そこで出会う者は...
白銀と化した幻想郷の激しい吹雪の中...レティとの激闘を終えた天逆一行は次への目的地へ急いでいた...
しかし...黒幕の情報を持っていないため作業は難航し焦りの表情を浮かべる一行であったが彼女達の目の前に古い廃村が目に映る...
幻想郷の事をいまいち把握していない彼女達であるが情報もないのでその廃村へ降りることになった...
そこでは何が待っているのだろうか?驚き...それとも?
side美羽
「...今度は廃墟?情報が集まらないじゃない」
アタシの目の前には昔は人が住んでいただろう廃墟が映る...
人の気配は感じない...こんなところで情報が集まるのかしら?
「ですが...複数の気配を感じます!情報を集めるのにはちょうど良いと思いますが?」
...その複数の気配が話せる者だったらの話だけどね
柚神はどこか抜けているから信用ならないわ...でも信じるしかないわね
「アンタの事信じるわ...話になる相手が見つかるといいのだけど?」
「...多分大丈夫です...多分」
アタシ達は廃墟の奥へ進んでいく...
まともな返答を得られるかしら?
一方その頃...廃墟事マヨイガの奥には沢山の猫が生息していた...猫好きの者には堪らない楽園であろう...
その沢山の猫に混じって二又...猫の妖怪である少女がじゃれついていた...
茶色い髪に赤い導師服に身を包んだ少女...
彼女の名前は橙...とある妖怪の式神である。
いつものように彼女は猫を集めようと号令をかけるが...彼女はまだ未熟...
猫たちは橙の言うことを聞かずに好き勝手にあちらこちらへと移動する...
side橙
「うあああん!!何でうまくいかないの!!」
散らばる猫たちを集めようとする私だが...猫たちは次々と草むらへと隠れてしまう!!
頑張って私が上だと言っているのに彼女達は言うことを聞いてくれない!!
この様では...私が八雲の性を貰えるのは...いつになるのだろう...
これでは藍様が...悲しんでしまう!!
「うあああんん!!!そんなのいやー!!誰でもいいから!!私の言うことを聞いてー!!」
私は草むらの中から猫たちを探す...
誰でもいいの!!とりあえず私の言うことを聞いて!!
私が草むらを探すととある白猫が目に映る!この子でもいい!!進歩があれば!!
私は猫じゃらしを出してその猫に振る!
「...」ふりふり...
「なー!」
その猫は私にすり寄る!!やった!!今までの努力が実を結んだ!!
初めて!猫がこっちに来てくれた!!
「やったー!初めて来てくれた!!」
「なー...プイ」
しかし...この子は猫じゃらしにすぐに飽きたのか...廃墟の奥へと行ってしまう!!
「待ってよ!!」
この子にはまだ相手をしてもらわないと!!私の為!藍様のため!!この子には協力してもらわないと!!
白猫は建物の角を曲がり私はその後を追う...
「...にゃ?」
「な~!」
猫を追っていたと思ったら私の目の前にはマタタビガス注意と書かれている巨大なドラム缶が鎮座している...
その上には白猫が乗っており、猫は猫パンチでその元栓を外していく...
「にゃ!?ま...待って!!それは!!」
白猫は私の方を向いて...
「...ごめんね♪」
...しゃべった!?この子しゃべったよ?
その言葉を聞くと同時にドラム缶が破裂しマタタビが辺りに充満し...
「...ふにゃ?」
そして私の意識が暗転する...
side美羽
廃村の奥へ進んでいくアタシ達だけど...やはり柚神はあてにはならないわ...
「...情報収集できないじゃない」
「...ワ...ワタシは複数の気配を感じ取っただけです!!...生き物には違いありませんし...ワタシは悪くないというか...」
...柚神の声がどんどん小さくなっていく...流石にも自信喪失でもしたかしらね?
それもそうよね...だって...アタシ達の前には...
「なー」
「にゃー!」
「ごろごろ...」
アタシ達の周りには多数の猫...
確かに沢山いるけど...意思疎通ができないわ...
「他に行くわよ!!時間が惜しいわン」
「ええ...その方がいいかと」
アタシ達は猫を避けて廃村を後にしようとする...
「...あらあら~?もう帰っちゃうんですか~?せっかく会えたというのに~」
「!!?」
「声?」
辺りを見回すが静かな廃村に響くその声の主はどこにもいない!!
でも...この声...この話し方...まさか!!そんなはずは...
「う...嘘よね...あ...アタシ疲れてるのかしら?」
「...いいえ...ワタシも聞こえました...そしてデータからして...この声紋の主は...」
「久々に可愛い部下に会えたというのに~随分な言葉ですね~○○様♪」
「!!?」
アタシ達の目の前には白い猫が現れる...猫は笑みを浮かべながらこちらへ近づき猫の姿は少しずつ変化していき人型になり始めてくる...
「あ...ああ...」
「再度お久しぶりです♪○○様♪」
アタシの目の前には懐かしい姿がいた...
赤い軍服に身を包み白い長い髪をした...うさ耳を付けた少女...
睡煉が...そこには...いた...
「あ...アンタは...確かあの時に死んだはず?」
アタシの言葉に睡煉は頬を膨らませる
「...勝手に死んだって勘違いしたのは○○様です!!確かにあの時は爆風で肉塊になってしまいましたけど...ちゃんと意識はありましたよ!○○様ったら...泣きながら私を地面に埋めてマジで本当に死ぬかと...」
「っ!!!!」
アタシは彼女の体を無意識に抱きしめていたっ!
今起こっていることが...幻なのか...確かめるために...
でも...温かい...心音が聞こえるっ!
この子は生きてる!!
「うー苦しいです...」
「おバカ!!!生きてるならアタシの下に来なさいよ!!もう...会えないのかとっ!!」
「○○様~?私は言ったはずですよ?部下である限りはずっといるって?」
「...軽口は...そこまでに...しとき...なさいっ!!本当に昔か...らっ!!口が減らないっ!!うっ...ぁぁ...うああああ!」
とめどなく涙があふれて止まらないっ!!このアタシが...こんな...
睡煉はアタシを抱きしめて肩を軽くたたく...
「はいはい...大丈夫ですよ...○○様~...睡煉はここにいますからね~」
10分後...
「ぐす...とりあえず...生きててよかったわ」
睡煉に慰められ...何とか平常心を保つことが...できたわ...
睡煉は柚神の方へ向かいアタシと顔を見合わせる...
「ん~?相変わらず...昔の癖が抜けていませんね?○○様?」
「アンタ...その言葉は禁句だと言ったはずだけど?」
「美羽の方は五月蠅いですよ?睡煉...」
柚神が睡煉をたしなめると睡煉はアタシと柚神を交互に見つめる...
「確かに覚えていますけどー...ややこしいんですよね...本当に...」
「気合で慣れなさい!!アタシについてくるなら!」
睡煉は笑みを浮かべて敬礼のポーズをとる...
「それはもちろんです!第0部隊!隊員ナンバー2!睡煉!美羽様・柚神様についていきます!!」(睡煉 (すいれん)通り名:ミラージュ・アサシン)
「...それでいいわン...睡煉...せっかく会ったところ悪いんだけど...」
「なんでしょ?」
睡煉は敬礼のポーズをとったまま首を傾げる
「...春を越えて...この銀世界...何かおかしいと思わないかしら?」
「...今年は~冬が長いな~っと?思ってましたけど...」
「アタシは今それの調査の仕事をしているのよ...協力してもらえるかしら?」
「そんな水臭い!!私はちゃんと手伝いますよ!一緒に解決しましょうよ!美羽様!!」
...口は軽いけど...本当に良い子ね...偶には...道草喰うのもいいかもしれないわ...思わぬ幸運と出会えるのだもの...
「では!調査再開よ!柚神!睡煉!!次向かうわよ!!」
「ええ...畏まりました」
「了解ー!」
アタシ達は今度こそ廃村を後にし再度情報収集へ向かう...
...とりあえず...1つ過去の悩みが消えたかしら...
オリキャラ追加...
ではこれにて