東方天災手記   作:ベネト

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道中戦闘


模倣&暗殺

欠けた満月が夜を照らす幻想郷のとある夜...

 

異変に気づいた霊夢達の他にも異変を察知して動き出した者もいる...今回の異変は考えは違えど目的は同じ...圧倒的に彼女達が有利だろうが...

 

今回の異変は、いつもとは違うことを彼女達は知らない...

 

 

 

竹林にまず最初にやって来たのは、紅魔館の主こと、レミリア・スカーレットと十六夜咲夜の2名...

 

彼女達は竹林に降りて辺りを見回す...

 

 

side咲夜

 

「...どうやらここのようです...お嬢様」

 

「ええ...ご苦労様...さて...月を歪ませた黒幕はどこにいるのかしら?」

 

お嬢様は竹林の奥を見回している...

 

何故私達がここに来たのかというと...今回の異変がお嬢様の気にくわなかったことが原因ね...

 

いつもの夜のティータイムに月の満ち欠けを眺めるのが、毎日の楽しみだったお嬢様だけど...今回の異変のおかげでティータイムを台無しにされて随分とご立腹なのよね...

 

「流石にもここにはいないわね...咲夜!私についてきなさい!」

 

「あ!危ないですよ!」

 

私が制する前に、お嬢様は進んでいき、何者かがお嬢様の前に立ちふさがる

 

 

「おっと!ここから先へ進むなら私を相手をしていきなさい!」

 

出てきたのは、緑色の髪をした少女...頭に虫のような触覚がついており、明らかに妖怪の類ね...

 

「お嬢様...ここは私が」

 

「いえ...必要ないわ...私で充分...黒幕とのウォーミングアップになるわ!」

 

お嬢様は片手に槍を出現させて歩を進め、虫の少女は顔を青くする...

 

「あれ?ちょっと...」

 

「貴女に時間はかけられないの...スピア・ザ・グングニル!」

 

お嬢様が槍を投げる...

 

 

「え!待って!!」

 

ドカーン!!

 

少女は爆発して夜空へと消える...お嬢様の機嫌が悪い時に出てくるとは...ついていない子ね...

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲夜...次行くわよ」

 

「ええ...畏まりました」

 

私達が竹林の中へ入ろうとすると、地面に何かが突き刺さる!

 

「新たな敵ですか?」

 

「そうみたいね...まぁ...雑魚でしょうね」

 

「...そうですか」

 

地面を見ると、そこには手術刀が刺さっている...

 

この刃物には既視感があるわね...この形状の刃物を使っているのは私の知っている限り1人しかいない...

 

「...いえ...お嬢様...次の相手は油断しない方が宜しいかと...」

 

「...?」

 

お嬢様は首を傾げ、私は地面に刺さった手術刀を取る...

 

「...姿を現したら?天逆の部下...」

 

私が声を上げると、何もない空間が歪む...

 

 

 

 

「あらあら?バレてしまいましたか?」

 

何もない空間から白い髪をして、赤い軍服に身を包んだ兎耳をつけた少女が現れる...

 

確か宴会の時に見た天逆毎乃葉の部下...睡煉とかいっていたわね...

 

「返すわ」

 

私は手術刀を彼女に向けて投げる...頭を狙ったのだけど、彼女は手術刀をうまく受け止めて軍服の中へ入れる...

 

「あらあら...ご丁寧に」

 

「...貴女あの天狗の部下じゃないの...何で私達の邪魔をするのかしら?」

 

「あらあら~怖いですねぇ~紅魔館の当主様だけあって迫力が違います~」

 

お嬢様が槍を向けるが彼女はそれい臆せずお道化ているだけ...どこか余裕があるみたいだけど、その態度が何か引っかかるわ...私とお嬢様がいるというのに...

 

 

「...まさか毎乃葉の命令かしら?貴女がわざわざ妨害をするとなると、異変に関与していると見なしていいのよね?」

 

「私としては嫌々なのですよ~?上司命令とはいえ、第0部隊を壊滅させる原因を作った方のお願いなんて聞けるはずがありません~」

 

...上司命令...つまり毎乃葉が絡んでいることは確定ね...しかし毎乃葉以外に第三者がいるみたいね...この後に彼女が居る以上...この子に時間がかけられないわ...

 

 

「なら...押し通るまでよ...」

 

私が踏み出すと彼女は驚くように後退する...

 

「あはは...嫌ですね~?私としても戦闘能力は低い方なんですよ...あまり痛い目は遭いたくないのが本心なのですがね...」

 

「なら...さっさとどきなさいよ!貴女に関わっているほど私達は暇じゃないのよ!!」

 

お嬢様が詰め寄ると彼女は笑みを浮かべる...

 

「どきません♪...時間稼ぎが私の目的ですもの...ね!」

 

睡煉は懐から何かを取り出して、地面に叩き付ける...

 

その持っていた物は破裂して辺りに煙を立ちこませる!!

 

 

 

 

「うう!!」

 

...目が染みるわ...煙幕か何かかしら?

 

辺りは煙霧に包まれている...只でさえ、視界の悪い竹林だというのに...何てこと...

 

「!?それよりも!」

 

私はお嬢様を確認する!私の前にお嬢様の身の安全を!!幾ら弱そうな子とはいえども、何の能力を持っているか分からない以上警戒を怠るわけには!!

 

少しずつ煙が晴れてきている...すぐにお嬢様を救出して...睡煉に引導を!!

 

 

「...!?」

 

煙が晴れ...私の目の前にはとんでもない光景が広がっていた...

 

 

 

 

 

 

「...う~?」

 

「...う~?」

 

「...」

 

私の目の前には、2人に増えたお嬢様がいた...

 

お嬢様達もお互いの姿を見て呆然としているが、次第に顔を引きつらせる...

 

「「な...何よこれー!!!」」

 

2人のお嬢様は驚愕の表情を浮かべている...

 

そして1人のお嬢様が口を開く

 

「あ...アンタ!!睡煉でしょう!!高貴な私の真似をするんじゃないわよ!!」

 

「あ...アナタ何を言っているの!!貴女が私の真似をしているんじゃないの!!!」

 

「「うー!!!!」」

 

2人のお嬢様は子供の喧嘩のようにお互いをポコポコと叩いている...

 

...しまった...これが睡煉の作戦だというのね

 

片方のお嬢様が睡煉が化けたお嬢様の姿...まるで鏡でも見ているかのように完璧に真似ているわ...

 

お嬢様達は私を見る

 

「「咲夜!!この偽物を退治しなさいよ!!」」

 

お嬢様達は私に命令する...どうすればいいのよ!!判別が全くつかないというのに!!

 

「残念ながら...私には判別がつかない状況です...もう少し何かきっかけがあれば...」

 

片方のお嬢様が地団駄を踏む...

 

「...もう!!ならこれを見なさいよ!!スピア・ザ・グングニル!!」

 

片方のお嬢様の左手に緋色に輝く魔槍...グングニルが現れる...

 

そうだわ...睡煉はあくまで姿形をコピーしたに過ぎないわ...本物の能力までコピーできるわけないわ!

 

ということは...

 

 

「もう一人のお嬢様が睡煉!」

 

もう一人のお嬢様を見ると彼女は驚くような顔をする

 

「ま...待ちなさいよ!!私が本物!!スピア・ザ・グングニル!」

 

「...」

 

もう一人のお嬢様の右手にも緋色に輝く魔槍が...

 

ということは...睡煉は姿形だけではなく...能力のコピーもできるということなの?

 

お嬢様達はお互いを睨む...

 

「「真似するなー!!」」

 

お嬢様達は同時にグングニルを互いに投げ、グングニル同士が炸裂し爆発が起きる...

 

「「うー!!!何なのよ!!偽物の癖にー!!」」

 

威力も本物...

 

 

 

 

「私はどうすれば!!」

 

私は膝をつく...姿だけではなく能力まで完璧に真似をされたら...判別することが...

 

「「咲夜!!何とかしなさい!!」」

 

「うう!!待ってください!」

 

何とかしなくては...考えるのよ十六夜咲夜...こうなれば...私の目で本物のお嬢様を見極めるしかないわ!!私にしか知らない質問を!!

 

 

「なら!お嬢様!!御下着を見せてください!!」

 

「「なっ!!!何を言っているのよ!!今はそれどころでは!!」」

 

お嬢様達は顔を赤くする...が私も退けないわ!!

 

「私はお嬢様の身の世話をしているので、今日のお嬢様の御下着の色も形も把握できています!!偽物には直接見ない限り分かるはずがありません!!さぁ!!見せてください!!」

 

「「うわぁ...」」

 

何故かドン引きされている...でも!偽物には知らない情報よ!!これが一番の策なのだから!!!

 

「さぁ!咲夜にお嬢様の御下着を!!!」

 

「「...はぁー...見なさいよ!」」

 

お嬢様達は恥じらいながらスカートをたくし上げる...

 

 

 

 

 

 

「な?」

 

つピンクのフリフリ

つピンクのフリフリ

 

完璧に同じですって!?そんな馬鹿な...

 

 

「「遊んでいる場合ではないのよ!!他の策を考えなさいよ!!」」

 

「うう!!申し訳ございません!!」

 

決死の作戦も水泡に帰したわ...

 

...どうすればいいのよ...手元にはお夜食用のサンドイッチとワインしか残っていないわ...

 

他の道具があれば何かしらの策は立てれたというのに...

 

 

「...完璧な姿ね」

 

姿形は同じ...能力の威力も同じ...完璧にコピー出来ているみたいだけど...完璧何て存在しないわ...どこかに穴があるはずよ...

 

「完璧?」

 

...完璧...そこをつけば...睡煉もボロを出すのではないのかしら?

 

この事に関しては、お嬢様も知らないこと...幾ら睡煉が完璧に真似ていても何とかなるのでは?

 

 

「分かりました...これで白黒はっきりつけますよ!!」

 

「「本当!?さっさと言いなさいよ!!」」

 

私は懐からワインボトルを取り出す

 

「...このワインの産地をお答えください!!正解した方が本物のお嬢様です!!」

 

「「...こんなもので本物をねぇ?」」

 

お嬢様達は嫌らしい笑みを浮かべている...

 

本物のお嬢様は自信があるみたいね...

 

私はグラスを2つ取り出して赤ワインを注ぐ

 

 

 

「さぁ!!どの産地のワインかお答えください!!」

 

「ふん!この勝負決まったわね」

 

「ふん!!どうだか...」

 

2人のお嬢様はグラスを空にして口を開く

 

 

 

「シャンパーニュ地方の赤ワインよ!!」

 

「ブルゴーニュ地方の赤ワインよ!!」

 

見事に割れたわね...これで私のやることも決まったわ

 

「ふん!!私の味覚にはついて来れなかったみたいね!!」

 

「は?貴女の味覚がおかしいんじゃないの?」

 

「正解を発表します」

 

私は空になったワインのラベルを確認する...

 

一応味見はしたけど...念入りにね...

 

「ワインの産地は...」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブルゴーニュ地方!!」

 

「やったー!!」

 

「う...嘘よ...私外したことがないのに...」

 

私の発表に片方のお嬢様は跳ね上がり、片方のお嬢様は落胆している...

 

これで勝負ありね...

 

「...これで勝負はつきました...」

 

「さぁ!咲夜!!偽物に引導を渡しなさい!!」

 

「うー!!咲夜ー!!何かの嘘よー!!!」

 

両方のお嬢様が喚いているが、私のすることは決まったわ...

 

 

私は産地をはずしたお嬢様の方へ向かう...

 

「咲夜!やってしまいなさい!!」

 

「咲夜?」

 

私はナイフを構える

 

「偽物は...貴女よ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は産地を当てたお嬢様に大量のナイフを投げる...

 

とっさの行動に出遅れたのか、向こうの偽物は避けることもできずに全弾被弾する...

 

「うぎゃあああ!!!?何で!!?」

 

偽物のお嬢様は姿を変えて睡煉の姿に戻る...

 

「流石の貴女でも完全コピーはできなかったみたいね」

 

「何です!?確かに私はワインの産地を当てたというのに!!完璧にマネをすることができたというのに!!」

 

睡煉は悔しそうにナイフを抜きながら地団駄を踏む...

 

本物のお嬢様は体を震わせながら、体裁を整えている

 

「ふ...ふん!!流石咲夜ね...本物の私を見破るなんて」

 

「...ええ...私にはわかりますよ」

 

私は空になったボトルを見る

 

 

「本物のお嬢様は...ワインの産地を当てることなんてできませんから」

 

「「え??」」

 

お嬢様と睡煉が驚く...

 

「え?何よ!!私は今で外したことが...」

 

「申し訳ございませんお嬢様...今まで咲夜は嘘をついていました...」

 

「嘘?」

 

「主を立てるとはいえ嘘をつくのは良くないことでした...私はワインの産地を当てることなんてお嬢様には不可能だって気づいていました...今までの晩酌お嬢様の産地当ての正解率は1.5%...間違っていても私には、それを間違いだと訂正することができませんでした...全てはお嬢様の為に...」

 

「うそん?」

 

本物のお嬢様は崩れ落ちる...

 

でも私は嘘を言ってはいないわ!!今までの晩酌の際...お嬢様が産地を外していたのは紛れもない事実...この問題にすれば外すことは分かっていたわ...

 

睡煉の方を見ると頭を掻いている

 

 

「あちゃ...まさかそんな罠があるとは...私もまだまだですね...完璧にこだわり過ぎましたね...モチーフが100%とは限りませんか...」

 

彼女は竹に腰掛けて無防備になっている...

 

戦意を喪失したのかしら?

 

私はナイフを向ける

 

「あら?潔いわね?もっと変身をしてくると思ったけど?」

 

「無駄なことはしませんよ...今回の事は教訓にしましょう...完璧というのは完璧ではないということを気づかされました...」

 

「そう!なら!貴女はここで一休みね!!」

 

私はナイフを振り下ろす!

 

 

 

 

 

 

 

「...ここに私だけだと思いですか?」

 

ばーん!!

 

「っ!!」

 

突如の銃撃に振り下ろしたナイフが弾き飛ばされる!?

 

馬鹿な...ここには睡煉だけだというのに!!他に誰かいたというの?

 

「何処!!周りには誰の気配もなかったというのに!!」

 

辺りを見まわしても誰もいない...

 

誰もいないのに...どこから攻撃が?

 

 

 

「ど...どこに貴女の仲間がいるの!?」

 

睡煉は平気そうに服の汚れを落としている

 

「...ずーっと...遠くですよ...ほら...気を付けてください...次の銃弾が来ますよ?」

 

 

だーん!!

 

「ぎゃ!!」

 

「な?」

 

銃声が聞こえたと思いきや...お嬢様が銃弾型の光弾に被弾して地面に倒れる!!まさか撃たれたというの!!

 

「お嬢様!!」

 

私はお嬢様を抱えて狙撃手を探す...この辺りには誰もいないのに...一体何処から銃弾が!!

 

...辺りを見回しても誰もいない...一体どこからこれが来ているというの!!

 

 

「...あ~無駄ですよ?幾ら近辺を探してもスナイパーは見つかりませんてば...」

 

「遠距離からの狙撃とは...」

 

私が時間を止めてスナイパーのもとへ向かってもいいけど、負傷したお嬢様を抱えながらの戦闘は不利ね...

 

睡煉の仲間ということは、確実に彼女並みの厄介な能力を持っているといってもいいもの...

 

「ちなみにスナイパーは私よりも圧倒的に強いですよ~!」

 

「...!」

 

...なら最善の策を取るまでよ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...」

 

私のとった最善の策は...お嬢様を抱えて私は竹林の出口へ辿り着く事...

 

ここまでくれば...スナイパーの射程範囲内のはず...

 

退くのは悔しいけど、睡煉の他にもう一人いるとなるとこちらの分が悪いわ...

 

最初から睡煉に余裕があったのは、これの所為だったのね...

 

「う~」

 

私の腕の中でお嬢様は気絶している...

 

「...まぁ...他の子がこの異変を何とかしてくれるでしょう」

 

私はそのまま紅魔館へと戻る...後でお嬢様に敵前逃亡したことは怒られるかもね...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side睡煉

 

「ふぃ~どうやら逃げちゃったみたいですねぇ」

 

私はその場に座り、夜喪妓さんがいる方向を見つめる...

 

あのメイドが退散してくれて本当によかったです...時を止める能力を持っている以上、私には分が悪いですからね...

 

「感謝しますよ...夜喪妓さん」

 

どどどどどど!!

 

私の近くの地面が次々とダンガンが撃ち込まれる...

 

(次・行け)

 

っと...地面に弾丸文字で書かれている...あらら...休む暇もないとは...

 

「はいはい...分かっていますよ...しかし?夜明けが遠く感じます...」

 

...確か作戦では、夜明けまでの攻防戦だったはず?しかし月が何時まで経っても動きを見せないのは...おかしい?

 

ドドドドドド!!

 

(夜・動き・止まっている...第三者・妨害が入っている)

 

夜喪妓さんからの弾丸文字...第三者からの妨害ですか...これじゃあ何時まで経っても上がれません...

 

「次どうします?」

 

ドドド!!

 

(近場・獲物・やる)

 

...シンプルな回答ありがとうございます...っと

 

「はいはい...行きますよーだ...」

 

私は次の獲物を探すために竹林の奥へ進む...夜喪妓さんの援護もありますし次も何とかなるでしょう?

 

 




異変を本格的に開始...

ではこれにて

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