東方天災手記   作:ベネト

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新作です


妖怪の山の暮らし

side美羽

 

一晩が経過し、いつもどおりの朝の日差しが牢獄を照らす...

 

ベットから起きてアタシは昨日のことを思い出す...

 

 

 

 

「...はぁ」

 

まさか泣くとは思わなかった...

 

負けたことはあるけど人間に負けたことなど今までなかったから、それなりにショックだったかもしれないわ...

 

「...はぁー」

 

それどころかこの先、この幻想郷でやっていけるか心配になってきた...

 

人間に負けるとなると...ほかの妖怪にだって負けてしまうかもしれない...

 

アタシの実力が通用しないかも...

 

 

 

 

 

「...柚神~?」

 

声をかけても柚神の返答はなし...

 

あいつ...どこかほっつき歩いているわね?

 

余計な時に出てくるくせに肝心な時はいないんだから!!

 

アタシよりは頭が良いのだから...傍にくらいいてよ...

 

 

 

「はぁ...うだうだ考えても仕方ないわ...気晴らしにでもいきましょう...」

 

牢獄を出てアタシは麓へ降りていく...

 

地理を把握してはいないけど、そのうちどこかに出るでしょ...

 

 

 

 

 

 

しばらく歩いていくと大きな滝が流れ落ちるポイントに到着する...

 

「...絶景ね」

 

アタシは近くの岩に座り、その光景をぼーっと眺める...

 

牢獄ではこんな光景は見られない...こうやって色々眺めるのもいいかもしれないわ...

 

時間は余りに余っている...

 

こういうことに時間をつぶすのも一興ね...

 

アタシはキセルを取り出し咥える...

 

 

「...ふぅ...これで気分が晴れていれば...心の底から楽しめるのにねぇ...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして...邪魔も無ければもっと良いのだけど...

 

後ろを見るとアタシに向けて大剣を向けている者がいる...

 

白い髪に天狗装束...

 

この子天狗かしら?

 

 

 

「何かようかしら?」

 

「...貴様!何者だ!!ここは天狗の領域だ!部外者が入っていいものではない!!」

 

白い天狗はアタシに向けて言い放つ...

 

天狗の領域ね...確かに里からあまり離れてはいないけど...

 

「それは知っているわ?そして部外者でもないのよねぇ...」

 

アタシが翼を広げるとその子は怯む...

 

「翼?ですが!!貴女のような!天狗は今まで見たことがない!!正体を明かしてください!!」

 

少し口調が柔らかくなったけど警戒されているわね...

 

アタシの存在は末端に知らされていないのかしら?

 

キセルの煙を吐くと、その子は嫌悪感丸出しの顔でアタシを睨む...

 

 

 

 

 

 

「こ...こら!説明に答えなさい!!」

 

「一応...天狗組織のメンバーよ?一応紛い物だけど立場も上の方...天逆美羽...それがアタシの名前...貴女の名前は?」

 

その子は息を整えながら剣を握りしめる...警戒は怠らないようね...

 

「犬走椛です...ここの哨戒天狗です」

 

哨戒天狗ね...

 

天狗組織のことなど興味なかったから分からないけど...階級的には下から数えた方が早いみたいね...

 

ここの警備をしているとなると何となく察しがつく...

 

 

 

 

「とりあえず...剣を下げてもらえる?」

 

「駄目です!侵入者の可能性もありますし!」

 

融通の利かない子ね...

 

しかし、このまま押し問答をしていても悪戯に時間を浪費するだけね...

 

柚神の奴がいれば!丸く収まるというのに!!

 

しかたない!!

 

アタシは立ち上がり彼女と対峙する...

 

「気分じゃないから、こういうのはやりたくなかったけど...火の粉を払うにはこれよね?」

 

太刀を出して椛に向けると彼女は殺気を出し始める...

 

 

 

「抵抗する気ですか...なら!」

 

椛はアタシに剣で切りかかるがアタシは後退してそれを避ける...

 

太刀筋は中々の腕前ね...

 

末端とはいえども実力は充分ね...

 

アタシは太刀の刃先を確認する、異常はなし!!

 

これでOK!!

 

「ちょいと!本気いくわよ!」

 

20%のところ今回は35%くらいにしましょうか...

 

 

 

 

 

side椛

 

...彼女からの感じる力が強くなってくる

 

私だけで止められるでしょうか?

 

援軍呼んだほうがよかったかなぁ...

 

「...む」

 

「じゃあ!行くわよ!」

 

美羽は太刀を軽く振った後、納刀する!?

 

綺麗な太刀筋ですが、私までは届かない!

 

「...攻撃しないんですか?」

 

「もう終わったわよ?」

 

美羽は髪を靡かせた後、私に近づく?

 

 

「これ以上近づくなら...切りますよ?」

 

「その剣で?」

 

「!?」

 

剣を見ると先っぽがない!

 

少し遠くに目をやると、地面に突き刺さっている剣の先端が!!

 

 

「先っぽがないー!?」

 

「これで戦えないわねン?」

 

美羽は私に近づく...

 

...やられる!!まだ死にたくない!!

 

私は蹲り目を閉じる...

 

 

 

 

が...いつまでたっても彼女からの攻撃がこない?

 

「...?」

 

「あらあら...別に怖がらなくてもいいわよ?」

 

しゃがんで頬杖をついている彼女が目に映る...

 

敵意を全く感じません...

 

そして彼女は私を観察するように見つめる

 

 

 

 

 

「しかし、貴女は見込みがあるわね...剣の腕前があるならアタシが教えてもいいわよ?」

 

「し...しかし...貴女をまだ認めたわけでは...」

 

「...はぁ...なら!文にでもアタシの事を聞きなさいよ...それではっきりするわ」

 

!!文さんが?

 

...文さんの名前を出すということは、この情報は確かな物と捕らえて良いのでしょうか?

 

本当の事ということは...

 

 

「も...申し訳ございません!!」

 

私は彼女に土下座をする...

 

天狗組織の者を襲うとは!それも立場が上の者となると、始末書以上のモノです!!

 

「あらあら...畏まらなくてもいいのよ?誰だって過ちはあるものだし...」

 

彼女は遠い目をする...

 

何かあったのでしょうか?

 

 

 

「とりあえず?いいかしら?見なければいけないことが沢山あるからね...」

 

「すみません!どうぞ!!」

 

頭を下げ、美羽さんの方を見ると、すでに彼女はいない?

 

「...今度謝らないと」

 

私はそう思いながら、いつも見慣れた滝を眺める...

 

 

 

 

 

 

side柚神

 

「あらら...すこしは大人になりましたかね?」

 

木の枝に座り、人里でもらった野菜を齧りながらワタシは美羽の方を見つめる...

 

あの粗暴で雑な彼女が、慎重に戦いを行ったというのは成長が見られたという証です...

 

これでワタシの肩の荷が下りるというものです...

 

「...もう少し観察と行きたいですがね」

 

ワタシの横にはザルに沢山入った野菜が並々と置かれています...

 

少し貰い過ぎましたかね?

 

しかし新鮮なお野菜ですし、早く食べないと...

 

しかしそれには時間が...

 

「...彼女は大丈夫でしょう!ワタシはワタシで楽しむとしましょう♪」

 

美羽を放っておいてワタシは自分のすべきことに着手することにしましょうか♪

 

 

 

 




本家が行き詰っているので

しばらくはこっちを投稿

ではこれにて

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