなんか世界観が違う   作:ろくす

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また果てしなくお久しぶりですワートリは今日も面白いです神作品ですね。
後編はそのうち。
感想評価などいつもありがとうございます。


ガロプラとS級隊員(偽) 前編

ボルボロスを使用するにあたって、一番困難だったのが群体のように肥大する自己の定義だった。

 

オレは、どうにも本誌で見ていた時の印象からボルボロスを使用した時の泥は全て本人の身体の一部と認識してしまっている。

そのため全身を泥化させたら本来の自分の身体と違いすぎる状態という認識になり、まともな操作が及ばなくなる。

捕虜となってから完全に口をつぐんでいるエネドラに操作方法なんて聞けないし、どういうイメージで操作していたのか解らない。

一部だけ身体切り離して設置などの使い方をしようにも泥を自己と認識できないオレでは身体(本体)から離れた瞬間にコントロールを失いただのトリオンの塊になってしまう。

そういった大きな欠点を改善するために、オレは自己の定義を改造することにした。

 

元からオレはそういった定義が人とは少し異なる位置にあったことから、改造自体もそこまで苦ではなかった。

オレと俺の切り分けや、逆に同一視している範囲、オレの一部ではないが一部とまで認識していた銃、オレの指示で動かしていた部下、自由意志で行動させていた仲間、そういった枠組みに、ボルボロスを起動した時の泥も定義付け割り振っていく作業を行う。

まぁ、定義づけが終わって突然動きが変わったことにすぐ仮想空間で対峙していた遊真に見破られ、凄いだろ!と自慢気味に言ったら偉い人にもめちゃくちゃ怒られたし速攻でカウンセリングルームにぶち込まれ新たな黒歴史の1ページとなってしまったが……。

とにかく、オレはオレなりにボルボロスに対して少しずつ理解を深めていった。

 

 

 

目の前でうごうご動かしている泥。

バスケットボール大くらいの泥を更に分割して手の形にしてお互いにじゃんけんをさせたり、また一つにした後に那須さんのログで見た弾道を再現してみようとして失敗したりと、できる限りの精密操作を繰り返す。

先日どこまで身体を増幅させられるのかの限界調査の時よりも繊細なコントロールが必要になるので集中力がいる。

当初はランダムに画像を見せられて、その画像の形に変形させるという方法でやろうとしていたがオレの芸術的センスがほとばしってしまい、成功しているのか失敗しているのかの判定ができないと怒られてから今の方法に落ち着いた。

このバスケットボール大の泥はオレの腕くらいなので、ある程度の精密操作はできる。

じゃんけんさせていた手に箸を持たせれば大豆をつまめるだろうし、折り紙くらいは出来るだろう。

けど、あくまでその程度でしかない。

 

「うーむ微妙だ……」

 

オレ本体と直接繋がった泥を操作するときのようにバリエーションに富んだ動きは出来ないし、こうさせたいというはっきりした意志がないと操作もできない。

意識すれば操作できるとはいえ、戦闘中にそんなことするコストとリターンを考えれば愚直な槍型にして射出するエネドラ方式のがよっぽどコスパがいい。

直接繋がった泥は身体を動かすように無意識での操作調整もできるようになってきた事から考えると、腕程度では所詮地雷のような使い方が精々だった。

そろそろこの腕の操作もやめていいだろうかとモニターの向うに視線をやった時、待ち構えていたようにモニタールームから声がかかった。

 

 

『神崎、突然のことで悪いが実践だ』

 

 

 

 

パターンA!使徒です!!……じゃあないけど、そういえばすっかり忘れていたがガロプラからの遠征艇襲撃事件があった。

ただ、どうにも原作と違う点がいくつかあり、その中の最大の相違点がガロプラ組が遠征艇を目指してこないということである。

 

「迅の予知いわく、敵の狙いはエネドラとボルボロスのようだ」

 

しかめっ面の鬼怒田さんの言葉に納得する。

そういえば、現在の原作との最大の相違としてミラがエネドラを殺していないことが挙げられる。(後から聞いた話によるとエネドラ侵入当時のボーダー外は黒いラービット大量発生でなかなかの地獄だったらしく、到底エネドラを殺しに来る事が出来る状況じゃなかったらしい)

つまり、アフトクラトル側からすると今回はエネドラの始末ついでに奪われたブラックトリガーを取り返すことが目標になっているということだろう。

今頃ヒュースと陽太郎の友情イベントが起きていることを思えばそっちに行きたくて仕方ないのだが、到底できるはずもなく……。

オレの役目は、基地内の被害をできる限り収めるための敵の誘導としての餌役だった。

 

「作戦は以上だ。……できるな、神崎」

「了解しました」

「では行ってこい」

「はい!」

 

今日だけ臨時のS級扱いだ。

アフトクラトルセンスなマントを翻しながら基地内を闊歩するなんて少し変な状況だが、オレはオレのやれることをやって少しでもボーダーのみんなに恩を返したい。

がんばれよーとゆるーく手を降ってる寺島さんにサムズアップすると同じ研究室の人も返してくれた。

ただ、どうにもニヤニヤ笑われてるので戦闘前の高揚感から普段なら絶対やらないような仕草を後でからかわれそうだが……研究者として偉大なる先輩であることには変わりないので後でお昼の時に復讐する事で許そうと思う。

隠しフォルダ見つけてるんだからな後で絶対あの厨ニバリバリの恥ずかしいトリガー妄想みんなの前で晒してやる、となんてことない日常を噛みしめる。

 

よーし、先輩頑張っちゃうぞー。

 

 

このあと太刀川さん達に会えるしね!!!

 


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