東方天災手記   作:ベネト

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日常編

牢屋での一騒動


苦手な物と時間の経過

妖怪の山の天辺に出来た神社の異変と救難信号の件から3日経過する...いつもの異変通り普段通りの日常がやってくるはずだがそうもいかない

 

妖怪の山の封印牢では、包帯グルグル巻きの姿の天逆毎乃葉が机の前におり...机の上は今回の異変での始末書が溢れている...

 

彼女は最後の書類を書き上げ、手にした筆を片手でへし折る...

 

 

「や...やっと終わった...」

 

彼女は最後の書類を机の引き出しに入れ机に突っ伏す...

 

「やっと終わったのか?同志よ?」

 

「お疲れ様です毎乃葉様!」

 

「相変わらずデスクワークが苦手なようだ...隊長...」

 

牢の戸が開くとそこには、第0部隊のメンバーである夜喪妓・睡煉・忌梗の3名が牢に入り、それを確認した毎乃葉は3名を不機嫌そうな顔で見る

 

「むー!!手伝ってくれてもいいじゃないのよン!!!」

 

「同志の始末書だ...手伝うわけにはいかないだろう?」

 

「射命丸文に対する能力の使用...犬走椛に対する恫喝...命令違反...山の一部損壊...まだ何かありますよね?」

 

「もうない!もうないわ!!!これ以上の余罪なんてないわ!!!」

 

睡煉の言葉に毎乃葉は顔を青くするが...何かまだあるのだろう...とりあえず始末書を終わらせたい彼女は体を振る...

 

 

「でも...何でバレたのかしら?できる隠蔽はやったし...」

 

毎乃葉は空間にホログラムを出そうとするが、出たホログラムは画面に砂嵐のようなものとノイズが走っている...調子が悪いようだ

 

「駄目...演算できないわ...今回ばかりはボコボコにされたし休憩が必要ねン...」

 

「しかし今回の異変...私達は早急に撤退したが...まだ世界というのは広いものだな...私達よりも強いやつがいるとはな」

 

「仕方ないですよ!今回の異変には神がいたんですから!!相手は太古の神...私達は複製品...実力に差があるのは当然でしょう」

 

「実力に差があるとはいえ...隊長は善戦したし結果はよい...十分」

 

 

 

ばぁん!!

 

 

個々に今回の異変の感想を述べていると封印牢の戸が開かれて誰かが入ってくる

 

 

 

「はーい!お仕事は終わりましたか!?」

 

「お疲れ様です」

 

入ってきたのは射命丸文と犬走椛の2名...彼女たちの姿を見て毎乃葉は頭を掻く

 

「...さっき終わったところよン...酷いわねぇ...怪我人に始末書を書かせるなんて」

 

「それは命令無視をした貴女が悪いんです!!反省してください!」

 

文は反論した後、忌梗の方を見つめる

 

「あやや...また1人増えましたか...ここも賑わいそうですね」

 

「この子で最後よン...このアタシの部下は少数精鋭なのン!」

 

「...」

 

忌梗の方は入ってきた文と椛を目を見開いて見つめている...その視線に気づいたのか椛の方が忌梗に近づく

 

「貴女が新しい人ですね!私は犬走椛といいます...よろ...」

 

 

 

 

 

 

「ひぎぃ!!!!」

 

忌梗は椛から一気に距離をとる...ガスマスクの所為で表情が読み取り辛いが顔は真っ青で冷や汗ダラダラである

 

「どうした?同志忌梗?椛が自己紹介しているのだ...失礼だぞ?」

 

「忌梗?どうしたの?そんなに狼狽えて?いつもの貴女は冷静だというのに?」

 

「!!!!!」

 

夜喪妓・睡煉が言うが、忌梗は言葉を発することなく首をブンブンと横に振る

 

「...?どうしました?お体でも悪いのですか?」

 

「!!!!!」

 

椛が近づくが、忌梗はとうとう尻もちをつく...そして

 

 

 

 

 

 

「い...犬を私に近づけないでー!!!!!」

 

とうとう叫び始める...

 

「い...犬?」

 

夜喪妓が首を傾げるが、忌梗は半泣きになっている

 

「無理無理!!イヌ科だけは昔から無理なんだ!!助けて!!!いやああああああ!!!!」

 

普段抑揚のない話し方をする彼女が珍しく発狂するのを見て夜喪妓と睡煉はお互いの顔を見る

 

「こいつが犬を嫌いなの知っていたか?」

 

「いえ...この豹変ぶりを見る限り...そうとうかと」

 

2人は椛の方を見るが、椛の方はショックを受けたかのように部屋の隅で体育座りをしている

 

「...あ」

 

「ああもう!!こっちもダメージが!!」

 

「犬じゃないです...狼ですもん...」

 

そんな椛を見て毎乃葉が立ち上がる

 

「ちょっと!!忌梗!!もみちゃんに謝りなさいよン!!もみちゃんは!GOODGIRL!GOODGIRLなのよン!!!」

 

自然に椛を犬扱いする毎乃葉に椛の涙腺が決壊する

 

「うわあああん!!!毎乃葉様のバカー!!!」

 

椛は泣きながら牢を飛び出し

 

「NOOOO!!!!もみちゃん!!カムバーック!!!!」

 

自分の失言に気づいた毎乃葉は手を伸ばすが時すでに遅し...

 

 

 

「椛に対するハラスメント...これはまた始末書物ですね」

 

「普段からセクハラしているアンタに言われたくないわン!!!」

 

「セクハラではありません!!愛の鞭です!!」

 

毎乃葉と文が口喧嘩をしている隣で夜喪妓は忌梗を起こす

 

「ほら!立て!!い...椛はいなくなったから」

 

「うぐぐぐ!!!」

 

忌梗は何とか立ち上がるが、足はガクガクである...

 

「動物実験していたのに...犬が苦手とは驚きです...」

 

睡煉が何気なく口を開くが、それを聞いた忌梗は顔を俯かせる

 

「...」

 

「あ...ごめん」

 

自分が禁句を言ったことに対し睡煉が頭を下げるが、忌梗は首を横に振る

 

「いや...事実」

 

いつも通りの感じに戻った彼女だが、牢の空気が重くなってくる

 

 

 

 

 

「あやや...空気が重い...私はお暇しましょうかね...」

 

文は逃げるようにその場から立ち去り、毎乃葉は溜息を洩らしながらコートを羽織る

 

「飲みに行くわよ」

 

「え?」

 

急な毎乃葉の言葉に睡煉が驚く

 

「忌梗の歓迎会やってないじゃないの...アタシも始末書を片付けたし問題ないわ」

 

「私は構わんが?」

 

「隊長...」

 

忌梗が毎乃葉を見つめるが彼女は忌梗の頭に手をのせる

 

「気にする必要はないわ...これからをどう生きるかが大切なのよン...ほら!行った!!」

 

毎乃葉はメンバー3名を後押ししながら封印牢を後にする...

 

これで無事にメンバーが揃った第0部隊ではあるが、まだやることは多い...メンバーもリーダーである毎乃葉も...

 

 




短いですがここまで

ではこれにて

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