東方天災手記   作:ベネト

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美羽に更なる仕事が舞い降りる...


新たな任務

紅い霧異変が収束して三日が経過する...

 

幻想郷にまた平和が訪れるが一部はそうはいかない...

 

妖怪の山のある牢屋ではその事後処理が行われていたのだから...

 

 

牢屋の中では机を引っ張りだし、書類の処理に追われている美羽とそれを見守る文の姿があった...

 

 

 

 

 

 

 

side美羽

 

「...ぐぐぐ!!!!何でアタシがこんなこと!!!」

 

机に山と積まれている書類を見ながらアタシは愚痴をこぼす...

 

異変で重症を受けたというのに!休むことなくこれの処理に追われるなんて!!!

 

 

 

「あやや...頑張ってくださいな!まぁ貴女が悪いんですよ?能力の上限を破ったんですからね...」

 

文は笑みを浮かべながら大きな判子を持ちながら書類を確認する...

 

 

そう...アタシが書いているのは異変の報告書と始末書...

 

報告書を書くのはわかるわ...異変が終わったからそれを伝えるのは当然よ...

 

でも何で始末書まで!!ちくしょう!!何でバレたのよン!!!

 

確かにアタシが本気を出すことは禁止されていたけど!何でそれが組織にばれたの?

 

柚神の奴!!事後処理を怠ったわね!!

 

 

 

 

文がいなければ柚神の奴に、この書類の山の始末をさせられるのに!!

 

しかし!天狗の山は柚神の存在に気づいていない!!

 

下手に柚神の存在が明るみに出てしまうと色々と面倒になる!!

 

 

 

「うぐ...」

 

筆を持つ手が震える...

 

へし折れそうになる筆を何とかしながらアタシは書類に筆を進める...

 

 

 

 

 

少女...お仕事中...

 

 

 

 

 

 

 

数時間後...

 

 

「...ぐぐぐぐぐ!!!!!...お...終わったわ...」

 

最後の書類を書き終えた瞬間に筆が弾け飛ぶ...

 

これで今日の仕事は終了よ...

 

もう無理...今日は早めに寝ようかしら?

 

 

 

「あやや?大丈夫ですか?では次の仕事を...」

 

「は?何よそれ?」

 

「別件の仕事ですよ♪」

 

 

文は書類を片づけて机に一枚の書類を出す...

 

まだ終わってなかった!!

 

この組織はアタシを過労死させたいの?

 

 

「これ以上何を書けっていうのよン!!!」

 

「今度は潜入捜査を行っていただきたいんですよ...また紅魔館へね」

 

「...は?」

 

 

何でまたあの館に行かなくてはいけないのよ...

 

異変は終わったし、もう関係はないはず...

 

 

「何で?」

 

「簡単にいうと異変の再発の防止です♪」

 

「...うそン!?」

 

何でそんな面倒なことまでアタシが?

 

この前の異変の時アタシが本気出して力を見せてやったのよ?再発するわけないじゃない!!

 

 

 

「無駄じゃない?そんな細かなことでアタシが動くなんて...」

 

「上層部が決めたことですよ?まぁ...上層部も石橋を叩いて壊して渡るくらい慎重派なので...」

 

「...壊さんでもいいじゃない!!」

 

文は扉の方へ向かうアタシの方を振り向きながらペンでアタシを指す...

 

 

「これは決定事項です!本日中に報告お願いしますよ!出ないと...書く書類が増えますからねぇ」

 

文は黒い笑みを浮かべて牢屋を去る。

 

 

 

 

 

「ぐぐぐ!!!やるじゃない!文!!このアタシにそのような言葉をねぇ...」

 

このアタシがここまでこき使われるなんて何年ぶりかしら?

 

でも嫌いではないわねぇ...

 

アタシの恐ろしさを知った時の顔が楽しみだわン!!

 

 

でも...その前に...

 

 

 

 

 

「柚神!!!出てきなさい!!」

 

「...何です?大声ださんでもいいでしょう?」

 

アタシの体から柚神が抜け出る...

 

彼女は眠そうな目を擦りながらスコープを目につける...

 

 

「こっちが重労働しているってのに!ぐっすりとは良い身分ね!!」

 

「何を怒ってるの?」

 

柚神の方も寝起きなのか不機嫌な顔をする...

 

でもそんなの関係ないわ!

 

 

 

「アンタ!この前の異変の後始末忘れてたでしょう!?おかげでアタシが始末書まみれになったのよ!!」

 

「...異変?...ああ」

 

柚神は明後日の方向を見ながら欠伸をしながらアタシの方を向く。

 

「貴女の体にリペアをしていたんです...それで手一杯だったんですから勘弁して下さいよ」

 

「リペアって...アンタ...」

 

「貴女が大怪我負わなければよかった話です...ワタシだって体は実質一つなんですから無茶な事言わないでくださいよ」

 

「アンタの何もかも隠蔽する能力を使えば良い話じゃないの!!」

 

アタシの言葉に柚神はイラッとした表情を浮かべる。

 

 

 

 

「ワタシの能力は隠蔽じゃないと何度言ったら分かるんだ?アンタは?」

 

「あ?あー!はいはい!!詳しくは(情報を操作する程度の能力)でしたね!!対して変わらないじゃない...」

 

「無にしてもいいのですよ?」

 

「あ?やってみなさいよ」

 

 

お互いに殺気を放つがすぐに徒労と気づく...

 

アタシには柚神を殺せないし、柚神はアタシを殺せないものね...

 

お互いに殺気を消す。

 

 

 

 

「...で?どうします?ワタシは寝ていたから状況を呑み込めないのですが?」

 

「紅魔館への侵入をまたするのよ...」

 

アタシの言葉に柚神は首を傾げる

 

 

「何故?あの異変はこの前解決したはず」

 

「再犯の可能性があるから調べろとの上からの指示よ...しかも本日中...流石にもアンタの能力を使わないと潜入は不可能だわ」」

 

柚神は考えるような仕草をする

 

この子のIQなら...別に考えんでもすぐに結論は出るでしょう...

 

 

 

「...分かりました...ではすぐに現場に向かいましょうか」

 

「その方がいいわ...アタシとしても早くするのに限るわ」

 

アタシたちは紅魔館へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館へたどり着きアタシたちはその館の外観を確認する...

 

この前と同じ紅い屋敷...

 

異変の時はすんなりと潜入できたけど...今度はどうかしらね?

 

 

 

「で?どうする?」

 

紅魔館の前の木の枝へ着地し様子をうかがう...

 

門には門番が一人...

 

侵入するには苦労はしないけどその後が問題ね...

 

柚神は紅魔館を観察しながら髪を手くしする

 

 

 

 

「...ふむ半日程度なら問題ないですね」

 

「どうするのよン?」

 

柚神はアタシの顔に手をつける

 

 

「紅魔館の者に気づかれなければいい話です」

 

「!?」

 

彼女の手が光りだす...

 

特に変わったような感じはしないけど、柚神はアタシの方を見ながら頷く...

 

「...我ながら完璧ですね」

 

「...何したのよン」

 

柚神は黙ってアタシに手鏡を渡す

 

それを見ると...

 

 

 

 

 

「...は?」

 

鏡に映るのは幼い顔をした灰色の髪をした少女...

 

アタシは自身の姿を確認する。

 

 

 

 

「...うそン!?」

 

体も小さくなってる...

 

服もメイド服に...翼も昆虫のようなものに変わっているし...これは...

 

「屋敷妖精に紛れれば潜入はたやすいかと思われます」

 

柚神も姿を変えてアタシと同じ昆虫のような翼をはやす

 

 

アタシの肉体の情報を書き換えたのね...

 

柚神の能力は情報と呼べるものに全て手を加えることができる能力...

 

情報というのは全ての万物に作用する...それが生きている者であれば、柚神にかかれば例外なく書き加えることのできる強力な能力...アタシの能力よりもずっと性質が悪いわ...

 

でも...

 

「...」

 

アタシは自分の左腕を確認する...姿は変われど、相変わらず元の縫合の痕が残っている...やっぱ駄目ね...エラーが出ているわ...

 

 

「回りくどいわ...他の方法はなかったの?」

 

「この方が一番早期にお仕事を終わらせられますので...では参りましょう?」

 

「はいはい...」

 

アタシたちは木から飛び降りて紅魔館の門の前に立つ...

 

潜入捜査開始ね...

 

とりあえず日が落ちる前には終わらせましょうか...

 

 

 

 

 




今年は後一回くらいかな?

ではこれにて

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