東方天災手記   作:ベネト

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天逆戦前...


司令官と参謀

睡煉・夜喪妓が倒された後の竹林にて...

 

第0部隊のリーダーである天逆美羽・柚神はモニターを見て溜息をついていた...彼女にとっては部下の敗北は予想外の事だったみたいだが、決まってしまったことは仕方がない...

 

 

 

 

side美羽

 

「...睡煉と夜喪妓はリタイア...ねン...これからどうしようかしら?」

 

計算外ね...あの子達が負けるのはアタシとしても予想外よ!!!このままでは他の奴らがここに来てしまうわ!!!凄い帰りたいんだけど!!

 

「...無駄ですよ...ワタシ達が逃げることは確実にできませんから...迎え撃つしか方法はないです」

 

アタシの心情が分かったのか、柚神は溜息をつきながらモニターを消して、スコープをハンカチで磨いている...こんな時に悠長な子ね!!!

 

「アンタね!!アタシの半身なんだから打開する策を考えなさいよン!策を!!」

 

「その策が思いつかないのよ!!!アタシだってどうすればいいかわからないのよン!!!」

 

とうとう逆切れされた...何で自分自身に怒られなければならないの...

 

でも柚神がお手上げ・部下がリタイアという事はアタシらが本格的に出ないといけないのね...永琳様には逆らえないし!凄い逃げたいけど、うう...運命に逆らえないアタシの体たらくが恨めしいわ!!

 

 

「厳しいわ...実に厳しい...この状況は実にやばいわよ...」

 

「言われなくても分かっている...ワタシらに逃げ場はない...かと言って敗北するのも惨めになるだけよ...これ以上敗北が重なるのもワタシの精神衛生上良くないわ」

 

それは分かっているわ...確かに現在進行形で負け続きね...月面戦争・博麗霊夢・霧雨魔理沙・飲み会...このまま負け癖がつくのはアタシとしても悔しい...かと言って相手が悪すぎるわ...

 

「どうするのよ...自信がなくなって来たわン!やっぱり本気の姿で相手をするのが一番いいじゃないの?」

 

「手の内を明かすのは最終手段よ...必要はないわ...勝てばいいのよ...ワタシらに有利に事が運べればいいの」

 

何かしら?柚神の方は何故か自信があるみたいね?自分自身だけど、全く分からないわ!アタシは技術...柚神は頭脳専門だもの...うう...自分の考えていることが分からないわ

 

「...何かいい考えでもあるのかしら?」

 

「ええ...これ1つで戦況が変わるわ...少々...狡猾な手を使うことになるけどね」

 

彼女はスペルカードを取り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方竹林に入った博麗霊夢と八雲紫は異変の元凶である永遠亭へと近づいてきていた...

 

夜喪妓と戦った後だが、疲れの色は全く見えず順調に事を運んでいる。

 

 

side霊夢

 

「...かなり奥まで進んできたわね」

 

「黒幕まであと少しよ!」

 

「紫...アンタは余力あるわよね?」

 

「もちのろんよ!!ゆかりん元気!!」

 

紫はガッツポーズをする...夜喪妓との戦闘である程度ダメージは受けていたはずだけど、それらしいものはないみたいね...妨害はあったけど、何とかスムーズに進んでいるわ...

 

他のメンバーである睡煉は誰かに倒されたみたいだし、残りはボスである天逆毎乃葉だけ...

 

彼女が一番厄介なのよね...宴会異変の時は鬼である伊吹萃香をやすやすと倒したし、実力を測りかねるわ...

 

更に能力か分からないけど、自身を分けて戦闘に特化した天逆美羽・情報に特化した天逆柚神になることもできるわ...どれも厄介であることは変わりない...他の部下と比べて対策が打てないわ...

 

「確かに天逆はあんな性格だけど実力は本物よ...さっきの部下、夜喪妓とは比べ物にならないわ...注意なさい」

 

「分かっているわよ...今回の動機も聞かないといけないし...」

 

異変に参加した毎乃葉だけど、夜喪妓の話を聞く限り彼女らしくない...

 

メリットが無い上に嫌々で異変に参加したのは確定みたいだけど、毎乃葉の元の主の上司の命令とはいえ、彼女が素直に命令を聞くことは無いと思うわ...何か理由でもあるのかしら?

 

 

 

 

 

 

 

「あらあら...ここまで来てしまったのねン!」

 

「!?」

 

 

 

突如響き渡る、ねっとりとした声に私達は足を止める...

 

竹林の奥を見ると、そこにはこちらへと近づいてくる天逆美羽と柚神の姿があった...美羽は私達の姿を見つめると拍手をする。

 

 

「全くお見事ねン!!アタシの部下を倒すなんて思わなかったわ!これは勲章物よン!」

 

「歓迎の割には、随分と余裕はないみたいに見えるわよ?」

 

紫の言葉に美羽は拍手をやめて、キセルの煙を吐き出す...

 

「...それはそうよン?アタシだって部下に任せるつもりだったしぃ...アンタら2人と戦うことだって想定してなかったわ」

 

「大幅に計算が狂いました...全く...スケジュール通りにはいかないものね」

 

横にいる柚神も不服そうに溜息をつく...

 

「美羽...柚神...アンタらね!何で異変側についたのよ!!」

 

私の言葉に彼女達はバツが悪そうに顔を背ける...

 

「悪いとは思っているわン...アタシらとしても不服なのよ...今回の異変の参加はね」

 

「お互いに最善の策を尽くしました...結局こうなったけどね」

 

「元主の師匠の命令よね?」

 

私の言葉に美羽が驚きの表情を見せるが、柚神の方はそれを想定していたのか笑みを浮かべてまま口を開く

 

「...夜喪妓がしゃべってしまいましたか...口止めしていなかったワタシ達が悪かったのですが...」

 

「ええ...一応嫌々だとは聞いているけどね」

 

「なら...察しなさいよ...色々とあるのよ...」

 

柚神が溜息をつくが、聞いておかないといけないことがあるわ!

 

 

 

「...何でアンタらのような実力者が今回の自身にメリットもない異変に参加したのかしら?部下達も嫌々と参加したみたいだし...アンタららしくないわ!!」

 

「「それは...ねぇ?はーぁ...」」

 

美羽達は深く溜息をつく...何というか帰りたいオーラを出しているわ...何というかやる気がないというか...

 

「何よ...その溜息...参加した割にはやる気が見えないわ」

 

「それはそうよン紫...前にも言ったけど今回の事はアタシらとしても不服なの!!天狗が関わっていないとはいえ!!組織にバレでもすれば始末書が増える案件よ!!!デメリットしかないし!アタシとしてはお仕事が増えるのは嫌なのよン!!」

 

「もっとも今回の件はレアケース...ワタシ達は運命に巻き込まれたに過ぎません...」

 

「...毎乃葉...アンタらしくないわ...アンタの性格からして今回の異変は不服なのでしょう?アンタなら逆らってもおかしくは...」

 

「「物理的に今回の事は無理なのよ...アタシらは敷かれた運命のレールから外れることはできないのよ」」

 

彼女達は肩を竦めている...

 

「運命のレール?」

 

「...物の例えよン...アタシの主から言われたの...(毎乃葉...××様の命は絶対だ)とね?」

 

××?...それが主の師匠の名前かしら?随分と発音しにくい名前だけど...

 

「随分忠犬なのね?...貴女のことなら平気で破りそうだけど?」

 

「無理よ...主の言葉は絶対に避けられないわン!!」

 

「...あの方の命令は絶対...約束された運命なのですよ」

 

彼女達は顔を青くしている...ただの口約束でここまで言う事を聞くのもおかしいわね?怯える程かしら?只の命令だというのに...

 

 

 

「アンタらなら命令に逆らっても別に大丈夫だと思うけど?」

 

「「永琳様に逆らう事を見こされて!主に保険を掛けられたのよ!!!(お前は絶対に逆らうから念には念を)って!!」」

 

彼女達は子供みたいに駄々こねている...ボロを出したわね...××の本名は永琳...柚神がいるというのにお粗末ね...しかし...その主というのも気になるわ...こんな問題児を鶴の一声で大人しくさせるなんて...

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかして...その主の能力で縛られているのかしら?」

 

「「...!?」」

 

紫の言葉に彼女達は口を閉じる...ビンゴみたいね...分かりやすいわ...

 

確かに何かの能力が作用しているなら彼女達でも言う事聞かざるを得ないわね...何の力か分からないけど...

 

「ふぅ...話過ぎたわねン...時間が惜しいし始めようかしら?」

 

「ええ...とりあえずやらないといけませんし」

 

彼女達は紫の言葉に返答せずに戦闘態勢になる...

 

「ちょっと...ゆかりんの話を無視しないでよ」

 

「お話は終わりなのよン!!これからはお仕事に入らないといけないわン!!!」

 

彼女達の主の事は気になるけど、やる気になってしまった以上やるしかないわね...

 

「紫...話を聞くのは彼女達を倒した後よ...今は倒すことに集中しなさい」

 

「うう...仕方ないわ」

 

私達がスペルカードを取り出すと、柚神が笑みを浮かべる。

 

 

 

「ふふふ...もしかして勝つ算段でもあるというのかしら?」

 

「少なくとも私と紫は過去に美羽に勝っているわ!今回アンタが一緒に居ても何とかなるわ」

 

確かに彼女には勝っている...強力な能力を持っているみたいだけど、性格が災いしてか彼女は足元を掬われることが多いわ...今回は柚神がいるけど、逆に彼女は戦闘専門では無い分何とかなるわ...

 

「キー!!!むかつくー!!!」

 

美羽はハンカチを出して噛んでいるが、柚神は笑みを崩さない...

 

「ふふ...面白いわ...でも、ワタシの前では、なす術もなくなるわ...妨害戦術(スペル・ジャマー)」

 

柚神がスペル宣言すると、柚神の周りにある画面が赤く点滅し、辺りにけたたましい音が鳴り響く!!?

 

「な...何よ」

 

「アラート音...何かの警告かしら?」

 

「貴女の今後に対する警告ですよ...邪魔をするのはワタシの十八番なので...」

 

柚神の周りの画面に使用禁止という文字が現れ、画面が次々と増えていく...

 

 

使用禁止:夢想封印

 

使用禁止:二重結界

 

使用禁止:夢想転生

 

使用禁止:弾幕結界

 

使用禁止:八雲藍

 

使用禁止:ブラリ廃線の旅

 

 

「一通りの大技は使用禁止にしました...これでこちらの勝率が上がったというものです」

 

「使用禁止?」

 

よく見たら...柚神の画面に書かれているのは私と紫のスペルカードのことじゃないの!!使用禁止って...まさか...

 

「...こんなのハッタリよ!!夢想封印!」

 

 

 

 

 

...

 

 

 

 

 

 

試しに夢想封印を放ってみたけど...全く力が使えない...

 

「...嘘」

 

「言ったでしょう?ワタシのスペルカード、スペル・ジャマーは対象の技を一時的に使用禁止にすることができます...」

 

技の使用禁止?柚神の能力は良く理解していないけど...妨害するのに長けているみたいね...これはやられたわ...

 

「おほほほほー!!!よくやったわ柚神!!!このままチェックメイトしちゃいなさいよ!!」

 

「...荒事は貴女の役目ですよね?...ワタシは忙しいのです」

 

「...それもそうねン♪バックアップを宜しく~♪」

 

美羽はご機嫌な笑みを浮かべて、こちらへ来るが対照的に紫は不機嫌そうに彼女を睨んでいる...

 

「...やってくれるじゃないの...見事に反則技を使ってくれたわね」

 

「今回は本気で悪いと思っているわ...だから本気で戦わないだけ、ありがたいと思いなさいよン♪...まぁ...睡煉の方は関係ないかもしれないけど...可愛い部下が倒されちゃったし、アタシとしてもムカついているいるのよね...」

 

美羽は体から霊力を放出させながら地面を踏み砕き、力を増幅させていく...

 

...柚神の妨害をされながら美羽の相手とは...これは厳しくなりそうね

 

「...さてと...始めるわよン♪部下の仇を取ってあげる!」

 

美羽は力を放出しながら私達へと向かう!!

 

 

 




次回戦闘開始

ではこれにて

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