東方天災手記   作:ベネト

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6ボス+?


上には上がいる

妖怪の山のてっぺんにできた神社に天逆毎乃葉・博麗霊夢・霧雨魔理沙は辿り着き、そこの神社の巫女こと東風谷早苗に勝負を挑まれる...

 

霊夢と魔理沙に早苗の相手を任せた毎乃葉は、神社の奥へと急ぐ...

 

かつての部下からの救難信号は近い...目標まであと少しとなっているが...

 

 

 

 

 

 

 

 

side毎乃葉

 

「...目標が近い...忌梗の場所までもうすぐね」

 

救難信号の座標はここ...この場所にあの子がいるのね...

 

神社を通りこし、眼前には大きな湖が広がってくる...

 

「あれ?また新手?」

 

「!?」

 

突然の声にアタシは辺りを見回す...馬鹿な...気配を感じなかったのに...

 

「ど...どこに?」

 

「ここだよここ...」

 

コートの背を引っ張られ後ろを向くと、そこには金色の髪をし、青い着物のような服を身に着けた少女がいた...

 

...変な目玉のついた帽子を被っているけど...何か嫌な力を感じるわね...

 

「この神社の主かしら?悪いわねぇ勝手にお邪魔しちゃって...」

 

「んにゃ...別に構わないよ...主はあいつの方だし...」

 

少女は帽子を被り直し、アタシをじっと見つめる...

 

「今日はよく客が来る日だね...神もどきと天逆毎かぁー...この世界は向こうの世界とは違って色々なものに会えるんだね...」

 

「は?」

 

アタシの正体を見破った?何なのよこの子...神もどきというのは...夜喪妓と睡煉のことか...

 

「アナタ何者?」

 

「名乗るほどではないよ...理由はどうであれ敵地で無警戒で来るのはいただけないね...先ほどのスナイパーの方がよく見えていたというのに」

 

「夜喪妓のこと?」

 

「うん...あそこで伸びているよ...」

 

少女が指さす方向には地面に突っ伏して倒れている夜喪妓の姿が!

 

「な?」

 

「それなりに強かったかな?大丈夫~軽くのしただけだし...」

 

「...ほほほ」

 

 

 

ブン!!!

 

 

少女に向けて鉄扇を振る...だけどアタシの攻撃は空を切り、代わりに灯篭が一本破砕音を立てて倒れる...

 

 

 

 

 

「いきなり攻撃とは乱暴者だな...」

 

少女がゆらりと別の場所から現れる...

 

「このアタシの可愛い部下を痛めつけたのだから当然でしょぉ?」

 

「だって人の敷地内に勝手に入っている方が悪いでしょう?」

 

「言い返すようだけど...こっちのテリトリーに勝手に神社を立てたのは貴女達よン...それに貴女のところの巫女が更に面倒な仕事を増やしたせいで本来の目的を行うこともできやしない」

 

「目的?」

 

「ちょっとこちらの話よ...この敷地内に部下が一人遭難していてねぇ...それの救助が本来の目的なのよン...」

 

「部下?さっきの片割れのこと?自分から湖に入っておいて遭難はないんじゃない?」

 

「そっちではないわ...湖の方でもそこで伸びている方でもない、もう一人のことよン...」

 

少女は辺りを見回す...

 

「...いや...まさかぁ~?この敷地内はこっちの範囲だけど...それっぽい生命反応は感じない...出鱈目いうんじゃないよ」

 

「出鱈目ではないわ...貴女でも能力を発動したあの子を感知することはできないわ...」

 

...あの子の能力は強力なもの...その気になれば永遠に存在すらできるかもしれないわね...

 

 

 

 

「何を遊んでいる?諏訪子?」

 

「!?」

 

突如声が響き、神社の方からこちらへと向かう人影を確認する...

 

紫色の髪をした女性、長さはセミロングぐらいで、赤い服に茶色のスカート姿...背には常連縄のようなものがついている...

 

「あ!神奈子!遊んでないよ!この天逆毎の相手していたんだ!」

 

諏訪子と呼ばれた少女は神奈子と呼ばれた女性に抗議している...

 

「...確かにアタシは天逆毎だけど...正式名称は天逆毎乃葉っていう名前があるんだけどぉ」

 

アタシも僅かに抗議するが、神奈子はじっとアタシを見つめるだけだ...

 

「見目は違うが確かに天逆毎のようだ...偶然にできた産物か?それに?」

 

今度は倒れている夜喪妓を見つめる

 

「そっちの方も見目は違うが、ある神霊の力を感じる...お前ら何者だ?」

 

「答える義理はないわ...用が済んだらこっちから消えるわよ」

 

「無礼な奴だ...少し力量を確認した方がいいのではないか?」

 

神奈子から少しずつ力が溢れだしてくる...

 

「あら?やるの?このアタシはそこらへんの奴とは違...」

 

 

 

 

 

 

 

ズズズズ...

 

 

 

 

 

 

な...何?この力?彼女達から、このアタシよりも濃い力が溢れてくる...

 

というより...何で神力が?

 

「驚くことはないだろう?私は外の世界から来た山の神、八坂神奈子!正真正銘の神である!」

 

「神!?そんなのって...」

 

「嘘ではない...そこにいる洩矢諏訪子も土着神...祟り神と言えば分かるだろう?」

 

「はい!どーもー!」

 

諏訪子がアタシの方を見て手を振る...

 

2名の神?なんてことよ...アタシよりも格上が2名この場にいるなんて...

 

冷や汗が体中を伝う...このアタシが力の差で気圧されるなんて...そんな...

 

「さっきの威勢が消えたな?毎乃葉?今なら見逃してやることもないが...」

 

「さぁ?どうする~?」

 

2柱が好き勝手に言うけど、アタシの選択は決まっている!

 

「誰が逃げ出すかー!!!!そんなもの関係ないわ...2人纏めてかかってきなさいよ!」

 

全力の霊力を纏って2人に対峙する...撤退なんてことは絶対しない!!部下を置いていく位なら散ったほうがマシよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ザバーン!!!

 

 

 

「ふぃー!!回収完了っと...」

 

突然の水しぶきにより、アタシたちはその方向を見る...

 

そこには湖から出てくる睡煉...彼女は何やら泥やら枯れ葉の塊のようなものを引きずっている...

 

こんなバットタイミングで現れるなんてっ!!

 

「あら?残りが来たか?」

 

「こいつも...そこで伸びているのと同じか...」

 

2柱の方は睡煉に集中しており、睡煉はアタシの存在に気づき手を振る...

 

「毎乃葉様ー!忌梗見つけましたよー!汚いけどこれですよー!」

 

睡煉がアタシの方に泥の塊を投げる!!

 

アタシはそれをキャッチするが、あまりにも原型を留めていないわ!

 

「ああもう!!」

 

能力を使い、表面の泥などを落としていくと、次第に泥は人の形に変わり始めてくる...

 

 

「!!」

 

泥を落としきると、そこ現れたのは、黒い長い髪の少女...長い髪を一本にし、青い軍服に身を包み顔半分には赤紫色のガスマスクを着けている...正真正銘...忌梗!!

 

でもアタシの腕の中の彼女は、眠っているかのように停止している...動く気配を見せない...

 

「忌梗!!忌梗!!起きなさい!!」

 

こ...こんな事ってないわ...せっかく見つけたのに...こんな...

 

 

 

「...」ぱち!

 

「!!!」

 

腕の中の彼女は目を開けて体を僅かに起こす...

 

「しゅこー...しゅこー...」

 

ガスマスク越しの彼女の吐息が辺りに響き、彼女はボーっとした目でアタシを見つめる...

 

「...幾千年ぶりの再起動...忌梗戻りました...隊長」

 

「っ!!!もう!!すぐに起きなさい!!」

 

腕の中で...彼女の温もりを感じる...この子も生きてる...良かった!これで全員生存が確定した!

 

 

「...ごほ」

 

忌梗が咳をし、彼女のつけているガスマスクの隙間から血が流れる!!?

 

「ちょ!どうしたのよ!!」

 

「今頃になって...あの時のツケが来るとは」

 

彼女はお腹を押さえる...よく見ると腹部から血が溢れている!

 

「な...何なのよ!」

 

「あの時の...宇宙船の爆発の時の怪我が進行した...だけです...タイミングよく体全体を停止させたのですが...能力を解いたらこうなる...」

 

「こんな怪我のままっ!!ずっと待ってたのねっ!」

 

本当に待たせてしまってわ!!ずっと助けがくるのを待っていたのに!!こんな怪我のまま!!ずっと!

 

 

 

 

 

「あ...でも大丈夫です...死ににくい体ですので...」

 

忌梗はすくっと立ち上がり、アタシから離れて辺りを右往左往する...血がドバドバ出ているというに!!

 

「ふむ...空間がおかしい...昔とは違う...道理で私の通信機が幾ら経過しても繋がらない訳だ...大方何かの妨害にあっていた...いや...まさにバリアのようなものにシャットアウトされていた...」

 

忌梗はぶつぶつと何かを呟いている...待って...怪我しているのに...

 

「忌梗ちょっと...」

 

忌梗は睡煉の方を見つめる

 

「ふむ...久しぶりだね...睡煉...相変わらすその玉兎の姿をしているのか...ちなみに夜喪妓はどうした...君がいるんだ...彼女もいるのだろう...」

 

「えーと...いるけど...今は確か?」

 

睡煉も夜喪妓を探す...そして伸びている夜喪妓を一緒に見つける

 

「何で伸びているんですかー!?」

 

「ふむ...大方ボコられたのだろうな...彼女をここまでやるということは...つまり...あそこにいる2柱のうちのどちらかに敗北したのだろう...」

 

未だに血がドバドバ出ているのに、抑揚のない声で彼女は長文を述べている...

 

「あの...安静にして?ね?」

 

彼女はアタシの言葉が耳に入らないのか、困惑している2柱の方へ向かう...

 

「えーと?」

 

「何だ?こいつは?」

 

「ふむ...神か...流石の隊長でも2柱の相手は分が悪い...ここは私も復帰祝いとして盛大に花火をあげるとしよ...」

 

彼女は懐からグレネードを取り出す!!!

 

 

 

 

 

 

「安静にしろー!!!」

 

ドグシャー!!!!

 

アタシは彼女を頭から地面に叩きつける...

 

「え?ちょっと!毎乃葉様!!」

 

「睡煉!!忌梗と夜喪妓を連れて撤退なさい!!」

 

「え?でも!!」

 

「いいから!!!ここはアタシがやるから!!怪我を治させなさい!!いいわね!!」

 

「はいー!!!」

 

睡煉は忌梗・夜喪妓の両名を引きずりながら撤退する...

 

これで...いいわ...これで収まったわ...

 

アタシは2柱と再度対峙する...

 

辺りに気まずい空気が流れている気がするけど...アタシは悪くないわ!!

 

 

「え...えーと?感動の再開だよね?いいの?」

 

「ええい!!うるさいうるさい!!哀れみの目でこのアタシを見ないで!!!」

 

「...一緒に帰っていいぞ?さっきの奴が無茶しかねんし」

 

「うううう!!うるさいうるさい!!!情けをかけるなー!!!」

 

2柱から哀れみのような目で見られているわ!!!何でこのアタシがこんな!!

 

アタシは能力を最大限まで引き上げる!!

 

「え?やるの?」

 

「ボコられたいなら!かかってきなさいよ!!!」

 

「いや...もういいだろ?」

 

「来ないなら!こちらから行くわよー!!!」

 

アタシはヤケクソ気味で2柱へと走る!手あたり次第に暴れてやるわンー!!

 

 

 

 




少しずつ投稿していきます

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