東方天災手記   作:ベネト

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夜喪妓戦...


ロンリースナイパー

睡煉が撃破された同時刻...竹林から離れた場所にて、睡煉の仲間である夜喪妓が竹林の方を見て溜息をつく...

 

「...睡煉が散ったか...あいつ遊び過ぎだ...だから足下を掬われるんだ...」

 

独り言のように、ぼやいている夜喪妓ではあるが、彼女の目の前にいる人物が吠える...

 

「今は私の相手だ!!!ぼやいている暇はないはずだ!!!」

 

その人物は、現在進行形で戦闘中である八雲紫の式神、八雲藍...彼女は息を切らしながら訴え...夜喪妓はライフルを担いだまま煙を吐く...

 

「ああ...すまない...少々退屈でな」

 

夜喪妓は藍の拳撃を受け流し距離を取る。

 

 

 

 

 

 

side霊夢

 

「...藍の奴苦戦しているじゃない」

 

「藍を相手にあの余裕とは、流石は毎乃葉の部下というべきかしらね?」

 

藍と夜喪妓の戦いを私と紫は遠くで見つめている...先ほどから30分経過するが藍の攻撃は夜喪妓を掠りもしない...全て彼女に見切られているわね...

 

紫の案で藍だけを戦わせて夜喪妓の手の内を明かそうと目論んでいたのだけど、夜喪妓は攻撃をしようとはせず、只それを眺めて避けているいるだけ...何を企んでいるのかしら?

 

「私達も戦った方がいいわ」

 

「待ってよ♪藍が頑張っているんだから!らーん!ファイト!!」

 

「くぅうう!!!式神(十二神将の宴)」

 

藍は近接攻撃をやめ、スペルカードを発動する...辺りに12体の式神が現れて夜喪妓に光弾の一斉射撃を行う。

 

「ほう?大技か...」

 

夜喪妓は不敵に笑い、式神から放たれる嵐のような光弾を避け、ゆっくりとした足取りで藍に近づいてくる...

 

「お前達!!私を守れ!」

 

藍の盾になるように式神が集結するが、夜喪妓の歩が止まることがない。

 

 

 

 

 

 

「邪魔だ...」

 

ドン!!

 

突如響く銃声に、式神の1体が頭を撃ち抜かれて消滅する!

 

「な?」

 

「クリーンヒット...驚くことはないだろう?式神だろうが何だろうが頭を撃ち抜かれれば消滅もするだろう?」

 

ドン!

 

夜喪妓は何も気にすることなく、もう1体式神を撃ち抜いて銃口から出る煙を眺めている...

 

「...的確な射撃ね」

 

「片目だけなのに良くやるわね...あの狙撃銃は近接攻撃には向かないのに...それに何となく勝負が見えたわ...」

 

 

 

「貴様ー!!!」

 

藍の方を見ると、怒りか動揺でもしているのか注意が散漫になっているわね...式神の配置も穴があるわ...式神は夜喪妓に光弾を放っているが、彼女は避けながら煙を吐く...

 

「アグレッシブに戦うのも悪くはない...が...そろそろ終わりにするぞ...同志毎乃葉が五月蠅いからな...」

 

夜喪妓が銃を構え直すと彼女の姿が消える!?

 

「何?どこへ行った?」

 

チュン!!!

 

誰もいない空間から銃弾が放たれ藍の頬を掠める...

 

ドドドドド!!!

 

そして、今度はあらゆる方向から銃弾が放たれる。

 

銃弾は意志でも持ったかの如く、生き物のようにグネグネ動きながら次々と式神の頭を撃ち抜いて消滅させていく!!?あの弾道は...幾ら何でもおかしいわよ!?

 

「弾道と方向が滅茶苦茶よ!!どこにいるのよ!!夜喪妓は!?」

 

「...霊夢...よく見なさい」

 

「何よ?よく見ろって...」

 

「ほう?妖怪の賢者は私の動きが目で追えているのか?」

 

突如、夜喪妓の声が聞こえ彼女が姿を現す...藍の後ろで銃を突きつけた状態で...

 

「う...いつの間に...」

 

「...藍はここまでね」

 

くぱぁ...

 

「ひゃあああああ!!!」

 

藍の足下にスキマが開き、彼女は重力に逆らうことなくスキマの中へと落とされる。

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ...逃がされたか」

 

夜喪妓はキセルを歯がみしながら、スキマが消えた地面を見つめている...

 

「中々足が速いみたいね...目で追うのがやっとだわ」

 

「ほう!面白い...俊敏さは同志毎乃葉には負けないほどだ...」

 

夜喪妓は、キセルに溜まった灰を地面に落として笑みを浮かべている...

 

さっきの光景...夜喪妓が高速で動いて銃を乱射していたのね...私の目で追えない程なんて!!

 

「...おい...次来い...時間が惜しいんだ...2人纏めてかかってこい」

 

夜喪妓は飽き飽きとした表情で私達の挑発をする...毎乃葉と同じく高慢な性格みたいだけど、実力は確かなみたいね...隙らしいものが彼女からは感じられないわ...

 

 

 

 

 

「本当に2人がかりでいいのかしら?」

 

私が狼狽えていると紫が前へ歩みだしていた...

 

「かまわん...さっさと来い妖怪の賢者」

 

「じゃあお構いなく!ブラリ廃線の旅!」

 

紫がスキマを開くと中から電車が夜喪妓に向けて発射され、電車は夜喪妓目掛け、けたたましい音を発しながら線路のない空間を走る。

 

「ほう?面白い技を使うな?」

 

ドン!

 

夜喪妓はカラカラと笑いながら電車の窓へ発砲し、割れた窓から内部へと侵入して直撃を避ける。

 

「その列車が貴女の棺桶になるのよ!」

 

紫は内部にいる夜喪妓を電車の外から光弾を次々と狙い撃つ...

 

「その程度止まって見えるぞ!」

 

夜喪妓は、次々を放たれる光弾の嵐を電車内を走って回避し、そして電車の窓を突き破り外に出て紫に銃を向ける。

 

「貰った!」

 

「私も見切ったわ!」

 

紫は傘を夜喪妓に向け、両者とも光弾を放つ

 

 

ばしゅ...ばしゅ...

 

「ちぃ!」

 

「...」

 

両者の光弾は命中こそしなかったが、夜喪妓は頬を掠り、紫は肩を掠める...被弾こそはしなかったけど、ギリギリな戦いね...

 

「流石というべきか?中々の力ではないか!実に面白いぞ!妖怪の賢者!」

 

夜喪妓は称賛の意を込めて紫に拍手している...どこか嫌らしさを感じるのは気の所為かしら?

 

「...貴女本気を出していないでしょう?」

 

紫の言葉に夜喪妓からの拍手が止まる...

 

「余力を残すのは当たり前だ...私の仕事は、この後も残っているのでな...」

 

夜喪妓は私の方を見る。

 

「博麗の巫女!お前はどうした?2人纏めて来いと言ったはずだが?」

 

「...入るタイミングを失っただけよ...アンタも本気を出したら?本気を出さなくて負けましたという言い訳は聞きたくないのよ」

 

「言ってくれる!だが同志美羽を倒しただけはあるか...」

 

夜喪妓は、自身のつけている眼帯を外す。

 

 

 

 

「本気を出す...同志毎乃葉と戦った時以来だ...」

 

夜喪妓の右目が露わになる。左目が橙色に対し金色の目をしている...だけどあの金色の目...何か嫌な予感がするわ...

 

「それが本気なのかしら?」

 

「...これを使わせるのだ当たり前だろう?もっとも、この右目は私の自前ではないのだがな...」

 

「自前?」

 

夜喪妓はキセルを噛みながら目を閉じる。

 

「...若い時に仕事中に目を負傷してな...使いモノにならないという理由で強制的に移植された...まぁ便利だがな」

 

彼女が右目を開けると、私達の体に照準マークが刻み込まれる!?

 

「な?」

 

「...これが貴女の能力かしら?」

 

「私の能力ではない...お前らをロックオンしただけだ...逃げても無駄だ!」

 

夜喪妓は銃を私達に放つ!私達はそれを避けるが先程と同じ単調な銃撃...本気を出したようには見えないわ?

 

 

「本当に本気を出しているのかしら?」

 

「大体の場所が分かればそれで良い...これで私の能力も輝きを増すというものだ!!」

 

「!?」

 

後ろを向くと、先ほど夜喪妓が放った銃弾が軌道を変えてこっちへと戻ってくる!?

 

「二重結界!!」

 

私はとっさに結界を貼り銃弾を防ぐ!いきなりの不意打ち危なかったわ!でも光弾が戻ってくるなんて...まさか!!

 

 

 

 

 

「これが貴女の能力というわけね」

 

「...そう...私の能力は軌道を操る程度の能力...私自身が放ったものの軌道を操作することが出来る...そんなところだ」

 

...軌道を操作?...どうりで、さっきの藍との戦いの時に弾丸が妙な動きをしていた理由が説明着くわ...

 

「軌道をね?なら...その眼は能力をサポートするものかしら?」

 

「ああ!!銃のスコープみたいなものだ...千里の距離をも見つめ障害物をも透視する!観測手も必要ない!!そして獲物を絶対に逃さない神の目というべきか?あははははは!!!」

 

夜喪妓は嬉しそうに拍手している...

 

実質...彼女は、弾丸の軌道を操る能力とそれを補助する能力の2つの能力を持っている...

 

それに...眼帯を付けていたとはいえ、あの目の力は先程から使っていたみたいね...藍の攻撃が1回も当たらなかったし、相手の動きを読む力にも長けているわね...

 

 

 

 

 

「さて...これ以上べらべらと私の事を話すこともない...さっさと退場してもらおうか!我が同志の為にな!」

 

夜喪妓は銃を向ける...能力は分かったけど、対抗策が思いつかないわ!放たれる光弾を操作されてしまうとなると避けるのも限度があるわ!

 

紫の方を見ると、彼女は笑みを浮かべている

 

「こんな時に何笑っているのよ!?」

 

「いえ?...手の内を明かしてくれて良かったわ...これで対策が練られるわ」

 

「対策だと?」

 

夜喪妓は紫の方を警戒している...対策?紫には対策が出来ているというの?

 

「ええ...貴女は自分の能力のデメリットを理解していないみたいね...今から見せてあげるわよ?」

 

「...ほう?...面白い」

 

夜喪妓は完全に紫の方に興味が湧いているみたいね...

 

「霊夢...私がやるから下がってなさい」

 

紫はヒラヒラと私の方に手を振る...少し悔しい気がするけど、邪魔をする訳にはいかないわね...

 

「分かったわよ...さっさと終わらしてよ?」

 

「...すぐに終わるわ」

 

私は彼女達から離れて成り行きを見守る...

 

夜喪妓の方を見ると、青筋を立てており、目をギラギラと光らせている。

 

 

 

「...おい...すぐに終わらすだと?できると思っているのか妖怪賢者!!」

 

彼女は銃を乱射して、紫に大量の光弾を放つ...

 

光弾の軌道は全て滅茶苦茶になっている...物理法則を無視した弾道だけど、紫の方は気にすることなく扇子を振る。

 

「避けることは出来るのよ...」

 

紫はスキマの中に入り、光弾を避け、夜喪妓から離れた空間に現れる

 

「お前はロックオン済みだ!!私の銃弾から逃げられる訳ないだろう!!」

 

光弾はすぐさま方向を変えて紫の方へと再度向かう。

 

「ぐ...」

 

紫は被弾するが、すぐに体勢を立て直して夜喪妓の方を向く

 

「...ふぅ」

 

「トドメだ!!妖怪の賢者!!お前がリタイアすれば、この異変はもらったも同然だ!」

 

「紫!!」

 

夜喪妓の銃から光弾が放たれる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...常にロックオン...それが貴女の敗因よ」

 

紫は迫ってくる光弾を弾き、スキマから何かを取り出して、それを炸裂させる!

 

その何かからは眩い光が炸裂し辺りに鋭い閃光を奔らせる!

 

「うう!!?」

 

やばい...目を閉じるのが遅かったら眩んでいたわね...私が頭を振っていると夜喪妓の悲痛な叫びが響く...

 

「ぐあああああああ!!?」

 

夜喪妓が銃を落として、両手で目をかばう様に後退している...

 

「何が起きたの?...って」

 

私達の体を見ると、先ほどまであった照準マークが消滅する!?能力が解除された?

 

「見え過ぎるのも困ったものね?こんな閃光弾でも致命傷になるのだから」

 

「ぐううう!?致命傷?」

 

夜喪妓は目が見えなくなったのか、辺りを手探るように見回しているが先ほどより動きにキレがないわ...

 

「貴女のその右目...眼帯を通してでも透視してしまうモノだって言っていたわね...能力を発動中の貴女なら引っかかると思っていたわ」

 

「それを...狙ってっ!私の能力の裏をかいただと?小賢しい真似を!!!」

 

夜喪妓は紫の方を向き、懐から小型の銃を取り出して発砲する!

 

 

 

 

 

 

光弾は紫を掠めて戻ることなく消滅する...弾道操作能力も使えなくなったみたいね...

 

「貴女は目に頼りすぎなのよ...これで...この異変から退場なさい!!」

 

紫の背後から大中小の光弾が大量に出現して夜喪妓に向け放たれる...

 

「...同志よ...すまん」

 

夜喪妓は抵抗なく被弾して吹き飛ばされ、戦いに幕が引かれる...

 

 

 

 

 

「...ごほ!!...まさか...私が下されるなんて...」

 

夜喪妓は咳をしながら起き上がるが、戦意は感じられないわね...

 

「まだやる気かしら?」

 

紫の言葉に夜喪妓は後退する...

 

「...撤退だ...どうせお前らに同志毎乃葉は倒せん」

 

彼女は、それを言い残してその場から消える...

 

 

 

 

「何とかやったみたいね...」

 

「ええ...霊夢~♪私をほめてー♪」

 

紫が私に抱き着くが、私は彼女を押しのける

 

「次行くわよ!!!まだ毎乃葉が残っているじゃない!」

 

「分かっているわ...次は今よりも苦戦は確実よ...」

 

私達は竹林へと歩を進める...毎乃葉の実力が分からない以上...油断はできないわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side夜喪妓

 

「はぁ...はぁ...ここまでくれば」

 

ここは...人里の近くか...ここまでくれば弱った私でも安全だろうな...

 

...頭がくらくらする...しばらく目の方の能力は切っておくか...私がやられてしまうとは...とんだ誤算だ...

 

「同志には悪いが...残りはやってもらうとするか...私達の仇を取ってもらうためにな!」

 

姿を分けても、同志毎乃葉の実力は私達第0部隊を圧倒的に凌駕する...幾ら妖怪賢者+aがまとめて相手をしても勝つ事は確定だ...

 

「さて...回復したらさっさとお暇を...」

 

「そこで何をしている?」

 

声の方向を見ると、そこには青い服に身を包んだ銀髪の女性がいた...人里の住民か?見つかってしまったか...

 

「...ああ済まない...只休んでいただけだ...すぐにお暇する...」

 

「...怪我をしているじゃないか!!私の家に来い!!手当をするから!!」

 

「いや...別に」

 

「いいから!!!」

 

女性に手を引かれ私は人里へと通される...またもやとんだ誤算だ...同志よ...後は任せたぞ...

 

 

 

 

 




夜喪妓戦終了

異変はまだ続きます

ではこれにて

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