救難信号
時は流れ秋になり、木々は紅葉に包み込まれ幻想郷の景色は赤・橙色に染まる...
そしてとある早朝、妖怪の山の封印牢にて...
「zzz」
「ぐ~」
「むにゃ...」
第0部隊のメンバーは昨日酒盛りがあったのだろうか...一糸まとわない姿で一室で雑魚寝をしている...
全員深い眠りについており起きる気配はない...だが運命の時が刻一刻と近づいてきている...
第0部隊のメンバー夜喪妓の脱いだ軍服についている装置に赤い光が灯る。
僅かにピ...ピっと機械音を繰り出す装置は、その音の音量を徐々に高め速度を速めていく...
そして...
メーデー!メーデー!!!メーデー!!!!
封印牢にて爆音が響き渡る...
side毎乃葉
「ふぐぉぉ...」
突然の爆音にアタシは耳を塞ぐ!!!!
あ...頭がガンガンする!!昨日飲み過ぎたかも!!!
「夜喪妓さん!!!目覚まし時計かけないで下さいよ!!」
睡煉が抗議するが、夜喪妓は耳を塞ぎながら首を横に振る...
「違う!!!そんなのかけてない!!」
夜喪妓は耳を塞ぎながら、自分の軍服をあさる...
そして彼女の手には、装置が握られている...
「ん?通信機みたいな奴よね?何...誤作動かしら?」
「...?いや...違う!救難信号が発せられている!!」
「...それって?」
睡煉が尋ねると夜喪妓がアタシの方を振り向く...
「同志忌梗が助けを求めている!!奴が生きているという事だ!!」
彼女の口から朗報が飛び出してくる...忌梗が生きている!?
「ン!!?それマジ!!!んふふふ!!!」
「...でも?変ですね?確か呼びかけに応じないって前に言ってましたよね?」
「確かに...急に何で連絡を?」
確か...夜喪妓から連絡を寄こしても、返答はなかったらしいわね?それに彼女の居場所も知ることもできなかったみたいだし今更ね...急に救難信号を送ってくるとはどういうことかしら?
「でも...急に呼びかけが来たということは...忌梗が助けを求めているということよね?夜喪妓...今なら彼女を探査することできるんじゃない?」
「承知した...」
夜喪妓は着替えを済ませて、外へと向かい、アタシ達も着替えを済ませて後を追う...
「あら?」
封印牢から出ると、夜喪妓が首を傾げて山頂を眺めている?
「どうしたのよン?ボーっとしちゃって?」
「いや...通信反応が山頂を示しているみたいだ?」
山頂に?...あそこには特に建物のような物はなかったと思うけど、どういうこと?
「ええ?思ったよりも近いところにいるってことですか?」
「反応が示しているから間違いないだろう...とりあえず向かうか?」
「何が起きているのかしら?」
アタシ達が山頂へ向かおうとすると、背後からドタバタと足音が聞こえてくる...
「あややや!!待ってくださいよ!第0部隊!!」
「!?」
その方向を見ると、こちらへとやってくる文の姿...手には書類のようなものを持っている...
「何よ文...今忙しいのだけど?」
「忙しいところ申し訳ないですが!!緊急事態なのですよ!!貴女達のお仕事が舞い込んで来たのです!!」
「何だ騒々しい...貴様の新聞配達はやらんぞ...」
夜喪妓がイライラと睨むが文は首を横に振る...
「違いますよ!今回はこの妖怪の山に異変が起きたのですよ!!」
「...異変?」
妖怪の山に異変?そんなものは感じていないけど...忌梗のことと何か関係があるのかしら?少しでも情報が欲しいわね?
「...いいわよン?話を続けて」
「良いのですか?毎乃葉様?」
睡煉がアタシに言うが、止める必要性はないわ...メリットがある可能性があるなら時間は割いてあげるわよ
「いいから...」
「...では話を続けていいのですね?」
文はアタシが了承したのを確認したのか再度口を開く...
「妖怪の山の山頂に妙な神社が出来たんです...天狗上層部はそれを警戒しています...」
「神社?」
...神社?何でそんなものが出来たのかしら?でも急にできたというのは変ね?
「どこかの変わり者が神社を建てたって話でしょう?何で上層部がそれを...」
「それだけではありませんって!山頂には今までなかった湖まで出来たんですよ!只神社を建てただけでは私達もここまで動きませんって!地形まで変動していれば警戒はしますよ!」
「...湖ねぇ?」
...湖は確かに今までの情報ではなかったはずね?...地形まで変わったとなると...これは...何者かの力が働いているか...
ならアタシの仕事は決まったわね...
「話は理解したわ...このアタシの力を貸してもらいたいというわけでしょう?じゃあ!さっさと神社へと...」
「あ!違いますよ!毎乃葉は!ここに来るであろう博麗の巫女をを止めることが今回の仕事ですよ!」
「...は?」
...今何て言ったのかしら?アタシも耳が遠くなったみたいね?
「...もう一回お願い...アタシの仕事は?」
「だから!博麗の巫女を止めることです!」
...ああ...今回の異変のお仕事は厄介になりそうね
「...何で?何でアタシが霊夢を止める必要性があるのよン!!」
「上層部は博麗の巫女が山で暴れることが一番の危険だと判断してこのような結果に確定した次第です...神社の件は後程進めていくとのことで...」
...最悪だ...何でアタシが彼女を止める必要性が出てくるのよン!!!あの子強いから戦いたくないのよン!!
「へ...平和的解決はないのかしら?まだ霊夢が来るとは決まっていないし...」
文は書類をめくりながら首を振る...
「残念ですが...多分来ると思いますよ?今回の神社の者が博麗神社に喧嘩を売ったとか?」
「...ぐぅぅ」
...最悪の結果になってしまったわ...霊夢の相手をすることが確定してしまった以上...忌梗の捜索が困難になるわね...ここは最善の策をやるしかないわ...
「夜喪妓!睡煉!!神社の探索は任せたわ!!」
「え?」
「私達にか!?」
両者は驚きの声を上げるが、これは最善ことなのよ...霊夢が来たら探索の妨害をされるかもしれないからね...アタシが時間を稼ぐしかないわン...
「頼んだわよ...アタシが霊夢を止めるから...アンタ達は忌梗をお願いするわ...」
両者は少し迷ったような素振りをするが、夜喪妓が山頂へ続く道へと向かう...
「夜喪妓さん?」
「同志睡煉...向かうぞ...これは同志毎乃葉の命だ...忌梗の奴が助けを求めているのだ...ことは迅速を急ぐのだぞ」
「うう!!...分かりましたよ!!」
両者はそのまま山頂への道へと進む...
後は任せたわよ...
「では!毎乃葉!!今回のことは任せましたよ!!」
「はいはい...今回ばかりは本気で行くわよ...」
アタシは博麗神社方面へと飛び立つ...
...霊夢との戦いね?...やり辛いけど...今回ばかりは人命が掛かっているから...本気で行くわよ?
新たな異変です
ではこれにて