秋が終わり幻想郷に冬が到来する...
幻想郷の自然を白銀の雪が覆う寒さに厳しい季節であるが幻想郷の住民の生活には関係のないものであった...
しかし今年の冬は違った...とある日天狗の里の牢屋を射命丸文が目指している...
side文
「お仕事!お仕事ーっと!」
私は上層部から渡された書類を持って美羽のいる牢屋へ向かう...
恐らく今度の異常事態も異変に違いありませんね!!彼女の力が必要です!
私は牢の戸を開こうとすると中から話し声が聞こえる...
「はうん!...もみちゃん...もっとぉ...」
「ここっ!ですかっ!美羽様っ!」
...中から美羽と椛の声が...しかし...何やら息が荒い気がします...
「...?」
私は戸に耳をつける...中の声が鮮明に聞こえ始めます...
「ふん!ふん!ふん!!」
「っ!!...はぁ...はぁ...あ...貴女...意外にテクニシャンなのね...」
「...ふふ...美羽様...ここが良いみたいですね!」
「...ああっ!!!」
中からは美羽の艶やかしい声が聞こえる...
まさか...中では美羽と椛が!!!
「...椛...あ...貴女...美羽とそんな関係だったの?」
私は中に突入することが出来ず聞き耳を立てる
「も...もみちゃん!!こ...これ以上やったら...駄目っ!!アタシっ!!」
「何です?もう終わりですか?...まだ15分ぐらいしか経っていませんよ?」
「だ...だめなのっ!これ以上やったら...あ...アタシ壊れちゃうっ!!!う...うぁぁ!!」
は...入り辛い!!もうクライマックスじゃないですか!!
ですが!これを渡さないと私の仕事が終わらないのも事実!!気づかないフリをして切り抜けるしかありません!!
「美羽!お仕事ですよー!!!」
私は戸を開く!
「...あやや?」
...私の目の前にはベットの上でうつぶせになっている美羽に馬乗りになっている椛の姿...
彼女は私に気づかずに美羽の背中に両手をつけて体重をかける...
「そぉい!!!」
ベキボキっ!!
「はぅん!!!!」
美羽の背中から嫌な音が獄中に響き、悲鳴のような声を上げて美羽は枕に顔を突っ伏す...
「...な...なんだ...マッサージ中でしたか...」
全く紛らわしい...私としてはお楽しみ中でもよかったんですがねぇ...
そして漸く椛が私の存在に気づく...
「ん?文様?何でここに?」
「それはこっちのセリフよ...何で貴女が美羽の牢屋にいるんですか?」
椛は美羽の背から降りて彼女を指さす
「いえ...美羽様と剣の稽古をしていたんですが...美羽様が腰をやってしまいまして...」
「ええ?」
あの美羽が腰を?仮にも天狗の最終兵器なのですし...そのようなことで...
美羽はプルプル震えながら懐からお金を出す
「...もみちゃん...ありがとねン...これお駄賃だから...好きなもの買ってらっしゃい...」
「良いのですか!美羽様!」
椛は目を輝かせる...今まで私は椛のこのような目は見たことありません...それに...美羽の手の中のお駄賃...それなりに高額です!!
「いいのよン...お疲れ様...」
「お疲れ様です!ゆっくり休んでくださいね!」
椛が美羽からお金を受け取り牢屋から出ていく...あんな楽しそうな椛は本当に久しぶりに見ましたね...軽く嫉妬を覚えます...
「...おっと!本来の目的を忘れるところでした」
私は美羽に近づく...
美羽は私の方を見ずに枕に顔を埋めており...心なしか...体を震わせています...もしかして...
「あれ?泣いてます?」
「泣いてっ...ないわン!!!」
美羽は枕に顔を埋めたまま言いますが声が震えまくってますね...
「...あ~!確かにすごい音がしましたし貴女が泣くのも頷けますが...」
「泣いてないわン!!!」」
美羽は枕から顔を離しますがもう涙目ですし...目の下が真っ赤です...
ですが追及するのはやめましょうか...
これ以上彼女の機嫌を悪くすると任務を言い渡せません...
「貴女にお仕事が入ったのですがいいですか?」
「...ダメよン!!腰をやってしまったの!!無理な体勢でもみちゃんの攻撃を避けたら...腰がごきっ!って!!」
「駄目です!例外は認められません!!」
「酷いわ!!」
美羽は駄々を捏ねますが関係はありません...私は黙々と書類を読む...
「紅霧異変に続く異変が発生しました...貴女にはそれの調査に行ってもらいたいというのが上層部の命令です」
「...アタシに人権はないのね...悲しいわ...でも異変の内容を言いなさいよ...アタシには何の事だかわからないわ!!」
美羽は不機嫌そうな顔をします...幾らなんでも気づくとは思ったのですが...
「...本日の暦はいつですか?」
「...五月ね?」
「外の天気を見てください」
美羽はしぶしぶと格子の外を見る...
「...大雪ね」
美羽が外を見て分かるように外は雪が吹雪く銀世界に覆われている...
そう...今回の異変はその五月まで続く長すぎる冬が続く異変...それの調査を彼女に依頼したのですが気づいていないとは...
「長すぎる冬...それの解決が貴女の仕事です」
「...てっきり幻想郷だからこんなに長いと思ってたのよ...ほら!アタシずっと牢屋にいたし...」
美羽は腰を押さえて青い顔をする...腰が痛いのでしょうか?
「とりあえず...お願いしますよ?貴女の仕事は天狗の里にとって不利益になりそうなものを解決することが役目なのですから」
「ア...アタシ...本当に腰をやってしまったのだけど?」
「お仕事なさい!!」
私はそのまま牢屋を出る...
「鬼!!!悪魔!!サディストー!!!」
美羽の叫び声が聞こえますがとりあえず無視でいいですね...私の役目は終わりましたもの...
「...さて...新聞のネタを考えませんとね...」
私は新聞のネタを探すために人里方面へ向かう...後は美羽にお任せです...
side美羽
「お...おのれっ!文っ!!」
腰の痛みを堪えながらアタシは開きっぱなしの扉を閉める...
まさか...もみちゃんとの決闘の最中に腰を痛め...更に追い打ちをかけるように異変の依頼が来るとは...
「どうすればいいのよン!!!」
外を見ても大雪が降り積もる幻想郷の景色...流石のアタシでも原因までは分からないわ!!
「...その前にリペアを..柚神!!」
アタシが叫ぶと何もない空間から柚神が現れる...
彼女は眠そうな目でアタシを見つめている
「ふぁぁ...なんです?」
「...リペアをお願いするわ...異変の調査のお仕事前に体を整えておきたいのよ」
「...はいはい...腰ですね」
そういうと柚神はアタシの体に馬乗りになる
「!!待ちなさい!!何でアンタがアタシの体に乗るのよ!!!」
「リペアでは時間がかかりますので...早く異変に向かいませんといけませんし...手っ取り早くやるにかぎります」
柚神はアタシの背中に力を込めるっ!!
...べきっ!
「いったーい!!!痛い痛い!!!」
腰の骨が鳴る音がする!!
腰が折れる!!!折れちゃう!!!折れちゃうよ!!!
「全く...遊びで器に負荷をかけるからこうなるんですよ」
「やめっ!!無理!!これ以上やったら!!」
アタシの制止も聞かず柚神は更に力を込める
...こき...べきき!!
「ぎゃああああああ!!!!痛いっ!いたっ!...痛いっ!!!」
腰が砕ける!!もみちゃん以上に痛いわ!!これでは本当に痛みでアタシが天に召されてしまう!!
「あらら...変にひねっているみたいですね...ワタシも力が強いわけではありませんがやるしかないわね...」
更に...力が加わる!!
ぼきっ...
もう...骨折れたわ...
激痛が体中に伝わる...
「あー!!!!!ひ...ひっ!!!ごめんなさい!ごめんなさい!!!あー!!!!」
...でも...これで終わりなのよね?もう痛い思いしなくていいのよね?
アタシが体を動かそうとすると柚神が体を押さえる!
「な...何よ!!もう終わったでしょ?」
「まだ?十分の一です...後9回やらないと...」
...あと9回!?アタシは...こんな苦悶を...あと9回もしないといけないの!?
「やめてー!!!!」
この後...9分間アタシに対する拷問が続く...
side柚神
「ひぐっ!!酷い...アタシが痛いって言っているじゃないっ!!」
ワタシの前にはベットの上でぐずついている美羽がいます...
とりあえず無理矢理ですが腰は完治させました...しかし美羽の方は完全にストライキし始めていますね...ベットから動こうとしない...
「悪かったですって...でも早く行かないと他の事に支障がでますよ?」
「もう...嫌よ!!アンタがアタシの代わりに行ってきなさいよ!!」
「あ?」
完全に拗ねてやがる...いい年こいて駄々っ子とは手に負えねぇわ...
だがここは我慢...ワタシには秘策がある!
「...ごほん!もう治ったでしょ?早く仕事しないとまた始末書書くはめになりますよ?」
「それも嫌!!」
一瞬で美羽は泣き止む...思いのほかうまくいった...
その顔は絶望感に満ちていますが...本当に始末書を書くのが嫌なのでしょうか?まぁ脳筋の彼女にとってはデスクワークは拷問でしかないでしょうね...
「ほら!行きますよ!」
「うぐぐ...サポートしなさいよ...今回は前回とは違ってどこから来ているか分からないわ...」
「確かに...」
前回は霧の発生源を辿っていけば何とかなりましたが今回は違う...
有益な情報を集めないといけませんね...
「とりあえず...頑張りましょうか...案外歩き回っていれば原因にたどり着くかと」
「ええ...とりあえず片っ端から...やっていきますか!これの所為でアタシがどんなに辛かったか!」
美羽の表情を見ると黒い笑みを浮かべている...
完全に腰の痛みの憂さ晴らししようとしていますね...
美羽の身勝手な怒りですが...まぁ...構いません...美羽とワタシは一心同体ですもの...彼女の怒りは良く分かる...
「では参りましょうか...」
「行くわよン!疑わしきは罰するわ!!!」
ワタシ達は猛吹雪の中幻想郷の空へ飛ぶ...
さてさて...今回の異変はどうなりますかね?
次回1ボス
ではこれにて