東方天災手記   作:ベネト

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紅魔館へ侵入した美羽たちは...


潜入と異国の文化

紅魔館へ侵入した美羽と柚神...

 

彼女たちは屋敷妖精へと変装し屋敷の奥へと進む...

 

単純な異変の再発防止の調査だと彼女たちは心の中で思っていた...

 

だが世の中うまくいかないのが当たり前である。

 

 

 

side美羽

 

「...流石にも広いわね」

 

長い廊下を歩きながらアタシは一つ一つの部屋の扉を開けて中を確認する...

 

異変の再発防止だとか上の連中は言っていたみたいだけど、その報告書を作るのには骨が折れそうね...それを纏めるためのネタがほしいわ...

 

「日が落ちる前には戻りたいのですがね...」

 

アタシの横を歩く柚神は窓の外を眺めている。

 

日の昇り具合としては14:00ぐらいかしら?しまったわね...潜入に時間をかけすぎたかしら?

 

「調査に使うネタさえあれば問題ないわ...いざという時はそれっぽく話を作っておけば問題ないわン」

 

「...隠蔽はしませんよ」

 

白い目でアタシを見る柚神だがアタシは気にしないわ...

 

何やかんやでお仕事はちゃんと終わらす...それがこのアタシだもの!失敗は絶対にしないわ!

 

 

 

長い廊下を歩いていると柚神は何やらそわそわし辺りを見回し始める...

 

「...」

 

「どうしたの?」

 

「...何かいい匂いしません?」

 

柚神に言われて辺りに匂いを嗅ぐと何かの匂いがするわね...

 

明らかに食べ物の臭いだわ...

 

「...あら本当だわ」

 

「少し見てみましょうよ!」

 

柚神に手を引かれ臭いの下へ向かう...

 

アタシとしては気が進まないけどね...

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく進むと大きな台所へとたどり着く...

 

白いタイル張りの部屋に様々な調理器具が置かれているシンク...そして臭いの素である銀製の大鍋...

 

アタシが記憶している日本の台所にしては随分と近代化が進んでいるわね...これが異国の文化というものかしら?

 

 

「何やら美味しそうなものが入っているみたいですね!」

 

柚神は興味深々と言った表情を浮かべながら大鍋を観察している...

 

任務には関係はなさそうだし...アタシとしてはここから離れたいのよね...

 

...まぁ...柚神が珍しく燥いでいるみたいだし好きにさせとくのもいいかもね...

 

どうせ食べやしないでしょ...彼女の興味はその対象の情報だけだもの...

 

 

 

「さてと...時間つぶしでもしようかしらン」

 

アタシは鍋から離れて戸棚を開けて中に入っているビンを確認する...

 

色んな色の粉末が入っている...

 

料理に使う調味料かしら?やはり異国の物が多いわ...ラベルにはバジルと書いてある...

 

「...良い香りがするわねン♪これ貰っておこうかしら?」

 

ビンを懐へ入れようとしようとすると誰かの視線を感じてアタシは入り口の方を見る。

 

 

 

 

 

「...仕事さぼって何しているのかしら?」

 

そこには紅魔館のメイドである十六夜咲夜がいた!!!今度は本物!!!

 

アタシは柚神の方を見るが彼女も咲夜の登場が予想外だったのか目を点にしている...

 

(どうします?美羽!まさかの咲夜がここに!)

 

柚神は直接アタシに語り掛けてくるがここはとりあえず無視!!

 

今は姿を妖精に変えているけど下手なことをしてしまうとアタシたちの正体がバレてしまうわ!!

 

万が一バレて潜入捜査が失敗に終わったら...アタシに大量の始末書が降りかかってしまう!!!!そんなこと絶対にダメ!!!

 

アタシの完璧な経歴に傷が!!!

 

 

 

「もう一度聞くわ?何してたの?」

 

咲夜はずいっとアタシたちに詰め寄る...

 

「...えーと...休憩かしら?」

 

「左下に同じく...」

 

アタシたちはとりあえず返事はするが咲夜は警戒したままだ...

 

「休憩中ね...もっとも屋敷妖精は遊んでるのが殆どだけど...」

 

咲夜はアタシたちをジッと眺めている。

 

 

 

「な...何よン」

 

「...貴女たち...何か...あの天狗達に似ている気がする...」

 

流石はメイド長...勘が鋭いわ...

 

でも姿がばれても...いざとなったら戦闘不能にさせてでも任務は続行するわ!!

 

...この距離なら時を止められる前に何とかできるわ

 

右手に力を込めて柚神の方を見るが彼女は手で×マークを作って首を横に振っている...

 

(駄目です!!バレたら後が大変ですから!!)

 

却下...ではアタシはどうすればいいのン...

 

 

 

 

「あの?あの天狗って何ですか~?アタシわからなーい!」

 

アタシは無理に笑みをつくり咲夜へすり寄る...

 

戦闘禁止なら出来るだけごまかすだけよ...始末書の山を味わうのはもう勘弁!!

 

咲夜はアタシをジッと見つめる...

 

 

 

「...この前の異変の時に巫女と魔法使いに紛れて来たじゃない忘れたの?」

 

「えー?アタシ?気絶してたから詳しくはー?」

 

咲夜からの問い詰めをごまかしているが...どこまで通用するか分からないわ...

 

柚神の方を見ると彼女は笑いを堪えているのか明後日の方向を向いている...仕事なさい!!!

 

言い訳を考えているが咲夜の方は相変わらずアタシたちの方を怪しそうに見つめている...

 

「えーと...」

 

「...天逆美羽と天逆柚神でしょ?」

 

咲夜のつぶやく一言がショットガンの弾のようにアタシの胸を貫く...

 

 

「げほぁ!?...それって...その天狗の名前ですか?」

 

「ごまかしても無駄よ...美羽貴女なのでしょ?妖精に変装なんかして?」

 

完全にばれているわ...万策つきたわ...もう流石にもごまかしきれない!!

 

アタシは地面に蹲り柚神はへらへら笑っている...

 

 

 

 

「何でここにきたのよ?」

 

「異変の再発防止に来たのよン」

 

「早くもばれてしまいましたがね...」

 

アタシたちは全てを自白する...もう駄目ね...任務は失敗に終わったわ...これで帰ったら多くの始末書がアタシを待っている...

 

もう覚悟するしかないわ...

 

咲夜はアタシたちを見つめて大きく溜息をつく...

 

 

「...ふー...まぁ...異変の再発防止ね...別にいいわ...ちょうど人手が足りなかったし...貴女たちの正体が何であれ関係はないわ...」

 

咲夜はそういうとアタシたちの手を引く...

 

 

 

「え!!?どこへ連れてくの?」

 

「...とりあえず館の仕事をしてもらうわ...黙っている変わりの交換条件ということでどうかしら?」

 

何という幸運なの!?この交換条件を飲めば...アタシはあんな始末書だらけにならずに済むわ!!

 

「咲夜様~アタシ!話の分かる子って好きよ!!その交換条件飲むに決まっているじゃない!」

 

アタシは手を挙げるが柚神は鋭い目で咲夜を見ている...

 

 

 

「なんか怪しい気もするけど...」

 

「なんのことかしら?警戒しているのは貴女ぐらいじゃない?」

 

「あ?」

 

何故か柚神の奴は地が出ているわね?

 

咲夜と何かあったのかしら?

 

しばらく進んでいくと咲夜はとある部屋の鍵を開けてアタシ達をその中に入れる。

 

 

 

 

 

「ここでしばらく待っていて...準備が出来次第呼ぶわ...」

 

そういうと彼女は廊下の奥へと消える...

 

館の仕事ね...何があるかわからないけど何とかなるわね...

 

アタシと柚神がいればできないことはまず無いと思うし...

 

柚神の方を見ると彼女はイライラと辺りを見回している...

 

...ああ...こうなると少し面倒になるのよね...

 

アタシは柚神の肩に手を置く...

 

 

「まぁ...落ち着きなさいよン!怪しいかもしれないけどアタシ達にも安全にデータが取れるという利点があるじゃない!」

 

「...まぁ...確かにそうですがね...ふぅ...仕方ありません...」

 

柚神は目を閉じて溜息をついた後...元通りの口調に戻る...

 

アタシと似て厄介な性格な子ね...

 

まぁ...いいわ...館の仕事をするだけで情報が入るのだしアタシたちとしては好都合ね...

 

久々に戦闘以外の仕事も頑張ってみますかね...

 

アタシ達は咲夜の仕事の指示を待つ...

 




遅れましてあけましておめでとうございます。

今年も宜しくお願いします。

ではこれにて

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