東方天災手記   作:ベネト

64 / 78
異変にて...


鈴蘭畑とお人形

時期外れな四季の違う植物達の開花...その異変を任命された天逆一行達は幻想郷を探索する...

 

天逆毎乃葉は、この事態を単純な問題とは思っていない...

 

物事には何かしらの裏がある...今回の異変もそう...偶然が関与しているのだから...

 

 

 

side毎乃葉

 

「...今回の異変は...少々場所が分からないわン」

 

上空を飛びながらアタシは次の目標を考える...植物だけとなると情報が少ないわ...闇雲に幻想郷を飛び回る訳にもいかないし...どうすればいいかしら?

 

「同志?まずは何処へ向かう?」

 

「隊は別々で散策しますか?それとも?」

 

夜喪妓・睡煉がアタシに質問する...アタシもどうしようか考えている所なのよねン...

 

「とりあえず...太陽畑方面は行かないようにするわン...」

 

「...何故?」

 

「何でもよン...」

 

あの向日葵畑は、風見幽香のテリトリーね...以前美羽の時に戦ったけど、しんどかったのを覚えている...

 

今回の異変は彼女が関わっている可能性もあるけど、アタシが思うに、こんな大々的に動くタイプではないと思うのよねン...

 

それにこの植物達...何か霊的な物が憑いているし、幾ら幻想郷最強の妖怪でも霊は専門外のはず...消去法になるけど、彼女は今回の異変から除外しておきましょう...

 

 

 

「じゃあ?どこへ?」

 

「ん~...霊的な所かしら?」

 

「じゃあ白玉楼か?」

 

夜喪妓が提案するが、とりあえず保留というべきかしら?

 

白玉楼の主である西行寺幽々子は、以前異変を起こした時、西行妖という桜化け物を開花させようとしたことがあったわ...

 

何となく怪しい気もするけど、手口が違うのよね...

 

「保留よン...とりあえず少し待ちなさい...今幻想郷のデータ見るから...」

 

アタシはホログラムを開いて幻想郷の情報にアクセスする...

 

 

 

人里・博麗神社・紅魔館・魔法の森・霧の湖・白玉楼・迷いの竹林・妖怪の山・太陽の畑・無縁塚・三途の川...

 

「...ンふ♪見つけたわン♪」

 

無縁塚は良く分からないけど...三途の川があるとは驚きね...

 

死者が最後に渡る、渡し舟が流れる黄泉への入口...

 

存在は知ってはいたけど、本当に存在するとはね...アタシのデータにも編集が必要ね?

 

 

 

 

 

「三途の川...そこに行きましょうか?」

 

「「は?」」

 

2人は口を揃えて首を傾げる...

 

 

「...今から無理心中ですか?」

 

「勘弁しろ...幾ら同志とはいえ...」」

 

部下がアタシを避けるように後退する...別に死ねと言った訳ではないのだけど...

 

「違うわよ!!幻想郷に存在する三途の川に行くのよン!!自刃しろとは言ってないわ!!」

 

アタシの言葉に2人は胸を撫でおろしている...

 

酷いわね...アタシ...部下には優しくしていたはずなのだけど...

 

 

「ふぅ...」

 

アタシはキセルを咥えて考えを纏める...

 

あの植物には、霊的な物が存在したし、魂を管理する場所が怪しいと判断しただけよ...

 

しかし...三途の川ね...変なのがいるのは確定みたいね...それにアタシとしても危険な場所に行きたくないのも事実...

 

出来る限り...お仕事は平和に終わらせたいわン...

 

「早くお仕事を終わらせるわよン!!」

 

「承知した...」

 

「了解です...」

 

アタシ達は三途の川方面へと向かう...

 

 

 

 

 

三途の川へ向かう途中...大きな鈴蘭畑へ到着し一度着陸する...

 

「この場所も初めてかしら?」

 

「あらあら...これは随分とすごいですね?」

 

「自生しているのか?でもこの規模は誰かの手が加わっていても...」

 

睡煉と夜喪妓は独自の感想を述べているわね...

 

まぁ...そうよね...太陽の畑だって...幽香の手が加わった向日葵畑なんだし...探せば色々とありそうねン...

 

アタシ達が鈴蘭畑を観察していると、奥の方からドタバタと足音が聞こえてくる!?

 

 

 

「人間?私のテリトリーに人間が来たー!!!」

 

アタシ達の目の前に現れたのは、金色の髪をした少女?

 

黒い服に、赤いロングスカートに身を纏っているわね?

 

「敵襲か?」

 

夜喪妓がライフルを構えるがアタシが手で制止させる...まだ敵か分からないもの...余計に仕事を増やすわけにもいかないわン...それにパッと見、無害そうだし大丈夫でしょ♪

 

アタシは少女に近づいて目線を合わせる...

 

 

「こんにちはン...」

 

「ん?...こんにちわ!!!」

 

少女は無邪気にアタシに挨拶をする...素直なのは良い事ねン!

 

...でもこの子...人間ではないみたいね...かと言って妖怪でもない...いや...生物ではないというべきかしら?

 

「...」

 

良くは出来ているけど、この子人形みたいね?付喪神という奴なのかしら?でも...付喪神のデータにも該当はしないわね?

 

「貴女お人形ちゃんかしら?」

 

「うん!名前はメディスン・メランコリー!スーさんの毒で動けるようになったんだー!」

 

メディスンと名乗った人形は辺りの鈴蘭畑を指さす...

 

スーさん?何かしら?お友達かしら?そして...毒?

 

「...毒?それって」

 

「...だから普通の人形よりも強いの!」

 

メディスンの口が開いてアタシに向けて紫色の煙を吐き、辺りが煙に包まれる!?

 

 

 

 

 

 

 

sideメディスン

 

「よし!まずは1人!!」

 

...思ったより警戒心が無くて助かったわ!只の人形から幾数日!ついに私は狩られるものから狩る者へとなったんだー!!

 

とりあえず...スーさんの力を使って手あたり次第の相手を屈服させてやる!残りの2名もすぐに!!

 

他の2名を見るが、彼女達は私に向けて肩を竦めている...

 

「はぁ...無謀な奴だ...」

 

「あーあ...死にましたね...あの子...」

 

な...何よ!!まるで私が可哀想な子とでも言うかのような反応をしている!!

 

「何よ!!何よその反応は!!アンタ達のリーダーは毒で終わったの!!」

 

「じゃあ...後ろ見てみろ...」

 

「後ろ?」

 

 

 

 

 

 

「ふぅん...幾多の毒物の混じった毒ガスと言うべきかしらン?でもまだ青いわねン?」

 

私の後ろには、全く動じていないリーダーの姿が!!嘘でしょ!!普通の奴なら昏倒しているというのに!!

 

「な...何で?」

 

「今後に期待というべきかしら?生まれたばっかみたいだし...可能性はあるわねン!」

 

「わっ!?」

 

リーダーは私を御姫様抱っこする?あ...あれ?怒っていないみたい?

 

 

 

 

 

 

 

 

「でもお痛は駄目よン!そぉい!!!」

 

リーダーは力を込めて私を胴上げする!?私の体が重力関係なしに打ち上げられる!!

 

「うぎゃああああ!?」

 

ああああ!!地上が!遠くなる!!私はどこまで飛ばされるのよー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キラーン...

 

幻想郷の星となったメディスンを眺めながら、毎乃葉はキセルに火をつける...

 

「他界他界って奴かしら?これで赤ちゃんをあやすのよね?」

 

「いやいや...力加減を考えろ...幾ら何でもやり過ぎだろ?」

 

毎乃葉の行いに夜喪妓は苦言を言うが、彼女はフンと鼻を鳴らすだけだ...

 

「若いうちに苦労しておくのがいいのよン...それに...」

 

毎乃葉は煙を吐きながら後方を見つめる...

 

「次のお客さんがお出ましのだわン...」

 

「は?」

 

夜喪妓が毎乃葉の視線の先を見るとそこには...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久しぶりじゃないの...天逆...」

 

そこには緑色のショートヘアをし、白のブラウス・チェックのベスト・スカートに身を包んだ人物...

 

風見幽香がそこにいた...

 

 

「お久しぶりねン...出所以来かしら?」

 

「何だこいつは...」

 

「何か...殺気がすごいんですがね?」

 

挨拶をする毎乃葉とは違い、他のメンバーは濃厚な殺気をこちらに向けている幽香に驚いているみたいだ...

 

「前とは違い...おまけがいるみたいね?それなりに強そうだけど...」

 

「おまけとは心外よン...このアタシの部下なのよン?言葉を選んだらどう?」

 

幽香の言葉に毎乃葉はイラッとした表情を浮かべるが幽香は気にせず次の言葉を紡ぐ...

 

 

「少し姿が変わったみたいね?それが貴女の本気なのかしら?」

 

「まぁ...そうね?以前は美羽の姿だったし?今の方が強いわよン?だったら何だというのよン?」

 

 

 

 

ゴッ!!!

 

 

急な幽香の拳を毎乃葉は素手で止める...

 

「少し相手しなさいよ?負けっぱなしというのも私にとっては精神衛生上良くないのよ!」

 

「...あの時のリベンジかしら?別にいいわよ?そっちがその気なら?」

 

毎乃葉の承認に夜喪妓が慌てて振り向く...

 

「おい!同志!!やる必要がないだろう!」

 

「そうですよ!仕事中なんですよ?」

 

彼女達の言葉に毎乃葉は手を振る...

 

「お仕事だからよン...彼女の相手はアンタ達には手に余るわン...今回の異変...任せたわよ?」

 

まさかの毎乃葉の言葉に夜喪妓達は口を開けたまま...

 

「お...おい?正気か?まだ異変の内容も確実に把握していないのに!?」

 

「そうですよ!これ失敗したら始末書ですよ!!」

 

始末書という言葉に毎乃葉は僅かに体を震わせるが、すぐに平静を保つ...

 

「アンタ達を信じているからよン?これ以上は言わせないで...」

 

「...信じているか...ならそれに応えるのが私達の役目だな」

 

毎乃葉の言葉に夜喪妓は背を向ける...

 

「夜喪妓さん!?良いのですか!?」

 

「仕方ないだろ...同志睡煉...上官からの命令だ...私達は出来ることをやるまでだ...」

 

「あ!待ってくださいよ!」

 

夜喪妓が飛び立つと睡煉も遅れて飛び立つ...

 

そして鈴蘭畑には天逆毎乃葉と風見幽香の2名が残る...

 

 

 

「良いのかしら?別にまとめて来ても良かったのに?」

 

「部下に怪我はさせたくないのよン...それに心置きなく戦えるものじゃないの...」

 

毎乃葉はキセルを消して妖力を高め、幽香も負けじと力を高める...

 

「では...あの時のリベンジマッチをさせてもらうわ!」

 

「結果は変わらないわン!!!」

 

2名の拳が鈴蘭畑にて炸裂し、決戦のゴングが鳴り響く!

 

 

 




久々の投稿です...

ペースが落ちてきましたね?

ではこれにて

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。