東方天災手記   作:ベネト

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短い日常生活


第3章:2ndミッション 異常気象を何とかセヨ!
追憶


○月△日...妖怪の山...

 

幻想郷に秋が到来し紅葉に染まる妖怪の山では秋の神様達が嬉しそうに飛び回り、いつも通りの平和な妖怪の山の日常を描いている...

 

そして天狗の里の牢屋では美羽と柚神が将棋を指していた...盤を見る限り美羽側が劣勢に陥っているのが一目でわかる...

 

 

 

side美羽

 

「...げ」

 

「ふふん?やはりこういうのはワタシが上手ですね」

 

得意げな柚神を無視しながらアタシは将棋盤に集中する...アタシの側には王将の他に歩兵が3枚...ここまで死ぬ寸前までやられるなんて...

 

「待って...考えるから...」

 

「...この状況では投了するしか道はありませんが?」

 

「むぐ...」

 

「...さぁ?どうします?」

 

こ...こいつ!!アタシに負けを認めろというの!?しかもこんな嫌らしい笑み浮かびやがって!!

 

「うぐぐ...」

 

「ただ一言言えばいいんですよ?さぁ!さぁ!!」

 

「...ま」

 

「ま?何です?聞こえませんよー!」

 

「...参りっ!ましたっ!!」

 

「よく言えましたー!偉いですよ!美羽!」

 

柚神はアタシに向けて拍手をする

 

...こいつ...いつか殴る...殴れることができたら殴る...というより...殴ることに意味があるのかしら?

 

アタシはキセルの火をつけて将棋盤を眺める...考えてみればこれが出来なくとも別に生きていく上では必要はないわ!!

 

こういうのは柚神の役目!アタシは実行するのが役目だもの!!

 

 

「アタシなら一回で全員を倒せる実力はあるのに...」

 

アタシは駒の王将をつまんで柚神の陣地へ移動させ柚神はスコープを磨く...

 

「ルールはルールですから...確かに貴女ならこういう状況でもひっくり返すことはできるでしょうね」

 

「アタシは完璧ですから...」

 

アタシは自分の陣地に置いてある3枚の歩兵を眺める...

 

歩兵...か

 

 

「...」

 

「どうしました?」

 

「...いや何でもないわン」

 

アタシは将棋の駒を片づけ始めると柚神は酒を啜りながらアタシを見つめる...

 

 

 

 

 

「...あの3人の事でも思い出しましたか?」

 

「っ!!」

 

柚神の言葉に怯んだ所為で駒を盛大にばら撒いてしまう...

 

「...図星ですね」

 

「...知ってたくせに」

 

アタシは駒を1つずつ回収し元に戻すと柚神は天井を見つめながら口を開く...

 

「...あの件は貴女の所為ではありません...ワタシの所為でもあります...」

 

「...アタシが...力を過信しなければ...あの子たちは死ぬことはなかったのよ!!あの子達の未来を奪ったのはアタシ!アタシなのよ!!!」

 

...あの時の光景が鮮明に思い出してくる

 

燃える景色に肉塊と化した部下の姿...アタシが...あの時余計なことをしなければ...

 

 

「...」

 

「...貴女だけが悪いわけではありません...そうでしょ?」

 

「...慰めにはならないわよ」

 

アタシは柚神の言葉を一蹴しお酒を煽る...

 

柚神なりに慰めたつもりでしょうけど意味がないわ...アタシにとっては忘れたいことだけど...あの子達に合わす顔がない...

 

こんなアタシを見たら...なんて思うでしょうかねン...

 

 

 

「...柚神...もう一戦よ」

 

「...はい!幾らでもやりますよ」

 

アタシ達は再度将棋を開始する...

 

今度は間違えないわ...今度こそ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方幻想郷のとある屋敷...

 

その屋敷の一室には幻想郷の母こと八雲紫が布団の中で寝息を立てていた...

 

「むにゃ...れいむ~!」

 

...時刻は午後2:58

 

紫は寝返りを打ちながら寝言を口にするが起きる気配は一切ない...

 

 

 

 

 

だだだだだだ!!!!

 

だが八雲家の廊下を走る音が響き始め薄っすら紫の額に青筋が立つ...

 

バシン!!!

 

激しく開かれる障子の音...更に紫の額に青筋がたつ

 

 

「大変です!紫様!!!」

 

そして紫の従者である八雲藍の大声によりとうとう紫の堪忍袋の緒が切れる...

 

 

「うるさいわー!!」

 

「ぎゃあああ!!!」

 

弾幕結界が放たれ藍と部屋が破壊の限りを尽くされる...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side紫

 

「...失礼しました」

 

土下座をする藍を見つめながら私は部屋の惨状を確認する...

 

破壊された畳・天井・壁・箪笥...

 

五月蠅かったとはいえ...これはやりすぎたわ...

 

 

「...何よ藍?わざわざ私を叩き起こしたんだから何かあったのかしら?」

 

「実はこれが!!」

 

藍は幻想郷縁起を出す...

 

新しい新刊ね...まだ私は目を通していなかったわ...

 

「何よ?阿求の奴が私のプライベートでも掲載したの?」

 

「それではありません!!!奴が掲載されているんです!!」

 

「...奴?」

 

私は藍が差し出す...ページを見つめ藍が言いたいことがすぐに理解ができた...

 

 

 

「...天逆美羽...柚神ね...」

 

そのページには彼女達の事が書かれていた...随分懐かしい名前だ事...

 

「あいつらが生きていたんです!!しかもこの幻想郷に!!」

 

「...生きていたのは予想外ね」

 

...美羽に関しては藍が左手を切断した上に体に重症を負わせたのを記憶しているわ

 

そして柚神共々自爆して跡形もなくなったはずなのに...

 

 

「阿求に彼女達の事を説明していなかった私が悪いわね...」

 

「どうします!?あいつら今は天狗の組織に所属しているみたいですよ?」

 

...天狗の組織ね...幾ら私でもあそこに関与はできないわね...

 

幻想郷の不可侵領域に近いものね...

 

 

「...保留にしといた方がいいわね...今のところ異変の解決が今のお仕事みたいだし...うまく泳がしておきましょう?...触らぬ神に祟りなしよ」

 

「宜しいので?」

 

「二言はないわ...藍!遅いお昼だけど用意してもらえるかしら?」

 

「は...はい...」

 

藍は立ち上がり障子を開けて台所へと向かう...

 

 

 

 

「天逆ね...」

 

...あそこまでの実力者はそうはいないわ...出来ることなら敵としては出会いたくなかったけど

 

私は布団から身を起こすと縁側から白い猫が私の部屋へ侵入する...

 

 

「なー」

 

猫は藍が置き忘れた幻想郷縁起に顔を突っ込みじゃれついている...

 

「橙のペットかしら?ほらほら!貴女の家はあっちの方向よ!」

 

猫を庭へと戻すと猫はそのまま草むらへ消える...

 

「...とりあえず大人しくはしているみたいだけど...様子は見ないといけないわね」

 

私は藍のご飯にありつくために居間へ向かう...

 

遠い問題より今のご飯!今はそれが大切だもの...

 

 

 




短いですがここまで...

次回異変

ではこれにて

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