四季折々の華
長い冬を越え、幻想郷に春がやってくる...
春を告げる妖精ことリリーホワイトが春を告げ、桜が咲く時期へと到来する...
桃色の景色に満たされる光景だが、そうは問屋が卸さない...
ここは幻想郷...何かしらの問題が降り注いでくるのだから...
ここは妖怪の山...お昼ごろ...
封印牢では、第0部隊の天逆毎乃葉・夜喪妓・睡煉の3名が真昼からの軽い宴会を行っていた...
既に異変は起きているというのに、のんびりとしている暇はないのだが...
side毎乃葉
「ン♪中々やるじゃないの夜喪妓...このアタシについてくるなんてね?」
「ふん!同志の背を見つめるだけの私ではない!!」
夜喪妓がアタシと同じ数...19杯目の御猪口を空にする...
軽いサシ飲みだけど、アタシについてきているとは感心よ...
まだ始まったばかりだけど、油断はできないわね?部下に負けたとかなったら隊長の肩書を破棄しないといけないわン...
「はい...夜喪妓さんも19杯目と同点でーす...はいはーい上げていきましょう~」
やる気のないジャッジをしているのは睡煉(素)だわ...彼女は部屋の端でアタシ達の戦いを見ながらサラダスティックを齧っている...
素のこの子は...どうもとっつき辛いのよねン...アタシを慕ってくれる数少ない一人なのだけれど、言葉に少し棘があるのよねン...
「ふん!同志よ!このまま限界までやってみるか!?」
「いいわよ♪アタシも勝負には負けたくないもの!」
アタシと夜喪妓は20杯目の御猪口を持つ...
どたどたどた...
「...はぁ...良いところだというのにン...」
とある足音を聞いてアタシたちは杯と下げる...
聞き覚えがあるわね...この歩調・音の音響を考えるに...この持ち主は射命丸文...
当然彼女が持ってくることは決まっているわン...どうせ...いつもどおり...
バン!!
「毎乃葉!お仕事の時間ですよー!!!」
...異変のお知らせという訳よン
本日はどういうものかしら?
「異変かしら?今度は何をすればいいのよン?」
文に尋ねると彼女は、植物を数本アタシの前へと置く...
「今回の異変も厄介ですよー!これを見て分かりませんか?」
「...只の現存の植物にしか見えんが?」
「桔梗に野菊...これに何の問題が?説明してもらわないと分かりませんねぇ...」
夜喪妓と睡煉が首を傾げるが...アタシはそれを見て理解する...確かに文の言う通りおかしいわね?本当にこの世界は何でもありなのね...
「言いたいことは分かったわン...もう何も驚かないわよ...」
「毎乃葉は気づいたみたいですね!御付きの方々とは違うようで!」
「...」
「むぅ...」
文の言葉に気でも障ったのか、夜喪妓達は不服そうな顔をする...まぁ...パッと見て気づくはずがない...それなりの知識がないと分からないものだもの...
「ふん!このアタシを誰と思っているのよン!!それとこのアタシの部下を貶さないでくれないかしら...怒るわよ...」
「別にそういう意味ではないですよー!!」
文が慌てて訂正する...
「で?頭の悪い私達でも分かりやすい説明を頼むぞ...同志諸君」
夜喪妓の言葉にアタシは桔梗を手に取る...
「...時期が問題なのよン...時期が」
「時期?それに何か問題でも?」
睡煉が聞き返す...
「問題大有りよ...この花は秋に満開になる植物よ...となりの野菊も同じく秋...ここまで言えば分かるわよね?」
「成程!!今は春だから咲いているのはおかしいというわけか!!!」
夜喪妓が手をポンと鳴らす...だがすぐに首を傾げる...
「それの何が問題がある?あまり異変と呼ぶにも...大したことがないと思うがな?」
「右に同じく...只の植物の開花の勘違いでしょう?ここの環境ならあり得ない話ではないと思いますがね?」
...彼女達の言う通り、異変と呼べるものではない...ここだけ見ればね...
アタシには薄っすらと見えるわぁ...この植物たちに潜む力をね?
「...人為的なものなのかしらコレは?良いわ!アタシが調べてあげる!」
「頼みますよ!!毎乃葉!!」
文の頼みを了承すると、夜喪妓達が振り向く...
「正気か!?こんな大したことのない物を?」
「事件性がありませーん!」
「いいから!お仕事には地味も糞もないわン...」
一見地味な物に見えるけど、調べる必要性があるわ...
(ォォォ...)
「...」
この植物...霊的なものが憑りついている...一見分からないものだけど、これが人為的なものだったら脅威になるわ...
なぜ起きたか...何故こうなったか理由が分からない、これを使ったテロ...そういう心配が出てくるわ...脅威の芽は早く間引くに越したことはない...
「...とりあえずだけど協力してもらえるかしら?終わったら食事でも奢るわよン♪」
夜喪妓達は満面の笑みを浮かべる...
「良し来た!」
「がんばりまーす...」
お仕事をする際は、部下のモチベーションを上げていかないとね♪これをするだけで物事がスムーズに進むというものよン...
「まぁ...早く終わらすわよ...」
アタシはキセルに火をつけて、とある人物を思い出す...
幻想郷危険人物...風見幽香...
...植物=彼女を思い出すわね...絶対この異変に関わってもおかしくないわ...
以前本気で相手して、追い払うことは出来たけど...彼女の相手はしたくないわね...無傷で戦うのが難しいわ...
アタシ達は封印牢を後にする...
その頃...幻想郷の太陽の畑...
幻想郷で唯一向日葵が大量に自生しているこの場所...一見平和そうな場所に見えるが、最強の妖怪...風見幽香が管理している幻想郷で危険な部類の地域である...
その向日葵畑の中にある建物の戸が開く...
side幽香
「...何か変な感じね?」
外に出て私は辺りを見回す...見目からして特に異常はないけど...向日葵達の成長が少し...良くなった気がする?
私の目測ではこうはならないと思ったけど...これは何かあるわね...
「少し調べたほうがいいかしら?」
私は傘を手に取り、周囲の力を確認する...
「...あら?」
周囲の力を巡らせると、とある者の力を感じ取る...
私に黒星を付けた者こと、天逆美羽の力を...
あの時以来ね...この異変ついでにちょっかいをかけてみようかしら?
「ふふふ...あっちの方向かしら?今度は負けたりしないわよ...」
私は彼女の方向へと向かう...
この異変も気にはなるけど...まず最初は彼女よ...今度は勝たせてもらうわ!!
新たな異変です!!
ではこれにて