定期的に書くという作業が苦手な私が投げ出さないでいられるのも皆様のおかげです。
注意
今回修が原作っぽくない修です。
主人公に対して適切な扱いをしているだけなので、原作キャラに対しては原作通りの対応が基本です。
ボーダーに来て、ランク戦をしていたら先輩を見かけたので近況報告をしながらジュースを飲んでいた。
「なんか、結局先輩にお世話になってばかりですね……」
「修くんの成長見てるの楽しいからへーきへーき。何だかんだ、もうちょいでB級昇格とか凄い成長だよほんと」
「先輩のアドバイスのおかげです。…………最近同期からちょっと距離を取られてる気もしますけど……」
「すまない、修くん。言い忘れていたがオレの戦い方は友達が出来にくいという副作用があってだな……」
シリアスな空気を醸し出しながら言うと、修に心底憐れみの念を込めた眼差しを向けられた。
「だから先輩いつもボッチなんですね……」
「お、オレは孤高の一匹狼みたいなものだから……」
「孤高と一匹狼を合わせると頭痛が痛いみたいなニュアンスになりますよね」
「後輩がなんか冷たい!」
まずは顔面への攻撃で少しポイントを稼ぎ、その後また伸び悩んだ後、レイガイストなら開幕全力で四肢(出来れば手)を切り落とせというアドバイスを貰い市街地のフィールドでトリオンを使わない身の隠し方を教わり、更に少し経つとフィールドを生かした奇襲方法を教わった。
余裕があれば素手でもいいから目を狙えとか、一撃強めに入れたら最悪トリオン漏れで勝つまで逃げろとか、本当に正面から戦うということを回避しようとするアドバイスも貰った。
一体修はどこを目指しているのか。
教わっている戦術が、画一的で装甲の硬いトリオン兵に対してあまり有効ではない個人プレーばかりということにはまだ気付いていない。
「なんか修くん変わったなー。最初はなんか初々しいというか、潔癖っぽいとこあったのに」
「残念ながら朱に交われば……ということですかね」
「そういうとこだよ修くん!」
修自身、かなり馴れ馴れしい事を言っているなと思わなくもないが、どこかずれたとこのある先輩に対して内心ツッコミを入れていたら思わず声に出していたのだ。
馴れ馴れしい事を言ってしまったと青ざめる修に対して先輩も先輩で、更に真面目にボケてくるものだからついノッてしまい今に至る。
しかし先輩がボッチなのは本当である。
普段ランク戦の対戦ルームで見かけるときも厳しい目付きでトリガーを抱いて一人反省会をしているか、他の人の対戦を見ているだけで修以外の誰かと話している姿を見たことがない。
そんなボッチな先輩からアドバイスを貰っていたら、ボーダー内部の人に呼び出された時は何事かと青くなった。
保護者の目線から先輩がボッチ気味であることを気にしていたらしく、仲良くしてくれてありがとうととまで言われた事により杞憂だとはっきりしたが。
先輩が日に焼けているせいか、あまり似ていない親子だと思ったが、わざわざ修を呼び出したなんて知られると絶対に嫌われるから言わないでくれと言ってきたその人は本当に先輩のことが大切なんだなと伝わってきた。
先輩のお父さんとはその後もちょくちょく先輩について話すことがある。
「優しい後輩を持って幸せだなー……」
「優しい後輩から、先輩に感謝の品があります」
「えっなになに?!」
遠くを見る目で棒読みで誉めてきた先輩に対して、修は奥の手を切った。
現金なもので、あっさりとこちらを向く先輩はちょろい。
感謝の品、とは本当のことだ。
B級昇格まであと一歩のとこまで引き上げてくれた先輩に対しては本当に感謝している。
以前小腹がすいた時のために持ってきていた駄菓子に先輩が大興奮していたのを覚えていた修は、あまり重くならない感謝の証として某有名駄菓子のお徳用パックを持ってきていた。
修はコンポタ派なのでもちろんコンポタである。
「これ、いつもお世話になってるお礼です」
「う、うわぁー!う○い棒だ!凄い!一杯ある!」
「持ってきといて何ですが先輩本当にこういうの大好きなんですね」
「いや、だっておやつとか全然無かったんだよ!嗜好品とか酒とタバコとチョコレートはあったけどう○い棒とか無かったし!すげー!」
紙袋から取り出して先輩に渡すと、正に目の色が変わる反応を見せてくれた。
手の中のものをまじまじと見た瞬間、さっと頬が高揚からか赤くなって、小さな子供のような思わず此方も笑顔がこぼれ落ちるような笑みを形作った。
興奮しながらポロリと漏らしたボロに酒とタバコ……?と思ったが、テンションが上がりまくりの先輩に周りに大人しかいない環境で育ったのかなと無理やり自分を納得させる。
前から希にこぼす不穏な発言や人間相手に戦いなれているであろう戦術指南を受けていたので、先輩に元ヤン疑惑があったがほぼ確信してしまった。
元ヤンにしてはイイ人なんだけどなぁとしみじみと思う。
「いやほんとまじでありがとう!後輩神!」
「340円でそんなに喜ばれると何故か罪悪感が……」
「憧れだったんだよこういうの!」
「持ってきて良かったです」
「むしろオレがお礼したい」
「それ無限ループ」
どうしてもお礼がしたいと言い張る先輩に、一体何を言えばいいのだろう。
この調子では、自分が満足するまでテコでも動かないだろう。
そんな中ふと、思い付いた。
「じゃあ先輩の名前教えて下さい」
そんな日常から少しして、修のクラスに少し変わった転校生がやってきた。
念のためですが、主人公のお父さん()はボーダー内部の責任者のかたです。