オレだけなんか世界観が違う   作:ろくす

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感想評価ありがとうございます。
最近更新ペースが落ちてきていますが、しっかり完結させますのでよろしくお願いします。


その斜めカットイケテるってマジで思ってる?

ランバネインと混合チームの戦いは原作通りに終了した。

オレあの超カッコいい混合チームメンバーのサインほとんど持ってるんだぜ信じられる??

通信室の皆さんが全員の会話を繋いだり全員の位置を表示したりと活躍するなかオレは野次馬丸出しで見てしまった。

こ、これから挽回するから……。

 

なんて思っていたら、通信室に警報が鳴り響いた。

ついにエネドラが来るようだ。

 

 

『侵入警報!侵入警報!基地内部に未識別のトリオン反応!通気孔から侵入されたようです!』

 

 

確かエネドラは壁を破壊して来るはず。

もう原作知識の出し惜しみは無しで全力でいくぞ。

不自然だろうと、前もって体勢を整えて待つ。

 

 

『人型です!人型ネイバー侵入!』

 

 

ほぼ同時にオレの真横の壁が破壊された。

 

 

「エスクード!!」

 

 

声に出す必要は無いのは解っているが、気合いを入れるのとオレの存在に気づいて貰うためにあえて声を出した。

ちょっと恥ずかしい。

とりあえず瓦礫から通信室の人たちを守るように出したので瓦礫で押し潰された人はいないようだ。

 

 

「早く逃げてください!こいつとはオレがやります!」

「す、すまない!総員退避だ!」

 

 

正直近くに居られると守りきれない可能性が上がるので早く逃げてもらいたい。

オレの声に反応したのか、日頃の訓練の賜物か、護身用のトリガーを発動して直ぐに逃げ始めてくれた。

オレは逃げる人に向かって真っ直ぐ伸びるトゲのような液体を遮るようにエスクードを出すと同時に、足元から迫ってきた攻撃を避けた。

 

 

「チッ……うぜぇなぁ……雑魚が雑魚を壊す邪魔しやがって」

 

 

原作そのまま、生エネドラである。

うぜぇとか言いながらもその目はオレを壊す楽しみに輝いているようだった。

本来のエネドラが一体どんな奴だったのか、読者は知り得ないがファッションセンスからして元からDQNだったのではないだろうか。

 

エスクードを出して邪魔をしたのが目の前で銃を構えているオレだと解ってか、エネドラの敵意がオレに向いた。

明らかに格上すぎて、正直今すぐ逃げ出してしまいたいがそれではダメだ。

少しでもオレに意識を向けさせた状態で時間を稼がないといけないのだから挑発でもと思ったが、日本語での気の効いた挑発なんてパッと出てこない。

 

 

「あんた、その斜めカットがイケテるってマジで思ってる?」

「あ゛ぁ?!猿の癖して一丁前に人間様に意見するなクソがぁっ!」

「っ!」

 

 

意外とデリケートな話題だったのだろうか。

ついさっきまでオレが居た場所が槍状のブレードで瞬時に真っ黒に染まる。

今のは絶対に攻撃が来ると解っていたからこそ避けられたようなものだ。

攻撃スピードが洒落にならないので正直冷や汗が止まらない。

 

さて、いつまでもこの部屋に留まっているのは下策にも程があるので威嚇として銃弾をばらまいてからオレも出口に向かう。

当然エネドラも解っているので、オレの先回りをするように四方八方からニードルが襲いかかる。

 

 

「雑魚は雑魚らしく壊れろ!」

「うるせぇ斜めカット!売れないV系バンドかよ!」

 

 

あえて出口に誘導するような動きは明らかに罠だろう。

出口の直前で右側から来た攻撃を避けると同時に、エネドラの攻撃によって脆くなった壁をトリガーで撃ち抜くと殆ど弾丸と共に崩れる壁に向かって飛び込んだ。

結果的に通信室を一番破壊したのはオレな気がするが緊急事態なので許してほしい。

 

 

「雑魚の癖してちょこまかすんな!」

 

 

振り向く余裕があれば逃げろが鉄則である。

エネドラと楽しくお喋りなんて論外だ。

さっきの一撃で右耳辺りが削り取られたような感覚があるが、痛覚のほぼないトリオン体様々である。

 

しかしやはり原作キャラであるエネドラとの戦いではサイドエフェクトが発動していないようで、いつもより身体が重く、鈍く感じる。

今まで避けれたのが奇跡でしかない。

ボコボコと泡立つ音が聞こえた気がしたので殆ど勘で左に跳んだら頭の真横を泥が通過していった。

 

 

「あっぶねぇ!」

「ミデンの猿は避けることしか出来ねぇのか!」

「黙れ××××野郎!」

 

 

早くこの細い通路を抜けたい。

一直線なここではろくに反撃も回避も出来ないのだ。

今はまだエネドラがオレをいたぶるつもりがあるから生きているだけで、本来はとっくに殺されていてもおかしくない相手なのだ。

 

研究者の避難を勧告する放送を聞きながら、仮想戦闘室を目指す。

オレの目標の為にもまだ余裕ぶっこいててくれ……!

頭のなかに叩き込んだボーダーの地図ではゴールはもうすぐそこだった。

 

通路を抜けた瞬間、無駄なのは解っているがエスクードで通路をふさいだ。

正面からの攻撃の選択肢を無くせるだけでも良いという一心だったが、逆効果だったかもしれない。

 

 

「猿の浅知恵なんざ効かねぇよ」

 

 

足元や左右を警戒しすぎたせいで、頭上の変化に気付くのが少し遅れてしまった。

 

 

「!!」

 

 

ギリギリで体を捻ったことにより何とかトリオン器官直撃は免れたが、左腕を結構持っていかれてしまった。

オレは村上さんではないので片腕を失ったら純粋にパワーダウンなのでつらい。

今まで頭上からの攻撃が無かったことから、無意識に思考から除外してしまったようだ。

目眩ましにもならないと解っているが、足元の腕を蹴りあげてエネドラに飛ばすと踵を返した。

 

 

「そろそろ壊れろ」

 

 

その言葉が示すのはすなわち遊びの終わりであり、オレのタイムリミットでもある。

オレの腕をはたき落としたエネドラがその右手をこちらに向けたその時、もうだめかと思いながらも最後の足掻きで銃を構えた。

しかし、オレが引き金を引くよりも先に射撃音と共に複数の銃弾が当たりエネドラの顔が泥に戻った。

こ、これはまさか……!

 

 

「新型の次はブラックトリガーかよ!復帰早々クソめんどくせーのが来やがったな!」

「新しい雑魚が湧いてきたか」

「そこのオメーもよく粘った!あと少し踏ん張れ!」

「す、諏訪さんかっけーっす!!!」

 

視線は諏訪さんに向けているエネドラだが、新しい獲物が見つかったからか、ついでとばかりにオレに止めを刺しに来た。

諏訪さんの攻撃により一拍遅れたおかげでなんとか避けられたが。

諏訪さんまじありがとう。

 

そのあとは諏訪さん達の援護射撃のおかげで何とかベイルアウトせずに仮想戦闘室に逃げ込むことができた。

 

 

「来いよ、ミスターブラックトリガー。お望み通り遊んでやるぜ」

 

 

諏訪さんの最強にカッコいい台詞来たー!!!

 

 

 


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