東方天災手記   作:ベネト

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人里編です


人里へ

side美羽

 

翌日となり、アタシは地図を持って天狗の里から人里へと移動する...

 

昨日は地図から考えて...反対方向に進んでいたみたいね...

 

 

 

「...あら?あれかしら?」

 

遠くにはこの前向かった人里が見える...

 

今日はあれを探索して終えるとしますか...

 

 

 

「っと!ストップ!」

 

アタシは人里に入る前に自分の姿を確認する...

 

翼は畳めば問題はないけど、この軍服目立つかしら?

 

確か五月蠅い上層部は目立つことはやめろとか言っていたし、目立たないようにしないとねぇ...

 

 

「仕方ないわねぇ...」

 

牢獄で拾った外の世界のファッション雑誌を眺めた後、アタシは気に入った服を出現させてそれに着替える...

 

深緑のジャケットにTシャツ・迷彩柄のズボン...

 

とりあえず問題はないわね!

 

 

 

 

「これで一安心...というわけにはいかないか...」

 

人里の方を見ると何やら騒がしいわ、何か嫌な予感がするわね...

 

「こちとら...お忍びだというのにね」

 

アタシはそのまま人里の中へと入っていく...

 

 

 

「ぎしゃあああああ!!」

 

「子供を返して!!!」

 

「...駄目だ!近づいたら危ない!!」

 

里の中は混乱に陥っていた...

 

里の中央には大きなムカデの妖怪が人里の子供を捕らえていたからだ...

 

確か文の話だと人里の中の人間を妖怪が襲うことはタブーだったような気がする...

 

詳しくは覚えてないけど、こうもあっさり不干渉が破られるとなると条約の意味をなさないわ...

 

 

アタシはキセルに火をつけて辺りを見回す...

 

ムカデの妖怪の近くには捕らえられた子供とその親であろう女性が一人...

 

そしてその女性を止めている。もう一人の女性がいるくらいで辺りの大人の姿が見えない...

 

流石の人間でも妖怪の退治はできないようみたいね...

 

 

 

「ふー...お忍びできたというのに...まぁアタシには関係のないこと...」

 

「きしゃー!!」

 

「あ?」

 

ムカデの方を見るとアタシの方を見つめている...

 

何か...すごい嫌な予感がするわ...

 

そして母親を止めていた女性がアタシに向かって叫ぶ

 

 

「そこのお前!キセルの火を消せ!!それで奴が反応しているんだ!!」

 

「...キセル...ああ...これが原因なのね...」

 

...アタシ自らが厄介事の原因をつくるとは

 

ただ...観光がしたかっただけだというのにね...

 

 

 

 

 

 

side?

 

「きしゃー!!」

 

ムカデ妖怪は子供を離して、女性の方へ向かっていく!

 

「ふー!」

 

「おい!聞いてるのか!!」

 

ムカデが近づいているというのに女性がキセルを咥えてムカデを見つめているだけだ!!

 

長い灰色の髪をしているが服装からして外来人!妖怪の恐ろしさを知らないのか!?

 

「きしゃああ!!」

 

「ふー....20%でいいわね...これくらいなら」

 

 

 

 

 

 

「拳1つだけで充分よね!」

 

「ぎしゃぁぁぁぁ!?」

 

女性がムカデ妖怪の頭部を殴り飛ばしてムカデ妖怪が吹き飛ぶ!?

 

 

 

「馬鹿な!?」

 

見た限り10代中盤か後半くらいの人間の女が妖怪を殴り飛ばすだと!?

 

只の外来人ではないのか?

 

女性はキセルの煙を吹きながらムカデ妖怪に近づいて頭部に片足を乗っける...

 

 

 

 

 

「はい!終了!!」

 

ぐちゃ!!

 

女性が足に力を込めて踏みつけを行うと嫌な音を立てながらムカデの頭部が地面へ埋没する...

 

そして辺りにはムカデ妖怪の血があふれている...

 

「...あ...返り血が...」

 

女性は嫌悪感丸出しの顔をした後、ズボンについた血を払っている...

 

それは...あんな勢いで踏んづければそれは返り血の1つはつく...

 

 

 

 

「!?」

 

一瞬の光景だが、血を払っている彼女の左腕が発光しズボンに付着した血を消滅させていた...

 

そして少し感じた力のようなもの...何かの能力なのか?

 

 

 

 

「全く...お忍びだというのに...この服だって、おにゅーだというのに」

 

ぶつぶつ言いながら彼女はムカデを背にしてキセルの煙を吐く...

 

「!?」

 

彼女の背後を見ると先ほど倒されていたはずのムカデ妖怪が頭部のないまま再び起き上がる!!?

 

そしてムカデ妖怪は尾の針を彼女へ向ける!

 

まずい!彼女は気づいていない!!

 

私は彼女のもとへ走る!

 

 

「おい!!まだ生きているぞ!!」

 

「...あらん?」

 

彼女はムカデ妖怪の方を振り向くが、すでにムカデ妖怪の方は攻撃準備に入っている!!

 

間に会ってくれ!!

 

私はスペルカードを取り出す!

 

 

 

「国符!」

 

「油断はいけませんね...」

 

私の背後から声が響き、ムカデ妖怪は光帯びた檻に閉じ込められる!!

 

背後を見るとそこには、水色のダウンジャケットに白のキャミソール・黒のミニスカートの外来人風の服装に身を包んだ灰色の長い髪の女性がいた...

 

何やら彼女は空間に何かを出現させて、それを指で突いている...

 

 

 

「...何だ...貴女も来てたの?」

 

「ええ...ワタシもここのことは知りたいですし」

 

どうやら互いに顔見知りのようだ...

 

しかしこの2人...

 

服装と少しの違いを除けば瓜二つだ...

 

キセルを吸っている方はムカデ妖怪を眺めている...

 

 

 

「貴女がいなかったら危なかったかも...」

 

空間をいじっている方はそれを笑みを浮かべて眺めている...

 

「早く終わりにしましょう?時間は有限ですし...」

 

「分かったわよん...今度は...60%くらいで!!」

 

キセルを咥えている方は飛び上がりムカデ妖怪の体に掌底を放つ!

 

ムカデ妖怪の方は嫌な音を立てながら地面にめり込むように地面に沈んでいき、その姿を消す...

 

 

 

 

 

人里に残ったのは大きな大穴...

 

ムカデ妖怪の墓穴というべきだろうか?

 

 

キセルを咥えている方は墓穴にしゃがんで、それを眺めている...

 

 

「柚神?隠蔽できる?」

 

「はいはい...できますよ~」

 

柚神と呼ばれた方が空間をいじると墓穴が徐々に狭まっていき、綺麗さっぱり元通りの地面になる...

 

こっちの方も何かの能力者なのか?

 

あまりにも戦い慣れし過ぎている...

 

 

 

 

キセルを咥えている方は伸びをしながら立ち上がる...

 

「ん~!...しかし...簡単とはいえ、こんなことに巻き込まれるなんてねぇ」

 

「ついていなかった...それだけですよ...」

 

そしてキセルを咥えている方は、柚神と呼ばれた方を眺める...

 

 

 

「しかし...貴女その格好は何?」

 

「...変ですか?一応普段の物では目立つので...参考資料に目を通したのですが?」

 

「いや?変じゃないわ...新鮮な感じよ...」

 

キセルを咥えている方は明後日の方向に煙を吐き、柚神と呼ばれた方は顔を赤らめている...

 

そして彼女たちは人里の方へ歩を進めていく...

 

 

「とりあえず...この後どうする?」

 

「...そうですね...お昼も近いですし、どこかでお食事といきたいですね...」

 

まずい!何もしないうちに彼女たちがいなくなってしまう!!

 

 

 

「待ってくれ!!」

 

「あら?」

 

「何でしょう?」

 

私の言葉に彼女たちが反応する...

 

 

「妖怪から子供を救ってくれて感謝する!私はこの里で寺子屋を開いている上白沢慧音という者だ!」

 

キセルを咥えている方は半目で頭を掻きながら、私の方を振り向く...

 

「ただ...火の粉が飛んできたから消しただけよ...感謝されることはないわぁ」

 

「ワタシの方は美羽が危険だったので...助太刀に」

 

「...その話はいいでしょ」

 

美羽と呼ばれた方は柚神と呼ばれた方を向いてバツの悪い顔をする...

 

 

美羽と柚神か...

 

まぁ...今回の事は偶然だったにしろ、彼女たちが子供を救出してくれたことは事実!

 

私としても何かしないと気が収まらん!

 

 

 

 

 

「まぁ!そう言うな!お昼がまだなのだろう?私が人里のそばをごちそうするから!礼をさせてくれ...」

 

2人は顔を見合わせる...

 

「...どうしようかしら?」

 

「ワタシ達もここの事は知りませんし...この際お世話になるのもいいかもしれませんよ?」

 

彼女たちは頷いた後私の方を向く...

 

「それなら...うん...」

 

「お言葉に甘えて...」

 

 

決まりだな!

 

「では案内する!ついてきてくれ!!」

 

私は彼女たちの手を引っ張り蕎麦屋の方へ向かう...

 

礼もかねてだが、彼女たちの経歴のことも気になるしな...

 

 




軽い戦闘でした

次回も人里編です

ではこれにて

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