東方天災手記   作:ベネト

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永夜抄終了にて


欠けた満月の夜に

歪んだ月が照らす幻想郷にて...迷いの竹林に存在する建物こと永遠亭に急速に近づくものが一人いた...

 

「待ち受ける運命なんか知ったことではないわ!!!このアタシはアタシよ!!打倒八意永琳!!うどん!!!」

 

竹林を猛スピードで走っている者こと...第0部隊リーダーの天逆毎乃葉...

 

前回...鈴仙・優曇華院・イナバと戦い、尻に大ダメージを受けた彼女は、怒り心頭で永遠亭に続く道を走っている。

 

「あのお方の言葉も覆して見せるわン!!!このアタシは!天逆毎乃葉様よン!!!」

 

先程まで運命を恐れていた毎乃葉ではあったが、今の彼女には恐れなど存在しない...恐れよりも先ほど受けた屈辱が勝ってしまっていた...もはや八つ当たりしたい者を探しているみたいだ...

 

「わよン!!!!」

 

永遠亭に着いた彼女は飛び蹴りで永遠亭の扉を破壊して中へと侵入する...完全に今の彼女は復讐の鬼化している...

 

「どこよ!八意永琳!!うどんなんたら!!!このアタシが纏めて仕留めて...」

 

彼女が振り向いた先には、こちらへ飛んでくる光弾の数々...そして光弾が出てくる先には幻想郷の巫女こと博麗霊夢が驚愕した顔で彼女を見つめていた...

 

「毎乃葉!!!射線上に入るんじゃないわよ!!!」

 

 

どぉぉん!!!!

 

 

霊夢の言葉も空しく...毎乃葉は爆発に巻き込まれて永遠亭の庭へとフェードアウトする...

 

 

 

 

 

 

 

 

side毎乃葉

 

「げほぉ!!!?」

 

光弾が炸裂しアタシは永遠亭の庭へと叩き付けられていた...

 

...永遠亭に入ったと思ったら...味方に撃たれていたわ!!!何でこうなったの!?

 

「ったく!!そこでオトナシクしてなさい!!」

 

「意外に早かったわね?」

 

「あら?毎乃葉が戻って来たみたいね...」

 

霊夢達の方を見ると、彼女達は蓬莱山輝夜と弾幕ごっこ中みたいだ...アタシはあの中に入ってしまったみたいね...

 

 

 

「貴女が乱入するからよ...大人しく見ていなさい」

 

「あ?」

 

声がする方を向くとそこには八意永琳がいた!!!ターゲット発見!!!

 

だけど...今の所為で余力がないわ...

 

「こら...反逆者...一発殴らせなさいよ...」

 

アタシが立ち上がると彼女は壁に寄りかかったまま息をつく...

 

「ごめんこうむるわ...私も余裕はないもの...」

 

永琳を見ると...着ている服がボロボロだ...もしかして霊夢達と戦ったのかしら?

 

「ふん!!天罰が下ったのよ」

 

「...受け入れておくわ...今回は貴女達にも迷惑をかけてしまったしね...」

 

...随分と聞き入れが良いわね...気味が悪いわ...

 

「...それはそうよ...アタシの部下は怪我したし...アタシは怪我と敗北と屈辱を味わったんだからン!!!」

 

「悪いとは思っているわ...せっかく貴方達の力を借りたのに...この異変は輝夜が負ければ...終わってしまうわ...」

 

「輝夜姫がねぇ?」

 

 

 

「くらいなさい!!」

 

「ぐ...まだまだ...って!もう最後のスペルカード?」

 

向こうの戦いを見ると確かにこちら側が劣勢を強いられているみたいね...これは勝負が見えたわね...博麗の巫女+aいるとなると戦況を変えるのは骨が折れるわね...

 

「あの状況をどうにかしろという命令は受けないわよ...」

 

「そんな無茶は言わないわ...」

 

永琳は諦めたかのような顔をする...月の賢者である彼女の頭なら、この状況はいかに無理かを理解できるでしょうね...

 

「今回は見事にこちらの負けみたいね...幻想郷の住民を甘く見ていたわ...」

 

「...それに関しては同感よ」

 

アタシはキセルに火をつけて観戦する...

 

本気を出していないとはいえ、アタシも自分の力を過信していた部分はあるわ...本当にこれに関しては昔からの悪い所ね...直していかないとまた同じ目に遭うわ...

 

 

 

 

「そういえば...うどんなんたらは?このアタシを乏した上に...お尻に大変なダメージを負ったからデコピンの一発くらいはやりたいんだけど?」

 

「うどんげのこと?いえ?見てないわ?」

 

あの玉兎もいないのね...これではストレスの発散もできやしない...何か本当に萎えたわ...異変には巻き込まれるし、敗北はするし、色々と被害は被るし...踏んだり蹴ったりよ...

 

「これが終わったらアタシ帰るわン...やる気もなくなったし...傷も癒したいし...」

 

「その方がいいわ...輝夜もそろそろね...」

 

戦っている彼女達の方を見ると、輝夜姫の最後のスペルカードが消滅する...

 

 

「あ!?嘘でしょう?」

 

「これで!この異変は終わりよ!!」

 

「うげええええ!?」

 

チュドーン!!!

 

霊夢の一撃が輝夜姫を捕らえ...輝夜姫が落下する...

 

やっと...長かったこの異変に終止符が打たれたみたいね...

 

「これで完全敗北ね...」

 

「ふふーん♪...明日の朝刊が楽しみだわン♪これでアタシの役目も終わりね...」

 

永琳は残念そうな顔をするが、アタシにとってはどうでもいいことよ...異変の後片付けは彼女達に任せましょう...巻き込まれないうちに退散するのが一番よ...短いようで長かったわ...帰ってシャワー浴びて寝るに限るわ...明日は予定はないし、傷ついた体を休めるには丁度いいわ...

 

 

 

 

「悪かったわね...巻き込んで...」

 

永琳から離れようとすると後ろから彼女の声が響く...謝罪の言葉かしら?

 

「...別にいいわ...元々使われるのがアタシの役目だもの...」

 

「私は貴女との関係は悪くしたくないの...そのうちお礼をさせてもらうわ...」

 

...お礼ね?報酬をもらうのは悪くはないけど...これといって欲しい物もないのよね?...でも貰える物は欲しいかも

 

「アタシに対しての報酬かしら?今のところは間に合っているのよねン?何をくれるの?」

 

軽く考えていたのだけど...次に彼女が発する言葉はアタシの思考をフリーズさせる...

 

 

 

「望むのならば...また月に戻してあげる...あの子との一緒の生活に戻してあげられるわ...」

 

 

 

「...は?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side永琳

 

「...どうかしら?」

 

私は彼女に対して話を持ち掛けるが、毎乃葉は顔を真っ青にして頭を抱える...

 

「な...何を言っているの!!反逆者である今のアンタにそれを出来る訳は...」

 

「出来るのよ...一応はね」

 

「っ!?」

 

毎乃葉は私の言葉に怯んでいるみたいだ...

 

彼女の言う通り過去の行いで月に追われる身にはなってしまったけど、でもそれは0%ではないわ...私でもそれを自在に実行できるパイプはあるのよね...

 

「これは貴女が望むかどうかだけどね?」

 

「お断りよ!!!今更戻ったって居場所なんてないわ!!!」

 

毎乃葉からは即答で断られてしまう...

 

「良いお礼だと思うけどね?貴女は月面戦争で戦死しているという身分だし、うやむやになった今密かに戻るのも手よ?」

 

「い...今更無理よ!!!あ...アタシはあの方の中では死んでいるの!!今更ノコノコ戻ってくることなんてできないわン!!」

 

毎乃葉は怯えるように私から距離を取る...気高い彼女がここまで怯えるのは疑問になるわね?何を恐れているのか?

 

「結果がどうであれ...あの子が...」

 

「いいって言っているの!!!いいから余計なことをしないで頂戴!!!」

 

毎乃葉の鋭い眼光を前に私は口を紡ぐ...これ以上は余計なお世話みたいね...

 

「じゃあ....これ以上は何も言わないわ...」

 

「ふぅ...とりあえず今回の異変はこれで終了でいいかしら?このアタシもそろそろお眠だし...お話はこれくらいにしておきたいわ...」

 

毎乃葉は疲れ切ったような顔をして翼を伸ばす...

 

「じゃあ...また今度ね...」

 

「ええ!失礼するわ!」

 

彼女は竹林から飛び去り消える...

 

 

...まぁ...彼女のことは後回しでいいわ...今はこの異変の後片付けをしないといけないもの...

 

私は勝利の余韻に浸っている博麗の巫女へと向かう。

 

 




EXやって終了です

ではこれにて

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