東方天災手記   作:ベネト

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観察程度の話です


漁夫の利

魔法の森でアリス・マーガトロイドと軽い戦闘を行った天逆一行は吹雪の中黙って辺りを観察していた...

 

 

気絶した美羽を背負ったまま辺りを見回す柚神とクシャミをしながら辺りを面倒臭そうに眺めている睡煉の二名...

 

「...くしゅん!...いつまでここにいるんですか~?」

 

「...そろそろ動きがあると思いますよ?」

 

「...くしゅん!」

 

睡煉は不服そうにクシャミをするが...この異変の解決のために柚神がどんな策略を巡らせているか...部下である彼女は知る由もない...

 

 

 

 

 

side睡煉

 

「へっくし!!!」

 

寒いです!!この吹雪いている中私達は動くこともなく...じっとしているだけです!!

 

幾ら私でも寒いのは勘弁なのですよねー...

 

そこまで体力があるわけではないですし...お仕事は速めに終わらせるのが私のモットーですから!!

 

「へふっ!!」

 

「...」

 

私がくしゃみをしても...柚神様はスコープを弄りながら辺りを眺めているだけですし...私もこれからどうすればいいか!!

 

 

しばらく経つと柚神様は口を三日月のように歪ませる。

 

「...?」

 

「ふふ...見つけました...」

 

そういうと彼女は美羽様を背負ったままその方向へ向かう!!

 

「ま...待ってくださいよ!!」

 

私は彼女の後を必死に追う...

 

 

 

 

 

 

柚神様についていくと何やら遠くの景色には輝かしい光と爆発音が...誰か戦っているのでしょうか?

 

「誰か戦っていますね...」

 

「ええ...ワタシが知っている人間が3名ですかね...」

 

目を凝らすと何やら紅白の人間・白黒の人間・銀青の人間がそれぞれ...何かと戦っている...

 

向こうには見た限り...紅いの・黒いの・白い格好をした少女達かな?

 

「へぇ...しかし...柚神様が興味を持つとは珍しいですね...」

 

柚神様はスコープを取り外して僅かに微笑む...

 

その表情には少し悔しそうな感情が伺えます...

 

 

 

 

「...美羽がですね...あのうちの2人に敗北したんですよね...」

 

「ええ!?美羽様が!?」

 

私はその言葉を聞いて少し混乱する...

 

あの美羽様が人間に敗北とか...普段なら考えられないことです!!只でさえ...この方たちには...私ら第0部隊が束になってもどうにもならないというのに!!

 

「...嘘ではないですよね?」

 

「...嘘じゃありません...紅白の巫女には完全敗北・白黒の魔法使いには満身創痍までやられました...そして銀青のメイドにはワタシ自身が苦戦を強いられましたし...完全な戦いはできていません...」

 

「...只の人間なのに...」

 

「油断したらいけませんよ...実力は本物です...昔とは違って中々人間も強くなっているのですよ...貴女もワタシの下へ戻ったのですから訓練をしませんと...」

 

「う...善処しますよ...」

 

...第0部隊で一番弱い私がどうしろと??

 

他の2名はガチでやばい人だというのに!!この私がどうしろと!!

 

私が困惑していると遠くの景色が眩い光に照らされて、白いの・黒いの・赤いのが次々と落下していく...

 

(うわあああああ!!)

 

(こんなはずはぁぁぁぁ!!!)

 

(イェアァァァァ!!!)

 

あっちゃ...本当に実力者ですわ...

 

 

 

 

 

「...それよりも柚神様!あの人間達を見張って何のメリットがあるんですか?私たちの目的はこの長い冬の解決ですよね?」

 

柚神様は画面を出して何かを確認した後微笑む...

 

「...異変を解決する者はワタシ達だけではありません...彼女達もワタシ達と同じ目的を持っているということですよ...つまりこの後の我々の展開はどういうことかは理解できますよね?」

 

「彼女達を利用して自分たちは本質を調べる...つまり漁夫の利ですか?」

 

私の言葉に柚神様は頷く...

 

...言いたいことは充分理解した...あの人間達を使って異変を調べるとのことですね...手を汚さず自分たちは影で動くと...

 

なるほど...この後の展開が読めたわ...

 

「なるほどです...あの人間達を利用するんですね!!」

 

...柚神様のやることは少し回りくどいんですよね...

 

美羽様みたいに正面突破みたいなことを嫌っていますし...

 

両者とも性格が同じなのにやることが真逆でこちらとしては合わせるのが大変ですのに...

 

柚神様は機嫌がよさそうに鼻歌を歌う...

 

「ふふふん!!理解が早くて助かります...こちらは手を汚さずに済みますからね...睡煉...彼女達を追いますよ」

 

柚神様は私の前へ出るが背負っている美羽様が邪魔なのか動きが鈍い...

 

流石にも邪魔だと思ったのか美羽様を揺らす...

 

「...美羽!!お仕事です!!」

 

「...きゅ...」

 

美羽様は完全に使い物になりませんね...

 

柚神様は溜息をつく...

 

「なら...ワタシの体に入っててくださいな...余計な体力使いたくありませんし...」

 

柚神様は美羽様の体を縮小化して体に吸収する...

 

身軽になった柚神様は私に向けてウインクをする...

 

 

 

「行きますよ...睡煉」

 

「分かってますよー!」」

 

あの人間を疑似餌にして異変の黒幕へと向かうのか...

 

なら後の仕事は楽な物ですね...只見てればいいし...

 

いざという時は柚神様と同じく本気を出せばお仕事は終わりですね!!

 

 

 




短いですがここまで!

ではこれにて

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